2009年2月27日金曜日

ネットの向こう側は、信頼できるのか?

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 Gメールをご存じでしょうか?グーグルが、無料で提供しているウエブ・メールです。

 2004年のサービス開始当初、1GBを無償で使えると言うことで、ギガ・メーラーの先駆けとなったサービスです。今では、その容量も6.3GBに増え、今後もどんどん増え続けそうな勢いです。一生消さないで蓄えられるだけの容量が、確保されていると言っても過言ではありません。

 Gメールの魅力は、容量の大きさばかりではありません。複数アカウントの管理、フィルター設定など、PCメーラーが備えている一通りの機能を備えています。また、迷惑メール・フィルター、アンチウイルス機能も無償であり、その精度の高さには、文句のつけようがないくらいです。

 かつて、ウエブ・メールは、画面の表示には常に再読み込みが伴い時間がかかることやショートカット・キーが使えないことなどの操作性の悪さを指摘する声がありました。しかし、今では、Ajaxを利用し、PCメーラーとなんら遜色がありません。しかも、グーグルの得意とする高速、高性能な検索機能のおかげで、従来のようにきめ細かくフイルターで仕分けておかなくても、すぐに目的のメールを見つけることができます。これは、ほんとうに便利です。

 また、なによりも、特定のPCに依存しないところがいいですね。パソコンを持ちあるかなくても、もちろん携帯電話からでも利用できる便利さに、今では、メールはすべて、Gメールを経由しています。

 Gメールを使う、もうひとつの理由は、データのバックアップが必要ないことです。米国カーネギーメロン大学の調査によると、ハード・ディスク・ドライブの故障率は、年間で3%だそうです。また、Gメールを運営するグーグルでは、なんと8%も故障するそうですから、いつも持ち歩き、振動や衝撃を与え続けている自分のノートPCを考えると、ぞっとします。

 以前は、外付けのハードディスクにバックアップしていました。しかし、忘れることもしばしばで、そんなときに限って事故はおきるものです。おかけで、何度も悲しい思いをしました。

 今は、その心配もなくなり、心穏やかな日々を送っています。

 Gメールの利用は、私のような個人にとどまりません。例えば、日本大学では、10万人を越える全学生に対して、このサービスを利用したメール・アカウントを提供しています。

 これは、Google App といわれる有償のサービスですが、同様に多くの企業で利用され始めています。

 また、Google Docsといわれるワードやエクセルに相当する機能を提供するサービスもそろそろ使えるものになってきました。

 確かに、最新のマイクロソフト・オフィースに比べると機能は、劣ります。しかし、データの互換性は、そこそこですが、高度な機能を使うことは、めったにありませんので、それほど困ることがありません。最近、重要な原稿は、Google Docsにアップするようにしています。

 先日米国に住んでいる娘夫婦が帰国する際、彼女は、生意気にも、その日程をGoogle Docsのスプレッドシートに書き込んだので、私に共有するように連絡してきました。私は、その日程表にこちらの予定を書き込み、また、彼女も追加や修正を加えてゆきます。変更や追加したことは、直ちにメールに通知されることから(設定しだいですが)、タイミングを逸することはありませんでした。

 このように、同じデータを共有して作業を行うことは、PC版エクセルの標準的な機能では、できないことです。

 さすがは、わが娘です。「あれもお願い、これもお願い・・・」ということを、この機能を使い、さりげなく要求してくるところなど、私よりもはるかに先進的な(?)使い方を心得ているようでした。

 Ajaxを使い操作はネットのこちら側でサクサクと行い、データは、ネットの向こう側で確実に管理する。こんな使い方が、そろそろ当たり前の時代になりました

 このような考え方は、パッケージ・ソフトウェアをビジネスの柱としてきたマイクロソフトの戦略にも大きな影響を与えています。次期オフィース製品であるoffice14には、Live Mesh という技術が搭載されるそうです。この技術は、ネットのこちら側のPCとネットの向こう側にあるサーバーの間でデータを同期するものです。

 グーグルは、ネットの向こう側にオリジナル(原本)を持ち、マイクロソフトは、ネットの両側、つまりどこにでもオリジナルを存在させるという考えのようです。どちらにしても、ネットワークとその向こう側を信頼するという前提で、サービスを提供しようとしていることには、まちがえはありません。

 今まで、ネットの向こう側に信頼を置くということには抵抗があり、「個人としては、使えても、企業では使えない」ということも言われてきました。しかし、Gメールは、99.9%のサービス品質保証制度を導入すると発表しています。

 ネットの向こう側に巨大なコンピューターを構築する。しかも、そのほとんどが、無料、あるいは低料金で利用できるのです。

 メールやオフィース・ツールだけではなく、フォト(写真)・ストレージ・サービスも膨大な登録会員を抱えています。また、今まさに書いているブログにしても、公開するだけではなく、自分の考えや情報を整理し、それを保管する手段として、ネットの向こう側に頼っているのです。

 ライフ・ログという考え方があります。言葉の通り、人生そのものを記録に残するというものです。メールや文書、写真などが、一生消されないままに蓄積できるようになり、ネットは、まさに巨大なライフ・ログの集合体となりつつあるのです。

 ソフトウエア開発、パッケージ導入やバージョンアップ。今まで私たちは、ネットのこちら側を前提として、ビジネスを考えてきました。

 「ネットの向こう側は、信用できないので、こちら側で持たなければ、大変なことになりますよ。」

 そろそろ、この考え方を変えなくてはならないようです。

 自分たちが、ネットの向こう側になるのか、それともこちら側になるのか。そういう視点で、これからのビジネスのあり方を考えてみるべきではないでしょうか

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 今年度最後の「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」が開催されます。

 ■ 標準コース : 3月 5日(木)、 6日(金) 2日間 東京
 ■ 管理者コース: 3月 9日(月)、10日(火) 2日間 東京

 今回からは、今までの研修で頂戴した皆様からのご意見を反映し、より解りやすく、よ実践的な内容にリニューアルして、講義をさせていただこうと準備をしています。

 特に管理者コースでは、今年のプランニングや今年度の部下の育成計画についても、踏み込んだ内容にしようと考えています。この管理者コースにつては、この厳しい景気を反映してか前回は定員割れとなり延期となってしまいました。
 
 お申し込みを頂きました皆様には、大変申し訳なく、お詫び申し上げます。そんな、皆様のお気持ちに報いるためにも、張り切って内容の充実を図ってまいります。
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2009年2月26日木曜日

政治力と営業力

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  麻生首相の不人気が続いています。一方で、かつて絶大な人気を博した小泉首相ですが、両者は、どんなところに違いがあるのでしょうか。

 わたしは、「政治力」の違いではないかと思っています。わたしなりの解釈ですが、政治力とは、「人を魅了し、従わせる力」ではないかと思います。この人なら何かしてくれそうだという、人を引きつける魅力を放ち、その力で人を従わせるものが、政治力ではないでしょうか。

 そういう視点で麻生首相と小泉元首相を比べてみると、確かに小泉元首相の方が、魅力的であったように思います。それでは、何がそう感じさせるのでしょうか。

 もっとも大きな違いは、「びっくり」の大きさではないかと思います。小泉劇場と言われるように、「自民党をぶっつぶす」、「郵政解散」、「刺客」など、それまでの首相が言わないことを公言し、人を驚かせてきました。ある意味、期待を裏切り続けてくれたわけです。そんなところに、なにか引きつけられる魅力を感じ、彼を支持してきたのではないかと思うのです。

 一方、麻生首相を見ると、「びっくり」があまりないように思います。びっくりというより、「がっかり」なのかも知れませんが、どちらにしても、あまり驚くことがありません。どうも、そういうところが、人気の違いとして現れているのではないかと思うのです。

 さて、営業という仕事に、この考えを当てはめてみると、意外と納得できることがあります。というのも、お客様に対して、イニシアティブを取ろうとするとき、この「びっくり」が、とても役に立つからです。

 お客様は、こんな提案をしてくるだろうと期待しているところに、全く違う提案をする。しかも、その効果が、お客様の期待を遙かに超えるモノであるのなら、お客様は、ぐっと身を乗り出して、話を聞こうとしてくれるはずです。

 例えば、経営トップから、経費30%削減を求められ、どうしようかと頭を痛めているシステム部長に、「現在の経費を1/2にできますよ。ご一緒にこのプロジェクトを進めてみませんか。」と言えば、彼はびっくりされるでしょうし、検討してみようという気になるはずです。

 仕事の内容も変わらないのに、経費節減のためだけに委託費用を減らしても、所詮一時しのぎに過ぎず、根本的な解決にはなりません。ならば、システムの運用管理やサーバーの構成などを全面的に見直し、全面的にシステムを作り替える。一部は、ASPも利用して、社内システムを外部に預けてみる・・・など、お客様が思いもしていなかった提案をしてみてはいかがでしょう。

 もちろん、ただびっくりさせることだけが目的で、根拠のない話をしても、それがわかったときは、逆に信頼を失い、二度と顔を見たくないと言われてしまうのが落ちです。ですから、当然、裏付けや信念がなければ、こんな事は言えません。

 お客様をびっくりさせること、つまり、いい意味で期待を裏切る、あるいは、期待を越えることが、ビジネスの主導権を握る一つの方法です。お客様が想定していなかったことは、お客様自身でコントロールできません。自ずと、その提案をした営業のリーダーシップを期待し、従おうとするはずです。

 初めてのお客様に伺い、なかなか二度目の訪問が出来ないという話を聞きます。これについては、以前も別の話題でふれましたが、そのとき紹介したアプローチに加え、どうすれば、お客様をびっくりさせることが出来るだろうかを考え、打ち合わせに望まれてみてはいかがでしょう。きっと、「もっと詳しい話を聞かせてもらえないでしょうか?」となるのではないでしょうか。

 びっくりさせる力も、営業力の大切な要素ではないかと思います。 

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2009年2月25日水曜日

工事進行基準で変わる受注の仕方

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 既に皆さんもご存じのように、今年4月からソフトウエアの開発受託に「工事進行基準」が適用されます。今までは、「工事完成基準」か「工事進行基準」かのいずれかを選択できるようになっていたのですが、これからは、「工事進行基準」を採用することが、原則として義務づけられることになります。

 「工事完成基準」では、ソフトウェアが完成した後、お客様から検収を受けた時点で売上げを計上します。この方法は、単純で解りやすく、従来のソフトウェア受託開発に於いては、広く用いられてきました。
 しかし、その一方で、開発期間が長期にわたるような場合は、その間のコストや売上げが見えず、企業会計の実態が見えづらいという問題が指摘されていました。

 これに対して、「工事進行基準」では、ソフトウェアの完成の度合いに応じて、売上げを計上します。たとえば、開発が2年にまたがるような場合、まだ検収を受けていなくても、最初の1年目で50%まで完成していれば、その分を売上げとして計上しなければならなくなります。

 このような「工事進行基準」は、営業の契約の取り方にも大きな影響を与えることになります。

 もっとも大きな影響は、曖昧な仕様のままで受注することが出来なくなります。従来は、基本的なシステム要件と金額や納期が決まっていれば、「後はよろしく」と頼まれて、契約時点で詳細が決まっていなくても受注するようなことがありました。しかし、「工事進行基準」では、作業の進捗に応じて売上げを計上する都合上、契約時に仕様を明確に規定しておく必要があるのです。

 これまでならば、契約締結後に仕様の変更があっても、ある程度のことであれば、やりくりすることもできました。しかし、進捗やコストに影響を与えるような変更が生じた場合は、その都度見積もりを見直し、契約を締結し直すことが必要となります。従って、今まで以上に、見積もりの精度向上と、発注仕様書の必要性、厳密さがもとめられるようになるのです。

