2009年1月31日土曜日

良き先輩のいない時代

 「昔のような、良き先輩後輩の関係がなくなったよ。」

 昔、IBM時代に一緒に仕事をしていた友人が、電話越しにそんな話をしていた。彼は、今、IBMの営業所長をしている。「今度ゆっくり話をしよう」と言うことで、電話を切った。

 先日、IBM時代のある先輩営業の訃報を受け取った。

 わたしがまだ入社したばかりの頃だから、もう二十数年前のことだが、彼は、当時30代の後半か40代の前半だっただろうか。小柄ながら恰幅もよく、いつもびしっと髪を分け、エネルギッシュにオフィースの中を闊歩していた。太く張りのある声、自信に満ちた話っぷりが、今でも印象に残っている。直接、仕事をご一緒したことはないが、彼を端で見ながら「すごい人だなぁ」と思っていた。

 IBMは、12月が年度の締めである。当時営業は、ノルマ達成にものすごい執着を持っていた。「ノルマ達成が出来ないことは、恥ずかしいこと」という刷り込みがあり、一年間そのためだけに必死で仕事をしてきたといっても過言ではないくらいだ。

 年度の最後の日は、そんな雰囲気の絶頂にある。何としてでもノルマを達成しようと最後の最後まで契約をかき集めるために、営業は必死に走り回っていた。そして、その受注をインプットする業務担当者達も必死である。決められた時間までに受注データをインプットしなければ、受注は計上されない。もしそんなことにでもなれば、今年一年やってきたことが全て無駄になる。彼らもそのことはよくわかっていて、深夜まで必死で業務をこなしてくれていた。

 我が先輩営業は、そんな彼等を気遣い、年度の最終日の深夜、夜食にとすしを注文し振るまっていた。もちろん、自腹である。かっこいいと思った。すごいなぁとも思った。いずれ自分もあんなかっこいいことをしたいなぁと思ったものである。

 わたしは、研修で科学的でロジカルな営業の仕事の仕方を教えている。わたしが研修でお伝えしている内容は、そんなすばらしい先輩達から学んだことを自分なりに反芻し、整理したモノに過ぎない。

 一見浪花節的で、ロジックのかけらもないように見える彼等の仕事の仕方だったが、そこにはお客様の心理や意志決定の仕組みを熟知した上で、確実に仕事をこなしてゆく知恵が組み込まれていた。改めて考えてみれば、実に要領よく仕事をこなしていたように思う。そんなすばらしい先輩の知恵を当時の新人達は、徒弟制度のような先輩後輩関係の中で、学んできた。

 そんな関係が薄れつつある今、彼等の暗黙知や自分なりに体験した経験知を、形式知として誰にでもわかるように整理し伝えることが、今のわたしの使命なのかもしれないと思っている。

 少々、大げさな表現かも知れないが、良くも悪くもそんな先輩達から多くのことを学んできた。「昔のような、良き先輩後輩の関係がなくなったよ。」という友人の話を聞いて、未だそんな良き先輩になりきれない自分の未熟を恥じ入るばかりである。 

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2009年1月30日金曜日

リスクの高い提案で勝負する

 ある製造業のIT部門長に話を伺いました。

 「好不況にかかわらず、コストの削減には、これまでも継続的に取り組んできました。これ以上コストを削減しろと言われても、その余地はあまりありません。これ以上のコスト削減となると、内部でできることは社員の残業代を減らすことぐらいです。あとは、再リースによるリプレースの延期、外部委託している人数の削減、委託単価引き下げ交渉など、ベンダーさんにも協力して頂かないとどうしようもありません。しかし、日常の仕事量を急に減らせるわけでもありませんから、ほんとうに頭が痛いですよ」とのこと。
 
 みなさんのお客様はいかがでしょうか。

 このようなお客様にどのような提案をすればいいのでしょうか。私なら、あえてリスクの高い提案をしてみようかと思います

 たとえば、業務プロセスを大きく変えなければならないいアプリケーション・システムやネットワーク・インフラの再構築です。

 いままでは、リスクが高いからと敬遠していたものであっても、これが抜本的なコスト削減につながる可能性があるとすれば、自信を持って提案してみてはいかがでしょうか。こんな時代だからこそ、お客様は真剣に話しを聞いてくださるのではないでしょうか。

 先のIT部門長のコメントにもありますが、部分最適でのコスト削減は、既にどこの企業でも限界があります。結局は、お客様も皆さんもお互いに痛みを増し、疲れ切ってしまうだけのことです。これでは、真の解決には至りません。

 手近な部門を相手にした部分最適のコスト削減提案ではなく、会社全体を巻き込んだ大きな仕掛けで、全体最適の提案を果敢に仕掛けてみるというのはいかがでしょうか。

 「窓口は、情報システム部門にしかなく、なかなか業務のキーパーソンや経営トップにアプローチできなくて・・・。」と愚痴をこぼす営業の方!その壁を破る手段は、お願いやニコニコ笑顔ではありません。業務部門をも巻き込み、企業経営にも貢献できる提案です。

 今までは、だれもが非常識と考えていたようなことでも、今ならお客様はあらゆる可能性を求めています。そんな提案ができたならば、相手から話を聞かせてほしいと依頼が来るはずです。

 営業に必要な資質として「政治力」があります。「政治力」とは、けっして気配りの才に長けていることではありません。大きなビジョンを持ち、それをなんとしてでも成し遂げるぞ、という強い意志の力です。 
 そんな政治力を発揮して、お客様をアッと言わせることができれば、お客様もきっと皆さんの提案に耳を傾けてくださるのではないでしょうか。

 先日のブログ「お客様にとってマイナスになる提案をしよう!」でも紹介した分散しているコールセンターやオフィースの統廃合、受発注-物流業務の刷新に伴うシステムの再構築、ネットワーク・インフラの最適化など、いろいろと可能性はあるはずです。

 新しい機能やサービスの追加を上積みする提案ではなく、業務プロセスを全体最適化して、大規模なコスト削減の可能性を提示してみてはいかがでしょう。

 システムの提案ではなく、業務改革の提案としてお客様にぶつけることが大切です。システムは、所詮、結果を出すための手段でしかありません。もっと大きなメッセージが伝わってこそ、お客様全社の経営課題として、捉えていただけるようになるのです。

 不景気がいつまでも続くわけではありません。景気が元に戻ったときに、一気に攻めに転じられる事業基盤を築いておくこと。部分最適のコスト削減では、そんなことは期待できません。

 部分最適で小さなコスト削減のご要望をそのまま受け入れるだけではなく、全体最適を提案し、もっと大きなコスト削減と景気回復に向けた備えをする。そんな提案を逆に仕掛けてみるというのはいかがでしょうか。何か大きな動きが始まるかもしれませんよ

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2009年1月29日木曜日

アカウント営業の時代

 わたしの古巣である日本IBMの売上げが、伸び悩んでいます。利益こそ10%超という、この業界としては驚異的な利益率を確保しているものの、その実態はコスト削減によるもの。売上げは、7年連続して減収となっています。

 その理由については、いろいろな方がコメントされていますが、わたしは、「アカウント営業」の弱体化が大きな要因ではないかと思っています。

 日本IBMは、かつて「アカウント営業」つまり、「担当のお客様を決め、そのお客様からの売上げに全責任持つ営業」が、営業活動のイニシアティブを取っていました。
 その後、米国流に、個々の製品やソリューションの売上げに責任を持つ複数の「ソリューション営業」が、ひとつのお客様をチームとして担当するマトリックス営業体制へと移行してゆきました。この背景には、複雑化、多様化するソリューションを一人の営業が把握し、売り込むことは難しく、その都度必要に応じてチームを組んで営業活動に当たらせる方が、これからの時代にマッチしているとの判断があったからです。

 しかし、その結果として、アカウント・レスポシスビリティが、失われてしまいました。ここに最大の原因があったのではないかと考えています。

 ここであえて「レスポンシビリティ」と言う言葉を使ったのには、意味があります。この単語は、「レスポンス=応答、反応」と「アビリティー=能力、技能」という2つの単語の組み合わせです。この言葉には、「自分の意志でどう応答するかを判断し行動する能力」という含意があります。つまり、単なる「責任」という意味以上に、主体的、あるいは自律的な行動を含む「自主的な判断に基づく実行責任」という、積極的な意味合いを持っことばなのです。

 つまり、アカウント・レスポシスビリティとは、自分の担当するお客様にかかわるビジネスについて、一切の責任を持つこと、つまり、与えられた営業目標を達成するための戦略やアクションプラン、体制の構築、トラブルへの対処など、「お客様担当ビジネス・プロデューサー」としての責任を負うことを意味しています。

 かつてわたしもそんなアカウント営業のひとりだったわけですが、その責任の重さと共に、仕事へのプライドを持っていました。そんなモチベーションの高さが、日本IBMの営業を支えていたように思います。

 また、このような営業スタイルは、日本のお客様にもマッチするものでした。というのも、日本のお客様の多くは、ソリューション・ベンダーにシステム戦略の立案やその後のインテグレーションを期待し、そのコーディネーターとしての役割を営業に期待しているからです。
 米国では、このあたりの責任は、お客様が担うのが当然であり、そのために大規模な情報システム部門を擁している企業もすくなくありません。そういうビジネス・カルチャーの中では、むしろソリューションや製品に特化した専門営業部隊の方が都合が良く、コーディネーターの役割など期待していないのです。

 このようなビジネス・カルチャーのギャップがあるにもかかわらず、米国流の営業スタイルを持ち込んでしまったことに、問題があったのではないかと考えています。

 「アカウント営業」を主体とした営業組織とするのか、それとも「ソリューション営業」を主体とするのか、この議論は、つねに繰り返されています。もちろん、自分たちが取り扱う商品やその時々の景気や市場の趨勢で判断すべき事ではありますが、少なくとも今は「アカウント営業」の時代だと、わたしは思っています。

 今日のニュースで、今年の日本の経済成長率は、マイナス2.6%との予測をIMFが発表していました。その実態はともかくとしても、このような報道などのあおりを受けて、お客様が財布のひもを締め始めていることは、営業である皆さんは、実感されているのではないでしょうか。

 こういうモノが売れない時代、お客様の立場に立てば、モノを買いたくない時代に、いくらモノのアドバンテージを喧伝しても、そもそもお客様に買う気がないわけですから、売れるはずがありません

 お客様は、このような状況の中で、情報システム部門としてどのような戦略を立てて対応すべきか、あるいは、どのような経営を行うべきかを模索し、その解決策を求めているのではないでしょうか。
 
 このようなときこそ、アカウント営業の出番です。ITの総合プロデューサーとして、お客様と一緒になって、お客様の課題を整理し、その解決策の立案に責任を持つ。そんな営業としての役割をお客様は期待されているのではないかと思います。

 このようなお客様の期待は、SMB(小規模、中堅のお客様)ほど大きいのではないかと思います。このようなお客様の期待に応えることが出来ることが、この時代を生き抜くすべではないかと思います。

 ソリューション営業とは、「商品がない」からスタートする営業活動です。これについては、いままでブログで何度も申し上げてきたことです。今の時代は、まさにこちらかのお仕着せで「売れる商品」はありません。だから、お客様の課題に耳を傾け、お客様と一緒に商品を作り上げてゆく。そんなプロデューサーの役割を担う「アカウント営業」が求められているのです。

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2009年1月28日水曜日

今こそソリューション営業を育成するチャンス

 昨日、日経ソリューションビジネスの取材を受けました。テーマは、「今こそソリューション営業を育成するチャンス」とのこと。わたしも、全くその通りだと思っています。こういうときこそ、改めて自分の仕事のスタイルを見直してみてはいかがでしょうか。

 半年前、研修へのお誘いに「仕事が忙しくて時間がとれません」と話をされていた人に、改めてご案内を差し上げてみました。すると、「経費削減で参加できません」とのこと。これでは、いつまでたっても、研修には参加できませんね(笑)。

 このブログをごらん頂いている皆さんの中にもわたしの「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」にご参加いただいた方もいらっしゃるのではないかと思います。わたしは、この研修の中で「自分にふさわしい仕事のスタイル」に気づいていただく、そんなきっかけを提供したいと考えています。このブログのタイトルでもある let's make your style! にもそんな思いを込めています。

 たびたび申し上げていることですが、わたしは、営業力はスキルであると考えています。営業は、人を相手にする仕事であり、生まれ持ったセンスや才能が無ければ出来ない仕事という人も多いのですが、わたしはそんなことはないと思っています。

 どんな仕事にも手順があり、うまくこなしてゆくための定石があります。営業という仕事も同じです。その定石を身につけることが出来れば、仕事の成果は着実にあがります。わたしが、この研修でお伝えしたいと思っていることは、「ソリューショ営業という仕事の定石」です。
 
 あるベテラン営業の方にお話を伺ったところ、「いままで自分なりのやり方でがむしゃらにやってきました。でもほんとうにこのやり方でいいのだろうかと不安に思っています。」とのこと。なかなか案件がとれない状況に、ますますそんな思いが募るというお話しでした。

 また、「こういうときだからこそ、何事にも謙虚に耳を傾けられる」とも話されていました。調子のいいときには、気にも懸けなかった自分の仕事の進め方。今は、もっといいやりかたはないのだろうか、もっと違う考え方でアプローチをしてみてはどうだろうかと、謙虚に自分の行動を見直す気持ちになれるとのこと。

 わたしはこの研修で、「定石」という整理された仕事のスタイルに、自分の仕事のやり方を投影する機会を提供したいと考えています。人の力を借りて自分の仕事のやり方を整理し直してみる。

 「定石」に当てはめてみたときに、何が定石通りなのか。あるいは何が定石から外れているのか。そして、あらためて自分の仕事の特徴や得手不得手に気づいていただければと願っています。気づきは、改善や前進への意欲を生み出してくれます

