2012年5月26日土曜日

新入社員のみなさんへ 若気の至りという旅を楽しんでみてはどうでしょうか

新入社員研修に、あなたは何を期待しているでしょうか。

社会人としての常識や技能を高めたい。社会人として、早く一人前の仕事がしたい。そのために必要なことを学びたいと期待しているのでしょうか。

それとも、会社が用意した研修なので仕方なく参加しているだけですか? たとえ自分の本意ではなくても、参加することが「今の仕事」であり、会社の人たちに「いい新人が入ったなぁ」と思ってもらいたいから無理して頑張っているのですか。

たとえ志を持って研修に参加しも、自分の未熟を目の当たりにし、小さな挫折を味わうかもしれません。テストでの不本意な成績、知っていると思っていた常識が通用しない現実など、そんなはずはないと、がっかりしている人もいるのではないでしょうか。

講師の眠たい話しにも耐えなくてはなりません。そうしなければ、自分の評価が下がってしまいます。「あいつは使えないやつだなぁ」と周りから見られてしまうでしょう。

世の中は、なかなか自分の思い通りにはゆかないものですね。研修もまた、その「思い通りにゆかないもの」のひとつかもしれません。不本意の連続です。理不尽だと思うこともしばしばです。

しかし、社会はもっと不本意で理不尽です。それを自分で受け止めなくてはなりません。研修とは、そんな社会に独り立ちするみなさんが、より大きな現実に直面する前に、小さな社会の現実を体験するワクチンのようなものです。

このワクチンの効き目は、人によってだいぶ差があるようです。つらいけど、真剣に立ち向かえば、効き目は相当なものです。その一方で、時間の流れに身をゆだねているだけではワクチンはほとんど効きません。

「幸福論」の著者であるアランはこんなことを言っています。

「まったくいやな雨だ!」などと言ったところで、何の役に立とう。雨のしずくも、雲も、風も、どうなるわけでもない。
「ああ、結構なおしめりだ」と、なぜ言わないのか。もちろん、こうあなたがいうのをわたしが聞いたからといって、雨のしずくがどうなるわけでもない。それは事実だ。しかし、そのほうがあなたにとってよいことだろう。あなたのからだ全体がふるいたち、ほんとうに暖まることだろう。ほんのちょっとした喜びの衝動でもこんな効果があるのだ。
研修をこう考えてみてはどうだろうか・・・「結構なおしめり」だと。

少々、大げさですが、アランはこんなことも言っています。

思いつめた人は、ほとんどつねに、読みすぎる人である。しかし、人間の目は、そういう近距離のためにつくられていない。広々とした空間の中で憩うものだ。星や海の水平線を眺めていれば、目はすっかり安らいでいる。目が安らいでいれば、頭は自由になり、足どりもしっかりしてくる。からだ全体がくつろぎ、内臓までしなやかになる。
しかし、決して意志の力でしなやかになろうと試みてはいけない。自分の意志を自分の中にさしむけたのでは、なにもかもが上手くゆかなくなって、ついには自分の息の根をしめるようになる。自分のことを考えるな。「遠くを見よ」

自分の5年後、10年後はどうなっているのでしょうか。いや、どうなっていたいのでしょうか。自分の意志の力で今を何とかしようとしても、なかなか思うようにはゆかないものです。あなたの「遠く」を思い描いてみる。それだけで十分なのです。

研修にできることは、あなたの「遠く」、つまり何処へ向かうべきかを伝えることです。そして、その道をどのように歩くかの方法を教えることです。残念ながら、そこまでのことです。旅行のガイドブックのようなものです。

ただ、ガイドブックを眺めていめるだけでは、何も手に入りません。自分でそこに行き、体験しなければ、その楽しみも、感動もありません。失敗もあるでしょう、思い通りに行かないこともあるでしょう。あまりの慌ただしさとアクシデントに道に迷うこともあるでしょう。ガイドブックには書いていない場所や出来事に出会うこともあるでしょう。それが例え自分の意に反することであっても、自分の努力ではどうにもできないことがあります。

そんなときに、役にたつのがガイドブックです。何処が目的地だったのか、どれが正しい道だったのか、それを思い出させ、確認することができるでしょう。

研修は、あなたを一人前にはしてくれません。一人前になるかならないかは、このガイドブックを片手にあなた自身が旅に出るかどうかです。もし、その一歩を踏みださいのならば、あなたはいつまで経っても今のままです。