 また、この発注仕様の厳密さは、お客様との契約だけではなく、元請けと下請けとの契約においても、影響を与えることになります。

 ご存じのように、日本の多くの企業では、元請けが二次請けに、さらに二次請けが、三次請けに仕事を委託する多重下請けが、頻繁に行われています。しかし、「工事進行基準」が適用されると、元請け企業は、精度の高い見積もりと厳密な進捗管理を行う必要に迫られます。

 そうなると、下請け企業もそれに対応しなければなりません。同様の管理水準が求められることになります。また、大幅な仕様変更が生じれば、お客様と元請け企業だけではなく、元請け企業と下請け企業の間でも契約の変更が生じます。

 これまで、発注仕様を曖昧にしてきた両者の関係は、大きく見直されることになります。結果として、多重下請けの構造は、実質的に難しくなると考えられます。

 会計基準の変更に伴い、お客様との契約方法も見直しを迫られることになるでしょう。

 たとえば、請負契約の場合、成果物の完成責任は、受託した開発会社側が持つことになります。しかも、お客様も詳細な仕様は、開発受託企業側に任せてしまう場合がすくなくありません。そのため契約は、要件定義から本番移行までの開発の全行程を請け負う「一括請負」が一般的でした。

 しかし、一括請負契約では、開発の内容の詳細が曖昧なまま、金額や納期を決めて契約することもよくあります。そのため、何を持って成果物するかハッキリしないばかりか、進捗を確認する基準も明確ではありません。そのため、「工事進行基準」の適用は、容易なことではありません。

 これに対して、委託契約の場合は、成果物の完成責任は、お客様の側にあります。従って、進捗の管理は、それはお客様側の責任となりますから、仕事をしていれば、料金は支払われることになります。そのため、成果は把握しやすく、「工事進行基準」を適用しやすいと言えるでしょう。

 今後の契約に際して、注意すべき事は、以下の3点です。
  1. 受注契約前の仕様の確定(特に、見積もり精度の向上)
  2. 進捗管理精度の向上(厳密な定量的管理手法の適用)
  3. 契約形態の見直し(一括請負から分割請負へ変更することによるリスクの分散と管理効率の向上)
 詳細については、ここでは述べませんが、いままで、お客様や下請けとの関係を気遣い、曖昧にしてきた見積もり、契約、進捗管理のやり方を大幅に見直すことが迫られています。

 「工事進行基準」の採用は、PMだけの問題ではありません。ビジネス・プロデューサーであるソリューション営業の仕事に大きな影響を与えることになります。いままで受注仕様を曖昧なままに、お客様との取引を続けてきたとすれば、ここで見直さなければ、仕事そのものが出来なくなります。

 お客様の中には、まだ「工事進行基準」について、十分ご理解いただいてない場合もあるでしょう。そのようなお客様にも理解していただかなければ、仕事が進まなくなります。営業である皆さんが、率先して理解し、お客様にお伝えできるように準備しておかなければなりません。

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2009年2月24日火曜日

「ソリューション・パック」の削り売り

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 「中堅・中小企業向け オールインワン統合セキュリティシステム」
 「専門知識不要!セキュリティ対策がオールインワン!」

 こんな書き出しの宣伝広告を見かけました。とても興味を惹かれるキャッチコピーです。

 言うまでもありませんが、情報システム要員の少ないSMBにとって、オールイン・ワンのパッケージ・ソフトウェアやサービスは、ありがたいものです。

 確かに足にあわせた靴を履きたいところですが、多くのSMB企業にとって、その負担は、経済的な問題だけではありません。専門スキルを持つ人材を確保することも容易なことではありません。

 そんな企業にとって、開発や運用の手間を最低限に抑え、外部の専門家やパッケージに任せられる安心感は、ありがたいものです。

 以上のような観点から、改めて自社の販売する機器やサービスを見直し、「オールインワン」という発想から、新しい組み合わせを考えてみてはいかがでしょう。

 新たな商材を外部に求めることも必要なことではありますが、手持ちのものを新たな視点で組み合わせてみる。足りないところがあれば、新たな商材や開発によって補い、完成度を高める工夫をしてみてはどうでしょうか?今までにない、魅力が生まれてくるはずです。

 たとえ競合他社と同じ商材を取り扱っていたとしても、組み合わせの工夫次第で、自社のユニークネスを演出することができます。

 このような組み合わせ商品を「ソリューション・パック」あるいは、「ソリューション・パッケージ」という場合があります。

 ソリューション・パッケージは、なにも商材の組み合わせだけではありません。導入準備のためのコンサルティング・サービス、運用支援サービス、保守サポート・サービス、リースなどの金融サービスなども組み込んでみてるのです。まずは、どれだけのことができるのか、至れり尽くせりの内容を考え、パッケージのあるべき理想形を描いてみることをお勧めします。

 それをお客様に提案し、必要のないものは削っていたただきます。お客様にしてみれば、既に備わっているものを削ることには、意外と抵抗があるものです。また、たとえ削っても、それは自分の判断であり、納得してご購入いただけるでしょう。

 また、ソフトウェア・パッケージやASPサービスなども、後でオプションを増やしてゆくのではなく、フルオプションをまずは提供し、必要に応じて削ってゆくという、提供の仕方が、いいように思います。お試し期間で、フル・オプションを使ってみて頂くという方法もいいかもしれません。

 オプション追加されるたびに料金が加算されるよりも、不要なオプションを、お客様の意思で削っていただくことによって、料金を下げてゆくほうがはるかに満足感は高まるはずです。

 「あなたが何を売るかではなく、お客様は、なにをしてほしいのか」という視点で、製品やサービスの組み合わせを考えてみる。たとえ、ありふれた商材であったとしても、組み合わせにオリジナリティと新しさを見出すことができます。また、「フルオプションから削る」発想により、お客様により広範なサービスを受け入れていただければ、結果としてお客様の満足度も高まります

 不況だからこそ、知恵を絞り、人にまねのできない魅力を創造する。それもまた、ソリューション営業の仕事のうちです。

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2009年2月23日月曜日

システム 雲に載る (5) 完

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 SIS(Strategic Information System/戦略情報システム)、DSS(Decision Support System/意思決定支援システム)、EUC(End-user Computing)など、1990年ごろにもてはやされたキーワードです。もう死語となってしまいました。

 EA(Enterprise Architecture)やBPM(Business Process Management)なども、一次はやりましたが、最近は、あまれ聞かれなくなりました。

 こういう言葉は、コンピューター・メーカーが、マーケティング用語として作り出したものも多いわけですが、お客様に受け入れていただいたからこそ、その時代のトレンドをあらわすキーワードとして定着したのだろうと思います。コンピューター屋が勝手に押し付けたわけではないのです。

 営業という仕事が成り立つのは、お客様に仕事があるからです。見方を変えれば、お客様も仕事をしなくてはならならないので、仕事のネタを探しているのです。そんな、お客様に次の仕事のテーマやきっかけを提供するのが、こんなトレンド・キーワードなのです。

 旧態依然のシステムは、いずれコスト的にも機能的にも、時代に見合わないものとなります。また、時代の要請に応え、新たな仕組みを作る必要も生まれてきます。
 しかし、意思決定者にとって見れば、社内に、あるいは、経営者に対して、これからやろうという「仕事」が、世間の流れであり、常識になっていることを示さなくてはなりません。こういうときに威力を発揮するのが、トレンド・キーワードなのです。

 もちろんキーワードだけでモノが売れるほど、世の中はそんなに甘いものではありません。ただ、キーワードは、お客様の注意を喚起し、話しのきっかけを作ることには、大いに貢献してくれることは確かです。

 また、新しいトレンド・キーワードが世の中に出始めたころは、特にお客様の関心も高く、話しのきっかけを作りやすいものです。こういうきっかけを利用しない手はないでしょう。

 昨日のブログでも紹介しましたが、その言葉の意味や解釈が十分に定着していないときこそ、最も利用価値が高いといえるでしょう。営業は自ら進んでその言葉を整理し、自社の製品やサービスと組み合わせて新しいコンセプトを作り出してゆく。そこに自分たちなりの解釈、独自の組み合わせを組み込むことで、自社のユニークネスを発揮できるチャンスになるのです。

 お客様も自分の「仕事」のために、それを利用したいと思っているのです。新しいテーマを求めているのです。こういう時期だからこそ、そんなお客様の期待に応え、新しいトレンドをテーマに積極的な提案を仕掛けてみてはいかがでしょう。

 「クラウド」も旬のうちに、どんどん使わなくては、もったいないですよ。

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2009年2月22日日曜日

システム 雲に載る (4)

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 前回に引き続き、クラウド型サービスを前提としたビジネスについて、考えてゆこうと思います。

4.インフラまたは、共有サービスを提供するパブリック・クラウド型サービスを利用したお客様のアプリケーション開発を請け負う

 プラットフォーム・レイヤーや共通サービスレイヤーのクラウド型サービスは、アプリケーションを自社で用意し、コンピューティング・リソースを外部に依存するシステム利用の形態です。そのアプリケーション開発やそのシステムと社内システムを連携させる仕組みを開発する業務が生まれます。

 ただ、この場合、単にプロセッサーやストレージを外部に依存すると言うだけではなく、サービス・プロバイダーが提供する機能やサービスと組み合わせることで、クラウドならではの付加価値を高めることも可能となります。

 たとえば、世界最大のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)であるFacebook.comが提供するサービスでは、ここで開発したアプリケーションを自社のサービスとして外部に提供できるのですが、ここで提供されているSNS機能を組み込むことで、Facebook.comの巨大なソーシャル・グラフ(人と人との相関図、関係図)を自社のサービスに組み込むことが出来るようになります。

 また、Microsoft AzureGoogle Appのように、各サービスが提供する各種パーソナル・ツール類をサービスに組み込むこともできます。このように、クラウド型サービスが提供する共通サービスや上位のアプリケーションを利用することで、開発するアプリケーションの機能を向上させたり、自社だけで出来ないことが可能になるといったメリットを享受することが出来るようになります。

5.インフラまたは、共有サービスを提供するパブリック・クラウド型サービスを提供する事業者にアプリケーション・サービスを提供する

  プラットフォーム・レイヤーや共通サービスレイヤーを提供するサービス提供者に対し、アプリケーション機能を提供することや彼等のサービスを利用して自らサービスを提供するスタイルです。

 コンピューティング資源だけを利用して運用コストやスキルの問題を解決することも可能です。しかし、それだけではなく、クラウドならではの機能を利用することで、提供するアプリケーションの完成度や利便性を高め、サービスの品質を向上させることが可能となります。

 たとえば、先ほどのFacebook.comのように、自社だけであの強大なソーシャルグラフを作ることは出来ません。また、オフィース系のツールを組み込むことでユーザーの利便性を高めることも考えられます。このように、利用するサービスの特性を活かしながら、更に自社のアプリケーションの魅力を高める事も可能になるはずです。

6.パブリック・クラウド型サービスを提供する事業者のシステムを構築する

 一般的なデータセンター・サービスを提供する企業が、クラウド型サービスへ転換することを提案し、システム環境構築を行うビジネスです。ネットワーク、サーバー、VMやファイル共有、ロードバランシングなどを組み込んだシステム構築スキルが必要です。また、課金や運用監視にも対応しなければなりません。従って、システム運用管理に関わる技術も必要です。

 クラウド型サービスを一度使い始めたユーザーは、コンピューティング・パワーもストレージも、なかなか減らすことはできなくなります。特にストレージは、バックアップなどを考えれば、増えることはあっても減ることはありません。そう考えると、サービス開始当初は、コストが高くても、ハードウェアの値段は下がりますから、サービス提供者の収益力は高まります。従って、このようなお客様をしっかりつかんでおけば、継続的なリピート・オーダーを期待することができるかもしれません。