 そんな機会になればと思っています。 

 人には誰しも自分なりの個性があります。生まれ育った環境、仕事の経験、会社の環境や雰囲気・・・いろいろな積み重ねが、人それぞれの個性、あるいは、得手不得手を築き上げています。このような個性とスキルは、お互い相互補完の関係です。

 こういう経験しかないから営業にはちょっと・・・という考えを持つ必要はありません。仕事の定石さえつかめれば、個性は、むしろ差別化の武器になるとわたしは信じています。

 こういう時期、人の育成に時間やお金をかけることができるかどうか。経営者の力量が試されるところです。先日も申し上げましたが、経費削減のため研修予算は一切凍結という会社がある一方で、優秀な社員を選抜して米国のソフトウェア・メーカーに新技術の勉強に10日間派遣するという会社もあります。
 社員の士気がおおいに高まることは、彼らを見ていてよくわかります。また、景気が良くなったときに、他社との力の差は明らかなものとなるでしょう。

 謙虚に自分の仕事を考えようという気持ちを持てるこんな時期、「今こそソリューション営業を育成するチャンス」かも知れません。

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2009年1月27日火曜日

プチ提案のすすめ

 お客様の課題を探るための会話の進め方について、考えてみようと思います。

 お客様との会話をなるほどと聞くことも大切です。ただ、それだけでは、得られる情報は、薄ペラなものになってしまいます。お客様と相互にキャッチボールすることで、お互いの理解が深まります。そういう関係が出来てこそ、お客様の状況や課題をより深く知ることができるようになります。

 それよりも何よりも、以前このブログでも書きましたが、お客様との会話を通して、お客様自身が、自らの状況や課題に気づき整理することができます。そのよう場を演出するのが、ソリューション営業の役割でもあります。

 わたしは、以下の3点を心がけています。

 まず最初は、「ツッコミどころを探す」です。
 「これについてはどうなんですか?」、「でも、これでは、こうこうことにはなりませんか?」、「じゃあ、さっきの話との関係はどうなんですか?」とあえて、お客様の話の疑問点を指摘したり、反対のことを言ってみることで、お客様に揺さぶりをかけてみることです。このことで、お客様が、あえて話さなかったことや、言いそびれたことなどを、お客様から引き出すことが可能になります。

 次は、「まとめる」です。
 「ということは、こういうことなのですね?」、「今までのお話を整理してみると、・・・」と今までの話の筋をあなたなりに整理し、簡潔に相手に伝えてみることです。
 お客様は、それによって改めて自分の話したこと、考えていたことを整理する機会を得ます。お客様が、それを補足や修正をする。あなたは、さらにそれについて、質問をする。このようなやりとりを通じて、お客様自身の考えが整理され、より明確に状況や課題が明確に意識されるようになります。

 最後は、「プチ提案」です。
 「こういうふうに、仕事の進め方を変えてみてはどうでしょう?」、「A社さんは、こんな取り組みをされていますが、御社でも取り組まれてみてはいかがでしょう?」、「我が社でこんなお手伝いが出来ますが、ご検討されてみませんか?」などをお客様にぶつけてみます。うまくゆけば、そこから案件の糸口が見つかるかも知れません。

 ここで注意しなければならないことが、三つあります。

 まず一つ目は、決して「プチ提案」を最初にしないことです。お客様自信が状況や課題を理解できない限り、「プチ提案」は、お客様の琴線に触れることはありません。

 もう一つは、出来るだけ多くのお客様について情報を事前に手に入れ、あなたなりにお客様の想像を巡らせ、仮説を持ってゆくことです。こういう準備があればこそ、ツッコミや整理は、当を得たものになり、お客様は会話にのめり込んでくるでしょう。

 三つ目は、「プチ提案」は、基本的には会話の進展に応じて、その場で行うことが原則です。ただ、何をプチ提案するかについて、あらかじめメモや簡単な資料を用意しておくといいでしょう。それを使うかどうかは、話の成り行き次第です。仮説ですから、正しいかどうかは解りませんし、会話を進めてゆく課程で、もっといいアイデアが浮かぶかも知れません。あるいは、お客様から、「これについて、提案してくれないだろうか」と水を差し向けられるかも知れません。押しつけの提案ではなく、お客様との会話を通じて、一緒に考える。それが、「プチ提案」の基本です。
 ここで、それならばということになれば、あらためて資料をまとめて、お客様に提案するといった手順を踏むことがいいのではないでしょうか。

 大仰な提案書を用意して、お客様にアプローチするだけが、提案活動ではありません。お客様との普段の会話の中に、いつも提案の機会を探る。そういう普段の心がけが、案件の糸口を見つけることにつながります。

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2009年1月26日月曜日

こういう時期だからこそ、お客様を深掘りする

 今朝のNHKニュースで、売上低迷の時期だからこそ、保守やサポートなどの付帯サービスを徹底して行っている機械メーカーの話が紹介されていました。

 この会社は、保守やサポートで売り上げの減少分を補おうという意図ではなく、景気が回復し、需要が回復したときのために、今からお客様との信頼関係を築き、囲い込みを図ることが目的だそうです。そのために、社員総出でお客様を回り、不具合や要望を聞いているのだそうです。

 このような経済状況の中で、「なにかありませんか?」と御用聞きに回っても、新規案件を獲得することは容易なことではありません。ましてや、新規顧客となると、ますます高い壁が立ちはだかっています。

 こういうときに、既存のお客様を対象に、保守やサーポートの質を高めるために、運用状況や現状の課題について伺うということで訪問すれば、お客様も積極的に情報を提供してくださるはずです。

 もし、同じお客様に競合他社が入り込んでいるとすれば、このような行動を示すことで、お客様は他社との違いを意識されるようになるかもしれません。それが結果として、いままで相談されなかったことも相談されるかもしれません。また、昨日ブログにも書きましたが、コスト削減のための新たなプロジェクトのネタを仕入れることができるかもしれません。お客様の信頼を高めつつ、新たなビジネスの糸口を見つける。そんな機会になるのではないでしょうか。

 ただし、ただ漫然と「なにかシステムの不具合はありませんか」と伺うだけでは、芸がありません。これでは、「何かありませんか?」と、御用聞きに伺うことと、たいした違いはありません。お客様も、何を話していいのかわからないでしょうし、突っ込んだ情報を聞き出すことはできません。

 そこで、事前にお客様の状況をうかがうアセスメント・シートを用意しておくとか、伺うお客様の不具合や課題について、あらかじめ仮設を立て、それを確認しながら、状況をうかがうようにしてはどうでしょう。そうでもしなければ、単なる暇つぶしとお客様に受け取られかねません。 

 こういう時期だからこそ、徹底して既存のお客様を深堀する。そのきっかけとし、「保守やサーポート」を切り口としたアセスメントや健康診断を仕掛けてみるというのはいかがでしょうか?

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2009年1月25日日曜日

お客様にとってマイナスになる提案をしよう!

 先日、あるパーティで、品質管理の権威であるコンサルタントと話をする機会がありました。彼は、数日前に、中国・瀋陽から帰国したばかりとのことで、向こうの事情を伺うことがではきました。

 瀋陽は、中国東北部にあり、中国最大のソフトウェア会社「東軟グループ」の拠点があるところで、IT分野の人材育成にも力を入れています。そういう人材を頼りに、IBM、HPなど、米国のIT企業が進出し、中国でもIT産業のメッカとして、地域の産業を支えてきました。

 しかし、昨今の米国IT市場の急激な冷え込みを受けて、米国系企業の拠点縮小や撤退が相次ぎ、一時期の活気がすっかり消え失せてしまったとのことでした。
 ただ、まだ日本企業はそれほどではないそうで、雇用を維持しているとのことでした。現地の実感としては、日本は、アメリカほど冷え込んでいないとの印象だったそうです。

 そんな彼が、帰国して改めて感じたたことが、「不況」、「景気後退」などの言葉が、あまりにも日本のマスコミに氾濫していること。「マスコミが不況を煽っている」との印象を受けたそうです。
 
 この点については、以前、このブログでも指摘したことでもありますが、好不況とはメンタルな側面が多分にあります。経済的に余裕があっても、世間がこんなことだから、今は世の中に倣って財布のヒモを締めておかなくてはと考える個人や企業も少なくないと思います。そんなことが、実態以上に不況感を煽り、実需を冷え込ませるといった悪循環に陥っているようにも感じます。

 マスコミが、経済指標や人員削減、厳しい雇用状況を伝えることは必要です。ただそれだけではなく、もっと公平に、そして冷静に分析して、マスコミとしての責任を果たして頂きたいと思うのは、私だけではないでしょう。事実、私の知っている企業でも、不況と言われる世の中にあって、確実に業績を維持している企業も少なくありません。そういう現実やその背景などを探り、人に勇気や意欲をかき立てるのもマスコミの役目ではないでしょうか。

 今、マスコミ自身も、広告が集まらず、厳しい経営状況にあるようです。しかし、考えてみれば、マスコミ自身が不況を喧伝し、自分で自分の首を絞めているといった側面もあるのではないでしょうか。マスコミとしての良識と責任ある行動を期待したいと思うのですが、果たしてかれらにその力量があるのかどうか ・・・ はなはだ疑問ではあります。

 まあ、こんな愚痴を述べてみたところしかたがありません。オバマ大統領ではありませんが、IT営業としては、現実を受け止め、前向きに可能性を追求し、現状を打開する。まさに、「不況をチャンスに」変えてゆく精神が必要です。きっと、みなさんの会社の社長や上司から、そんな発破をかけられている方も少なくないでしょう。

 そういう話を聞いて、「気持ちは分かるが、じゃあどうすればいいのですか?」との言葉をグッとのみ込んでいる方もまた多いのではないでしょうか。

 その「どうすれば」について、ここで少し考えてみようと思います。

 やはり、これも同じパーティでの会話ですが、ある大手SIerのCRMやコールセンター・ビジネスを担当されている営業部長さんによると、「大幅な売上拡大とはなりのせんが、案件は増える兆しがあります。それは、コスト削減プロジェクトです。」とのことでした。
 具体的には、複数拠点に分散していたコール・センターの拠点統合を図り、電話、データを統合したIPネットワークで、インフラを再構築するとの案件が、増えてきているとのことです。その一方で、新たな機能やサービスの追加という話は、まったく止まっているそうです。

 これは、コール・センターに限ったことではないでしょう。生産現場、事務系バックオフィース、企業のネットワーク・インフラなど、様々な業務分野で、このようなモチベーションが働くものと考えられます。
 
 年初のブログ「今年は何を商売のネタにすればいいのだろう」で、「企業体質の強化」がキーワードでることを申し上げました。コールセンターの拠点統合などは、まさに「低コスト経営基盤の構築」であり、体質強化のもっともわかりやすいテーマと言えるでしょう。

 このような提案を行う上で、特に配慮すべきは、わかりやすさです。複数拠点の統合、サーバーの集約などのように、目的をコストを削減のみに絞り込むことです。新たな機能やサービスの追加を伴わない話に仕立てた方がこのご時世、大いに説得力がまします。補足的に、新しいシステムにすることで、将来景気が回復したとき、新規の機能追加や拡張が即応できる、そんな基盤作りにもなることを付け加える。しかし、そこについては、今はやりませんと、はっきり宣言すべきでしょう。

 また、「システム運用業務の委託コストを、一律20%削減することになったのでよろしく!でも、仕事の内容は今まで通りにお願いしますね。」とお客様に言われる営業さんも少なくないと聞きます。そういうときには、例えば、オンライン・ディスクを使用した自動バックアップや変更管理、監視の自動化やアウトソースを提案し、新たなビジネスを生み出すことも可能かもしれません。一律削減は、上位の命令ですから、これを覆すことはできません。ならば、新たな機能を追加することで、50%削減しましょうと提案できれば、ビジネス・チャンスは、確実にあなたの下に引き寄せられるはずです。

 お客様にしてみれば、サービス・レベルを落とさずに、コストを削減できればいいわけです。一方、私たち営業としては、そこに新たなプロジェクトが生まれ、仕事が受注できればいい。お客様の支払は、リースや月額サービス費用という形で繰り延べできます。結果として、月々のコスト、年額の経費が削減できれば、お客様としても満足なはずです。

 そう言うところに、ビジネス・チャンスを探してみては如何でしょう。

 マスコミ不況に惑わされることなく、お客様の業務の実態や経営の状況を冷静に見つめれば、お客様が、必要としているものが見えてきます。お客様の現状を冷静に分析し、機能やサービスをプラスするプロジェクトを提案するのではなく、機能やサービスはそのままに、コストをマイナスにするプロジェクトを提案する。それは、結果として、お客様にとっても、私たち営業にとっても、実は、プラスになるはずです。

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2009年1月24日土曜日

不感症の営業が増えている?

 お客様から、こんな電話がかかってきました。

 「斎藤さん、今日請求書が、送られてきたんだけど ・・・ 分割してほしいとお願いしたよね。一本にまとまっちゃってるよ。今日中に経理に持ってゆかなければ、間に合わないんだけど。直ぐに何とかしてくれないかなぁ ・・・」。

 お客様の声は、冷静です。と言うよりも、冷たさを感じます。営業の斎藤さんは、それに応えて、

 「山田課長、すみません。直ぐ対応しますが、FAXでなんとかなりませんか ・・・?」

 さて、あなたは、この対応をどう思いますか?

 お客様は、斎藤さんに何かを依頼しているわけではありません。クレームしているんです。そんなこともわからない不感症の営業が、増えていると聞きます。はやりの言葉で言えば、KY営業と言うべきでしょうか?

