「斎藤ちゃん、わかった!話は、とおしておくから。まかせといて。」
お客様にこんなことを言われて、「あー、よかった。これで一安心(ホッ)」と思うようであれば、あなたは営業失格です。この“ちゃん”がもっともあやしい。
まず、当人は、真剣にやるきないですね。まあ、百歩譲って、やってくれるとしても、決して優先順位は高くない。そう考えるのが自然です。
お客様と親しくなること。お酒も飲んで、馬鹿なことも言い合える間柄になることは、悪いことではありません。だからといって、それで仕事がこちらの思惑通り進むかと言えば、世の中そんなに甘くはありません。
考えても見て下さい。お客様は、システムを導入するのに自分のお財布で買うわけありません。たとえ担当者が、その気になってくれても、
なぜ必要なのか、どれだけの効果があるのか、なぜこの製品が妥当なのか、なぜ今なのか、なぜあなたの会社なのか・・・
を説明しなければなりません。
しかも、上司の顔色、会社の業績、事業方針などなど、意思決定には、さまざまな要因が絡みます。場合によって、ライバル関係にある他部門から横槍が入るかもしれません。
そういうさまざまな課題を乗り越えて、初めて意思決定に至る。みなさんは、今売り込もうとしているものが、どのような課題をクリアし、どのような意思決定のプロセスを経て、稟議決済に至るのか・・・そのことを正しく理解しているでしょうか。
ものによっても違うでしょう。金額によっても違うでしょう。皆さんが売り込もうとしているもの、それぞれについて、稟議決済にいたるまでの課題やプロセスが異なります。
皆さんも、営業活動とは、「お客様の課題を解決すること」であるということは、もう十分にご承知のことと思います。しかし、もうひとつの課題、つまり「意思決定にいたるまでの課題を解決すること」に手を抜いてはいないでしょうか?
皆さんの窓口となっていただいている方が、たとえOKを出しても、本当にそれを鵜呑みにしていいのでしょうか?
- その方は、どれだけ社内において、決定権を握っていらっしゃるのでしょうか?
- その方もいろいろと仕事を抱えているはずです。皆さんの売り込んだものを決済するためにどれだけの時間を割いてくれるのでしょうか?
- 営業の売込みがうるさいので、とりあえず見積もりを受け取っただけなのではありませんか?
- 単なる興味本位で、話を聞き、見積もりを受け取っただけということはありませんか?
- 競合他社に既に決まっていて、相見積もりのために皆さんに見積もりを依頼したのではありませんか?
- ・・・
想像は、膨らむばかりです。皆さんは、そのことにちゃんと答えられるだけの裏づけをとっているでしょうか?
- いままで、話が順調に進んでいたのに、突然話がすすまなくなった。
- いままで、こちらの質問にすぐに答えてくれたのに、最近は催促しても返事が来ない。
- いままで、頼めば、社内のキーパーソンを紹介してくれたのに、最近はいつも先延ばしされる。
こんなことにはなっていませんか?きっと何か理由があるはずです。
お客様との信頼関係を築くことは、大切なことです。しかし、個人とビジネスの関係は、別の話。そのあたりの想像力を持ち、「意思決定にいたるまでの課題を解決」に目を向けて、それを解決できなければ、せっかく「お客様の課題を解決」できるすばらしい提案が出来上がっても、お客様に受け入れられる保証はありません。
実は、ここが一番大変なところです。「お客様の課題を解決する」だけではなく、「意思決定に至る課題を解決する」ことができない営業は、○*▼※(自分で言葉を当てはめて下さい)ですよ。
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