 ただ、そのためにもお客様のテクニカル・アドバイザーとして、頼りにされる専門知識と積極的な改善提案を行える人材の育成が必要となるでしょう。

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 かなり大雑把ではありますが、ソリューション・ベンダーとしてのクラウド・ビジネスにどう取り組めばいいのかを類型化してみました。

 ソリューション営業として大切なことは、このようなトレンドの変化をうまく利用して、お客様に新たな可能性への期待、夢を提供することだと思います。

 ちょっと、視点は違うかも知れませんが、お客様も仕事をしなければなりません。お客様もテーマを探しています。

 研修でもお話ししていますが、インターネットなどにより、情報入手の手段が増え、お客様も営業である皆さんも、情報の量に於いては、同じ立場にあります。従って、かつてのように、営業が、情報量の優位を武器にすることは出来なくなりました。

 しかし、こういうトレンドの変わり目は、営業にもチャンスがあります。それは、世の中の考えが、まだ統一されていないためです。お客様とは違う考え方を示しても、何らおかしくありませんし、新たな視点が、自社のユニークネスにもなりうるからです。

 だからこそ、こういう時期に提案の切り口として、新たなコンセプトと可能性を皆さんの言葉で積極的に伝えることが大切です。ビジネスでイニシアティブをとれるチャンスが生まれるのです。

 クラウドは、まだそんな過渡期にあるキーワードと言えるでしょう。

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2009年2月21日土曜日

システム 雲に載る (3)

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 ソリューション営業として、クラウド型サービスをとのように考え、ビジネスとして取り組んでゆくのか。その点について、考えてみようと思います。

1.自社で投資してパブリック・クラウド型サービスを提供する

 これには、先行的な設備投資が必要になります。また、どのようなサービスを提供するかも重要です。AmazonやGoogle、Microsoftのまねをすることは容易なことではありませんから、やはりアプリケーション、地域、人的サービスとの組み合わせなどにより、特化した独自性を提供することが必要になります。

 すでに独自のアプリケーション・パッケージを持っているとか、プラットフォーム構築に自信があれば、このようなサービスを提供することも可能でしょう。
 
 地域性を活かすというのは、意味があるかも知れません。昨日紹介したクラウドのリスクのかなりの部分は、ある特定の地域の中で運用、提供され、しかも相談できる相手がすぐそばにいると言うことで、大半は解決できるかも知れません。
 見方を変えれば、地域に特化したオンデマンド型データセンターという発想です。それを「XX地域クラウド・プラットフォーム・サービス」とでも命名すれば、なかなか先進的な印象も与えられるでしょう。

 ただ、単なるラック貸しやレンタルサーバーのままでは、看板を掛け替えただけであり、クラウドでも何でもありません。柔軟でダイナミックな・システム・リソースの利用とプラットフォームの仮想化は、前提となります。

 以前ご紹介したSaaS (Storage as a Service)を提供するブルーシフトは、少し特化したモノですが、自社の得意とするものをうまく活かしたサービス・レイヤの好例といえるでしょう。

 また、BPOサービスとの組み合わせという考え方もあるかも知れません。システムだけではなく、人的リソースとあわせ、また、業務スキルも含めて、全て丸抱えするという考え方です。このような、ビジネス形態は、システム事業者ではなく、業務受託サービスを提供している事業者が主体となるほうが、効果的かも知れません。

 どちらにしても、共通のプラットフォームを提供するというのではなく、独自の特色をどう出してゆくかで勝負が決まると思います。

2.お客様のプライベート・クラウド環境の構築を行う

 インフラやプラットフォーム構築を得意とするソリューション・ベンダーが、サーバービジネスを提案するときの「気の利いたメッセージ」になると思います。要するに、VM、ロードバランサー、SANそして、運用管理システムをひとつにまとめて、全体の構築を請け負いますという話です。

 今と何が違うのかという議論はありますが、クラウドという言葉の勢いを借りて、提案のチャンス、あるいは、セミナーなどの集客が行いやすくなるかも知れません。

 ただ、プライベート・クラウドの目的は、単に既存の分散するシステム資源を集約し、コストを削減することではなく、将来にわたって、常に全社として、低コスト、最適リソースで運営できる基盤を構築することにあります。ですから、単にオフィース系の分散されているサーバーをVMで集約するという単純な話ではなく、全社的あるいは、大きなユーザーを抱える事業所などの単位で、大きな仕掛けとして提案すべきではないかと思います。ここを差別化のポイントと考えてみてはいかがでしょうか。

3.お客様のクラウド型サービス利用のための環境構築を支援する

 クラウド型サービスを使うと言っても、全社のシステムを全てクラウドに置き換えてしまうことは、現実的ではありません。リスクを十分に考慮し、クラウドならではの良さを最大限に活かせるものから、クラウドを利用してゆくことを考えるべきでしょう

 たとえば、比較的リスクが少なく、モバイルでの利便性を考えるなら、Webメーラーやスケジュールなどのコラボレーション・ツールなどは、比較的容易に利用できる分野です。

 IBMが、今年の1月、香港の大手アプリケーション・サービス・プロバイダーであるOutblazeの電子メール・サービス資産を買収したのは、この分野のビジネスを加速しようとの思惑があるからです。IBMは、このシステムをビジネス・コラボーレーションのクラウド型サービスであるBluehoseと連携させることを考えているようです。

 また、GEの取引先50万社をつなぐSCMをSaaSで提供する話なども、企業をまたがる仕組みであり、リソースのダイナミックな配分が必要とされることを考えると、現実的な選択であったのかも知れません。

 このような、クラウドの利用を企画、計画の段階からコンサルティングし、その最適な利用形態を考え、計画を作ることもソリューション・プロバイダーに求められます。

 また、クラウド化されたサービスと既存システムとの連携や、シンクライアントなどの利用環境の革新も必要となります。これらをコーディネイトし、最適な利用環境を構築することが求められるはずです。

 ソリューション・プロバイダーの役割は、クラウド型サービスを利用するお客様の上流から下流までをトータルコーティトすることにあります。その上で、自社のサービスを提供できるのなら、ビジネスの規模を大きくすることができます。

 残りの3点については、次回考えてみようと思います。

■ 研修のご案内 ■ -----------

 さて、いよいよ、新たな年度のスタートに備え、下記日程にて、今年度最後の「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」が開催されます。

 ■ 標準コース : 3月 5日(木)、 6日(金) 2日間 東京
 ■ 管理者コース: 3月 9日(月)、10日(火) 2日間 東京

 今回からは、今までの研修で頂戴した皆様からのご意見を反映し、より解りやすく、よ実践的な内容にリニューアルして、講義をさせていただこうと準備をしています。

 特に管理者コースでは、今年のプランニングや今年度の部下の育成計画についても、踏み込んだ内容にしようと考えています。この管理者コースにつては、この厳しい景気を反映してか前回は定員割れとなり延期となってしまいました。
 
 お申し込みを頂きました皆様には、大変申し訳なく、お詫び申し上げます。そんな、皆様のお気持ちに報いるためにも、張り切って内容の充実を図ってまいります。
  • お申し込みは、こちらから。
  • パンフレットは、こちらからダウンロード出来ます。
多くの皆様のご参加を楽しみにしています。

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2009年2月20日金曜日

システム 雲に載る (2)

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  クラウド型サービスのリスクについて、米国の調査会社、ガートナーが、次の7つの点を上げています。その記事が、コンピューター・ワールドのWeb版に掲載されていましたので、それを一部要約する形で、紹介させて頂きます。

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1. 特権ユーザーによるアクセス
 ユーザー企業が利用するサービスの運営を外部に任せることになります。そうなると、システムの「物理的管理」「論理的管理」「人的管理」は、サービス提供者に依存せざるを得なくなります。「特権を持つ管理者や彼らに対するアクセス監視/制御を行うよう求める必要がある」(Gartner)と指摘しています。

2. コンプライアンス関連
 自社データの安全性と完全性は最終的にユーザー企業の責任となります。従って、外部の監査や安全性のチェックをユーザー企業が行うことができなければなりません。

3. データの保管場所
 クラウドですから、データがホスティングされる正確な場所は顧客は、わかりません。国内であるとも限らないわけです。とすると、データの保管/処理の法的権限、プライバシー保護規制などについて、サービス提供者とユーザーとが、契約を結んでおく必要があります。
4. データの隔離 
 ユーザーのデータは、クラウド・システム内で他の顧客のものと共有されます。暗号化や運用の手順などで、どのようなリスクがあるのか、あるいは、問題は生じないか、確認しておく必要があります。

5. データの復旧
 バックアップ、リカバリーの対応を明確にしておく必要があります。災害時への対応、トラブルが起こった場合の復旧時間、サービスの継続性などとともに、データの消滅や不整合の発生は避けなければなりません。

6. 調査に対する協力姿勢
 不適切行為や違法行為が行われたとき、調査ができるかどうかです。サービス提供者のコンプライアンス体制や調査請求や開示要求への対応条件など、明らかにする必要があります。

7. 長期にわたる事業継続性
 「決して倒産せず、大手企業に買収もしくは吸収されることのないクラウド・ベンダーを選びたい。」が理想としても、それができる保証はありません。データや運用のバックアップも含め、対策を講じる必要があります。
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 この指摘にもあるとおり、このようなリスクを考慮したうえで、利用するサービスの範囲や業務の棲み分けを考えておく必要がありそうです。

 ただ、過去の例をみれば、新しいサービスが多くの課題やリスクを持つことは、当然のことです。これら課題を解決してゆくことで、サービス品質を向上させてゆくのが、サービス提供者の仕事であり、利用する企業もそれを見ながら適用範囲を広げてゆくという相互関係によって、クラウド型サービスが徐々に普及、拡大してゆくと考えるべきでしょう。

 どこかの記事で読んだのですが、「20世紀初頭の製造業は、どこも自社内に発電所を持って操業していました。今では、そういうところは、ほとんどありません。」。クラウド型サービスもそんな過渡期にあると考えるべきでしょう。

 このような、クラウド型サービスを、どのように事業化し、また、IT営業として販売してゆけばいいのかについて、次に考えてゆこうと思います。

■ クラウド型サービスを販売する

 大きく分けると、次の6つのビジネス形態が考えられます。
  1. 自社で投資してパブリック・クラウド型サービスを提供する
  2. お客様のプライベート・クラウド環境の構築を行う
  3. お客様のクラウド型サービス利用のための環境構築を支援する
  4. インフラまたは、共有サービスを提供するパブリック・クラウド型サービスを利用したお客様のアプリケーション開発を請け負う
  5. インフラまたは、共有サービスを提供するパブリック・クラウド型サービスを提供する事業者にアプリケーション・サービスを提供する
  6. パブリック・クラウド型サービスを提供する事業者のシステムを構築する
それぞれについて、考えてみようと思います。

・・・ すみません。2回で完結しようと思ったのですが、いろいろと調べたり、考えたりしている内容がどんどん膨らんでしまいました。次回以降、複数回に分けて、もっと深掘りしてゆくことに方針転換です。

 よろしかったら、お付き合いください。また、ご質問やご意見、大歓迎です。是非、コメントでお寄せください。

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 特に管理者コースでは、今年のプランニングや今年度の部下の育成計画についても、踏み込んだ内容にしようと考えています。この管理者コースにつては、この厳しい景気を反映してか前回は定員割れとなり延期となってしまいました。
 
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2009年2月19日木曜日

システム 雲に載る (1)

 「クラウド型サービスの事業戦略を検討するように指示されています。今年の柱のひとつとして位置づけたいと考えているんです。」

 先日研修に参加されたソリューション・ベンダーの方が、こんな話しをされていました。確かに昨今のIT関連の話題を見ているとクラウド・コンピューティングの話題が、増えてきたように思います。