 山田課長は、明らかに怒り心頭です。大人ですから、冷静に対応しようとしています。「なんとかしてくれない!」は、依頼ではなく「なんとかしろよ!」と怒りをぶつけている。そんな相手の気持ちも分からずに、電話越しに「すいません」のひとこと。しかも、FAXですませようとしています。

 私が、山田課長なら、「斎藤さん、あんた何考えているんだ。自分のミスにも関わらず、自分の都合ですませようと言うわけですか(怒)」となるでしょうね。

 たぶん、斎藤さんは、以前から同じような応対をしていたのでしょう。普段、ちゃんとやっていたなら、山田課長も最初から「FAXで送ってくれればいいから」と救いの手をさしのべてくれていたかもしれません。

 先日、こんなことがありました。あるSIerの営業さんとその会社の社食で昼食を取っていると、その同期と思われる営業がやってきました。すると彼は、「やあ、田中(仮名)、久しぶり。どう、元気?」と話に割り込んで来るではありませんか。こちらは胸にゲスト・バッチをしています。彼のお客様かもしれません。そんな、相手を目の前にして、会話に踏み込んでくる気働きのなさにあきれてしまいました。田中さんも、まいったなぁという顔をしているのですが、かれは、お構いなしです。そこで私は、ちょっとお手洗いにと、席を立つことにしました。

 もどってくると、割り込んできた営業さんは、食堂の端に座って、何もなかったかのように食事をしていました。田中さんは、「斎藤さん、本当に申し訳ありませんでした。」と深々と頭を下げてくれました。私は、思わず「こいつ、やるじゃん」と心の中で拳を握りました。

 こんなこともありました。入社2年目の営業さんと私、それにちょっと気の弱そうなお客様ふたりの4人で昼食をしていました。その営業さんは、食事の最中でもありながら、自社製品やサービスのことなど、いろいろと話をしています。仕事熱心なことは、いいことですが、食事の最中には、どうかと思います。

 ただ、ここまではまだ許せるのですが、彼があまりに熱心に話をするものですから、彼の食事がなかなか終わりません。こちらは、もう食べ終わり、お茶などすすっているのに、まだ半分残っている。気の弱そうなお客様です。彼の話に相づちをうってはいるのですが、本音は、早く終わりにしてくれよ!でしょう。疲れた顔をしています。しかし、その営業さんの勢いは止まりません。私は、彼に、「それじゃあ、先に会議室に戻っているよ。連絡もしなければならないし。」と言いながら、お客様と一緒に席を立ちました。彼は、意表をつかれたように「はっ、はい ・・・」と応えて、再び食べ始めました。

 「斎藤さん、大丈夫、この見積書、ちゃんとうちの部長とも相談しておくから。」
 「吉田課長、私から部長に説明しておきましょうか?」
 「大丈夫、大丈夫、彼も忙しいし、時間を見つけてこっちでやっとくよ。」

 「ああよかった、これで今月末の受注は、問題なしだ:)」と喜んで営業課長に報告しているようでは、まだまだ未熟です。吉田課長は、ほんとうにやってくれる保証はありますか?もしかしたら、あなたがあまりにしつこいので、その状況を逃れたいと思った吉田課長が、こんな対応したと言うことは考えられないでしょうか?

 以前「お客様に騙されない」でも申し上げたことですが、表から見える状況だけを理解して判断すると思わぬ結果になりかねません。

 私も新人営業の頃、提案や見積も「完璧」にこなし、あとはお客様からの連絡を待つのみと思っていたのですが、ふたを開ければ、競合他社に決まっていたという苦い経験があります。

 後で分かったことですが、競合他社は、担当者ではなく、彼の上司である部長、その上の本部長にもアプローチし、担当者からの上申にストップをかけさせていたことが分かり、自分の甘さを痛感したことがあります。

 営業の不感症。これは、若手に多い症状です。中には、いい歳して、未だに不感症の営業はいます。想像力の欠如と申し上げてもいいかもしれません。お客様の立場に立つ、お客様の視点で、お客様の気持ちになって ・・・ そんな言葉が、むなしく響きます。

 経験を積ませることも大切ですが、それでは貴重なビジネス・チャンスを失うことや、いままでお客様と培った信頼関係を損ねることにもなりかねません。いずれ分かるだろうでは、被害が増すばかりです。

 やはり教育です。ここに上げたようなケースを示しながら指導する、あるいは、先輩や上司が、気がつけば直ぐ指摘する。それができるような部下との関係を築くこと、そして指導の方針をしっかりと持っておくことが必要ではないかと思います。

 あなたは、大丈夫ですか?あなたの部下が、不感症に感染してはいませんか?

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2009年1月23日金曜日

歩留まりを考慮したフォーキャスティング

  「10倍なんて、あり得ませんよ。理屈は分かりますが、そんなの非現実的ですよ。

 昨日のブログをご覧になって、そう感じられた方もいらっしゃるのでは、ないでしょうか。これについて、もう少し掘り下げてみようと思います。

 ギャップ・フィル・プランを目標値の10倍に設定すると、昨日のブログに書きましたが、もう少し正確に言えば、オポチュニティを予算に対して10倍持つべきということです。

 この前提には、「歩留まりを考慮したフォーキャスティング」という考え方があります。

 皆さんは、営業ですから、当然予算(ノルマ)をもたれていることと思います。その予算が、果たしてどの程度読めるかとなると、確度の高いものから数字を積み上げて、見通しを立てられると思います。

 しかし、案件は、どれも必ずしも同じ確度ではありません。今月確実に受注できるものもあれば、とりあえず話はあるようだが、予算も何も決まっていない。あるいは、火のないところにこれから仕掛けて、火をつけようなどと考えているものもあるはずです。

 それらの数字を同じに扱い、足し算してしまうと、まったくあてにならないフォーキャストの数字ができあがってしまいます。それをマネージャーが、鉛筆をなめながら、数字を調整する。そんなことを未だに続けられているとすれば、営業マネージャー失格(?)です。是非「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」にご参加して、鍛え直して下さい(笑)。

 ・・・ とまでは言いませんが、このようなやり方に合理的な根拠はありません。そこで、次のようにフォーキャストを考えるわけです。
  1. 各案件の進捗状況に応じ、どの段階にその案件があるかを決定する。
  2. 進捗段階に応じて歩留まり率を設定する
  3. 案件の金額と歩留まり率を掛け合わせた数字をフォーキャストの数字とする。
 例えば、お客様社内で、すでに契約事務手続きが進んでいて、一両日中に確実に受注出来る1000万円の案件であれば、歩留まり率:100%として、フォーキャストの数字は、1000万円とします。
 一方、話だけはあるが、まだどうなるか全く読めないオポチュニティ段階の案件については、歩留まり率:10%とし、その見通しが1000万円であれば、100万円としてフォーキャストを計上します。

 つまり、通常これを同列に扱い足し算すれば、1000万円+1000万円=2000万円となります。一方、歩留まりを考慮した場合は、1000万円+100万円=1100万円としてフォーキャストするという考え方です。

 こう考えたほうが、より現実的であるとともに、なによりも「なんとか数字を積み上げた感」を抱いて、そこに満足してしまい、営業が思考停止に陥らないためにも、この方法は大変有効です。

 ここで、課題となるのは、何を基準にして「進捗段階=歩留まり率」を決定するかと言うことになります。これは、研修にて詳細にわたり、ご説明するとともに進捗評価ツールをご提供していますが、簡単に申し上げれば、営業活動プロセスを木目細かく定義して、どの段階まで営業活動が進んだかを評価することが不可欠です。

 この点を曖昧にしておくと、せっかく歩留まり率を設定してフォーキャストの数字を作っても、精度を上げることはできません

 話を「10倍に設定する」に戻しますが、これはあくまでも私の経験則ですが、オポチュニティ段階にある案件は、それが最終的に成約に結びつくケースは、10%程度という前提があるからです。この判断基準については、研修でチェックリストをご提供していますが、いくつかの事項を確認することで、オポチュニティであるかどうかを判定します。

 つまり、ギャップ・フィル・プランという、「これから仕掛けて、数字を生みだそう」という段階、つまりオポチュニティ段階の案件な訳です。従って、10倍に設定しておかなければ、その数字に実効性を持たせることができないという考えに基づいています。

 このように、フォーキャストに際して、歩留まり率を考慮して考えると、虚構のフォーキャストに隠れた本当の姿が見えてきます。この真の姿を冷静に見つめてこそ、合理的な営業戦略やアクションプランが策定できるのです。

 虚構に惑わされては、行動を誤ります。そのためにも、歩留まりを考慮した真実のフォーキャストを受け入れる厳しさと冷静さが必要ではないでしょうか。

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2009年1月22日木曜日

10倍のギャップ・フィル・プランを設定する

 「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る」とは、井上靖の言葉です。

 営業ですから、売上が上がらないこともあります。目標どおりプロジェクトが進まないこともあります。そんなとき、つい不満を漏らすことは、誰にでもあることです。

 まあ、ここまでは、まだ許されることですが、「XX部長は、ほんとうに物分りが悪くて、こまったものです。」とか「メーカーの段取りが悪くて、間に合わなかったんですよ。」などと、お客様やパートナーに責任を転嫁し、どれほど自分が不満に思っているかを語る人が言いますが、そういう人には、いい加減頭にきます。

 お客様に理解していただけるような伝え方をしてこなかったことや自分の段取りが悪かったことを棚に上げて、仕方がなかったと言い訳をする姿は、本当に哀れです。「私には、営業としての品格が欠如しています」と自ら公言しているようなものです。

 一方、課題山積の事実を素直に認めつつも、「こうれば、解決できると考えています。」、あるいは、「こんな取り組みをしてみようと思います。そうすれば、きっとうまく行くと思います。」と、今後の取り組みに対して、常に希望を持って、計画を示してくる営業がいます。そういう人は、なんとしてでも応援して成功させてあげたいと思います。

 売り上げが上がらない、新規案件がなかなかまとまらない、新規顧客開拓が進まない ・・・。こんな時期だからこそ、私たちは、その現実に率直に向き合わなければなりません。そんなとき、一歩下がって、自分はどちらの言葉を語ろうとしているのかを問いかけてみては、どうでしょうか。

 不満を語ろうとしているならば、まだまだ努力が足りないということ。希望を語ろうとしているならば、目標達成に確実に近づいているということ。

 ものごとがうまく行かないとき、人は、何とかしなければと、あせる気持ちを抱かずにはいられません。そんな時はどうしても、わが身の不遇を嘆きたくなるものです。

 景気の悪さや要領を得ないお客様を担当した不運、できない上司を持ったことの不幸 ・・・。

 しかし、数字が上がり、業績がよく、順調なときは、こんなことは、瑣末なこととして、たいした不満もなかったはずです。

 人間は何とも都合のいいものです。だからこそ、今の自分の状態を客観的に見つめてみるためにも、どちらの言葉を語ろうとしているかを見直してみるというのも、時にはいいことかもしれません。

 ところで、営業である皆さんにとっては、今年のビジネスをどうして行こうかと、計画に頭を悩まされている方も多いのではないかと思います。

 当然、会社としては、達成目標を皆さんに提示し、既に予定されている売上金額の積み上げと目標とのギャップを埋めるための「ギャップ・フィル・プラン」を求められているはずです。

 ささやかな提案なのですが、そのギャップ・フィル(予定されている売り上げと達成目標の間を埋めること)すべき数字の10倍を達成するためには、どうすればいいかを考えてみては、いかがでしょうか。

 つまり、目の前にある、あるいは、ありそうな話を積み上げたところで、所詮は数字のつじつま合わせになってしまい、現実味などありません。

 余談ですが、以前お手伝いをさせていただいたあるSIerのベテラン営業の方が、

こんな数字なんか、所詮できないんだから、適当に数字を埋めるしかないでしょう。そもそも、こんなできもしない数字を設定すること自体、経営者の良識を疑いますよ。

と思いっきり不満全開でした。そんな話を聞きながら、彼の営業としての良識を疑ったことは、いうまでもありません。

 閑話休題。そこで、発想の転換です。どうせ現実味などないのなら、思い切って、大風呂敷を広げ、大きな視点で自分の仕事の進め方を見直してみるというのも、一つの方法ではないかと思うのです。これは、決して冗談で申し上げているつもりはありません。

 大きな視点でビジネスを考えると、今まで同じ仕事のやり方では、到底実現できません。新しい発想、新しい仕事の進め方、新しい商材を考えなければなりません。そこに自分だけではなく、SEさんやサポートの人たちの知恵を結集して、いろいろと議論し考えてみてはいかがでしょう。

 このブログでもたびたび話題にしていますが、「To Be(目標達成後の姿)を決めてから、To Do(目標達成のためのやり方)を考える」ということです。順番を逆にしてはいけません。

 まず到達点を決めることからはじめる。そこに至る手順は、いろいろあるし、状況が変われば、その手順や手段、つまりTo Doは、変わります。いや、むしろ臨機応変に変えるべきなんです。でも、To Beを変えることは、簡単にやってはいけないことです。

 そんな考え方で、10倍のギャップ・フィル・プランを考えてみてはいかがでしょうか。思わぬ商機が、みつかるかもしれませんよ。

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2009年1月21日水曜日

原点に立ち返り、ソリューション営業としての理想を追求する。

 “みぞうゆう”の不況。私は、長年IT営業に関わっていますが、これほどの厳しい状況は、過去に経験がありません。

 お客様それぞれに事情は異なりますが、たとえ経済的な余裕があったとしても、今は何もしないほうが無難という心理が働いているようです。

 「先行きの不透明感が原因」とマスコミや専門家と称する人たちは、喧伝しています。そんな人たちの言葉の絨毯爆撃が、世の中の「思考停止」を煽っている。そんな悪循環が、ますます景気を落ち込ませているようにも思います。

 先日、ある不動産会社の社長と話をする機会がありました。彼によると「今が、買い」だそうです。「株式にしろ、不動産にしろ、今はどん底です。景気は必ず回復します。だから今は積極的に買って、景気の回復を待つべき」と、積極的に不動産や株式へ投資をしているそうです。