若気の至りという言葉があります。この言葉が使えるのは、せいぜい28歳まででしょう(笑)。その間に失敗を恐れず、思いっきり若気の至りをすることです。怒られるかもしれませんね。でも、許してもらえます。例え許してもらえなくても、殺されることはありません(笑)。先輩もお客様も、あなたの行いが「若気の至り」であることを知っています。よかれと思った「若気の至り」は、相手に伝わるものです。むしろ評価してくれるはずです。

旅に出るチャンスです。研修で手に入れたガイドブックを手にし、若気の至りという旅をおもいっきり楽しんでみてはどうでしょうか。


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2012年5月20日日曜日

OJTというの本人任せ・運任せ

研修だけでは新入社員を育てることはできません。

研修だけならプロの講師がそれなりの内容を提供できます。しかし、研修の成果が活かされるも活かされないも、先輩や上司が実務の中でどう関わるかによって決まってきます。なによりも、プロとしての意識は、実務を通してしか育まれることはありません。だからこそ、先輩や上司が育成のプロになるべきなのです。OJTは研修の内容を実務を通して定着させる取り組みです。新入社員の育成は、この両者のがっちりした組み合わせがあってこそ、成し遂げられるものだと思っています。

しかし、私が知る限り、新入社員研修とOJTをひとつの育成プログラムとして設計し、運営している企業は少ないように思います。研修はそれなりにお金をかけてしっかりやるが、OJTはほったらかしの現場任せ。OJTの達成目標や内容は曖昧なままに、おざなりの「OJTリーダーの心得」的な研修のみ。OJTのプロセスや実践スキルを教えることはありません。「君たちも新人の経験があるんだから、わかるだろ・・・」と暗黙の了解を前提としてOJTが走り出してしまいます。

しかし、引き受ける現場としては、日常の仕事に追われています。結局、何の思慮もなく若手にOJTのリーダーを任せ、「将来マネージャーになるための良い勉強だから頑張ってやってくれ!」と励ましの言葉だけ。任された方は、その方法もわからず、困惑してしまうだけです。

任された方も意欲がないわけではありません。なんとか役割を果たしたいと思うのです。しかし、ベテランほどに要領を心得ていない若手にとっては、毎日が戦いです。自分だけで精一杯です。「他人を育てる」という余裕はありません。営業であれば、ノルマもあります。自分のノルマに加え新人のノルマも自分で抱えなければいけない。ああ面倒だと思う人もいるでしょう。

結局は、方法もスキルも曖昧なままにOJTというほったらかしが進行します。結局は、新人たちが育つも育たないも、OJTリーダーや新入社員本人次第、運任せということなのでしょうか。ダメなら本人に適正がなかったと言訳すれば良いと言うことなのでしょうか。

せっかく高いコストをかけて優秀な人材を採用しても、これではその能力を最大限に引き出すことはできません。なんともったいないことかと思います。

現場のたたき上げをよしとする文化が未だ根強いことが背景にあるのかもしれません。仕事は、実務実践を通して学ぶものだという精神論です。そのこと自体を否定するつもりはありません。しかし、時代とともに価値観やビジネス環境も変遷しています。かつての成功体験は単なる過去の栄光であり、その方法論がそのまま通用するという保証はありません。これを塩漬けにしたままに、現場に任せてしまっていいのでしょうか。

ここ何年か、新入社員研修に係わりながら、彼等の価値観が、大きく変わってきていることを実感しています。その特徴は、強い仲間意識や同期意識、自分の発言がどう見られるかを意識し自分の考えや意志をはっきりと主張せず言葉尻を曖昧にしてしまう、周りとの関係にとても気を遣う、たとえば、先輩たちととうまくやるために積極的に飲みに行くことを目標に掲げるなどいうのは、意識して努力しなければできないし、意識しなければならない大切なことと考えているからでしょう。

まわりからよく評価されたいという意識の強さ、素直さを通り越した静かさ、競争心の低下、いや競争をよくないと考える意識と言うべきかもしれません。誰もがそうだと言うつもりはありませんが、総じてそんな傾向が強まっているようにも見受けられます。これを「自己肯定感の低下」とみる専門家もいるようですが、なるほどと思わずにはいられません。
自己肯定感:自分は大切な存在だ、自分には可能性がある、やればできる、やるしかないというように自分を肯定的に捉え、自発的な意欲を持ち、他人と自分との違いを意識し意欲的に人間関係を築こうとする心の有り様
また、ITビジネスに関して言えば、プロダクトだけで差別化が難しくなった現在、お客様の課題やニーズを起点として最適な組み合わせを創りあげ提供するソリューションへと軸足が遷りつつあります。