 不況の影響でコスト削減への注目が高まっている中、お客様の関心が高まっていることも背景にあるのでしょう。

 クラウド・コンピューティングとは何かについては、いろいろなところに紹介されています。そこで、このブログでは、ITソリューション営業として、どのように考え、取り組んでゆくべきかという視点で、2回に分けて考えてみようと思います。

■ クラウド・コンピューティングとは

 まず、最初にクラウド・コンピューティングとは何かと言うことについて、簡単にまとめてみようと思います。

 そもそも、クラウド・コンピューティングとは、全く新しい概念のことばではありません。今までにも使われていた、グリッド・コンピューティングやSaaS、Webサービス、ユビキタス・コンピューティング、オンデマンド・コンピューティングなどという言葉を包括する言葉として使われています。

 上記のような個別のシステム形態を包括した言葉にすぎません。しかし、Web2.0と同じように、この言葉によって、ひとつのトレンドをイメージすることができるという意味においては、新鮮な印象を与えています。マーケティングや営業活動のキーワードとして、お客様との会話を進める上で、また、提案の切り口として、使える言葉ではあります。

 さて、このクラウド・コンビューティングでは、その言葉通り、サーバーやストレージなどのシステム資源が、雲(=ネットワーク:ネットワークを雲のように描くことから)の向こう側にあります。ユーザーは、雲のこちら側からそのシステム資源を利用することになります。

 クラウド・コンピューティングでは、システム資源を利用する単位が、今までと大きく変わることになります。たとえば、従来は、ハードウェアについては、製品と台数が単位でした。しかし、クラウド・コンピューティングでは、「処理能力」となります。また、アプリケーションについては、パッケージ単位だったものが、処理機能単位に変わります。

 この考え方は、IBMが提唱していたオンデマンド・コンピューティングをインフラやプラットフォームだけではなく、アプリケーションにまで拡張した考え方といえるかもしれません。必要に応じて、ダイナミックにシステム・リソースを変更できることが、クラウドの魅力でもあります。

 ところで、Amazonのクラウド・サービス「EC2」とは、 Elastic Compute Cloud (Elasticとは、弾力のある、融通の利く、伸び縮みするという意味)のことです。

 ところで、クラウド・コンピューティングを、次の3つのレイヤーに分けて考えるとわかりやすいようです。

 ● プラットフォーム
 ● 共通サービス
 ● アプリケーション

プラットフォーム」とは、サーバーやハードディスク、オペレーティング・システムなどを提供するレイヤーです。クラウド・コンピューティングでは、これを仮想化技術などを組み合わせて、提供しています。

 IBMのクラウド・サービス「Blue Cloud」を見ると、サーバーの仮想化技術としてXenやPowerVM、分散ファイルシステムとしてHadoopを使うとしており、これ自身が特に目新しい技術というわけではなさそうです。しかし、これを大規模に組み合わせて、しかもサービス品質を維持しなければならないわけですから、必ずしも容易なことではありません。

 次の「共通サービス」は、データベースやユーティリティ、開発環境などが、含まれます。Amazon EC2、Google App、foce.comなどは、プラットフォームとともに、このレイヤーもカバーしています。

 最上位が、「アプリケーション」となります。Amazonのサービスを見ると700もの複数社のパッケージが共有サービスとして提供されており、それらをAmazonのプラットフォーム上で組み合わせて利用できるようになっているようです。

 他にも、salesfoce.comなどの法人向けサービス、GoogleのGmailやDocsなど、個人も含めたより広範なユーザー層を対象にしたサービスも提供されていています。

 また、クラウド・サービスを「パプリック」と「プライベート」に分けて説明されることがあります。
 
 たとえば、法人を対象としたsalesfoce.comやIBMのBluehouse/Lotus Live、個人を対象としたGoogleのGmailやDocsなど、インターネットを介して、広範なユーザーを対象に無償または安価で提供されているクラウド・サービスがあります。これを「パブリック」クラウドと呼んでいます。

 それに対し、「プライベート」クラウドは、ファイヤーウォールの内側、企業内で管理、提供されるサービスです。
 企業内に分散したリソースを単一のコンピューティング・プールとして利用することを目的とし、システム資源の最適化やコスト低減を図ろうというものです。場合によっては、ビジネス・パートナーやサプライチェーンなどを構成する自社と密接な関係にある企業も含めた利用環境も想定されます。

 「パブリック」クラウドで問題となるネットワークの帯域や可用性、機密漏えいなどのセキュリティについても、自社の管理下におくことで解決することができます。

 「パブリック」クラウドを提供しているAmazonは、自社内のシステム・リソースをXenを利用した仮想化プラットフォーム上で運用し、この「プライベート」クラウドを実現しています。

 世界的な市場調査会社であるガートナーは、今後の数年は、企業の「プライベート」クラウドの需要が拡大すると予測しています。ただ、このような取り組みが可能なのは、大企業に限られているとし、小規模、中堅企業(SMB)においては、「パブリック」の需要が、拡大するとも指摘しています。

 ところで、クラウド・コンピューテングの価値は、どこにあるかということですが、もっとも大きな魅力は、コスト低減にあります。また、SMBでは、運用に関わる人材の確保からも開放されるという魅力もあります。

 ハードウェア・コストが下がる一方で、人件費の割合は、相対的に高まります。クラウド化は、この問題を解決する手段となります。しかし、その一方で、システムの安定稼動やデータの保全、セキュリティへの懸念は、つきまといます。従って、すべての企業が、一気にクラウドに置き換えてゆこうということにはならないでしょう。

 しかし、解決は時間の問題です。また、用途を限れば、今でも十分に使える領域があるわけで、徐々にその範囲が拡大することになりると考えておくべきでしょう。
 GEが50万社を対象とした自社のサプライチェーンをSaaSで構築したケースを見れば、その可能性が十分にあることが理解できます。クラウドが一時的なブームに終わることにはならないと思います。 

 また、大企業とSMBでは、その対応が異なります。その違いとともに、営業としてどのように対処してゆけばいいのか、そのあたりについては、次回で考えてゆこうと思います。

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2009年2月18日水曜日

「ネクスト・アクション」は、オポチュニティ管理のマジック・アイテム

 「オポチュニティを管理する。」ということについて、考えてみようと思います。

 「オポチュニティ」とは、話はあるが、具体的なビジネスになるかどうかよくわからない案件のことです。たとえば、
  • 展示会に来場されたお客様から、CRMの導入について検討しているという話を聞いた。
  • いつも伺っているお客様の情報システム部門の方から、経理部で会計システムの刷新について検討しているらしいとの話を聞いた。
  • ERP導入に向けたプロジェクトをスタートさせたらしいが、その計画について十分な確認が取れていない。
などがオポチュニティにあたります。

 営業にとっては、わくわくする話であり、ぜひとも自分のビジネスにしたいと思うわけですが、なんともあいまいな話です。どれほど真剣に取り組んでいいのか図りかねる内容です。かといって、放置するにはもったいない話ですから、しっかりと裏を取って、判断したいと思うでしょう。

 しかし、それを頭の中にメモとして書き付けておくだけでは、ああしなければ、こうしなければと考えているうちに、うやむやになってしまいます。「おい!あの話し、どうなったの?」と上司に聞かれ、そういえばと思い出す・・・なんていうことになってしまっているのが、オポチュニティの現実です。

 こういうことになってはいけないとオポチュニティの一覧表を作り、管理されているところも少なくはないと思います。しかし、このような一覧表を作り、オポチュニティを書き加えていっても、いつしかゴミ箱になってしまいます。気がつけは、大昔の話がいまだに残っていて、「そういえば、この件、どうなったの?」と指摘され、「ああ、もうありませんよ。」などと無責任なことになってしまうこともしばしばです。

 本来、オポチュニティを一覧にして管理する目的は、営業活動の無駄をなくすためです。

 限られた営業の活動時間を有効に使うためには、数あるオポチュニティの中から、ビジネスになる可能性が十分にありそうな、質の高いものを選び出す必要があります。いくらがんばっても、これ以上の話しにはなりそうにないというものは、どんどん切り捨てなくてはなりません。その見極めをつけるまで、個々の「オポチュニティ」への関心を維持することが目的です。

 しかし、一覧に書き出すだけでは、その優先順位はわかりません。また、その価値を判断することもできません。

 そこで、ひとつの提案ですが、この一覧に「ネクスト・アクション」という一項目追加してみてはいかがでしょう。「ネクスト・アクション」は、実施期日、実施予定者、実施内容によって構成されます。

[2/25|吉田|伊藤システム部長を訪問しプロジェクト詳細を確認]

 こんな内容になるでしょうか。

 この一項目があるだけで、オポチュニティ一覧表は、一気に活性化されます。これを週次の営業ミーティングで確認するのです。このような確認作業を定期的に繰り返すことで、オポチュニティの新陳代謝が促進されます。その結果、常にホットなオポチュニティだけが、残るようになるのです。

 それでは、そんなホットなオポチュニティの中から、SEやスペシャリストの支援を受け、積極的にリソースを傾けるべき案件であるかどうかをどのように見極めればいいのでしょうか。

 そのもっとも効果的な手段が、「オポチュニティ分析」です。ある判断基準に従って、判定をするわけですが、これは、研修でご紹介しているものでもありますので、ここでは、この程度にしておきます。

 「オポチュニティ一覧表(ネクスト・アクション付)」と「オポチュニティ分析」は、オポチュニティ管理の必須アイテムです

 オポチュニティは、ビジネスの源泉です。営業の仕事は、このオポチュニティを集めることから始まります。しかし、自分の頭の中に仕舞い込んでいたり、だだ一覧表に書き出しているだけでは、いつかは腐り、ごみの山になってしまいます。

 「ネクスト・アクション」は、オポチュニティ管理を実効性あるものにするためのマジック・アイテムと云えるでしょう。

■ 研修のご案内 ■ -----------

ソリューション営業プロフェッショナル養成講座が、下記日程にて開催されます。
  • 標準コース : 3月5日(木)、6日(金) 2日間 東京
  • 管理者コース: 3月10日(火)、11日(水) 2日間 東京
今回からは、今までの研修で頂戴した皆様からのご意見を反映し、より解りやすく、よ実践的な内容にリニューアルして、講義をさせていただこうと準備をしています。

また、「是非、自分の上司を参加させたい」という、既受講者の方!「管理者コース」を開催いたします。是非このコースをご案内下さい。
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2009年2月17日火曜日

諸君!名刺で仕事をするな

  「諸君!名刺で仕事をするな」という本をご存じでしょうか。1984年、週刊朝日の名編集長であった扇谷正造氏の名著です。この本の序文に、次のようなことが書かれています。

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 肩書きとか会社名などというものは、いわば風袋で、風袋をとったところに、人間の価値がでてくる。ビジネスマンの勝負は、だから、ほんとうは「定年で会社を辞めてから」ともいえるかも知れない。

 吉川英治氏のことばに、”四十初惑”というのがある。四十不惑でなくて初惑である。二十代三十代は成功も失敗も、いわば人生経験にすぎない。四十になって始めて自分に何ができるか、何が向いているか真剣に迷い、考え、五十立志で人生の勝負をきめるというのであるが、日本人の平均寿命が七十三、四歳になったこのごろでは、四十歳というのは、ビジネスマンの一つの転機の目処かも知れない。

 そして、その時の決心の土台となるものは、彼が、それまで名刺で仕事をして来たか、そうでなかったか、にかかわっている。

*「風袋」とは、包みや容器のこと
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 1995年に日本アイ・ビー・エムを退職して早々、自分の仕事を売り込むために企業トップへのアポイントメントを試みました。IBMで養った(?)図々しさもあったと思いますが、何ら臆することなく、「ネットコマースの斎藤と申します。」と面会のお願いをしていました。面会の目的も明確に伝え、きっと話を聞いてくれるだろうという自信もありました。しかし、そう簡単にアポイントメントを取ることは出来なかったのです。