 また、ランニング業界もますます盛んなようです。先日、大手スポーツ・ショップのマーケティング担当者と話をしたところ、冬場にもかかわらずスキーやスノボが、まったく振るわない。その一方で、ランニング・グッズの売り上げは伸び、売り場面積も増やしているとのこと。ちなみに、ランニング初心者が、最初の年に靴やウェア、サプリメントなどに支払う金額は、およそ18万円だそうでです。これ以外に、マラソン大会やそのための国内、海外のツアー料金などもあるので、その金額は、数十万円を越えるといわれています。

 私も、練習で皇居を走っていますが、ここのところ確かにランナーが増えています。ある人が、人数を数えてみたそうです。水曜日の夜7時ごろには、500~600人前後の人が同時に走っているとのこと。皇居一周が5kmなので、一列に並べれば、1メートルにも満たない間隔で人が並ぶほどの混雑ぶりです。ランニング・ビジネスは、旬の様相です。

 その一方で、スポーツジムが会員を集められない状況に苦しんでいます。入会金無料は当然のこととして、客単価を下げることになるので今まで手をつけてこなかった回数券を発行し敷居を下げるなどして、集客に躍起になっているとのことです。

 学習塾は、元気がいいようです。お父ちゃんのお小遣いは削っても、子供の教育費は、惜しまないということだともおもいますが、生徒が減ることもなく、安定した収益を確保しているとのこと。さらにこの不況で、大学卒の退職者も多く、優秀な教師を確保するために、積極的に採用を増やしているとのことです。

 IT業界にもちょっとした動きがあるかもしれません。それは、アメリカ企業の日本進出が、今後増えてくるのではないかということです。
 ある外資系ベンチャー企業の社長によると、アメリカは、日本以上に市場が冷えているのだそうです。少しでもビジネスを増やせるのならばと、今まで積極的に考えることのなかった日本進出を真剣に考えている企業が増えているらしいのです。彼らにしてみれば、純粋にプラス・アルファですから、失うものはありません。

 これは、やり方によっては、競合他社との差別化を図る有力な手段を手に入れられるかもしれません。まずはそんなところにも、アンテナを張っておくべきかもしれません。

 それ以外にも先日紹介させていただいたデータ・アーカイビング、友人が経営する携帯メルマガ配信ASPなど、好調な企業もすくなくありません。

 「不況」や「先行き不透明」という言葉で、多くの人たちが思考停止に陥っているなかで、個々の企業や業界、地域に目をやると、どれもが一律に同じ状況ではないことがわかります。確かに、全体の意欲が低迷しているとはいえ、この変化をチャンスと捕らえ、行動している人たちも少なくありません。

 不況という雲を空の上から眺めていても、雲の下の街や人々の動きをひとつひつ見ることはできません。

 私たち営業は、雲の下で、お客様と一緒になって考える機会を持つべきです。どうすれば、ネガティブなサイクルをポジティブな方向に向かわせることができるのか。お客様は、そんなソリューションを求めています。簡単なことではありませんが、お客様の先導役として、そのお手伝いをさせて頂くのが、ソリューション営業のあるべき姿だと思います。

 そんな皆さんの取り組みが、お客様の意欲につながり、プロジェクトの立上げを促し、お客様の成長や改革となるのならば、ビジネス・チャンスは、きっと訪れます。

 原点に立ち返り、ソリューション営業としての理想を追求する。そんな心構えが、必要な時代なのかもしれません。

■ 寄り道コラム ・・・・・

 オバマ大統領の就任式典をテレビで見ながら、アメリカの国力の源泉を垣間見たような気がします。

 就任演説を聴こうと集まった250万人の人々が、歓声をあげながら、彼のスピーチに応えています。

 「自分たちに何ができるかを考えなくてはならない」。こんなメッセージにも、まさにそのとおりとでも応えそうに、こぶしを上げる人たち。単純思考といってしまえば、そういうことかもしれないが、こんな無邪気な思い込みが、アメリカという国の力の源泉なのかもしれません。

 ショービジネスの国アメリカ、そんな国のマスコミの演出といった部分もあるだろうでしょうが、そういう演出をこころから楽しみ、これを機会に変革を遂げようという国民の意識があるからこそ、彼もまた自信に満ちたスピーチができるのでしょう。

 同じ様なことを日本の首相が話をしても、「そのまえに、自分のやることをやりたまえ」というようなしらけた反応が返ってくるのが落ちでしょう。なんとも情けない限りです。

 政治家個人の力量という問題もたしかにあります。国会という公の場で漢字のフリップを掲げて、「これ読めますか?」と一国の首相に質問をする良識のない国会議員。消費税改訂の期日を法律の附則に書くか書かないかといった瑣末なことで時間を費やす議員たち。

 そして、このような話題を国家の一大事のごとく書き立てるマスコミとそれを揶揄し、「だからだめなんだ」と他人事のように批評する人々。

 これを当たり前のごとく受け入れている私たち日本人の意識の低さに、改めて日本という国の非力さを感じてしまいます。 

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2009年1月20日火曜日

「必要」と「ほしい」について (2) 完

 必要だけど、欲しくない。必要ないけど、欲しい。

 このような心の葛藤は、誰にでもあるはずです。それは、お客様でも同じことで、必要であることに気付いたとしても、ほしいという気持ちになって頂かなければ、購入に結びつきません。

 「欲しいという気持ちは、個人的な感情の話。法人営業は、会社の意思決定を引き出せばいいのだから、あまり気にする必要がないのでは?」

 そんな、ご質問をいただきそうですが、はたして本当にそうでしょうか。

 よく考えてみてください。お客様が法人であっても、商品やサービスの購入を企図し、予算を申請し、社内を説得し、稟議書を書き、体制を整えるために人を動かすのは、誰でしょうか。それは、紛れもなく、「個人」です。会社の看板を背負い、会社のお財布を使って、会社のために「個人」が動いて、購入のためのプロセスをこなしてゆくわけです。

 たとえ会社にとって「必要」であることに、ある人が気付いたとしても、それを経営トップや関係部門の人たちも同様に「必要」であると考えてくれるでしょうか。
 もちろん、営業であるあなたは、そういう人たちにも「必要」を気付かせる取り組みをしなければなりませんが、結局は、「自分が責任を引き受けます」という社内の「個人」が、声を上げ、動き出さなければ、会社としての決裁にはいたりません。

 このように考えればお分かりのとおり、たとえ法人営業であったとしても、売り込む相手は、「個人」であり、彼がほしいという気持ちにならなければ、社内の手続きも進まず、購入には至りません。

 「ほしい」とは、個人的感性の問題です。

 たとえば、このシステムを導入すれば、自分の仕事が楽になるのであれば、ほしいと思うかもしれません。
 あるいは、あなたが既に経営トップを説得していて、システムの早期稼動を大いに期待しているとしましょう。そのプロジェクトの責任者であるシステム課長としては、迅速に手続きを進めれば、経営トップにも評価され、昇進の機会を得るかもしれないとすれば、ほしいという気持ちになるのではないでしょうか。

 ほかにも、新しいことにチャレンジすることが好きで、その欲求を満たされるような新しいテクノロジーを使ったシステムを導入できるという提案であれば、ほしいと思うかもしれません。また、自分がリーダーとして人を動かし、支配することができるとすれば、ぜひともこのプロジェクトを実行したいとおもうかもしれません。

 個人には、それぞれにいろいろな「ほしい」があります。研修の中では、それを「意思決定に影響を与える6つの個人的欲求」として、解説しています。

 これら個人的な欲求は、強さの違いはあるものの、誰もがいずれかを複数持っているものです。「彼は、どのような欲求を強く持っているのだろうか?」などと考えつつ、もしそれが、リーダーシップへの欲求であるとすれば、「このプロジェクトを進めるにあたって、XXX課長のリーダーシップが必要です。そのことについては、部長や社長にも、わたしからお伝えするつもりです。」とあなたが言えば、この課長は「ほしい」と思い、システム導入に向けて動いていただけるのではないでしょうか。

  「必要」は、理性的であり、社内を説得するための合理的な根拠です。同時に、その「必要」を支えとして、社内を説得し、成約に至らしめるのは、個人の意欲であり、「ほしい」という感性です。

 「必要」と「ほしい」は、車の両輪のようなものです。「必要」だけでは、人は動きません。一方、「ほしい」だけでも、社内を説得することはできないでしょう。

 「ロジカル営業」、「ロジカル・セリング・プロセス」など、ロジカル営業の勧めをよくききます。たしかに、ロジカル=合理的な根拠に基づく「必要」は、意思決定の根拠となるものです。しかし、それだけでは、最後の押しが利きません。「必要」ばかりにとらわれ、「ほしい」をないがしろにしていると、いけると思っていた案件が先延ばしされたり、停滞してしまうことや、競合他社に出し抜かれることにもなりかねません。

 景気が低迷する中、お客様の予算は削られ、プロジェクトは絞り込まれつつあります。そんな状況の中で、成約を手にするためには、「本当に必要なプロジェクト」という説得だけでは不十分です。お客様の「ほしい」に火をつけて、優先順位を上げさせるための努力も必要ではないでしょうか?

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2009年1月19日月曜日

「必要」と「ほしい」について (1)

 お客様は、「必要」だから購入するのではなく、「ほしい」から購入するのです。いくら「必要」なものだと理性ではわかっていても、「ほしい」という感性が、これに従わない限り、購入の意思決定には、結びつきません。

 「必要」とは、お客様の意識です。営業である私たちが、いくら「このお客様には、このシステムが必要」だと思っていても、お客様がそう思わなければ、お客様にとって「必要」のないものです。

 「なぜ、そんなことがわからないんだ・・・まったくどうかしているよ」とお客様の無理解を嘆いても仕方がありません。むしろ、「必要」を気付かせてあげることのできない、わが身の未熟を嘆くべきでしょう。

 では、どのようにすれば、「必要」に気付いていただけるのでしょうか。答えは、「危機感」を煽ることです。

 「これ、いいですよ!他社にはない、こんなすばらしい機能満載です。」などと製品やサービスの良さを伝えても、裏を返せば自分の自慢話に過ぎません。これでは、お客様に危機感など生まれようもありません。

 「御社では、このうな課題があるようですが、これを解決しなければ、・・・になりませんか?本当にこのままで大丈夫ですか?」と伝えること。そうやって、お客様は、自分たちの課題に気付き、このままではいけないのではないという危機意識を持つようになるのではないかと思うのです。

 「危機感を煽る」といっても、無節操に問題点をまくし立て、ありもしない課題を押しつけることではありません。相手の状況や現状を無視し、世の中の一般論、あるいは、売らんがための根拠のない危機感の喧伝をしてみたところで、そんなものは、すぐに相手に見透かされ、むしろその軽薄さに信用を失うことになります。

 そうならないためには、お客様自身やその業界の動向や課題、お客様の社内で聞いた話、経済や政治の情勢など、お客様を取り巻くいろいろな情報から自分なりにお客様の抱える課題について仮説を立てる。つまり、お客様にとって身近なこと、確かにそのとおりと感じていただけそうな課題を自分なりに考え、お客様にぶつける。それができないようでは、お客様の危機感を煽ることなどできないでしょう。

 100点満点である必要などありません。お客様について、真剣に考え。自分がお客様の社長になったつもりで、こんなことでは、大変なことになる。そんな思いやりに根ざした課題提起であれば、お客様も真剣に受けてとめてくれるはずです。これについては、「お客様について、とことん考える」でも、詳しく述べましたので、よろしければあわせてご覧ください。

 そうやって、お客様が、自身の「必要」に気付くきっかけを与え続ける。それが、ソリューション営業の大切な仕事です。

 こうして、お客様に「なるほど、必要だ」と気付いていだければ、あとは、それを「ほしい」と思っていだけるように、アプローチすることです。

 つづきは、また明日・・・

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2009年1月18日日曜日

無知と無策と無思慮のグランド・スラム

 日本の食糧自給率は、カロリー・ベースで40%。この数字は、先進国中最低で、同じ島国であるイギリスでも、72%もある。また、イタリア71%、ドイツ91%、お隣の韓国でも50%を越えている。穀物自給率で見れば、日本は僅か29%となっている。

 こんな現実を何とかしなければならないと「自給率アップ」が叫ばれているわけだが、どうもことの本質がすり替わっているようで、何か釈然としない。

 本来、「自給率アップ」は、結果であって目的ではないはずだ。コスト、品質、安全、そして、なんといってもおいしく、魅力的な商品であれば、人はそれを喜んで購入するはずだ。それを「食料安全保障」という大義名分の下に、高率関税や助成金などによって国内農業を保護し、消費者に無理矢理高いものを押しつけることで、自給率をアップさせようという施策は、いかがなものかと思う。

 そもそも、農作物は自然なものであり、その土地によって適不適があるのは、当たり前のこと。一律全ての農作物の自給率を上げようなどと考えることは、自然の摂理に反している。そんなことをしようとすれば、肥料や水、飼料などに余計なコストがかかり、コストパフォーマンスの悪い食料を生産することとなり、その付けは消費者が背負うことになるだけだ。

 ならば割り切って、日本の土地に適したものは、積極的に保護支援し、国内だけではなく海外への輸出も含めて生産を拡大する。例えば、米などは、海外でも評価が高いと聞く。こういうものは、大規模化や経営、生産の合理化を図り、輸出品とできるようにコストパフォーマンスを高める。結果として、国内価格も下がり、消費者の購入意欲も高まるはず。
 一方、トウモロコシや小麦などは、日本の土地に向いていないとすれば、ばっさりと切り捨ててもいいのではないか。

 美味しくて、妥当な価格であれば、購入する。高くても、それだけの価値があれば、購入する人もいる。そうでなければ、市場から淘汰されてゆく。

 得意不得意をグローバルな観点で分配すること。それは、保護することではなく、積極的に農作物の商品力を高め、市場の原理として、食糧自給率を高めてゆくという方法がないものだろうか。このように消費者の視点に立った積極的な施策を打ち出せる政治家や官僚はいないのだろうか?