競争力の源泉が大きく変わってしまいました。ビジネスの本質が大きく変わってしまったのです。その変化について行けず、いやその変化を受け入れず、いまだ過去の成功体験と方法論が通用すると思い込んでしまっているベテランやマネージメントの存在は現場任せのOJTをますます難しいものにしています。

現場たたき上げの基盤が変わっているわけです。ならば、過去の価値観や方法論が、今に通用する能力を育てることができないという現実を直視すべきだと思うのです。

現場を知り、企業文化を身につけ、一人前の社員に育てる、その役割の最も多くの時間を費やすOJTにもっと真剣に向き合うべきではないでしょうか。時代は大きく変わっています。そのことを受け入れなければ、せっかくの優秀な人材もなかなか戦力になってくれません。いや、できる人材は、そのことに気付き早々と自分が活かせる職場に転職してしまいます。

OJTは研修と一体に設計し、運用する。そういう時代になったと考えるべきだと思っています。


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2012年5月12日土曜日

倒産件数の急増が教えてくれる「時代の変化」


「2012年は4月までに88件となり、過去最悪となった2009年を大きく上回る勢いで推移している。」

帝国データバンクが「システム・ソフトウエア開発業者の倒産動向調査」結果を発表しました。その理由として次のように述べています。

システム開発に対する投資が一巡したことや近年の世界的な経済不況などに伴い、2008年以降、特に2012年はこれまでに無く倒産が多発している。

マクロに見れば、こういう解釈もあるのでしょうが、このような事態に至った本質は、「ITビジネスのパラダイム・シフトが、昨今の社会・経済情勢の中で一気に進み始めたため」と見るべきではないかと考えています。

これを「オフショアへのシフト」、「高速開発へのシフト」、「テクノロジーのシフト」という3つの視点で整理してみました。

まず、第一のシフトは、オフショア利用の普及です。かつてオフショアは悪かろう安かろうの代名詞的な時期もありました。また、うまく現地との意思疎通が図れず、手戻りが多くて、結局は日本でそれなりの工数がかかってしまうことや管理の手間もバカにならないなど、あまりいい話を聞きませんでした。しかし、そのような苦労の中で、多くの企業が要領を掴んできたことも確かです。その結果、国内との棲み分けもうまくできるようになったことが、オフショア利用の拡大を促しています。

また、これまで中国沿岸部に限定されていたオフショア拠点も中国内陸部やベトナム、フィリピンのセブなど、より賃金の安いところへと拡大し始めています。この流れは、当面は続くとみられ、国内での開発需要を減らす要因になるものと考えられます。

第二のシフトは、高速開発へのシフトです。急速に進む円高や震災、原発事故に伴う事業環境の変化は、これまで以上に変化への迅速な対応を求めています。そうなりますと、これまで同様のウォーターフォール型の開発では、対処しきれません。

開発の生産性を高めることもそうですが、開発を必要としないクラウド・サービスの活用やカスタマイズせずにパッケージ・ソフトウェアを利用することにより対処しようという動きもこれまでになく活発です。また、開発生産性については、開発フレームワークの積極的な活用や例えばforce.comのような開発生産性の高いサービスの利用への感心が高まっています。また、BRMSやRADに代表される業務仕様を直接システム・ロジックに展開できるツールなども今後普及してくることが考えられます。

情報システムへの需要そのものがなくなるわけではありません。このような高速開発の様々な手段が普及し始めることで、同じことをやるために必要となる開発要員数が、減少しつつあるということなのではないでしょうか。

第三のシフトは、テクノロジー・トレンドのシフトです。WebアプリケーションとHTML5、ビッグデータとHadoopなどの新しいテクノロジー・トレンドへの需要が高まる一方で、従来型のテクノロジーは、コモディティ化が進み、オフショアへのシフトが加速しています。そのため、従来型のテクノロジーにしか対応できない企業が、結果として淘汰されつつあるということです。

これはあくまで私の感覚でしかないのですが、社員の平均年齢が比較的高い企業は、変化への動きが緩慢です。たとえ若い人たちが新しいことへ関心を持ち動こうとしても、経営層が稼働率を気にするあまりにそのような動きを支援せず、押さこんでしまう。その結果として、稼働率は上がるが、オフショアとの戦いで利益のでない仕事を引き受けてしまう。平均年齢が高い分、人件費も総じて高く企業の収益を圧迫してしまう。そんな悪循環が長く続くはずはありません。
その一方で、平均年齢の低い企業は、比較的人件費を安く押さえられます。また、進取の気概もあり、新しいことへの取り組みも積極的です。そういう企業の需要は、私の知る限りでは決して減少していません。