 なぜだろうと、自分では釈然としません。幸いにもご面会いただいた方に、それとなく聞いてみると。「IBMと言われたら話を聞こうという気にもなりますが、あなたの会社の名前では、そういう気持ちにはなりませんよ」と率直にお話を頂き、ショックを受けると共に、改めてIBMという会社の看板の大きさを思い知らされました。

 自分としては、中身で勝負、お客様との個人的な信頼関係が大切、看板など自分には無縁と思っていたのです。しかし、それは自分の奢り、非常識であったことを痛感しました。

 研修でも、「お客様に会社の名前ではなく、個人の名前で呼ばれる営業になりたい。」、「個人として、お客様に信頼してもらえる営業になりたい。」という話を伺います。

 大きな看板が無くなり、自分の名前だけで仕事をするようになり、改めてこの大切さを実感しています。

 営業は、どうしても数字に縛られます。「数字が人格」と言われているIBM営業として仕事をしてきた人間としては、その厳しさは並大抵のものではありませんでした。そんな厳しさのなかでも、結局は、お客様にご納得いただかなければ、数字を達成することなど出来ません。この両者の軋轢にどう対処するかが、営業という仕事の難しさであり、また、知恵の出しどころとも言えるかも知れません。

 研修の冒頭で、参加者に必ずこんな質問をさせていだきます。

 「皆さんのソリューションは、誰のためですか?」

 最初は、何を馬鹿なこととをと思っていらっしゃる方に、

 「営業予算(ノルマ)を達成しなければならないという、自分の課題解決のためのソリューションにはなっていませんか?本当にお客様の課題を解決するソリューションになっていますか?

 皆さんは、自信を持って「お客様の課題解決をいつも考えています」と言い切れるでしょうか。

 名刺で仕事をしないとは、にお客様の側に立ち、お客様の抱える課題を一緒になってやっつける同士であり、戦友となることです。同士に名刺も看板もいりません。お互いに命を張って、同じ敵に立ち向かう仲間に肩書きなどいらないはずです

 簡単なことではありません。しかし、そんな関係をお客様と築くことが出来れば、どんなに幸せなことでしょうか。

 「会社の名前ではなく、個人の名前で呼ばれる営業」とは、きっとこういうことを言うのだと思います。

 IBMの先輩達もこうやってお客様との関係を築き、その積み重ねが、IBMという看板の信頼へとつながっていったのだと思います。名刺や看板が先にあったわけではないのです。

 IBMを辞めて、もう14年が経ちました。しかし、わたしには、未だその模索が続いています。

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2009年2月15日日曜日

「コンサルタント」と「コンサルティングができる営業」の違い

 「コンサルティングできる営業になりたい」というお話を、研修に参加される方から伺うことがよくあります。

 ンサルティングとは、お客様が、まだ気づいていないことや整理できていないことに、新しい視点を提供し、なるほどそういう考え方があったのかと、お客様に気づいていただくことや現状や課題について、お客様に代わって整理し、誰もが理解できるように、文書化したり説明すること、が仕事です。

 お客様は、そんなコンサルタントの提言で、自らの課題に気づき、整理することができ、その解決策について、自ら検討するきっかけを得るのです。
 
 「コンサルタント」の仕事はここまでです。しかし、「コンサルティングが出来る営業」がこれで終わってしまっては、売上げに結びつきません。

 「コンサルティングが出来る営業」は、これを更に進める必要があります。つまり、自分の考えを言いっぱなしにするのではなく、その解決策について、具体的な方策を示し、その採用を働きかけることが必要です。

 コンサルティングの結果、どんなにすばらしい現状整理や気づきを与えることが出来たとしても、お客様が、その提言に納得し、課題解決への取り組みを具体的にスタートさせなければ、営業にとってビジネス・チャンスは生まれません。

 いくらあなたが課題だと思っても、お客様がそう思わなければ、どんなにすばらしい(とあなたが勝手に思っている)提言も、お客様にとっては、ありがたい助言の一つでしかないのです。

 「まさにそれがわたしの課題です。是非、解決策を提供して下さい」とお客様に望まれるところまで議論を重ね、具体的な解決策を合意することが、「コンサルティングが出来る営業」の仕事といえるでしょう。

 「コンサルティングができる営業」の仕事とは、
  1. コンサルティングをきっかけとして、お客様に課題を認識させ、課題解決の必要性を自覚させる。
  2. 課題解決の手段について合意を取り付ける。
  3. 課題解決について、費用や体制、スケジュールなどの具体的な方策について合意する。
 これは、ソリューション営業の仕事そのものです。

 全ては、お客様の成功を強く望むことからはじめなくてはなりません。この成功をもっとも強く望んでいるのは、お客様の社長ではないでしょうか。昨日のブログでも申し上げましたが、自分がお客様の社長になったら、どう考え、どのように行動するか。その視点を持つことが必要です。社長の視点で、お客様を見て、考える。そして、解決策実行した後、お客様が成功している姿をハッキリと描きながら自信を持って提言できれば、お客様は、きっとあなたの声に耳を傾けてくれるはずです。

 これは、とても知的で高度な仕事だとは思いませんか。お客様やその周りの情報を収集し、SEや専門家の意見を聞くことが必要です。右脳左脳を全開にし、想像力を働かせ、知恵を絞り、行動しなくてはなりません。そして、あなたが思い描いたとおり、お客様が成功し、お客様に感謝されつつ、お金もお支払い頂ける。これが、ソリューション営業の醍醐味というものではないでしょうか。

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煙のないところに煙をたてる

 「火のないところに煙は立たない。」ということわざがありますが、火があっても、煙が立たないことはよくあります。

 ソリューション営業の仕事とは、火に油を注ぎ、勢いよく燃え上がらせ、誰もが早く消さなければと思うようにさせることではないかと思います。あるいは、これから火が起きそうなところを先回りして見つけ、息を吹きかけてどんどん煙を立て、さらに炎を燃え上がらせることかも知れません。

 なんと、物騒なこととおしかりを受けるかも知れませんが、大火事になって、建物全部が焼け落ちてしまう前に、早く手だてを整えることができれば、それは、お客様にとってもメリットのあることに違いありません。相手がなかなか気づいてくれないのなら、「びっくり」させたり、騒ぎを煽ることも、時には必要なことなのです。

 「何かありませんか?」とお客様に伺ったところで、「何もありませんよ」と言われてしまえば、それ以上の話を聞くことは出来ません。俗に言う、ご用聞き営業の典型です。

 仮に何かあったとしても、お客様が、その何かを他人であるあなたに教える義務などありません。あるいは、その何かをお客様自身が気づいていないことや説明できるほどに整理できているとは限りません。

 そういうお客様に、

「食品原材料の原産地証明やトレーサビリティへの取り組みは、売上げにも直結する課題ですが、御社の商品を拝見すると、まだご準備を進められている段階のようですよね。今どんな対策を取られようとしているのでしょうか?」

などと、具体的に、場合によっては、ふれて欲しくない問題に踏み込んで、あえて聞いてみる。お客様にとっては、痛いはなしかも知れません。聞いて欲しくないことかも知れません。むしろそういうことをハッキリ指摘してみるのです。当事者である関係者がなかなか言えないことでも、直接関係のない第三者が指摘すれば、少しは冷静に聞いていただけるかも知れません。嫌な顔をされても、結局は、お客様のためにもなるのです。

 もし、自分がお客様の会社の社長だったら、どういうことを望むでしょうか。そういう視点を持つべきです。

 あなたが社長なら、何をしなくてはならないと考えるでしょうか。幸いにも、あなたは、お客様の会社の社長ではありません。お客様社内の利害関係に惑わされることもありません。世間のしがらみに気を遣う必要もありません。お客様の本当のあるべき姿について、理想を追求できる立場にあるのです。

  お客様の成功を心から望む発言であれば、お客様にとって耳障りの悪い言葉であっても、無碍に追い返すことなど出来ないはずです。お客様は、そんな仕事をしてくれる営業を求めているのです。

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コミュニケーション(2) 聞く、捨てる、身体をつかう

 久しぶりに熱を出して寝込んでしまいました。インフルエンザではなさそうです。ちょっと、疲れがたまっていたのかも知れません。だるさは、残っていますが、今はもう熱も下がっているようです。

 さて、前回の続き、コミュニケーションの大切な要素の一つ、表現力について考えてみようと思います。

 表現力を働かせるために、まず大切なことは、相手のはなしを聞くことです。

 前回も書いたことですが、相手の気持ちを完全に理解することなど出来ません。相手になりきることなどできないのです。だからこそ、自分の発言に対する相手の考えや反応に耳を傾けなくてはなりません。言葉だけではありません。相手の表情や頷き、向けている目の方向など、相手の考えを理解する手だてはあります。このような情報から、相手がどこまで理解しているのかを想像することが必要です。

 次に、どのように伝えるかと言うことですが、伝えるためには、伝えすぎないことが寛容です。「表現とは、捨てること」と申し上げてもいいでしょう。では何を捨てるかと言えば、それは装飾です。何かを伝えようとするとき、どうしてもその背景や理由を話したくなるモノです。そういうモノを一切捨て、今伝えたいことの核心、言い換えれば、結論を伝えることが大切です。装飾は、その補足として、必要に応じて後に付け加えれば十分です。

 自分は何を結論として伝えたいのかを意識しながら発言するということです。装飾が多いと、相手はあなたが何を伝えようとしているのか、混乱するでしょう。また、自分なりの都合のいい解釈を仕様とするかも知れません。装飾の中に本当に伝えたいことの核心が埋もれてしまい、それが見えなくなることを避けなくてはなりません。

 次に大切なことは、話の順序や構造を常に意識し、相手にそれを伝え、確認しながらコミュニケーションを図ることです。人は、相手の話を理解しようとするとき、なんらかの枠組みを設け、それに当てはめながら記憶にとどめようとします。その理解の枠組みをあなたが示し、共有しながら会話を進めると、相互理解が効率よくすすみます。一言で言えば、これから話をしようとしている内容の目次を示しながら会話を進めると言うことです。

 これは、言葉だけではなく、図表を使ってコミュニケーションをする場合にも当てはまります。図表について、補足すれば、伝えたいことの前後関係、階層関係などの構造を意識して、表現することが必要です。研修の「魅力的な提案書の作り方」でも紹介していることなので、この点については、この程度にしておきます。

 もう一つ、気遣うべきは、言葉の抑揚、身振り手振りなどのノンバーバルな身体表現です。

 言葉や図形などの論理的な情報に加え、相手に伝えるべき情報のどこに力点を置くかは、ノンバーバールな情報は、時に言葉以上に相手に強力に印象づけられます。

 ちょっと意味合いが違うかも知れませんが、わたしは研修の時によく使う手なのですが、受講者が眠そうにしているとき、あえてゆっくりと話しをし、声を小さくします。そして、その後一気に声を大きくします。そうすると、多くの場合、相手はこちらに顔を向けてくれます。

 それはともかくとして、言葉の抑揚や身体表現をタイミング良く使う訓練も必要です。特に、相手に強く印象を与えたいときは、コントラストを強めなくてはなりません。ゆっくり静かな発言のあと、大きめな声で手振りを入れながら話しをするといいでしょう。そんな、工夫も必要です。

 ここでは、きわめて表面的なことしかお伝えできないのが残念です。できれば、どうやれば、想像力、言葉力、表現力を向上できるのか、その具体的なノウハウについてお伝えする研修も提供しようかと思います。