 もうひとつ、引っかかるのが、食料自給率の問題と食の安全と安心を結びつける議論である。

 そもそも、安全と安心は、別物。安全とは、健康への被害なくすことである。このことは、国産、輸入を問わず、必要なこと。一方、安心とは、情緒的なものであって、イコール安全とはならない。例えば、「賞味期限=美味しく食べられる期間」が切れた食品を食べても「消費期限=この期間を過ぎれば食べてはいけないという期間」を切れていなければ、安全である。しかし、消費者は賞味期限が切れたことで安心を得られない。安全であるにもかかわらず、安心ではないので賞味機期限切れの食品は捨てられている。こんな日本人の過剰反応が、結果として、無駄な食品類の輸入を増やし、自給率低下につながっている側面もあるのでは無いかと思う。

 ちなみに、一般家庭で食べ残しとして捨てられている食物は、3.7%、結婚式の場合は、22.5%、宴会、15.2%、宿泊施設、12%、食堂・レストラン3.1%とのこと。それ以外にも規格外と言うことで出荷される前に大量の農作物が廃棄されていると言う。こんな現実と自給率の問題は、無縁ではないだろう。

 輸入品を国産品と偽る事件が後を絶たない。これは、日本人の安心に対する過剰反応が生み出した犯罪とも言える。「国産品は、安全である」。そんな神話がこんな事件の背景にはある。ほんとうにそういいきれるのか。はなはだ疑問だ。

 安全のために自給率を上げなければならないという議論。これは、どうもおかしな気がする。国産品だからと言って安全であるとの保証はない。一方、輸入品であっても安全なものはある。そのことと、安心という感性の問題が、同じレベルで議論されることには違和感を感じる。

 先日、江戸川区の小松菜農家のヒデくんに話を聞いた。まだ20歳台の専業農家。彼の作った小松菜を頂いたが、そのしゃきしゃき感にしっかりとした甘み。これが、小松菜の本当のおいしさなのかと感激した。彼曰く、「ちょっと、やればできることです」とのことだが、彼なりの苦労があるようだ。彼の言によれば、農薬は、他の農家の1/3とのこと。本当は、農薬を沢山使った方が楽に均一の作物を育てられるのだが、自分はそんなことはしたくないとキッパリ。同じ日本の農家でも、意識の違いは歴然としている。

 食事というのは、五味や五感の楽しみであり、安全だけではない。安心とは、彼のような努力を受け入れ、しかるべき対価を支払うのが当然とする感性の問題である。その当たり前を私たちが受け入れる一方で、そういう努力に対して、支援し育ててゆく施策が必要なのではないか。これは、安全とは違う次元の議論であろう。

 ヒデくんは、工夫をして美味しいものを作ろうとしている。彼曰く、「食べていだければ直ぐに分かりますよ」というが、まったくその通りだと思う。そんな努力を促し、魅力ある国産農産物を生産し、流通させる仕組みを作れないものだろうか。そうすれば、市場原理として、自給率は、高まるのではないか。

 国産品=安全=安心という等式が、前提であるかのように自給率の問題が議論されている世の中の論調を見るに付けて、マスコミの無知、政治家や官僚の無策、国民の無思慮のグランド・スラムを嘆かずにはいられない。

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2009年1月17日土曜日

聞こし食す国のまほろばぞ

 我がランニングの師匠である岩本氏が、プライベート・レッスンの生徒であるF氏ご夫妻のご招待で「肉」を食べに行くという。これは、年かさのものとして、供をするのがつとめと心得、同行することとした。

 というのも、我が師匠は、うまいものを食べて、御酒を召し上がると、ひとりでは家に帰れないという、どうにも困った御仁である。
 以前もF氏のお誘いで、小生共々、竜宮城で修行をしてきたのではないかという職人さんの絶品の鮨をごちそうになったのだが、我が師匠は、大丈夫だからと始発駅の光が丘から大江戸線に乗ったはいいが、そのまま3往復して、再び始発駅に戻り、終電ですから降りてくださいと駅員に言われるほどの御仁である。

 再び、こんな目に遭わしてはいけないという責任感を胸に、F氏の車に乗り込んだ。

 都内某所の住宅街。「ここですよ」というF氏。なんとも場違いなところに「焼き肉屋」があるものだなあと思いながらも車を降りた。

 そこは、どう見ても「焼き肉屋」にはみえない。居酒屋とでも言うか、小料理屋とでも言うか、そんなたたずまいである。
 そもそも、あの焼き肉の焼ける匂いがまったくしないではないか。これは、どういうことなのか。この状況をたとえて言えば、ファミレスでランチをとるつもりで自動ドアを開けたら、和服姿の3人の女中さんが、三つ指をついて「おいでやす」というようなもので、なんとも心地よく、そして意表をつかれた感じである。

 しずしずと引き戸を開ける。それでも焼き肉の匂いも煙もない。これは、いったい・・・

 さほど広くはない店内だが、既に満席状態。予約されていた席に着くと、F氏の奥さまが、「ここ、とても美味しいお肉のお刺身をいただけるんですよ」とのこと。なに?肉の刺身とな・・・?

 おぼっちゃまとして育てられた小生であるが、子供の頃から、肉はよく焼いて食べなければダメだと言い聞かされてきました。それが文明人であり、世の中の常識と心得てきた私にとっては、驚天動地である。
 だいたい、「肉」と言えば、92.8%の日本人が、「焼き肉」を思い浮かべるという(NHKの世論調査)。そんな普通の日本人に属する小生、常識などというものが、なんと危ういものかという厳しい現実を見せつけられ、軽いめまいを感じた。

 生中で喉を潤し、ひとしきりの歓談を楽しんでいると、「刺し盛り」が運ばれてきた。なんとそこには、ハラミ、ガツ、レバー、ミノなどが生のまま盛られているではないか。本当にこんなものを食べられるのだろうかと思いながらも、気が付けばレバ刺しをつまんでいる自分・・・。ああ、こんな年になっても、礼節をわきまえない我が身の愚かさに一瞬たじろぐも、レバーは、既にニンニク醤油に浸っている。いけない、いけないという前頭葉の制止も聞かず、脳幹の本能中枢が、箸を口に運んでゆく。

 「美味」それ以外の言葉が思い浮かばない。臭みなどまったくなく、まろやかでクリーミーなうまみが口の中に広がる。「ありがとう」と心の中で叫んだのもつかの間、箸は既にハラミをつまみ上げていた。

 F氏曰く「これ、そんなに高くないんですよ。ほら・・・」とメニューを示された。こっこれは・・・!世間で頂く刺身の盛り合わせなどよりもはるかに安い。その瞬間、いままで機能していた「遠慮のヒューズ」が、バッチと大きな音を立てて切れてしまった。あとはもう、肉食獣と化す我が身を止めることなどだれにもできない。

 ひとしきり、刺し盛りを堪能したころ、今度はなんと牛タンの刺身が運ばれてきた。牛タンとは、さっと焼いてレモン塩で頂くのか常識と心得ていた日本人の小生にとっては、左の頬を思いっきり張られた思いである。既に刺し盛りで右の頬は差し出している。ええぃ!どうにでもしあがれ!と完全に開き直った。
 
 我が師匠曰く「牛とのディープ・キッスですね。」なかなか、うまいことを言う。

 こんなものを頂いていいのだろうか。逡巡する心を打ち消すように、ランニング練習でよく行く神奈川県の大野山牧場で、牧草を食べるホルスタインの姿が、大脳視覚中枢に浮かび上がる。

 長い舌を器用に使い、牧草を口の中へ運ぶ牛たちの姿。こんなものを食べていいのだろうかと左脳の理性中枢が語りかけるも、「美味しいですよ~!」という右脳にそそのかされ、気が付けば、箸は既にわさび醤油を目指していた。

 ああ、なんという堕落。理性と感性の相克に心を痛めながら、ふと目の前を見ると皿はきれいになっている。「また再び大野山牧場へ行ったときには、有り難うと手を合わせよう」と心の中で誓った。

 そんなときである。「ちょっと、カロリー取りすぎじゃないの?」という、理性の声だろうか、はたまた、目の前にいる師匠の声であろうか・・・我に返ると、スープに浸る牛テールをフォークとナイフで削っている我が身に気付く。
 しかし、一旦手を付けた仕事を途中で投げ出すなど男のすることではない。最後まで、身をほぐし、口に運び、責任を果たす。予は、満足である。

 我が師匠、幸いにも酩酊することなく、僅かばかりではあるが、理性を維持している。そろそろ潮時か。

 美味しい肉と御酒を堪能し、F氏ご夫妻に心より感謝しつつ、その店を辞去した。

 「聞こし食す国のまほろばぞ」。そんな万葉の詩歌を思い浮かべつつ、明日は、食べた分ランニングしなければと決意を新たにする小生であった。

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2009年1月16日金曜日

営業が解決すべき2つの課題

 「斎藤ちゃん、わかった!話は、とおしておくから。まかせといて。」

 お客様にこんなことを言われて、「あー、よかった。これで一安心(ホッ)」と思うようであれば、あなたは営業失格です。この“ちゃん”がもっともあやしい。

 まず、当人は、真剣にやるきないですね。まあ、百歩譲って、やってくれるとしても、決して優先順位は高くない。そう考えるのが自然です。

 お客様と親しくなること。お酒も飲んで、馬鹿なことも言い合える間柄になることは、悪いことではありません。だからといって、それで仕事がこちらの思惑通り進むかと言えば、世の中そんなに甘くはありません。

 考えても見て下さい。お客様は、システムを導入するのに自分のお財布で買うわけありません。たとえ担当者が、その気になってくれても、

なぜ必要なのか、どれだけの効果があるのか、なぜこの製品が妥当なのか、なぜ今なのか、なぜあなたの会社なのか・・・

を説明しなければなりません。

 しかも、上司の顔色、会社の業績、事業方針などなど、意思決定には、さまざまな要因が絡みます。場合によって、ライバル関係にある他部門から横槍が入るかもしれません。

 そういうさまざまな課題を乗り越えて、初めて意思決定に至る。みなさんは、今売り込もうとしているものが、どのような課題をクリアし、どのような意思決定のプロセスを経て、稟議決済に至るのか・・・そのことを正しく理解しているでしょうか。

 ものによっても違うでしょう。金額によっても違うでしょう。皆さんが売り込もうとしているもの、それぞれについて、稟議決済にいたるまでの課題やプロセスが異なります。

 皆さんも、営業活動とは、「お客様の課題を解決すること」であるということは、もう十分にご承知のことと思います。しかし、もうひとつの課題、つまり「意思決定にいたるまでの課題を解決すること」に手を抜いてはいないでしょうか?

 皆さんの窓口となっていただいている方が、たとえOKを出しても、本当にそれを鵜呑みにしていいのでしょうか?
  • その方は、どれだけ社内において、決定権を握っていらっしゃるのでしょうか?
  • その方もいろいろと仕事を抱えているはずです。皆さんの売り込んだものを決済するためにどれだけの時間を割いてくれるのでしょうか?
  • 営業の売込みがうるさいので、とりあえず見積もりを受け取っただけなのではありませんか?
  • 単なる興味本位で、話を聞き、見積もりを受け取っただけということはありませんか?
  • 競合他社に既に決まっていて、相見積もりのために皆さんに見積もりを依頼したのではありませんか?
  • ・・・
 想像は、膨らむばかりです。皆さんは、そのことにちゃんと答えられるだけの裏づけをとっているでしょうか?
  • いままで、話が順調に進んでいたのに、突然話がすすまなくなった。
  • いままで、こちらの質問にすぐに答えてくれたのに、最近は催促しても返事が来ない。
  • いままで、頼めば、社内のキーパーソンを紹介してくれたのに、最近はいつも先延ばしされる。
 こんなことにはなっていませんか?きっと何か理由があるはずです。

 お客様との信頼関係を築くことは、大切なことです。しかし、個人とビジネスの関係は、別の話。そのあたりの想像力を持ち、「意思決定にいたるまでの課題を解決」に目を向けて、それを解決できなければ、せっかく「お客様の課題を解決」できるすばらしい提案が出来上がっても、お客様に受け入れられる保証はありません。

 実は、ここが一番大変なところです。「お客様の課題を解決する」だけではなく、「意思決定に至る課題を解決する」ことができない営業は、○*▼※(自分で言葉を当てはめて下さい)ですよ。

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2009年1月15日木曜日

ブルーシフト サービス商品のひとつの形

 昨日、ブルーシフト(BlueShift)という会社を訪問した。この会社は、ふたりのアメリカ人作った会社で、米国の企業が、日本で商品販売するための仲介や立ち上げを支援することや、一次代理店として販売チャネルに製品の提供やテクニカル・サポートを提供している。

 また、もうひとつの仕事の柱として、中堅・中小企業(SMB)を対象としたデータのオンライン・バックアップやアーカイビング・サービスを提供しており、これがこの不況にもかかわらず売り上げを伸ばしているということだった。
 
 なるほど、考えてみれば、バックアップやアーカイビングされるデータは、増えることはあっても減るこてとはない。不況になっても影響を受けることは少ないのもうなづける。しかも、SMBが対象となれば、データ量もさほど多くはなく、ネットワークを介してもさほど問題にはならないという。今までテープ保管していた企業にとって見れば、その管理、運用のためのコストや保管スペースを削減できるメリットは大きく、需要は伸びているとのことだ。

 ストレージコストは、今後も下がり続けるだろう。そうすれば、顧客数の拡大に伴うスケールメリットとの相乗効果によりサービス提供のための原価も低減できる。なかなか、うまいビジネス・モデルだと感心した。

