2009年2月25日水曜日

工事進行基準で変わる受注の仕方

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 既に皆さんもご存じのように、今年4月からソフトウエアの開発受託に「工事進行基準」が適用されます。今までは、「工事完成基準」か「工事進行基準」かのいずれかを選択できるようになっていたのですが、これからは、「工事進行基準」を採用することが、原則として義務づけられることになります。

 「工事完成基準」では、ソフトウェアが完成した後、お客様から検収を受けた時点で売上げを計上します。この方法は、単純で解りやすく、従来のソフトウェア受託開発に於いては、広く用いられてきました。
 しかし、その一方で、開発期間が長期にわたるような場合は、その間のコストや売上げが見えず、企業会計の実態が見えづらいという問題が指摘されていました。

 これに対して、「工事進行基準」では、ソフトウェアの完成の度合いに応じて、売上げを計上します。たとえば、開発が2年にまたがるような場合、まだ検収を受けていなくても、最初の1年目で50%まで完成していれば、その分を売上げとして計上しなければならなくなります。

 このような「工事進行基準」は、営業の契約の取り方にも大きな影響を与えることになります。

 もっとも大きな影響は、曖昧な仕様のままで受注することが出来なくなります。従来は、基本的なシステム要件と金額や納期が決まっていれば、「後はよろしく」と頼まれて、契約時点で詳細が決まっていなくても受注するようなことがありました。しかし、「工事進行基準」では、作業の進捗に応じて売上げを計上する都合上、契約時に仕様を明確に規定しておく必要があるのです。

 これまでならば、契約締結後に仕様の変更があっても、ある程度のことであれば、やりくりすることもできました。しかし、進捗やコストに影響を与えるような変更が生じた場合は、その都度見積もりを見直し、契約を締結し直すことが必要となります。従って、今まで以上に、見積もりの精度向上と、発注仕様書の必要性、厳密さがもとめられるようになるのです。

 また、この発注仕様の厳密さは、お客様との契約だけではなく、元請けと下請けとの契約においても、影響を与えることになります。

 ご存じのように、日本の多くの企業では、元請けが二次請けに、さらに二次請けが、三次請けに仕事を委託する多重下請けが、頻繁に行われています。しかし、「工事進行基準」が適用されると、元請け企業は、精度の高い見積もりと厳密な進捗管理を行う必要に迫られます。

 そうなると、下請け企業もそれに対応しなければなりません。同様の管理水準が求められることになります。また、大幅な仕様変更が生じれば、お客様と元請け企業だけではなく、元請け企業と下請け企業の間でも契約の変更が生じます。

 これまで、発注仕様を曖昧にしてきた両者の関係は、大きく見直されることになります。結果として、多重下請けの構造は、実質的に難しくなると考えられます。

 会計基準の変更に伴い、お客様との契約方法も見直しを迫られることになるでしょう。

 たとえば、請負契約の場合、成果物の完成責任は、受託した開発会社側が持つことになります。しかも、お客様も詳細な仕様は、開発受託企業側に任せてしまう場合がすくなくありません。そのため契約は、要件定義から本番移行までの開発の全行程を請け負う「一括請負」が一般的でした。

 しかし、一括請負契約では、開発の内容の詳細が曖昧なまま、金額や納期を決めて契約することもよくあります。そのため、何を持って成果物するかハッキリしないばかりか、進捗を確認する基準も明確ではありません。そのため、「工事進行基準」の適用は、容易なことではありません。

 これに対して、委託契約の場合は、成果物の完成責任は、お客様の側にあります。従って、進捗の管理は、それはお客様側の責任となりますから、仕事をしていれば、料金は支払われることになります。そのため、成果は把握しやすく、「工事進行基準」を適用しやすいと言えるでしょう。

 今後の契約に際して、注意すべき事は、以下の3点です。
  1. 受注契約前の仕様の確定(特に、見積もり精度の向上)
  2. 進捗管理精度の向上(厳密な定量的管理手法の適用)
  3. 契約形態の見直し(一括請負から分割請負へ変更することによるリスクの分散と管理効率の向上)
 詳細については、ここでは述べませんが、いままで、お客様や下請けとの関係を気遣い、曖昧にしてきた見積もり、契約、進捗管理のやり方を大幅に見直すことが迫られています。

 「工事進行基準」の採用は、PMだけの問題ではありません。ビジネス・プロデューサーであるソリューション営業の仕事に大きな影響を与えることになります。いままで受注仕様を曖昧なままに、お客様との取引を続けてきたとすれば、ここで見直さなければ、仕事そのものが出来なくなります。

 お客様の中には、まだ「工事進行基準」について、十分ご理解いただいてない場合もあるでしょう。そのようなお客様にも理解していただかなければ、仕事が進まなくなります。営業である皆さんが、率先して理解し、お客様にお伝えできるように準備しておかなければなりません。

■ 締め切り迫る ■ -----------

 今年度最後の「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」が開催されます。

 ■ 標準コース : 3月 5日(木)、 6日(金) 2日間 東京
 ■ 管理者コース: 3月 9日(月)、10日(火) 2日間 東京

 今回からは、今までの研修で頂戴した皆様からのご意見を反映し、より解りやすく、よ実践的な内容にリニューアルして、講義をさせていただこうと準備をしています。

 特に管理者コースでは、今年のプランニングや今年度の部下の育成計画についても、踏み込んだ内容にしようと考えています。この管理者コースにつては、この厳しい景気を反映してか前回は定員割れとなり延期となってしまいました。
 
 お申し込みを頂きました皆様には、大変申し訳なく、お詫び申し上げます。そんな、皆様のお気持ちに報いるためにも、張り切って内容の充実を図ってまいります。
  • お申し込みは、こちらから。
  • パンフレットは、こちらからダウンロード出来ます。
多くの皆様のご参加を楽しみにしています。

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