 どちらにしても、コミュニケーション力は、営業にとっては、不可欠なスキルです。ご紹介したようなことを意識して見られてはいかがでしょうか。


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2009年2月13日金曜日

コミュニケーション(1)どうすれば相手に伝わるのか

 「伝えたという自分の満足ではなく、伝わったという相手の真実が大切です。」

 以前にも紹介した言葉ですが、営業にとってコミュニケーションは、大切なスキルです。このコミュニケーションのスキルを磨くためには、次の3つの能力を磨く必要があります。

1.想像力
2.言葉力
3.表現力

1.想像力
 コミュニケーションとは、相手と自分との相互関係です。言葉を介した考え方の交換、キャッチボールと言い換えてもいいでしょう。そんな関係を築くことだとも言えます。

 そのためには、何よりも先に相手のことを理解しようとする努力が大切です。

 事前に十分な情報を調べ、相手がどのような課題を抱え、何を期待し、何をあなたにして欲しいと望んでいるのかをあなたなりに考え、仮説を立てて相手に向かうことが必要です。

 また、相手の話に耳を傾けながら、相手が何を伝えたいのか、注意深く考えることも必要です。

 あなたのたてた仮説は、相手の話を理解し、整理するための枠組みとなります。その仮説に当てはめ、比較しながら、話を聞きき、相手が何を伝えたいのかを想像することです。そして、あなたの疑問やあなたなりの考えを相手にぶつけながら、その応答を聞き、さらに想像をふくらませる。そんな繰り返しを重ねながら、相手を常に理解しようと努めることが大切です。

 残念ながら、自分が相手になりきることなどできません。相手の気持ちを完全に理解することなど不可能です。また、相手の考えや気持ちは、常に変わります。だからこそ、想像力を維持し続け、その時々の相手を理解しようと努めなければならないのです。

 このような想像力こそが、まずはコミュニケーションの出発点といえるでしょう。

2.言葉力
 「今月検収予定の山田工業のプロジェクトだけど、予定通りだいじょうぶだろうね?」

という営業課長の質問に、部下の新前営業A君は、

「いゃー、マジ、ヤバイっすよ。前田部長から、仕様の見直しはいっちゃって。ボク的には、検収だけでも何とかお願いしようとはおもってるんですけど・・・」

いかがでしょうか。あなたは大丈夫でしょうか。問題があることはわかりますが、いったいどういう状況にあるのか、対応可能なのか、これではよくわかりません。なんといっても、貧相な語彙の羅列は、ビジネスマンとしての良識を疑います。

 みなさんなら、きっと次のように答えられるでしょう。

「少々問題があります。前田部長より仕様見直しのご依頼があり、とのように対応すべきか、SEと検討をすめているところです。仕様の変更をお受けするにしても、検収だけは、なんとか今月末までにご了承いただこうと、私からお願いするつもりでいます。どちらにしても、早急に対応するつもりです。」

 どちらがビジネスの現場でふさわしい会話かは、言うまでもありません。

 お客様から電話がかかってきました。

 「吉田専務は、いらっしゃいますか。」

 確認をしたところ、吉田専務は不在でした。そこで、新前営業のA君は、

 「吉田専務は、いらっしゃいません。」

 こんな返事をしてしまいました。敬語の正しい使い方がまったくわかっていないようです。

 「申し訳ございません。(専務の)吉田は、只今不在にしております。」

 とすべきです。残念ながら、A君のようなご返答をいただくケースは少なくありません。

 営業のことを英語で、sales representative と言います。representativeとは、代表者、代理人という意味です。会社を代表するものという意味があります。

 言葉の使い方ひとつで、相手の知性や品格を判断されます。お客様が、自分にふさわしくない知性や品格の持ち主であると思ってしまえば、お客様の心には高い壁ができてしまい、その先を進めることは出なくなってしまいます。

 コミュニケーションを円滑に進めたいのなら、ビジネスにふさわしい言葉力を身につける必要があります。

・・・ 表現力については、次回。

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2009年2月12日木曜日

沖縄の常識をぶちこわすところから

 研修に参加された方に伺うと、沖縄の景気は、本土ほどには冷え込んでいないようです。製造業が少ない沖縄では、まが急激な落ち込みはないようで、あるソリューションベンダーは、過去最高益というところもありました。

 「本土に比べて半年遅れるんですよ」という話を伺いました。沖縄ならでは話し方もあるのでしょうが、それほどの危機感は伝わってきませんでした。

 確かに統計を見てみると、沖縄の住宅着工数は、前年の2倍以上、個人消費も拡大の傾向にあります。また、不況の影響が目立ちにくいサービス業の比重が高いことや、不況であってもすぐにはサービスの縮小を行うことが難しいコールセンターやデータセンターなどのインフラやアウトソーシング型のサービスなども多く、不況の影響を受けにくい産業構造となっていることも理由と考えられます。

 しかし、観光客の減少が続き、昨年12月の完全失業率は、7.7%と全国平均の4.4%に比べ高い水準を維持、有効求人倍率も6ヶ月連続で低下しているなど、厳しい経済情勢となっています。

 限られた産業資源の中で経済的な均衡を維持している沖縄ですが、経済不況の影響が今後現れてくることは、避けられないことは確かです。

 沖縄滞在中、地元新聞の一面トップに「IBMが那覇にコールセンターを新設」との記事が出ていました。これはすごいとよく見てみると、新たな雇用創出はわずか200名とのことでした。他県の人間が、こんな事を申し上げることは、大変不見識なこととそしりを受けるかも知れません。しかし、この程度のことが大きなニュースになるということこそが、沖縄の現実を如実に表しているようにも感じます。

 先日のブログにも書きましたが、沖縄の可能性は、地質学的な安定性や低賃金の労働力という世間の常識を壊し、もっと積極的に外部からも人を取り込んで、新たな付加価値の創造、ITの知的発信拠点に転換してゆくことが必要なのではないかと思います。IT産業の税制優遇や補助金は、そう長く続くはずはありませんし、このような恩典に頼ることから、むしろ積極的に利用して、本質的なIT産業の構造転換は図るための施策を打ち出してゆくべきではないかと思います。

 人々の意識や価値観を変えるためにこの不況を利用する。そんな発想の転換があってはいいのではないでしょうか。

 クラウド型サービスが、大きなトレンドになりつつある中、これを大きなビジネス・チャンスです。自らの付加価値を高め、コストパフォーマンスという魅力以上の価値を創造する。そんなドラスティックな戦略が求められているように感じました。

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2009年2月10日火曜日

沖縄のおばあに営業の何たるかを学ぶ

 昨晩、沖縄から帰ってきました。沖縄の暖かさに慣れた体には、東京の寒さがいつも以上に厳しく感じられます。

 29年ぶりの沖縄でした。当時、沖縄の友人宅のトヨペット・クラウンが、まだ左ハンドルだったことを覚えています。たぶん、自動車が右側通行から左側通行に変わった翌年だったと記憶しています。

 さて、ホテルに到着し、チェックインまでに時間があったので、まずは走ることにしました。ランニングウェアに着替え、国際通りに面したホテルから首里城まで走りました。4キロほどの道のりは、かなり急な上り坂が続き、のんびり走るつもりでしたが、いい練習になってしまいしまた。

 那覇の東部、高台にある首里城は、古の琉球王朝の王宮であるとともに、遠来の使節を接待する場所として建てられたところだそうです。以前訪れたときには、古びた石垣と朽ちた木造の建物といった印象だったのですが、見事に修復され、とても美しい公園となっていました。豪奢だという印象は、まったくありません。控えめながら、中国風とも、日本風とも違う、独特の気品を感じました。

 インパチェンス、ハイビスカス、ブーゲンビリアの咲く公園を抜け、「西のアザナ」といわれる物見台に上りました。ここからは、那覇の街とその先にある東シナ海が一望できました。昔はここから港に入ってくる船を監視していたそうです。

 首里城から石畳の道を下りました。400年以上前に作られたものだそうですが、今でもしっかりと役割を果たしています。急な坂道沿いの家々は、どこも庭の手入れが行き届いています。坂道で日当たりもいいということもあるのでしょうが、この季節でも緑も多く花も咲いています。桜も満開の見ごろ。さすがに南国といった風景でした。

 石畳の道を抜け、さらに東へと再び坂を上り、高速道路に沿った広い国道に抜けました。車道も広いのですが、歩道も広く、どこかアメリカの道路のような雰囲気です。その道を那覇空港に向かって、今度はひたすら緩やかな下り坂を駆け下りました。「南風原町」と書いて「はえばるまち」というのだそうですが、いかにも沖縄らしい名前の町を抜けて、ラムサール条約の登録湿地となっている「漫湖」を横に眺めながら奥武山公園へと向かいました。

 国道沿いに臨む漫湖の周りには、うっそうとしたマングローブの林が広がっています。本土では見ることのない風景を楽しみながら、さらに足を進めました。

 奥武山公園では、沖縄県内の物産展を開催しており、離島や各地域の名まえが描かれた幟(のぼり)を立てたテントでは、各地の名産品の販売や試食、そしてにわか作りのレストランがたくさんの人を集めていました。そんなところで、おいしい沖縄の食べ物をつまみ食いをしながら公園を抜け、再び那覇の街中に向かって走り出しました。

 那覇で一番の目抜き通りである国際通りを抜け、ぐるっと18kmをのんびりと2時間近くかけてホテルに戻りました。そそくさとシャワーをあびて、ビールを飲もうと外へ飛び出しました。近くにあった、居酒屋へ飛び込み、オリオンの生ビールを一気に飲みほしました。気温20度を越えるなかを走ったせいで、すっかり乾いていた身体。細胞に染み渡るおいしさをこころから堪能しました。

 再び、国際通りをぶらぶらと歩いていると、ちょっと懐かしい商店街を見つけました。そこに公設市場の看板。ぶらりとはいってみると庶民の食材が、所狭しと並んでいましす。何を買うでもなく、うろうろとしていると・・・

 おばあ 「おにいさん、どっからきたの?」
 わたし 「東京から。さっきついたところです。」
 おばあ 「仕事?いつ帰るの?」
 わたし 「あさってかえります。」
 おばあ 「ホテルかねぇ?ひとり?だったら、ホテルでビール飲む?」
 わたし 「はい。」
 おばあ 「だったら、これつまみにしたらいいよ。」
 ・・・ と有無を言わさず、島らっきょうの塩漬けを私の手の上に乗せて、
 おばあ 「おいしいでしょ・・・」とニッコリ
 わたし 「おいしいですね。」
 おばあ 「だったら、ひとりだし、100グラムくらいでいいかな。」
 わたし 「あっ、はい・・」といってしまいました。
 おばあ 「これも、おいしいよ」といって、今度はミミガーを私の手の上にのせ
 おばあ 「どう?おいしいだろ。うちが一番だから・・・」
 おばあ 「これも、100グラムあればいいね。」
 わたし 「はい・・・」

 結局、しめて800円をお支払いしました。なんとも不思議な空気に包まれ、いつの間にか買い物をさせられ、最後に、わたしから「ありがとう」とひとこと。うわさには聞いていましたが、「沖縄のおばあはすごい」ということが、実感できました。

 今回の沖縄は、営業研修の講師という仕事ですが、このおばあこそ、最高の営業です。いずれ、研修でもこのネタを使ってみようかと・・・。なんだか、ちょっとうれしい気持ちになって、公設市場を後にしました。

 その後は、こちらでIBMの支店長をしている、IBM営業時代の同期と二人で、泡盛を片手に昔話に花を咲かせました。気がつけば、目覚まし時計に起こされ、ちゃんとホテルのベットに・・・。人間たいしたものだと、自分をほめてあげたい気持ちでいっぱいです(笑)。