 今後、ますます企業の「体質強化」を志向する動きが拡大する状況を考えれば、情報資産の保全もひとつのテーマになることは間違えない。しかも、同じ場所ではなく別の場所にデータを保管するというのは、リスク分散の鉄則である。そんな狙いが当たったのだろう、関東だけではなく関西のお客様からの依頼も増えつつあるとのこと。

 もうひとつ注目したのは、このサービスに暗号化を組み合わせているところだ。彼らは、暗号化のためのアプライアンスを取り扱っているが、それを組み合わせることで、暗号化されたデータで、転送や保存をしている。これならば、データの盗難や盗聴のリスクは回避できる。

 お客様の運用の手間やコストを削減し、しかも暗号化によって安全も担保する。かれらは、このサービスをSaaS (Storage as a Service) と呼んでいるが、なるほどうまい名前をつけたものだと思う。

 このサービスには、小さな会社であるが故の知恵と工夫がある。単にアプライアンス製品を販売するのではなく、お客様の便宜を視点に、製品とサービスを組み合わせ、独自の開発も織り交ぜながら、このサービスを提供している。

 オンライン・バックアップやアーカイビングだけならほかにもある。しかし、暗号化機能を加え、特別なバックアップ・システムを使用せず標準のバックアップ機能に対応するなど、かれらなりの工夫があり、独自のサービス商品に仕上げている。

 ストック・ビジネスへのシフトについては、このブログで何度も書いているが、このブルーシフトのサービスもそんな時代の流れに乗った好例といえるだろう。

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2009年1月14日水曜日

お客様について、とことん考えると言うこと

  「開発者の半数が12カ月以内にSaaS利用を予定」という記事を見つけました。先日、「ストックビジネスの時代へ加速する」とのテーマで記事を書かせて頂きましたが、まさに大きなトレンドになりそうですね。

 こんな記事も見つけました。「景気悪化、改革の好機に 中小、課題洗い出しに知恵」。景気悪化の中で、自社の課題や弱点を洗い出し、企業体質を強化するための取り組みが広がってきたとの内容です。
 「体質強化」への取り組みが、今年は進むであろうことは、先日のブログでも紹介致しました。そのようなお客様の取り組みに対して、ITのプロとして、どのようなサポートができるのでしょうか。これをとことん考え、お客様にぶつけ、お客様と一緒になって解決策を探る。それが、ソリューション営業の仕事です。

 では、どうすれば「とことん考える」ことができるのでしょうか?

 当たり前のことではありますが、お客様に「何か課題はありませんか?」、「どのようなことでお困りですか?」と聞いてみても、「実は・・・」と、話をして頂けることなど、まずありません。

 「御社では、このような課題をお持ちではありませんか?」とこちらから、できるだけ具体的に提示して、はじめて、「それについては・・・」と話のきっかけを掴むことができます。

 その最初の話題について、予め用意しておくことが大切です。そのためには、お客様やお客様の業界、取引先、経済情勢、お客様の競合他社の動きなどをネットや雑誌、新聞などで集め、自分なりに整理して、仮説を立てることが大切です。それが、ズバリのものではなくても、それがお客様の考えていたことに少しでも触れるようであれば、あるいは、「そういえば・・・」とお客様の気付きを促すことができるのであれば、それはお客様の課題を探るきっかけとなります。

 初めてのお客様を訪問するに当たって、その会社の情報をホームページを調べてゆくことは、まずは最低限の常識です。しかし、それで終わりにするのではなく、このお客様に関わる周辺の情報を集めること、そして、その情報に基づいて、自分なりに仮説を立てること。そこまでできて、はじめてまともにお客様と会話ができると考えておくべきでしょう。

 「はじめてのお客様へ伺っても、なかなか次につなげられない」。そんな話をよく聞きます。それは、お客様が、営業であるみなさんを必要としなかったからです。だから、そんな相手に自分たちの恥部である問題や悩みを打ち明けようなどと思うはずがありません。すこしきつい言い方かもしれませんが、そう思うべきです。

 必要とされるためには、まず相手を理解し、想像力を働かせ、相手の幸せを願い、こんな課題かあるなら、なんとしてでも解決してあげたい。そんな、一途な思いこみが、まずは必要なのだと思います。まあ、恋愛と一緒ですね。片思いでも相手に惚れることです。

  それができれば、お客様の反応も変わるはずです。きっと、いろいろと話をしてくれるでしょう。それに共感できれば、一緒に考え、意見を交換し合う気持ちにもなる。そこまでできれば、必ず次につながります。

 これは、決して新規のお客様に限った話ではありません。既に取引のあるお客様にも、同じ思いと取り組みが大切です。
 
 とことん考えるとは、お客様に関わる情報を徹底的に収集し、自分なり仮説を組み立てることです。なかなかビジネス・チャンスが見いだせないとお悩みであれば、まずはそんな取り組みからはじめられては如何でしょうか?

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2009年1月13日火曜日

「お客様を深掘りする」ための武器 APS

 「お客様を深掘りする」とは、どういうことでしょうか。

 比較的規模の大きなお客様の場合、自社のシステム構築や運用を一社に任せているところは少ないのではないかと思います。場合によっては、業務内容や事業所、ネットワークやサーバーなど、複数のベンダーで役割が分かれている場合も少なくありません。

 このような場合、部門や業務内容によっては、伝わってこない話もあるはずです。そこで、自社の担当であるかどうかの垣根を越えて、あるいは、お客様の今の窓口にこだわらず、お客様の中の課題や案件を積極的に、広く探り出すことを「お客様を深掘りする」ということです。

 見方を変えれば、お客様の中の自社シェアを拡大してゆくための取り組みです。

 何度も申し上げているとおり、お客様は、コスト削減、新規プロジェクトの中止や延期など、新たな予算確保には慎重です。となれば、限られた予算の中で、自社のシェアを高めてゆかなければ、生き残るすべはありません。これは、競合他社も同じことで、彼らもまた「お客様の深掘り」を積極的に進めてくるものと想定し、これからの営業展開を考えなくてはなりません。

 このような時にまず必要なことは、お客様についての冷静な分析と評価です。意外と分かっているようで、お客様の置かれている状況や課題、経営課題や強み弱み、組織や意志決定プロセス、プロジェクトの進行状況や競合他社の取り組みなど、断片的な情報として捉えていても、整理されていないのではありませんか。

 ただ闇雲に走り回るのではなく、目的を持ってお客様を訪問し、情報を収集し、狙いを定めて仕掛ける。競合他社に対して、優位を確立するためには、そんな冷静な取り組みが必要になります

 このように「お客様を深掘りする」ための武器となるのが、APS(Account Planning Sesion)です。APSは、お客様を深掘りするための作戦計画を策定するための手法です。営業だけではなく、SEやサポート部門、マネージメントが一堂に会し、特定のお客様について徹底的に分析し、議論します。

 来週予定している「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座[管理者コース]」でも、実際の書式と共に、その実施方法を詳しく取り上げる予定ですので、ご興味があれば、是非ご参加ください。

 黙っていても売上が上がる時代ではありません。むしろ予算全体が削減の中で、このままでは当然自社の取り分は目減りします。それを阻止するためには、勝つためのシナリオを固めて積極的に攻めるしか道はありません。

 APSは、「お客様を深掘りする」ための武器として、お役に立つのではないかと思います。 

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2009年1月12日月曜日

お客様の「体質強化」を支援する道具 CPS

 CPS(Customer Planning Session)をご存じだろうか。

 1970年代、お客様の情報システム・プロジェクトの構想、計画立案を効率よく行うためのプランニング手法として、開発されたものである。

 この手法は、現状の課題を効率よく洗い出し、参加者全員の合意の下に解決策を決めてゆくもので、お客様の「体質強化」のための計画を立案するには、効果的かつ効率のいい手段となる

 CPSは、プロジェクトに関わる関係者が一堂に会し、会議を主導するセッションリーダーが、議事進行役となり議論を進めてゆく。
 ここに参加するメンバーは、必ずしもシステム部門だけではない。業務に関わるリーダーや経営者など、意志決定に関わる実質的責任者が、多くても10名程度参加し、全員が平等に発言の機会を与えられる形で議論が進められる。
 
 議論は、フリーディスカッションならぬ、コントロールドディスカッションで進められる。例えば、「ひとつの発言では、ひとつのテーマに集中すること」、「役職の上下に関係なく、平等な立場で発言すること」、「対案がなければ、賛成されたことと見なす」などルールがあり、セッションリーダーが指名しなければ、発言できない。

 討議は、業務に関わる課題の洗い出し、原因の明確化、解決策の提示、実行計画の策定へと段階を追って進めてゆくが、解決策の決定に当たっては、参加者全員の合意を前提とする。その時、ただなんとなくの反対は許されない。「対案がなければ、賛成されたことと見なす」の原則に基づき、議論が進められるため、確実に合意を積み上がる仕組みとなっている。

 テーマに制約はない。ネットワーク運用効率化、生産管理業務の合理化、ECビジネスの業務コスト削減など、様々である。

 CPSを行った多くの企業が共通してあげる評価のひとつとして、「部門間の風通しが良くなった」というものがある。以前、ある中堅の電子部品メーカーで、CPSを行ったところ、生産計画の大日程、中日程、小日程が、購買部門と工程管理部門で微妙にずれていたことがわかった。お粗末な話と思われるかもしれないが、長年の業務慣行の中で、それぞれに最適化が行われ、このような思惑のずれは、少なからずある。

 合理化や業務改善は、部門の壁を越えた全体最適が進まなければ、その効果に限界があることは、誰もが承知していることである。しかし、その壁をなかなか破ることができない。これは、トップ経営者も同じことで、現場の混乱や反発を避けたいと言う心理がどうしても働いてしまうからだ。また、社内の人間の発言やイニシアティブは、利害関係もあって、なかなか進めにくい。このような状況を打開するには、第三者をうまく利用するという手がある。そのひとつが、CPSである。

 CPS成功の鍵は、お客様に実力のあプロモーターあるいは、スポンサーが存在することだ。社長あるいは、トップ経営者が、その役割を果たすのが最も効果的だろう。

 営業として、「企業体質」強化をテーマとしたプロジェクトを探り出し、ビジネス・チャンスを掴むために、CPSをお客様に仕掛けてゆくには、今が絶好のチャンスかもしれない。

 この時期、大きなプロジェクトが延期され、お客様は、ある意味「ヒマ」なばずだ。その一方で、合理化や業務改善によるコスト削減やスピードアップが、トップから現場に強く求められているはずでする。こんな時にこそ、第三者であるみなさんが、お客様のスポンサーにCPSを持ちかければ、渡りに船と言うことで、話を聞いてもらえるのではないだろうか。

 営業としてお客様の課題を深掘りし、イニシァティブ確保し、囲い込む。そのためには、またとないチャンスといえるだろう。

 CPSのセッションリーダーには、それなりのスキルや経験を必要とする。しかし、さほど特別なものではない。ご興味があれば、お気軽に御相談頂きたい。

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2009年1月11日日曜日

営業の品格

 「システム構成と費用に関し、提案をまとめていただけませんか?」

 ある製造業のIT部門長A氏に頼まれて、CADシステムを扱うベンダーの営業にそんなお願いをした。このベンダーの親会社が、私が依頼を受けた製造業のお客様であるということもあり、まずはここに話をしてくれとのことであった。

 A氏は、事務方で、生産管理や購買などは分かるが、エンジニアリング系には疎いとのこと。たまたま、私がIBM営業時代、エンジニアリング系システムの販売もしていたので、システム構成や社内への展開方法について相談され、手伝うことになった。

 早速、このベンダーの担当営業に、業務の内容を一通り話し、提案を依頼した。

 一週間ほどして、担当営業が提案と称して、説明にやってきた。彼は、「XXX様 御中/XXXシステムのご提案」と表紙に書かれた資料を差し出した。表紙を見て、「あっ、これは・・・」と不吉な予感が・・・。宛先とタイトルの文字フォントが違うのである。

 私は、その資料の表紙をめくり唖然とした。まさに予感は的中した。そして、彼は蕩々と説明を始めたのである。

 彼がまず最初に説明したのは、「見積書のようなもの」である。なぜ「ようなもの」かといえば、彼が提示した資料は、必要と思われる構成と費用をエクセルで計算したのだろうが、罫線さえなく、ワークシートをそのまま印刷されたものだったからである。しかも、よく見ると文字フォントがソフトウェアとハードウェアで違っている。どうも、ソースの違う元データをコピーしてきて、そのまま貼り付けたためにそんなことになったのだろう。しかも、プログラム・モジュールやハードウェアの各フィーチャーの英語名称が、エクセルのフィールドの幅が足りなかったためか、途中でとぎれている。

 資料の解りにくさもさることながら、見た目の汚さに驚くと共に、よくもこんな資料を平気でお客様に説明できるものだと、その無神経さに腹が立った。また、そもそも、なぜ最初にシステム構成や見積もりの説明を始めるのだろうか。その感覚も非常識きわまりない。

 「申し訳ありませんが、システムの機能や運用のフローについて、まずはご説明いただけないでしょうか?」

 心を落ち着け、大人として振る舞った。彼は、はっ?とした顔で、話を途中で遮られたことに不満の表情を一瞬浮かべつつもページをめくった。

 次もまた、驚くべき資料だった。メーカーが用意した資料なのだろう、各モジュールの説明が書かれているのだが、今回の構成に入れていないモジュールの説明まで書かれている。しかも業務フローについては、標準的な資料そのままで、こちらが説明した言葉や業務内容について一切ふれていない。しかも、ハードウェアについては、これもまた別の資料なのだろう、フォントもタイトルの付け方も前のページと全く違う。また、所々に差し込まれた、お客様の設置場所の名称もまた本文とは違うフォントをつかっている。何も考えず、資料を使い回していることは、明らかだ。

 「先日、やりたいことを説明させて頂きましたが、各モジュールとどのように対応しているのでしょうか?これでは、なぜそれぞれのモジュールが必要なのかよくわからないのですが・・・」

