Gメールをご存じでしょうか?グーグルが、無料で提供しているウエブ・メールです。
2004年のサービス開始当初、1GBを無償で使えると言うことで、ギガ・メーラーの先駆けとなったサービスです。今では、その容量も6.3GBに増え、今後もどんどん増え続けそうな勢いです。一生消さないで蓄えられるだけの容量が、確保されていると言っても過言ではありません。
Gメールの魅力は、容量の大きさばかりではありません。複数アカウントの管理、フィルター設定など、PCメーラーが備えている一通りの機能を備えています。また、迷惑メール・フィルター、アンチウイルス機能も無償であり、その精度の高さには、文句のつけようがないくらいです。
かつて、ウエブ・メールは、画面の表示には常に再読み込みが伴い時間がかかることやショートカット・キーが使えないことなどの操作性の悪さを指摘する声がありました。しかし、今では、Ajaxを利用し、PCメーラーとなんら遜色がありません。しかも、グーグルの得意とする高速、高性能な検索機能のおかげで、従来のようにきめ細かくフイルターで仕分けておかなくても、すぐに目的のメールを見つけることができます。これは、ほんとうに便利です。
また、なによりも、特定のPCに依存しないところがいいですね。パソコンを持ちあるかなくても、もちろん携帯電話からでも利用できる便利さに、今では、メールはすべて、Gメールを経由しています。
Gメールを使う、もうひとつの理由は、データのバックアップが必要ないことです。米国カーネギーメロン大学の調査によると、ハード・ディスク・ドライブの故障率は、年間で3%だそうです。また、Gメールを運営するグーグルでは、なんと8%も故障するそうですから、いつも持ち歩き、振動や衝撃を与え続けている自分のノートPCを考えると、ぞっとします。
以前は、外付けのハードディスクにバックアップしていました。しかし、忘れることもしばしばで、そんなときに限って事故はおきるものです。おかけで、何度も悲しい思いをしました。
今は、その心配もなくなり、心穏やかな日々を送っています。
Gメールの利用は、私のような個人にとどまりません。例えば、日本大学では、10万人を越える全学生に対して、このサービスを利用したメール・アカウントを提供しています。
これは、Google App といわれる有償のサービスですが、同様に多くの企業で利用され始めています。
また、Google Docsといわれるワードやエクセルに相当する機能を提供するサービスもそろそろ使えるものになってきました。
確かに、最新のマイクロソフト・オフィースに比べると機能は、劣ります。しかし、データの互換性は、そこそこですが、高度な機能を使うことは、めったにありませんので、それほど困ることがありません。最近、重要な原稿は、Google Docsにアップするようにしています。
先日米国に住んでいる娘夫婦が帰国する際、彼女は、生意気にも、その日程をGoogle Docsのスプレッドシートに書き込んだので、私に共有するように連絡してきました。私は、その日程表にこちらの予定を書き込み、また、彼女も追加や修正を加えてゆきます。変更や追加したことは、直ちにメールに通知されることから(設定しだいですが)、タイミングを逸することはありませんでした。
このように、同じデータを共有して作業を行うことは、PC版エクセルの標準的な機能では、できないことです。
さすがは、わが娘です。「あれもお願い、これもお願い・・・」ということを、この機能を使い、さりげなく要求してくるところなど、私よりもはるかに先進的な(?)使い方を心得ているようでした。
Ajaxを使い操作はネットのこちら側でサクサクと行い、データは、ネットの向こう側で確実に管理する。こんな使い方が、そろそろ当たり前の時代になりました。
このような考え方は、パッケージ・ソフトウェアをビジネスの柱としてきたマイクロソフトの戦略にも大きな影響を与えています。次期オフィース製品であるoffice14には、Live Mesh という技術が搭載されるそうです。この技術は、ネットのこちら側のPCとネットの向こう側にあるサーバーの間でデータを同期するものです。
グーグルは、ネットの向こう側にオリジナル(原本)を持ち、マイクロソフトは、ネットの両側、つまりどこにでもオリジナルを存在させるという考えのようです。どちらにしても、ネットワークとその向こう側を信頼するという前提で、サービスを提供しようとしていることには、まちがえはありません。
今まで、ネットの向こう側に信頼を置くということには抵抗があり、「個人としては、使えても、企業では使えない」ということも言われてきました。しかし、Gメールは、99.9%のサービス品質保証制度を導入すると発表しています。
ネットの向こう側に巨大なコンピューターを構築する。しかも、そのほとんどが、無料、あるいは低料金で利用できるのです。
メールやオフィース・ツールだけではなく、フォト(写真)・ストレージ・サービスも膨大な登録会員を抱えています。また、今まさに書いているブログにしても、公開するだけではなく、自分の考えや情報を整理し、それを保管する手段として、ネットの向こう側に頼っているのです。
ライフ・ログという考え方があります。言葉の通り、人生そのものを記録に残するというものです。メールや文書、写真などが、一生消されないままに蓄積できるようになり、ネットは、まさに巨大なライフ・ログの集合体となりつつあるのです。
ソフトウエア開発、パッケージ導入やバージョンアップ。今まで私たちは、ネットのこちら側を前提として、ビジネスを考えてきました。
「ネットの向こう側は、信用できないので、こちら側で持たなければ、大変なことになりますよ。」
そろそろ、この考え方を変えなくてはならないようです。
自分たちが、ネットの向こう側になるのか、それともこちら側になるのか。そういう視点で、これからのビジネスのあり方を考えてみるべきではないでしょうか。
■ 締め切り迫る ■ -----------
今年度最後の「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」が開催されます。
■ 標準コース : 3月 5日(木)、 6日(金) 2日間 東京
■ 管理者コース: 3月 9日(月)、10日(火) 2日間 東京
今回からは、今までの研修で頂戴した皆様からのご意見を反映し、より解りやすく、よ実践的な内容にリニューアルして、講義をさせていただこうと準備をしています。
特に管理者コースでは、今年のプランニングや今年度の部下の育成計画についても、踏み込んだ内容にしようと考えています。この管理者コースにつては、この厳しい景気を反映してか前回は定員割れとなり延期となってしまいました。
お申し込みを頂きました皆様には、大変申し訳なく、お詫び申し上げます。そんな、皆様のお気持ちに報いるためにも、張り切って内容の充実を図ってまいります。
多くの皆様のご参加を楽しみにしています。
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