 そんなことで、沖縄の最初の一日目を無事(?)すごす事ができました。

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2009年2月8日日曜日

沖縄をITの知的発信拠点へ

 沖縄へ向かう飛行機に乗るところです。快晴の羽田空港は、休日の早朝にもかかわらず混み合っています。

 今回の沖縄行きの目的は、那覇で開催される「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」の講師としての仕事を行うためです。沖縄のIT産業育成を目的として作られた「沖縄IT人材育成協議会」が主宰する「ITプロフェッショナル育成講座(ITOP)」の一環として明日より開催されます。

 20名ほどがご参加の予定と伺っており、みなさんの関心の高さとともに、講師としての責任の重さを痛感しています。また、集客にご尽力頂いた皆様へ心より感謝申し上げます。

 さて、ここ数日のブログで、サービスのアウトソーシング、つまり、ASPやSaaSなどのクラウド・コンピューティングを前提とした、IT利用の形態が拡大するだろうと言うことを書いています。
 このような今後のIT利用形態に於いては、私は、沖縄が、大きなビジネス・ポテンシャルを持っていると考えています。ITインフラの充実、地質学的な安定性など、今までもデータ・センターやコール・センターの集積地として発展してきた沖縄ですが、ますますクラウド型サービス・ビジネスにおいても、その価値は高まめてゆくのではないでしょうか。

 この発展を進めるための課題としては、東京や大阪などの大消費地の開発リソースとしての位置づけではなく、ASP、SaaSなどのサービスを自ら企画し、開発してゆく人材を県外から沢山集め、ITの知的発信センターとしての地位を築くことだと思います。

 地理的な利便性を活かせは、台湾や中国、東南アジアもその顧客です。また、ネットワーク越しのサービスと考えるならば、欧米も視野に入れたサービス拠点としての可能性もあります。

 インフラや労働力の供給拠点としての発想から脱却し、足りない人材は、内外から集めて強化する。そんな発想で積極的な施策を展開してみては如何と思います。

 さて、そろそろ時間です。沖縄の話は、また改めて書いてみようと思います。

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2009年2月7日土曜日

自分の靴を履かず、他人の靴をみんなで一緒に履く

 「足に靴を合わせるべきか、靴に足を合わせるべきか」

 自社開発か、パッケージ・ソフトウェアかについて語るとき、よく使われるたとえ話です。

 もう、10年以上も前のことです。ある製造企業が、米国の企業を買収し、50kmほど離れたところにあった親会社の本社に被買収会社の本社機能を集約しようとしたときの話です。その本社にいた200人ほどの社員の半分以上が、退職してしまいました。

 その時、現地のシステムを担当していた日本人のシステム担当役員は、「日本では、そう簡単に社員が辞めることはありません。ですから、業務が人に属していることは普通のことだと考えていました。しかし、アメリカでは、そういう考えを捨てないと、立ちゆかなくなってしまいます。システムに業務を作り込まないと、人がすぐに入れ替わってしまう状況では、事業を継続することさえ難しくなります。」

 アメリカ発のソフトウェア・パッケージは、そんな文化を背景にして生まれてきたものです。企業を越えて業務プロセスを一般化し、あるべきビジネス・モデルを想定します。それを前提にシステム・プロセスを設計し、プログラミングしてできあがったものです。

 このようなパッケージは、誰がやっても同じ事が出来るように、業務を徹底して作り込んでいます。見方を変えれば、現場での融通が利かないシステムに仕上がっていると言えるでしょう。むしろ、融通が利かないようにすることで、誰でも同じ業務をこなせるようにしています。そういう思想で作られているのです。

 一方、日本の企業は、伝統的に人に頼る仕事のスタイルを大切にしてきました。現場で融通を利かせることが尊重されます。それが日本企業の良さでもあるのです。当然システムにもそんな柔軟性が求められます。従って、仕事のやり方を型にはめられるような出来合いのパッケージ導入には、大きな抵抗が伴います。

 また、たとえパッケージ・ソフトウェアを入れるにしても、徹底して現場の業務にあわせるために前提となっているビジネス・モデルや業務プロセスを無視したカスタマイズを施すことも少なくありません。その結果、はじめから自主開発した方が、安上がりではなかったかというようなケースもあるようです。

 こんな事をしてしまうと、パッケージがどんどんバージョンアップしても、カスタマイズされた部分が容易に対応できず、結局はコストもかさみ、バージョンが塩漬けになることもよくありす。何のための、パッケージ導入なのか、訳のわからないことになってしまうこともしばしばです。

 アメリカと同じように、我が国でアプリケーション・パッケージ・ソフトウェアが普及しない背景には、こんな文化的背景の違いがあるのではないかと考えています。

 「自社開発至上主義」、「現状業務徹底対応主義」とでも言う文化は、雇用が安定し、人材の流動性が少ない時には、仕方のない事だったのかも知れません。しかし、時代の流れは大きく変わってきているようです。

 昨年、7~9月期の非正規雇用者の割合は、全就労者人口の34.5%に達しています。また、終身雇用が当たり前という常識はすでに崩壊し、転職はすでに一般化しています。人材の流動化は、拡大しています。また、グローバルな事業展開は、国内の国際化を促し、業務のローカル主義を許さない状況にあります。

 このような時代の流れの中で、従来と同じように人に依存した業務プロセスを構築することは、重大な経営リスクとなりかねません。また、システムに業務を作り込みこみ、誰でも同じ業務がこなせるようにすることが、日本でもそろそろ当たり前のこととして受け入れられるようになるのではないでしょうか。

 よく、アプリケーション・パッケージを販売する営業さんが、「パッケージにしたほうが、自主開発するより安上がりですよ」という売り込みを平気でする人がいます。これは、まったくお客様のことを考えていない、自分たちの都合に合わせた詭弁です。

 パッケージの背景にあるビジネス・モデルや思想をただしく伝えると共に、融通が利かない仕事のスタイルを受け入れる企業マインドの転換を訴えること。それが、もたらすメリット、デメリットをお客様と議論することから始めなければ、現場は混乱することになるでしょう。

 また、システムに作り込まれた業務にあわせることを受け入れるならば、必ずしも自社でパッケージを保有する必要もありません。SaaSやASPでもいいではないかという議論も出てきてもおかしくはないはずです。

 米国では、SaaSやASPなどのアウトソーシングへの支出は、企業のシステム関連支出全体の30%を越えているそうです。まだ日本ではそこまでの数字には至っていないと思うのですが、そういう流れが、今後加速するでしょう。

 パッケージ・ソフトウェアの導入やサービスのアウトソーシングは、そんな背景の違いをただしく理解してこそ、効果を発揮するのではないでしょうか。

 「自分の靴を履かず、他人の靴をみんなで一緒に履く」ことも、これからの時代の一つの選択肢になることは、間違えないと思います。

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2009年2月5日木曜日

会社や製品の紹介をしてはいけません

  「お客様に会うことができても、2回目につながらないんですよ。」

 新規顧客開拓をしている営業の方から、こんな相談を受けました。

 「紹介もあるのですが、比較的評判のいいパッケージを持っているので、ウエブからのお問い合わせもよくあります。セミナーや展示会からのお客様も多いですね。そんな機会を利用して、初めてのお客様に伺うのですが、最初の訪問で終わってしまうことが多いんです。」

 どんな話をしているのか聞いてみると。

 「まずは、会社の紹介をします。そして、このソフトウェア・パッケージの紹介や導入事例などをご紹介します。その上で、お客様にいかがでしょうか?と聞くのですが、多少の質疑応答のやり取りはあっても、結局は、"ありがとう、検討してみます"という話で終わってしまい、それきりなんですよ。」

 その後のフォローについて聞いてみると。

 「もちろん、しばらくしてから電話やメールでご検討の状況を聞きます。デモのお誘いもしてみるのですが、なかなかうまく行きません。」

 わたしは、こんな質問をしてみました。

 「ところで、お客様に伺う前にどんな準備をしていますか。」

 「はい、お客様の会社のホームページを見て、どんな会社なのかを確認します。それから、会社案内や製品のパンフレットを用意し、お客様に伺うことにしています。」

 さて、皆さんは、どこに問題があるとお考えでしょうか? 

 まず私が最初に思ったことは、「お客様の状況や課題を、どのタイミングで聞いているのだろうか」という疑問です。
 かれに聞いてみると、「最初に会社や商品を話をした後、いろいろと聞いてはみるのですが、あまり盛り上がらないんですよ。」とのこと。どうもここに問題がありそうです。

 お客様にとっては、初めての営業の訪問は、半信半疑、疑心暗鬼、あたるも八卦あたらぬも八卦・・・ といった気持ちでしょう。だれかの紹介だから仕方なく会うことになったのかもしれません。仮に何か解決したい課題を抱えていたとしても、初めての訪問者にどれだけ話していいものかと、壁を作っているはずです。

 そんな相手が自分の会社紹介や製品の話を蕩々とするわけです。自分の課題との関わりについては、自分で勝手に結びつけて考えてくれと言わんばかりです。気の重い時間が続きます。きっと、「はやくおわりにしてくれないかなぁ」と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

 そんな気持ちにさせる相手からの質問に、まともに答えようなどとは思わないでしょう。当然、再び話を聞いて見ようなどとは、決して思わないはずです。

 まず最初に会社や製品の紹介をする。一見当たり前のようですが、これは新規顧客開拓営業のやってはいけないリストの堂々1番目に掲げられている行為です。そんなことにお客様は、まったく興味がありません。

 お客様は、そんな話を聞くために、あなたと会ったのではありません。自分にとって、有意義な情報を引き出そう、相談に乗ってもらおうと思ってあっているのです。あなたの会社や商品の自慢話を聞きたいわけではありません

 まずは、お客様の状況や課題を聞き出すことです

 だからといって、「何か課題はありませんか?」、「どんなことでお困りでしょうか?」と聞いても、初めての相手に何でも話をしようとは思わないでしょう。また、お客様自身も自分の課題を人に正確に伝えられるほどに整理できていないかもしれません。そんなお客様に、何か課題はありませんかと聞いても、たいした話を聞くことはできないでしょう。

 最初にやるべきことは、お客様について情報を徹底的に仕入れることです。お客様のホームページだけではなく、お客様の競合会社、業界紙、いろいろいと得られる情報はあるはずです。そんな情報から、お客様の状況や課題について、自分なりの仮説を立てておくといいでしょう。

 「今御社(あるいは、お客様の業界)では、このような状況ではないかと思うのですが、XXXという対応はされているのでしょうか?」というように、お客様にあなたの仮説をぶつけてみることです。
 あるいは、「いま、御社のような業界では、こんな取り組みに積極的ですが、御社は如何でしょうか?」というように、お客様についてのあなたの理解や疑問を問いただしてみることです。そうすれば、それに応える形で、お客様は、いろいろな状況や課題を教えてくださるようになるはずです。

 不十分とはいえ、自分たちのことについて調べ考えてきてくれた相手には、お客様も安心感や信頼感を持って頂けるはずです。そういう相手なら、話をしてもいいと思って頂けるのではないでしょうか。

 お客様の懐に飛び込むとは、まさにこういうことです。

 こういう話をした上で、「今伺いました御社の課題については、弊社のソフトウェアのXXXという機能を使えば対応ができると思うのですが、ご興味はありますでしょうか?」と話してみてはいかがでしょう。お客様は真剣に話を聞いてくれるでしょうし、感想や新たな情報も提供してくださるのではないでしょうか。

 お客様の視点に立って話をするとはこういうことです。

 最初は、名刺を交換し、簡単な挨拶をすれば、それで十分です。それ以上の会社の話、商品の話は、無用です。お客様が聞きたいと思わない限り、あなたがいくら熱弁をふるっても相手には伝わりません。