 彼曰く、それは、各モジュールの機能説明を見れば、どう対応しているかは、解るはずだという。なぜそんなことも解らないのかと言わんばかりだ。後日、別のベンダーに改めて提案を求めたのは、言うまでもない。

 これはもう、営業スキル以前の話である。営業の品格の問題である

 聞くところによると、この営業さんは、以前そのベンダーの親会社の技術部門で、CADの運用を担当していたそうである。最近この会社の営業になったばかりとのことで、確かに、説明も不慣れで、たどたどしさは感じたが、だからといっていってこんな仕事をしていいはずがない。

 そもそも、彼の上司は何をしていたのだろうか。不慣れなら不慣れなりに、彼をサポートし、資料確認してしかるべきだろうと思うのだが、そんな当たり前のことさえ出来ていない。これはもう、彼個人の問題と言うよりも、会社としての品格の問題と考えざるを得ない。

 「魅力的な提案書の作り方」研修で、受講者から「自分は、絵心が無くて・・・」、「美的なセンスがないんですよ・・・」というような話をされる方がいる。

 確かに美的センスは、あった方がいいに決まっているが、それはあまり本質的な問題ではない。資料を見る相手にとって、解りやすく、確実に意図が通じるかどうかの心配りさえ出来てれば、自然と資料というものは、整然としたものになる。それに多少のテクニックが加われば、ますます魅力的な資料になる。

 大切なことは、相手への思いやりであり、想像力だろう。自分が、お客様であったとすれば、何が聞きたいのと思うだろうか。どういう資料であれば解りやすいのだろう。どうすれば、見積金額の妥当性が判断できるのだろう。そんな当たり前を想像することが、基本だろうと思う。これは、なにも営業であるかどうかの問題ではない。仕事人としての常識だと思う。

 資料を使い回すことも効率を考えれば、とがめられるべきことではない。しかし、前後の整合性やお客様にあわせて、取捨選択して使うべきは当然のことである。また、フォントを揃えるなどと言うことは、テクニックの部類であり、中身さえ良ければ、まだ許せる範疇だ。しかし、こちらが聞きたいことを伝えようとせず、解らないのはあんたの勉強不足だといわんばかりの不遜な態度こそ、営業の品格の欠如である。

 ところで、このシステム・ベンダーは、ある大手自動車メーカーからの売上げに大半を頼っていた。しかし、この不況で新規受注がストップし、相当苦労されているとのことである。 
 一方、私のお手伝いさせていただいた製造業であるが、小さいながらも特別なノウハウを持ち、一時期ほどの急激な伸びはないものの確実に売上げをのばしている。それに併せて、CADシステムもどんどん増設し、開発力のいっそうの強化に努めている。

 最終的に2番目に提案してくれたベンダーを採用したのだが、かれらは景気好調の折に、物品だけではなく、ストック・サービスも確実に増やし、厳しいながらも売上げを維持しているとのことである。

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2009年1月10日土曜日

「体質強化」 ふたつの取り組み

  「最近、暇なんですよ。遊びに行ってもいいですか?」

 SCM(Supply Chain Management)システムのプロマネをしている友人から、そんなメッセージが届き、オフィースを訪ねてきた。聞くと、予定していたプロジェクトが延期となり、改めて来下期に費用対効果を含め、実施するか否かを再考することになったとのこと。

 「おかげで、アメリカまで勉強に行かされることになりました。最新の製品や技術についてみっちり勉強してこいと言うことで・・・」

 なるほどと感心した。

 SCMともなれば、売り込みには一年やそこらはかかるのが普通だ。あわてても仕方がない。ならば、今はしっかりと知恵を蓄え、次の好機を逃さないための準備をする。スペシャリストの育成、マーケティング・ツールの整備など、武器を揃える。きわめてまっとうな戦略だと思う。

 不景気がいつまでも続くわけではない。だからこそ、今そのための備えをする。昨日、「ストック・ビジネスが加速する」という話題にふれたが、具体的な備えをするのは、まさにこの時期かも知れない。

 過去の歴史を振り返れば、不景気の後に全く同じ市場が戻ってくることはない。不況下において進むであろう「体質強化」の取り組みが、企業の意志決定の基準を変えてゆくはずである。これをどう読みとり、今どのような備えをすればいいのか。ビジネスの明暗を分けることになるだろう。

 営業力の強化に向けた取り組みも、そんな新たな時代への備えといえるだろう。ブログに掲載した「営業力の科学」でも申し上げたことだが、営業力の強化は、個人と組織の両面から取り組まなければならない

 個人の力量やセンス、自助努力にのみ求める時代は、もう過去の話だ。「仕事がないなら、とにかくお客様のところへでも行って、なんでもいいから仕事を見つけてこい!」。そんな精神論だけでは、これからのお客様の期待に応えることも、越えることも出来ない。

 組織力として、そして、サイエンスとして、営業力をとらえなければ、これからのITビジネスで生き残ってゆくことなどできない。

 商品のアドバンテージではなく、お客さまの享受する価値で競い合う時代こんな時代に営業に求められるのは、商品知識の豊富さや優れた価格交渉力などではない。お客さまの課題を整理し、個々のお客さまにとって最適な商品やサービスの組み合わせを創り出す力。そして、それを分かりやすく説明し、説得できる能力である。

 こような営業の力を育て、活かしてゆくためのマネージメントの仕組みを確立することや、時間のかかる営業活動プロセスを管理するための取り組みが、これからのIT企業に求められている。

 営業個人や営業部門もまた、「体質強化」への取り組みが求められている。

 「今どんな商材が売れるのか?」を追求することも必要なことだ。しかし、いくらそれを考えても、いくらそれがすばらしいものであっても、お客様は、「今は新しいものに手を出したく」ないという心理的なドライブがかかっているので、なかなか決定打とはならないだろう。だからこそ、今は、「なに」を売るかではなく、「なぜ」売るのか、「どのように」売るのかを追求する、そしてそのための基盤を築く取り組みにもっと関心を払ってもいいのではないかと思う。

 商品力の強化ではない。営業力を強化すること。つまり、営業個人と営業組織の「体質強化」への取り組みである。

 今私が取り組んでいる「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」や「ソリューション営業プロセス定着支援サービス」は、そんな御社の営業「体質強化」にお手伝いできるものと自負している。

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2009年1月9日金曜日

ストック・ビジネスの時代へ加速する

 「今は、何でも有りです。何が起きてもおどろきませんね。」

 昨日、ご挨拶に伺ったSIerの営業担当役員の言葉です。彼によると、時間を掛けて仕込んできた官庁の入札案件。競争にはならずに確実に取れると考えていたそうです。しかし、思わぬ伏兵が現れ、相当安い金額で落札されてしまったとのこと。
 民間と違って、景気刺激の意味合いもあり、官庁関係の案件は減ってはいないようです。そこに、今まで入札には参加してこなかった企業までが、案件を競い合うようになってきたようです。

 大型案件が、ほとんどなくなってしまったという話は、しずくさんのコメントにもありましたが、こちらのSIerでも同じとのこと。大型案件が取れない中、それを小型案件を積み重ねてリカバーすることは、容易ではないと、ため息混じりに話されていました。

 こういう状況にあっても、比較的安定して収益を確保している企業もあります。そういう企業の収益構造を見ると販売した機器の保守やサポート・サービスを自社で行うことや、BPO、ASPのように自社で業務体制を持っている企業、つまりストック・ビジネスの割合が高い企業です。お客様にすれば、このような業務をコスト削減といって切ってしまうことはなかなかできないわけですから、それは当然のことといえます。

 このような時期だからこそ、SaaSやASP、BPOなどのストックビジネスへの関心がますます高まるだろうとの話は、以前にも書きましたが、システム・ベンダーの立場から見れば、景気に左右されず、安定した収益を確保できる事業形態として捉えることもできそうです。
 また、一度契約されたお客様からは毎月安定して売上が発生するわけですから、月毎の売上の推移も、物品販売や受託開発、ライセンスビジネスに比べて、はるかに平準化され、そのため売上予測も精度高く予測できるので、経営者にとっては、大変魅力的なビジネスといえるかもしれません。

 ただ、一方では、初期投資に相当の金額が必要なこと、また、利益が確保できる数だけお客様を確実に獲得できるかどうかといった問題。将来機能拡張が必要になったとき、それに柔軟に対応できるかなど、十分な検討を行わなければならないことは、いうまでもありません。

 世間の景気がいいときは、ワンタイムの機器販売や委託または請負開発でも、十分に売り上げや利益が確保できました。しかし、そういう時期にストック・ビジネスにも積極的に投資し、確実に顧客を積み上げてきた企業との明暗は、この時期だからこそ、はっきりとしてきたようです。

 ITビジネスの当面のトレンドは、SOやBPO、そして、ASPやSaaSなどの本来のサービス・ビジネスとなるだろう。これは、見方を変えれば、SIerやIT機器ベンダー「中抜き」時代の到来を意味する。

 以前ブログでこんなことを書かせていただきました。まさにその動きが加速しそうな気配です。

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2009年1月8日木曜日

今年は、何を商売のネタにすればいいのだろう?続々

 昨日の投稿について、コメントをいただきました。ありがとうございました。なるほど、世の中が変われば、お客様の期待が変わる。「変化の中に課題がある」ということに常に目を向けてゆくことの大切さ。そして、お客様と一緒になって、課題を解決するためのとりくみが、営業には求められているのだと思います。

 当たり前のようですが、その原点に立ち返ることが、ビジネス・チャンスをつかむきっかけとなることだけは、間違えないと思います。昨日も申し上げましたが、CPSは、「お客様と一緒になって考える」手段として、また、競合他社への参入障壁として、積極的に活用されてはいかがかとおもいます。

 さて、「今年の商売ネタ」として取り上げましたセキュリティについて、もう少し考えてみようと思います。

 たぶん多くの営業の方は、「お客様のセキュリティへの関心は高いが、商売としての旨みが少ない。あるいは、セキュリティだけでは、商談にならない場合も多い。どのように売り込めばいいのだろうか。」という課題を抱えているのではないでしょうか。

 この背景には、「セキュリティに完全がない以上、どこまで対策しておけばいいのか、よくわからない。」あるいは、「セキュリティは、保険みたいなもので、対策はすべきだが、できるだけコストをかけずに済ませたい。」という、お客様の意識があるためだと考えられます。

 「天災は、忘れた頃にやってくる」と言ったのは、物理学者で随筆家の寺田寅彦ですが、天災つまりセキュリティに関わる事故や事件発生の危機感が、お客様のなかに十分意識されていない、あるいは、そのリスクが、どの程度のものか、売る側もお客様も適正に評価できていないところに課題があることは間違えないように思います。

 寺田は、こんなことも言っています。「危機に臨んでもっとも大切なことは、怖がりすぎることでも、怖がらないことでもなく、正当に怖がることだ。」と。
 この「正当」を明確にし、お客様と共有する。ここのところが難しく、なかなか売り込めない。勢い、売り込みたいがために、必要以上に危機を煽り、お客様の顰蹙(ひんしゅく)を買う。そんなこともあるのではないかと思うのです。

 そうなると、法律や公的なガイ゛ドラインを頼りに、お客様の現状の課題を訴求すると言う方法が、わかりやすいし説得力があります。たとえば、経済産業省の情報セキュリティ管理基準や情報セキュリティ監査基準などがそれにあたります。
 しかし、法律やガイドラインは、その性格上、具体的な対処方法までは踏み込んでいません。そういう使いにくさはあります。
 そこで、ISMSにより認証取得を前提として、対策に取り組むと言うことになりますが、ここまでやろうとするお客様は、十分に危機意識が高く、「正当に怖がっている」わけで、そもそもここまで行き着くことが難しい場合が多いというのが実情です。そこが問題なわけです。

 では、ISMSの認証取得とまではいかなくても、ISMSを頼りに売り込みを考えようにも、ISMSは、情報資産を保護するための組織や管理体制を広範囲に規定しているので、どこまで対策すればよしとするのか明示されていません。となると、これもなかなか使いにくいということになります。

 そういう中で、PCIDSSは、意外と使えるかもしれないと思っています。ISMSに比べ、情報資産を保護するための実装レベルの要件を詳しく規定し、具体的な対策に踏み込んで何をどこまですればいいのか明示的に示されています。そのため、ISMSを補完するものとして、具体的なセキュリティ対策を提案する場合のよりどころにはなるかもしれません。また、クレジット・カードを取り扱う事業者、つまりECサイトを含むカード加盟店や金融機関に、実質的な強制力を持ちますから、対象となる企業は多く、きっかけにはなりそうです。ただ、「データ」の取り扱いや漏えい対策と言った「データ・セキュリティ」の基準と言うこともあり、セキュリティ対策を広くカバーするものではありませんので、そのあたりについては、限界があります。

 じゃあどうすればいいの?何を売ればいいの? 皆さんの苛立ちの声が聞こえてきそうですが、なかなか、決め手にかけるというのが、実は本音です。ただ、手ぶらで話すのではなく、以上のようなキーワードについて、自分なりに整理し、お客様にぶつけ、対策の必要性を一緒に考えてゆくしか、手はないように思います。一緒に勉強することも、営業の仕事の一部です。

 それでも何か、もっと具体的な売り込みの手だてはないかということですが、以前、個人情報保護対策のためのパッケージを販売するために、「個人情報保護法対策アセスメント」というものを作りました。この法律へのお客様のとり組み状況を客観的に評価し、お客様自身に適正な危機意識を持って頂けるようにと意図したもので、この法律に詳しい弁護士と作成したものです。

 個人情報保護法に詳しくない営業でも、まずはこのアセスメントをお客様に実施してもらい、なるほどこれは大変だということに気付いてもらう。それでは後日専門家を連れてきますということにする。そんなきっかけ作りの道具です。だれでも最初のきっかけだけはつくれるようにするためには、と思案したあげくに、つくったものです。