テクノロジー・シフトの要因は、様々ですが、そのひとつとして、スマートフォンやタブレットの普及は大きいと感じています。実際のビジネスでの利用という面では、まだまだこれからというところでしょう。しかし、それを前提としたUIやUX、プラットフォームや運用に関わる常識が大きく変わり始めています。そのことが、テクノロジー・シフトを加速してるのではないかと考えています。

昨今の社会・経済の情勢は、このような動きを加速する力として、大きく作用しています。それが、倒産件数という数字になって、現れているのではないでしょうか。

経済が右肩上がりの頃の成功体験は、もはや通用しません。大きなパラダイム・シフトが進んでいます。倒産件数の増大は、「不況」というような、表層的な現象と捉えるべきではありません。新旧の入れ替わりであり、ITビジネスの新たなスキームを産み出す「時代の変化」ととらえるほうが、自然ではないでしょうか。


■ 第10期・ITソリューション塾を開講します ■

第10期は、5月23日(水)からスタートします。毎週水曜日の夜、全10回で、最新のITテクノロジーやビジネスのトレンドを整理すると共に、お客様と関わるみなさんに必須の顧客応対スキルを学びます。

詳しくはこちらをご覧ください。

既に多くの皆様からお申し込みを頂いております。ありがとうございます。そんなご意向を踏まえ、今回は会場を大きくさせて頂きました。そのため、まだお申し込みいただけますので、是非、ご意向だけでも早々にお知らせください。

これまで同様、講義に使いましたITトレンドに関するプレゼンテーションはパワーポイントのソフトコピーで提供させて頂きます。是非、社内での勉強会やお客様の説明にご活用頂き、知識の定着を図って頂ければ思っています。

資料の一部は、Facebookページにも公開しています。

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2012年5月6日日曜日

営業のプロ意識とは何か

「営業力を強化するためには、営業にもっとプロ意識を持たせなきゃいけないと思っているんです。」

「なるほど、確かにそのようにも思いますが、でも営業のプロ意識って、どんな意識なんでしょうねぇ・・・」

ある、SIerの育成担当者と、こんな会話を交わしました。

営業に限らず、どんな職業にもプロ意識は必要です。イチローなんか見ていると、プロだなぁと自然と感じてしまう。ほかにも歌手や作家、役者などなど、その道のプロと言われる人たちはたくさんいますし、「なるほど」と感じさせてくれる人は少なくありません。

その「なるほど」とは何かです。私は「こだわり」ではないかと思っています。

自分の道を追求し、それを極めようとうとこだわり抜く。その「こだわり」の強さこそが、プロを感じさせるオーラになっているように思います。

さて、それでは、営業にとっての「こだわり」とは何かです。私は、「数字」だと思っています。何が何でも、この数字を達成する。その執着にも似た、徹底的なこだわりを持つこと。それが、営業のプロ意識ではないでしょうか。

売上、利益、新規顧客獲得数・・・営業にはそれぞれに様々な数字がノルマとして課せられます。それをなんとしてでも達成する。その必達の意識こそ、プロ意識と言うべきでしょう。

運もあるでしょう。担当するお客様の経営状況や社会状況にも左右されるかもしれません。それでも、なんとしてでも目標を達成する。環境が悪ければ、それを改善するなり、ほかの道を探る。言い訳をせず、いかなる状況にあっても「数字を作る」、その執着心こそ、営業のプロ意識ではないかと思うのです。

「お客様に嘘をついたり、だましたり、見栄えは良いがいい加減なものを提供し、何とか数字を作ることだってできるんじゃないですか?それでも、数字を作ればプロなんですか?」 

とんでもありません。そもそも、数字を作るとは、そんな簡単じゃありません。お客様も必死です。そう簡単に、受け入れて頂くなんてできるはずもありません。もし仮にそのときはごまかしがきいても、次はありません。「数字を継続して出し続ける」それもまた、プロのこだわりの大切な要素です。