 お客様との話が盛り上がり、最後になって、「あっ、ところでお宅は、どこの会社の方でしたっけ?」と言わせるぐらいでなければ、次にはつながりません。

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2009年2月4日水曜日

不況の裏に隠れたトレンドの変化を見落とすな

 「機構設計用に1万台ほどの3次元CADシステムが導入されているが、ここから3千台を解約しようとしていますよ。」

 設計システムのコンサルタントとから、ある自動車会社について、こんな動きを教えて頂きました。そこには、自動車の設計需要が、大幅に減ってきているという背景があるということです。これは、不況だからというわけではありません。自動車の作り方や製品トレンドが変わってきたためです。

 まず一番大きいのは、プラットフォーム(台車)統一化の動きだそうです。プラットフォームの開発は、自動車の性能を左右する大きな要素であり、今までは車種毎に最適化された設計開発が行われていました。そのため、種類も多く設計開発に膨大なコストをかけていたそうです。しかし、高い安全基準への適合や低燃費への対応を今まで以上にもとめられることとなり、そのコストが自動車メーカーにおおきな負担となってきているそうです。

 このような理由から、プラットフォーム統一化の動きが加速しているそうです。つまり、車種が違ってもプラットフォームは同じものを利用し、上にのせるボディーを変えることで車種にバリエーションを持たせようとのこと。この動きは、自動車業界の再編と相まって、メーカーを越えた統一が進み始めています。その結果、設計需要の低下に拍車がかかっているそうです。

 また、電気自動車の普及も3次元CADの需要を大きく減らすことになるとのこと。というのは、モーターがひとつひとつのタイヤと直結する構造となると、エンジンから動力をタイヤに伝える機構が不要となります。そのため、機構系の設計が大幅に簡素化されることから、需要も減ることが予想されているそうです。

 3次元CADビジネスに大きく依存してきた一部のシステムベンダーにとっては、大変なことです。ライセンス収入が大きく減るだけではなく、それに付帯したハードウェア需要の減退、保守サービス費用。周辺開発に伴う請負や委託、CADデータの入力委託など、その影響は広範にわたります。

 このような需要構造の変化にどう対応するか。経営の根幹にも関わる大きな課題となっています。

 昨日のブログでSierやITベンダーの中抜きについて書きましたが、これも3次元CAD需要の減少と同様に、不況が原因ではありません。お客様のニーズが、大きく変化したからです。

 この変化は、今までのトレンドの延長上にある変化と言うよりも、パラダイムの変化と言うべきでしょう。つまり、今まで自分たちが乗っかっていた軸から、あたかも別の軸に飛び移ったようなモノかも知れません。ですから、同じ視点でこの先を予想し、戦略や施策を考えても、役に立たないかも知れないのです。

 過去の歴史を振り返れば、不況はこのようなパラダイムの変化を加速します。景気がいいときは危機感もあまりなく、車も時速40Kmの制限速度を守りながらある目的地に向かって真っ直ぐ走っていました。しかし、いざ大災害が起こり、そこから逃れるためには、目的地を変えなければなりません。そのため大きく進行方向を転換をする必要があります。しかも、大災害はどんどんこちらにも迫ってきます。時速120kmもの猛スピードで移動しなければならないのです。

 「業績が悪いのは不況のせい」と本当に言い切れるでしょうか。その裏側では、お客様に大きなパラダイムの変化が起こっているのではないでしょうか。もしかしたら、お客様自身もそのことに気づいていないかも知れません。

 「課題は変化の中にある」、「課題をお客様と共有することからソリューション営業の仕事は始まる」

 そんなことを具体例を挙げながら研修では、話をしています。昨日、今日のケースでは、この大きな変化は見える形で目の前に存在しています。しかし、見えるようになるまでには、もっといろいろな形で兆候が現れていたのではないでしょうか。私たちも、お客様もその変化を見落としてはいないでしょうか。

 お客様は、パラダイムの変化に対してもソリューションを求めています。こんな時こそ、ソリューション営業である私たちの出番です。

 お客様の課題を解決するという私たちの仕事の原点を自覚し、この変化にどう対処するか。ITができることは、少なくないはずです。

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2009年2月3日火曜日

 「まだ大丈夫」の時間は、限られています

 「うちの仕事もいずれなくなるでしょうね。」

 一部上場・製造業のシステム子会社役員が、こんな話をされていました。

 この会社は、もともと親会社の情報システム部門が、独立採算を求められて設立された会社です。親会社やグループ会社からだけではなく、他からも仕事を受注し事業規模を拡大することが求められてきました。しかし、設立して6年ほどですが、未だ親会社やグループ会社からの売上が、全体の8割を占め、独立には、ほど遠い状況となっています。

 今年度の目標は、「直ビジネス(親会社を介さない直接とり引き)を3割以上にする」ということなのだそうですが、今までの2割にしても、親会社のつてを使ってのビジネスが、かなりの割合を占めていて、実質的には、9割近くが親会社関連の仕事という状況です。「なんとも控えめな目標設定」などと不謹慎なことを考えてしまいましたが、この会社にとっては、大きなハードルのようです。

  こういう事業構造の中で、営業の仕事といえば、決まった親会社のシステム予算を滞りなく消化することであり、親会社のシステム関係者との人間関係や事務処理能力が求められていて、自ら企画し仕掛けてゆく営業力は、必要とされませんでした。何とかしなければという言葉、今まで幾度となく話をされていたのですが、有効な対策は何も打たれてきませんでした。

 しかし、景気の低迷とともに、親会社からの仕事も先細り感が強まる中、そのことを、今になって、やっと大きな課題として実感しはじめているとのことでした。

 さらに、ここへ来てさらに大きなトレンドの変化が生まれようとしているというのです。というのは、親会社が、システム機能のアウトソーシングを積極的に推し進めようと動き始めているというのです。

 今までは、親会社は、自社開発にしろ、パッケージを利用するにしろ、自社で設備やハードウェアを持っていました。そして、このシステム子会社に開発や保守、運用管理を任せるといった形でビジネスが、成り立っていたのです。

 しかし、今後自社には、原則としてアプリケーション・システムを持たずASPやSaaSの形で利用する方向に向かおうというのです。そうなると、今まで委託や請負で任されていた仕事がなくなることになります。

 大きな会社ですから、短期間にすべてがそうなるというわけには行かないでしょうが、ミション・クリティカルではない業務から順次移行されることは確実です。また、昨今の不況の影響を受けてその動きを加速しようというトップの意向あり、待ったなしの状況に追い込まれているのです。

 「6年間の猶予が与えられていたのに、結局は何も対策を打ってこなかったことのツケが回ってきたのでしょうか。」と自戒をこめて話をされていました。

 「ストック・ビジネスの時代へ加速する」や「えっ!?まだ御社ではITの運用や開発に人を抱えているんですか?」でも書きましたが、このような動きは、もう特別なことではありません。

 これは、業務も含めたビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)ということではなく、純粋にシステム機能だけを外部に任せ、システムの開発や運用管理を手放してしまおうというものです。そうなると、いままで開発や保守、運用や管理の委託や請負で売り上げを確保していた企業は、仕事がなくなります。当然、SIもいらなくなります。SIerやIT機器ベンダー「中抜き」時代へ大きく動き始めているのです。

 「まだ大丈夫。すぐにはそうなりませんよ。」

 確かにそのとおりだと思います。ただし、半年や一年程度ならという条件付ですが・・・。

 こういう時期だからこそ、動きは一気に加速します。景気が回復しても、その勢いがとまることはないでしょう。

 事業構造をどのように変革するかも重要ですが、その源泉は、お客様のニーズです。そんなお客様のニーズをきちんと拾い、企画や提案にまとめられる営業力です。机上の事業プランだけでは、結局は継続することなどできないでしょう。そんな、お客様の視点を社内に持ち込む営業の力が、この会社には必要なようです。

 「まだ大丈夫」の時間は、限られています

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2009年2月2日月曜日

プロダクト営業は、思想を売る伝道師

 「お客様の課題を探り、お客様個別の解決策を提案するのが、ソリューション営業であるということは理解できます。しかし、プロダクト販売に責任を持つ営業は、そのとおりにはできません。どうすればいいのでしょうか?」

 こんな質問をいただいたことがあります。この点について今日は考えてみようと思います。

 確かに、プロダクトを販売するのだから、どうしてもその製品の性能や機能の優位性をお客様に伝えなくては商売にならないと考えがちです。しかし、お客様にしてみれば、たとえその商品のコストパフォーマンスが、他社の同等製品を凌駕するものであっても、自分に必要がなければ買いたいとは思いません。ここまで、極端ではなくても、その製品が自分たちの業務に最適であり、期待通りの効果を挙げてくれるという確信が得られれなければ、購入には至らないでしょう。

 結局のところ、お客様の業務の状況や課題について、十分に話を聞き、お客様の業務課題を、どれほど効果的に解決してくれるかを説明する必要があるのです。この点については、お客様に責任を持つ「アカウント営業」と変わるところはありません。

 また、お客様の課題をひとつのプロダクトですべて対応できるという保証はありません。となると、カスタマイズや他のプロダクトとの組み合わせを提案する必要があります。

 これでは、両者の違いは曖昧なままです。では、最大の違いは何かといえば、プロダクトの性能や機能だけではなく、本当の意味でのプロダクトのスペシャリストとして、そのプロダクトが実現しようとしているあるべき姿や目的、製品が作り出された背景や思想について、お客様に的確に伝えられるとともに、お客様の業務への適合性、課題解決の筋道や効果が合理的に説明できることにあるのではないかと思います。

 同じジャンルのプロダクトを表にして、機能のあるなし、優劣を比較したところで、どれも一長一短があり、価格に見合ったそれなりの比較しかできません。結局は、お客様と営業との親密さや会社のつきあいの深さなど、政治的なバイアスが介在し、落ち着くところへ落ち着くと言ったところだろうと思われます。しかし、このような方法では、真のプロダクトの価値は伝わりません。お客様にとっても最前の策を選択したことにはならないのです。

 プロダクトには、それが作られた背景や意図があります。あるいは、前提となるビジネス・モデルがあります。それが、基礎となり、業務現場のニーズをくみ上げながら、機能や性能が作り込まれてきたわけです。機能のあるなし、性能の優劣は、お客様の必要に対する結果であって、それ自身がプロダクトの価値を決定するモノではありません。業務目的や思想が異なれば、お客様の必要は変わってくるのです。

 つまり、プロダクトの目的や思想をお客様に正しく理解していだき、自分たちの業務にうまく適合出来るかどうかを考えていただく。できないとすればどのような対策、つまり、他のプロダクトとの組合せやカスタマイズなどをすれば、いいのか。その点をお客様と議論し、合意を得られるように対策を提案、説得することが、「プロダクト営業」の仕事です。

 プロダクトの目的や思想が、お客様のそれらと異なると、例えカスタマイズで表面的な機能は似せることはできても、使い勝手が悪いといったことやバージョンアップするとまた大きなカスタマイズが発生するなどの事態を招きかねません。それでもどうしてもプロダクトを使いたいのならば、お客様の業務そのものを変更して頂いたほうが、効果が期待できます。

 このように、お客様の業務にまで踏み込んで、プロダクトの適用を提案することが、「プロダクト営業」には、求められているのです。

 どちらの営業スタイルもお客様の課題を解決することに変わりはありません。ポイントは、手段の違いです。アカウント営業は、商品がないからスタートし、お客様にとって最適な組み合わせを模索し、作り上げてゆくメイキング営業です。一方、プロダクト営業は、プロダクトの目的や思想が、お客様の業務の特性や課題に適合しているかどうか、もし違いがあるとすれば、どのようにギャップを埋めればいいのかを提案するマッチング営業といえるでしょう。

 どちらにしても、お客様の課題を解決するという点に置いては、ソリューション営業であることに違いはないのです。

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