「本土に比べて半年遅れるんですよ」という話を伺いました。沖縄ならでは話し方もあるのでしょうが、それほどの危機感は伝わってきませんでした。
確かに統計を見てみると、沖縄の住宅着工数は、前年の2倍以上、個人消費も拡大の傾向にあります。また、不況の影響が目立ちにくいサービス業の比重が高いことや、不況であってもすぐにはサービスの縮小を行うことが難しいコールセンターやデータセンターなどのインフラやアウトソーシング型のサービスなども多く、不況の影響を受けにくい産業構造となっていることも理由と考えられます。
しかし、観光客の減少が続き、昨年12月の完全失業率は、7.7%と全国平均の4.4%に比べ高い水準を維持、有効求人倍率も6ヶ月連続で低下しているなど、厳しい経済情勢となっています。
限られた産業資源の中で経済的な均衡を維持している沖縄ですが、経済不況の影響が今後現れてくることは、避けられないことは確かです。
沖縄滞在中、地元新聞の一面トップに「IBMが那覇にコールセンターを新設」との記事が出ていました。これはすごいとよく見てみると、新たな雇用創出はわずか200名とのことでした。他県の人間が、こんな事を申し上げることは、大変不見識なこととそしりを受けるかも知れません。しかし、この程度のことが大きなニュースになるということこそが、沖縄の現実を如実に表しているようにも感じます。
先日のブログにも書きましたが、沖縄の可能性は、地質学的な安定性や低賃金の労働力という世間の常識を壊し、もっと積極的に外部からも人を取り込んで、新たな付加価値の創造、ITの知的発信拠点に転換してゆくことが必要なのではないかと思います。IT産業の税制優遇や補助金は、そう長く続くはずはありませんし、このような恩典に頼ることから、むしろ積極的に利用して、本質的なIT産業の構造転換は図るための施策を打ち出してゆくべきではないかと思います。
人々の意識や価値観を変えるためにこの不況を利用する。そんな発想の転換があってはいいのではないでしょうか。
クラウド型サービスが、大きなトレンドになりつつある中、これを大きなビジネス・チャンスです。自らの付加価値を高め、コストパフォーマンスという魅力以上の価値を創造する。そんなドラスティックな戦略が求められているように感じました。
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