私達の仕事は、お客様の価値を高め、その価値に対する対価を頂く仕事です。その価値を与えられなければ、数字もありません。

また、競合に勝つことへのこだわりも、大切な要素のひとつだと思います。

IT市場が成熟する中、競合のないビジネスはほとんどないでしょう。相手も必死です。その戦いに勝つことへのこだわりなくして、数字はありません。勝ち負けの世界です。それから逃れることはできないのです。そのためには、巧緻策略を巡らせることも必要でしょう。ただただ何も考えず、玉砕覚悟で、正々堂々と正面突破などと言う美談では、がんばったという自己満足は与えてくれるでしょうが、数字にできる保証などありません。それでは、プロの営業とは言えません。

数字への執着、それを継続する力、巧緻策略を駆使できる知性と実行力・・・プロの営業に求められる姿ではないかと思っています。

ところで、最近、営業新人の研修で、すこし困ったことがあります。それは、数字や競争へのこだわりを「よくないこと」と考える傾向が、見受けられるからです。

「成績より態度」を重視する教育がそんな若者たちを増やしてきたと指摘する人もいます。教育評論家の尾木直樹氏が次のよう指摘をしています。
「今、教育現場で重要視されているのは、得点力よりも『関心・意欲・態度』なんです。これを文部科学省は『新学力観』として指導してきましたが、その影響で教育現場はおかしなことになっている。80点と100点では、普通なら100点の方が学力が高いとされますよね。しかし、態度が悪ければ先生から低い評価をつけられてしまう。先生から見た"良い子"という主観的な点数です。この評価が各教科ごとに設けられ、高校・大学進学に影響します。つまり子どもたちは、基礎的な学力を身につけることよりも、先生にどう評価されるかが勝負となっています。」
そして、それは先生だけではなく、友達や親からどう見られるかを強く意識するようになったというのです。

人と争わず、うまくやっていくこと、人から嫌われることを避け、どう見られるかがとても気になる。仲間としてそのコミュニティに向かい入れられるためには、どうすれば良いかに関心がある。

そんな生き方を求められてきた若者にとっては、数字や競争にこだわると言うことは、これまで学んできたことと全く反対のことを求められる訳です。これは、少々、やっかいな問題であると思っています。

ビジネスは、競争による切磋琢磨であり、それが世の中の進歩を導いてきた側面があります。ビジネスがグローバル化するなか、ますますその競争に立ち向かわなければなりません。

少々、大仰な話しと受け取られるかもしれませんが、営業という仕事もまた、そういう社会のメカニズムの与された職業なのだろうと思います。

このような教育を受けてきた若者たちに、このビジネスの常識を頭ごなしに押しつけるとこは、彼等の価値観の否定であり、大きな心の負担になるのではないかと心配しています。

だからこそ、その理由やメカニズム、自分たちの役割をきちんと理解させることから始めなくてはならないのだろうと思っています。

また、日常の営業会議でも、数字を意識させる取り組みが必要です。その数字について会話し、どうすれば数字を作ることができるかを議論することでしょう。

数字へのこだわりの度合いを確かめる方法があります。それは、自分のノルマをすらすらと空で言えるかどうかです。数字をすぐに言えないようでは、数字へのこだわりが希薄であること示しています。

「プロ意識」だけで優秀な営業になれるわけではありません。お客様のこと、技術のこと、社会こと、自社製品のこと・・・様々な知識やスキルも身につけてゆかなければなりません。そういう総合力のプロフェッショナルこそ、営業なのだと思っています。

しかし、そのような能力を高めるためには、自発性が必要です。そして、それを生み出す根底には「プロ意識」があることは言うまでもありません。


■ 第10期・ITソリューション塾を開講します ■

第10期は、5月23日(水)からスタートします。毎週水曜日の夜、全10回で、最新のITテクノロジーやビジネスのトレンドを整理すると共に、お客様と関わるみなさんに必須の顧客応対スキルを学びます。

詳しくはこちらをご覧ください。

既に多くの皆様から参加のご意向を承っております。ありがとうございます。そんなご意向を踏まえ、今回は会場を大きくさせて頂きました。そのため、まだお申し込みいただけますので、是非、ご意向だけでも早々にお知らせください。

改めて、4年前の資料を振り返ると、時代の変化の大きさと共に、私達の考察の未熟に恥ずかしくなるところも少なくありません。今回は、そんな反省と共に、これまで以上に、ITビジネスのトレンドや戦略についても体系的に整理してみようと思っています。

なお、これまで同様、講義に使いましたITトレンドに関するプレゼンテーションはパワーポイントのソフトコピーで提供させて頂きます。是非、社内での勉強会やお客様の説明にご活用頂き、知識の定着を図って頂ければ思っています。

多くのみなさんのご参加をお待ち申し上げております。


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