2008年12月22日月曜日

お客様に騙されてはいけない!

 今あなたが手がけている案件は、今月末、間違えなく成約できますか?

 年末のこの時期だからこそ、無駄な動きは避けたいものです。できれば、確実に数字に結びつく仕事に集中したいですよね。

 そんな時に注意すべきは、お客様の甘言です。
  • 「斎藤さん、大丈夫だから。僕のほうで、書類は回しておくから。」
  • 「常務の了解もとれているので、あとは事務処理だけですよ。」
 若い頃、こんな言葉に、何度も騙された。特に月末や期末は、数字については、誰もが敏感になっている。そんな時にこの言葉を信じ、「大丈夫です」と自信を持って数字を約束しているにもかかわらす・・・
  • 「斎藤さん、ごめん!優先することがいろいろあって、今月の経営会議に出せなかった。」
  • 「経理部長が、もう一度数字を見直せと言っているので、改めて見積を検討させてもらえないだろうか」
 「えっ、そんな・・・どうしてくれるんですか?」と言ってみたところで、後の祭りである。上司からはどやされ、なんとか他でリカバリーしろと言われても、もう期日までに時間がない。自分の詰めの甘さにほとほと嫌気がさす。

 こんなこともあった。

 「いい提案だよね。もう少し詳しい資料をもってきてくれない。」というありがたいお客様の言葉。一生懸命資料を作り、時間をかけてお客様を訪問し説明する。
 「XXX社は、こんな提案を持ってきているんだけど、IBMさんは、どう違うの?その当たり、詳しい人に話を聞きたいんだけど・・・」と質問。「では、改めて詳しいSEと伺います。」という会話が繰り返される。

 ご年配の担当部長である。権限はないが、時間だけはたっぷりある。とにかく、社内のこと、製品のこと、何でもよく知っている。そういう意味では、情報通であり、良き教師ではあるが、数字には結びつかない。しかし、積極的に質問され、提案をもとめられ、こちらの話もきちんと聞いてくれるこのようなお客様には、ついつい何かを期待し、時間を費やしてしまう。しかし、その何かは、永遠に訪れることはない。

 こんなお客様もいた。
  • 「わかった!任せておけば大丈夫だから」
  • 「だいじょうぶ、大丈夫・・・あとは、こちらでやっておくよ」
 一見とても信頼できそうだ。しかし、進捗は如何でしょうかと伺うと、「うまくいっているよ」と詳しくは語ってくれない。それを信じて、待てど暮らせど、いつまで経っても連絡がない。
 安心もしていたし、他の仕事も忙しかったので、上司から、「おい、あの件、どうなっているんだ?」と聞かれるまでは、こちらからアクションを起こさなかった。確かに、連絡が遅い。そこで、どうなったかを聞いてみると、「今回は導入しないことになった。」とのそっけない回答。今更どういうことですか・・・と言ってみたところで、ことは解決しない。
 
 見積書を提出した。提案書を出した、契約書を渡した・・・やることはやったから、後は、お客様にお任せする。こんな営業としての大罪をあなたは犯していないだろうか

 お客様の優先順位とあなたの優先順位は、同じではない。そんな当たり前の感覚を先ず持たなくてはならない。

 また、あなたの交渉相手は、意志決定にどの程度関与し、影響力を行使しうるのか。そのことについて、あなたは客観的に評価できているだろうか。

 社内の力関係は、表向きの肩書きだけでは分からない

 例えば、定年を間近に控えている経理本部長は、創業社長の長男であるシステム課長より、実質的な決定権を持っていない場合もある。
 ライン職から外れ、担当部長の肩書きを持つ年配の方は、セミナーには必ず出席し、営業の話にも熱心に耳を傾けてくれるが、意志決定にはまったく結びつかないことが多い。

 自分は、リーダーであり、意志決定の一切は私が握っているという。要求はするが、情報は提供してくれない。何か問題が起こると、あなたや社内の第三者のせいにして、自分は被害者だという顔をする。
  • 進捗しないには、必ず訳がある。
  • お客様の言葉を鵜呑みにしてはいけない。
  • あなたが思っているようにお客様は動いてはくれない。
 しつこさは、営業の武器である。特定の情報に頼るのではなく、いろいろな角度から裏付けを取り、客観的に、冷静に現実を評価する。

 数字を追いかけていると、どうしても期待が先行し、「自分がやらなければ」の責任感も相まって、希望的な数字が口をついて出てきてしまう。しかし、その結果はミスフォーキャストであり、落胆であり、自責の念である。
 
 こんな時こそ、研修でお渡した「オポチュニティ分析」や「プロジェクト分析」、「パワーストラクチャー分析」が、役立つだろう。自分の期待や推測ではなく、事実を事実として受け取る冷静さを持つには、こんな道具に頼るのもひとつの方法かもしれない。

 そうやって、改めて自分の抱える案件を見直し、優先順位を付け直す。不安があれば、それを確かめる。そうやって、無駄のない、省エネ営業を心掛けては如何だろう。

 こんな時期だからこそ、冷静さが求められる。

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