CPS(Customer Planning Session)をご存じだろうか。
1970年代、お客様の情報システム・プロジェクトの構想、計画立案を効率よく行うためのプランニング手法として、開発されたものである。
この手法は、現状の課題を効率よく洗い出し、参加者全員の合意の下に解決策を決めてゆくもので、お客様の「体質強化」のための計画を立案するには、効果的かつ効率のいい手段となる。
CPSは、プロジェクトに関わる関係者が一堂に会し、会議を主導するセッションリーダーが、議事進行役となり議論を進めてゆく。
ここに参加するメンバーは、必ずしもシステム部門だけではない。業務に関わるリーダーや経営者など、意志決定に関わる実質的責任者が、多くても10名程度参加し、全員が平等に発言の機会を与えられる形で議論が進められる。
議論は、フリーディスカッションならぬ、コントロールドディスカッションで進められる。例えば、「ひとつの発言では、ひとつのテーマに集中すること」、「役職の上下に関係なく、平等な立場で発言すること」、「対案がなければ、賛成されたことと見なす」などルールがあり、セッションリーダーが指名しなければ、発言できない。
討議は、業務に関わる課題の洗い出し、原因の明確化、解決策の提示、実行計画の策定へと段階を追って進めてゆくが、解決策の決定に当たっては、参加者全員の合意を前提とする。その時、ただなんとなくの反対は許されない。「対案がなければ、賛成されたことと見なす」の原則に基づき、議論が進められるため、確実に合意を積み上がる仕組みとなっている。
テーマに制約はない。ネットワーク運用効率化、生産管理業務の合理化、ECビジネスの業務コスト削減など、様々である。
CPSを行った多くの企業が共通してあげる評価のひとつとして、「部門間の風通しが良くなった」というものがある。以前、ある中堅の電子部品メーカーで、CPSを行ったところ、生産計画の大日程、中日程、小日程が、購買部門と工程管理部門で微妙にずれていたことがわかった。お粗末な話と思われるかもしれないが、長年の業務慣行の中で、それぞれに最適化が行われ、このような思惑のずれは、少なからずある。
合理化や業務改善は、部門の壁を越えた全体最適が進まなければ、その効果に限界があることは、誰もが承知していることである。しかし、その壁をなかなか破ることができない。これは、トップ経営者も同じことで、現場の混乱や反発を避けたいと言う心理がどうしても働いてしまうからだ。また、社内の人間の発言やイニシアティブは、利害関係もあって、なかなか進めにくい。このような状況を打開するには、第三者をうまく利用するという手がある。そのひとつが、CPSである。
CPS成功の鍵は、お客様に実力のあプロモーターあるいは、スポンサーが存在することだ。社長あるいは、トップ経営者が、その役割を果たすのが最も効果的だろう。
営業として、「企業体質」強化をテーマとしたプロジェクトを探り出し、ビジネス・チャンスを掴むために、CPSをお客様に仕掛けてゆくには、今が絶好のチャンスかもしれない。
この時期、大きなプロジェクトが延期され、お客様は、ある意味「ヒマ」なばずだ。その一方で、合理化や業務改善によるコスト削減やスピードアップが、トップから現場に強く求められているはずでする。こんな時にこそ、第三者であるみなさんが、お客様のスポンサーにCPSを持ちかければ、渡りに船と言うことで、話を聞いてもらえるのではないだろうか。
営業としてお客様の課題を深掘りし、イニシァティブ確保し、囲い込む。そのためには、またとないチャンスといえるだろう。
CPSのセッションリーダーには、それなりのスキルや経験を必要とする。しかし、さほど特別なものではない。ご興味があれば、お気軽に御相談頂きたい。
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