 皆さんの会社でとり扱われている製品やサービスが対象とする「セキュリティ」について、同様のアセスメントを作り、このようなツールを使ってきっかけを作るというのは、ひとつの方法かもしれません。

 ついでながら、PR ・・・ こんな営業サポート、マーケティング・ツールを企画し、作成することも、本業ですので、よろしければ、お気軽にご相談下さい。

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2009年1月7日水曜日

今年は、何を商売のネタにすればいいのだろう?続

 昨日、「今年の商売ネタ」について書かせて頂いたが、いつもの2倍ほどのアクセスを頂いた。ごらんいただいたことへの感謝とともに、改めてこの厳しい環境の中で、どのようにビジネスをの帳尻を合わせればいいのかと、頭を抱えていらっしゃる方が数多くいらっしゃることを確認することともなった。

 さて、昨日書かせていただいたとおり、IT予算については、抑制・削減に向かうことが予測される。従って、「体質強化」、つまり、低コスト体質効率向上スピードアップなどが、ビジネス・チャンスとなるだろう。また、IT部門で完結出来るテーマ、例えば、ネットワークセキュリティITILサーバーシステム運用などがアプローチしやすい切り口となるかもしれない。このような観点から、思いつくままに具体的なネタを考えてみることにしよう。

 まず、思い浮かぶのは、ネットワークの再構築である。新しいテクノロジーによる効率や管理機能の向上、セキュリティ対策の強化などの新たな付加価値を与えつつ、コストの大幅削減を図る。
 回線料金は、下がる傾向にあるので、もし昔ながらの専用線を使っている企業があるとすれば、インターネットに切り替えることで、VPNを含む新たな機能を追加しても、リースなどをうまく組み合わせれば、コストを現行以下に抑えられる可能性があるかもしれない。

 VMも可能性があるだろう。VMは、単にサーバー数を減らすコスト削減施策としてとらえるだけではなく、システム管理対象を減らすことにもつながる。少し極論かも知れないが、管理対象の削減は、ISMSで規程する「脆弱性」を低減させる。また、システム監査、あるいは、IT統制の点からも管理対象を減らすことにつながる。そんな切り口も、あるかもしれない。

 暗号化も面白いテーマだ。COBITの規程する「人」「設備」「テクノロジー」「アプリケーション」「データ」のIT資産の5要素うち、「データ」は、もっとも根幹となるものだ。セキュリティは、どこまでやっても完全な対策は不可能である。したがって、お金をかけるにしてもその効果や優先順位を説得するのは難しい。しかし、盗難や紛失、漏えいなどの事故が起きても「データ」さえ読めないようにしておけば、最悪の事態は回避できるという安心感はある。これは、説得しやすい。効果がわかりやすく即効性のあるセキュリティ対策として、売り込みやすいのではないか。

 ITILについては、業務や経営全体に関わる広範な仕組みづくりとなると、なかなか売り込みにくい。しかし、変更管理や運用管理面に着目をすれば、検討の範囲も絞られ、ビジネスのスピードを上げることができるかもしれない。

 「体質強化」とは、すこし離れるが、環境対策を切り口にしたアプローチはないだろうか。サーバーの統廃合によるCO2排出量の削減などは、可能性があるかもしれない。

 また、新たな業務を始めるにしても、今までは当たり前のように考えていた自社システムでの運用ではなく、ASPSaaSで価格破壊を提案する。ストップしているプロジェクトも動き出すかもしれない。うまくできれば、売上を膨らませることはできないにしても、周辺の開発やサービス利用のためのコンサルティングにより、利益を増やせる可能性はある。
 
 とにかく、お客様の業務に無駄は、ないだろうか?お客様が、「当たり前」「仕方がない」と思い込んでいるところに、今までやり方を変えることや新しいテクノロジーを使うことで、コスト削減の可能性はないのだろうか?削減だけでは意味がない。同時に利便性の向上にも貢献する。

 テクノロジーは、知恵によって進化し、磨きかがる。お客様と一緒になって考えてみる。「コスト削減に向けたCPS(Customer Planning Session)」もビジネス・チャンスを探るいいきっかけとなるだろう。

 ビジネスのきっかけとなる「課題」は、お客様の変化の中にあるという話は、研修でもご紹介した。まさに今この時が「変化」の時である。こういうときこそ、想像逞しく「課題発掘のアプローチ」を仕掛け、「体質強化」に向けた課題を探り出して見られてはいかがだろう。

 お客様は、一緒になって「体質強化」を考えてくれる営業を待ち望んでいるだろう。


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2009年1月6日火曜日

今年は、何を商売のネタにすればいいのだろう?

 年末は、数字にご苦労された営業の皆さんも多かったのではないだろうか。年度末の苦労は、営業の勲章みたいなものである。営業が会社を支えている。そんな自負があればこそ、この厳しい状況も乗り越えてゆける。きっと、皆さんも、そんな気持ちで、年末を乗り切られたのではないかと思う。

 しかし、新しい年を迎えたからと行って、すべてが変わるわけではない。それは、お客様にとっても同じことだ。お客様もまた、厳しい経済状況を乗り切ってゆかなければならない。

 委託や派遣などの人数削減や継続契約のとりやめなどは、お客様にとっては、即効性のある経費削減策である。他にもプロジェクトの延期や規模の縮小など、いい話はなかなか聞こえてこない。

 さて、こんな不況の中、今年は何をビジネスとして売り込んでゆけばいいのだろうか。そんなことについて、考えてみようと思う。

 まず、こういう時期のお客様は、現行の経費を少しでも削減したいと考えるだろう。運用や開発の効率化、機能や要件の絞り込みによるシステム開発、あるいは、導入コストの低減である。
 また、新しいプロジェクトの実施を手控える心理が働くだろう。新規事業の延期、工場や製造ラインの新設中止、新製品の発売時期の見直しなどにともない、必要となるIT投資も手控えられることになる。

 こういう状況の中で、新たなIT投資の可能性を考えるならば、それは、「体質強化」へのとり組みということになるだろう。つまり、事業規模を拡大するための設備投資や人材確保のような「体力強化」ではなく、厳しい経済状況の中でも経営を維持できる低コスト体質、生産や物流の効率化、スピードアップへの関心が高まるだろう。

 「体質強化」の視点でお客様の抱える課題を探ってゆくことで、新たなビジネス・チャンスを見出せるのではないだろうか。

 例えば、ネットワーク・コストの削減。専用線やISDN回線に相変わらず頼ってネットワークを構築している企業も意外と残っている。それをインターネットVPNに置き換えコスト削減する。

 あるいは、ASP、SaaSなどの初期投資を抑えつつ、必要な機能だけに絞り込んで利用するサービスにもビジネス・チャンスはある。確かにパッケージ・ソフトウェアを販売したほうが、一時的収益に貢献はするものの、お客様の投資意欲が減退しているこの時期に、その意思決定を引き出すことは容易なことではない。実を取るためにも、考えてみるべきオプションではないかと思う。

 もし、どうしてもパッケージを販売するしかないとすれば、リース会社などと相談し、製品リースとサービスを組み合わせた自社の独自サービス商品を作り提供するというアイデアもあるだろう。単に製品をリースするだけでは、競合他社との差別化は難しい。お客様にとっては、単なる資産の繰り延べと見られてしまう。その解決策として、こんなアイデアも使えるかもしれない。 

 また、ITILやセキュリティへの関心も高まるのではないだろうか。というのは、IT部門として、新たな開発案件や大きなプロジェクトがなくても、人を抱え仕事をしなければならない。とすれば、他部門を巻き込まず、IT部門内で完結できるプロジェクトを増やさざるを得なくなるだろう。
 そう考えると、ITILやセキュリティは、格好のテーマとなる。これは、IT業務あるいは、システム・インフラの「体質強化」策の一貫でもあり、景気がどうあろうと、内部統制やIT統制の視点から、企業としてはとり組まなければならない課題だ。また、セキュリティは、社会的にも関心の高いテーマであるだけに、リスクを正しく伝えることができれば、経営トップとしてもなかなかノーを出しにくいだろう。

 セキュリティに関連して、PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)もひとつの切り口にはなるだろう。

 PCIDSSは、日米のカード会社が策定したセキュリティ標準である。これは、単にカード会社だけのものではなく、ECサイトも含むカード加盟店、決裁代行機関、カード発行銀行にもその適用範囲が及ぶ。また、PSIDSSに適合できない加盟店は、加盟店資格剥奪という方針も示されており、その影響範囲は大きい。
 また、PCIDSSは、「セキュリティ・スタンダード・モデル」としての認知も広がっている。というのは、ISMSが、情報資産を保護するための組織や管理体制を広範囲に規定しているのだか、どこまで対策すればよしとするのか明示されていない。これに対して、PCIDSSは、情報資産を保護するための実装レベルの要件を規定し、具体的な対策に踏み込んで何をどこまですればいいのか明示的に示されている。そのため、ISMSを補完するものとして、適用が可能である。

 さて、具体的にどんなビジネスの可能性が、生まれてくるだろうか。是非皆さんのご意見をお聞かせ頂きたい。敵に塩を送るというわけではないが、とにかく協力し合ってでも市場を盛り上げてゆかなければ、結局は自分たちのビジネスには結びつかない。大きな気持ちで、コメントに書き込んで頂ければ幸いです。

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2009年1月1日木曜日

営業力の科学:第三章 営業力の本質 (最終章)

 営業であるあなたは、ある製品をお客様にご購入いだこうと売り込みをかけています。

 営業であるあなたは、「この製品は、御社の業務に必要とされるほぼ全ての機能を持ち、カスタマイズ性にも優れていますので、御社の業務手順に容易に合わせることができます。御社の業務の生産性は大幅に高まります。」とお客様に購入の決断を促します。

 これを聞いたお客様は、「うちの会社の業務について、ろくに知らないくせに、なぜ生産性が大幅に上がると言い切れるのだろうか。自分の商品を売りたいために、言っているだけじゃないのか?そんな話は、鵜呑みにできないね。」

 なぜ、こんな会話の行き違いが生じてしまうのでしょう?

 営業の仕事は、ものを売ることではありません。お客様の課題を解決する手段を提供することです。解決できることに期待や確信が持てるからこそ、その手段である製品が売れるのです。

 一般的にお客様の課題には共通性があります。それを頼りに製品は作られます。これは、物作りの視点です。しかし、お客様の視点に立って考えるならば、それは一般論であり、それぞれに違った事情を抱えている自分たちの課題を、そのまま解決できるものではないと考えるでしょう。

 この違いと一般化された製品の性能や機能のギャップを埋め合わせることができなければ、例え製品の機能や性能が他社を凌駕するものであっても、お客様は、何の魅力も感じないでしよう。

 製品の視点とお客様の視点。この両者のギャップを埋めることが、営業の仕事です

 この違いを埋めるために、まず営業は、「なに」を売りたいかではなく、「なぜ」売りたいかを追求することです。

 「何=もの=To Do(こうしたい)」からはじめるのではなく「なぜ=目的=To Be(こうなりたい)」からはじめることが大切です。これについては、第一章の「お客様のウォンツとニーズを見極める」でも紹介させていだきました。

 終着点(To Be)を決めれば、そこに至る手段(To Do)は、様々にあります。その手段のひとつとして、御社の製品がある。しかし、手段(To Do)からはじめてしまえば、お客様に選択肢はなく、その手段が、お客様に最大の価値を提供できるという確証は得られません。

 製品の持つ機能や性能とは、終着点(To Be)を探り出す、議論のきっかけにすぎません。

 「私たちは、お客様は、こんな課題をお持ちではないかと考え、この製品にこのような機能や性能を作り込みました。御社には、同様の課題があるのではないでしょうか?もしあるとすれば、それを解決する方策としお使い頂く価値はあるでしょうか?」

 「なぜ」売りたいかを追求すると言うことは、お客様のTo Beを知り、お客様の受け取る価値を最大化できる手段=ソリューションを見つけ出そうという努力に他なりません。
 
 ものを売りたい「もの売り営業」と、お客様の課題を解決したい「ソリューション営業」の違いは、ここにあるのです。

 この両者の違いを整理してみると次のようになります。

■「もの売り営業」のスタイル
  • 何をもって差別化するのか?製品やサービスの価格、機能、性能のアドバンテージで差別化する。
  • お客様の購入基準は?:お客様は、上記と同じ視点で製品やサービスの購入を判断する。
  • お客様の営業への期待は?:営業には、良い条件を提示してくれることを期待する。

■「ソリューション営業」のスタイル
  • 何をもって差別化するのか?:お客様が享受する価値を最大化できる方策を提示し、それで差別化する。
  • お客様の購入基準は?:お客様は、自らが享受できる価値が最大かどうかで判断する。
  • お客様の営業への期待は?:営業には、価値を最大化できる方策を一緒に考えてくれる相談相手となってくれることを期待する。

 「営業力」は、「なぜ」を追求する力です。お客様の「なぜ=To Be」を追求することができれば、お客様にとって最も魅力を感じて頂けるもの、すなわち「最大の価値を享受できる方法」を見つけ出すことができるのです。それができれば、売り込まなくても、お客様から「ぜひそれを売ってください」と求められるのです。

「営業力」=「お客様の価値を最大化できる手段を提供できる力」

 この等式を個人として、組織として、強化、定着させること。「営業力の科学」で書かせていだいたことは、その手段のごくごく大まかなところに過ぎません。
 具体的なテクニックや実践ノウハウを文章だけでお伝えしきれないことは残念ですが、賢明な皆様にとって、幾ばくかのヒントになればと願っています。

 5回に渡って書かせて頂いた「営業力の科学」については、これで一旦終了とさせて頂きます。よろしければ、皆様のご意見やご感想など、コメントとし頂戴できれば幸いです。