2008年11月17日月曜日

情報=インフォメーションとインテリジェンス

 先日、釧路の小学校の給食に出された「鹿肉丼」に猟銃の弾が入っていたとのニュースがあった。給食に「鹿肉丼」とは、豪勢なことと驚いたが、何と片手落ちで見識のない報道だろうかとも驚いた。

 フランス料理にジビエという料理がある。本来はハンターが捕獲した野生のものを料理したものを指す用語だが、供給が安定しないことや入手困難で高価になってしまうといったこともある。そこで、飼育してから一定期間野に放したり、また生きたまま捕獲して餌付けしたものも、ジビエとして流通している。今回給食に出たものも、野生のものを飼育した後、食肉加工したものだという。

 そもそも、ジビエに鉄砲の弾が入っているなど、何も珍しいことはない。レストランでジビエを注文すると「気をつけてください」と一言添えられる。そんなものである。

 最近、食の安全が問われている。そんな話題と絡めたかったのであろうが、どうもとんちんかんな気がする。記者の良識のなさもさることながら、そういった知識背景を語らず、まるで給食を提供した学校や食肉業者の不手際を攻めるような内容となっている。

 鹿肉を給食に出すアイデア。過剰な保護で増えすぎた鹿の頭数抑制と地産地消への取り組みと言う。こんなマスコミの不見識な報道で、この取り組みに水が差されないことを願うが、早速「豚の焼き肉」に変更というニュースが飛び込んできた。それ見たことかと思う。

  • こんにゃくゼリー(8件)よりも餅でのどを詰まらせる人(77件)がはるかに多いという事実を伝えていない。
  • マンナライフのみがマスコミに取り上げられ、しかも大臣までがこの会社の社長を呼びつけ写真や映像入りで報道、対策していないことへの対応を求めた。しかし、容器も変え注意書きなどが改善されていたことについての報道はほとんどない。
  • 事故が起きた8件の内、6件は他社製品であったという事実も伝えていない。
まさに意図された情報操作としか言いようがない。

 「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」でも紹介していることだが、日本語の「情報」という言葉を英語にすれば、インフォメーション(information)とインテリジェンス(intelligence)という単語になる。

 素材である“データ(data)”を規則に従って整理したものを“インフォメーション”という。そのインフォメーションを蓄積し、分析した結果に基づき価値評価を加えたものが“インテリジェンス”となる。両者は、まったく異なる意味を持っている。

 アメリカ陸軍の参謀マニュアルによると、「指揮官はインフォメーションをインテリジェンスへと転換させ、必要とされる適正なインテリジェンスを配下の部隊に伝え、それを活用させる責務を負っている。その際、恣意的なものを排除し、論理的かつ適切に行われていることを確認しなければならない」とされている。

 この「指揮官」を「部門長」に、「配下の部隊」を「部下」に読み替えてみれば、営業の現場でも通用する話だ。

 お客様の情報、部下の情報、それは、インフォメーションなのかインテリジェスなのか。それを見極めることができなければ、現場の指揮官である部門長としては、失格である。
 
 研修では、こんな話もする。「『事実と推測と期待』を分けて話してください。」と。自分の思いこみや願望は、ことの真実を曇らせることがある。人それぞれに求めているところが違う。その結果、インフォメーションとインテリジェンスの違いを斟酌することのないまま、「情報」として意志決定をしてしまうと、大きな失敗を犯しかねない。

 また、インテリジェンスを駆使することで、お客様の考えを変えさせ、自社に有利な意志決定を引き出すことは、営業の仕事でもある。

 先日、伊達公子が、12年のブランクを乗り越え、全日本選手権で16年ぶりの優勝を果たした。本当にすばらしいことだと思う。しかし、もうひとつの事実が報道されていない。破れた瀬間友里加のことである。若干21歳の彼女であるが、全日本選手権の決勝に勝ち残った日本のトップ・テニスプレーヤーだ。その彼女が負けたと言うことは、見方を変えれば、若手が育っていないと言うこと。そのことに触れた報道を未だ見ていない。

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