2008年12月12日金曜日

商材=ソリューションではありません

 これからは、ソリューション・ビジネスの時代。そう言われるようになって久しいが、その実践に経営者は、どこまで真剣にとり組んでいるのたろうか。

 このブログでも、よく話題にすることだが、“それらしい”パッケージ・ソフトウェアの品揃えを充実させることをソリューション・ビジネスと勘違いしてはいないだろうか

 ソリューション・ビジネスとは、「商品がない」からスタートする。つまり、商品提供を目的とするのではなく、お客様の持つ課題を解決する。その手段を提供することが、ソリューション・ビジネスである。商品提供は、課題を解決する手段であって、目的ではない。

 昨日のブログでも紹介したが、お客様が自分の課題の存在に気付き、その整理を助けることができれば、お客様は自ずと、その解決手段を必要と考えるようになる。お客様へのそういう手助けを行うことが、ソリューション営業の最初の仕事となる。

 お客様が求めているものは、決して商品ではない。どうすれば、自分の課題が解決できるかであり、その答えを提供してほしいと望んでいる。

 「お客様の気付きを促し、何を行うべきか自分で自覚する」。実は、このプロセスは、コーチングの手法そのものであり、ソリューション営業とは、コーチング営業と言い換えることもできる

 現実の問題として、業種や分野を絞り、商品やサービスの品揃えを充実させ、それを持って「ソリューション・ビジネス」を展開している企業は多い。そして、自社の商品や実績などをお客様に紹介する。そして、それがお客様の期待にかなうものかどうか・・・後は、お客様自身に判断を委ねるしかない。

 これでは、「どうすれば解決できるかは、お客様が自分で考えて、結論を出してください」といっているようなもの。ソリューションを提供したことにはならない。

 分野に特化した商材の品揃えや実績は、お客様が課題に気付き、整理するための枠組みを提供する「きっかけ」にすぎない。お客様の課題は、共通するものはあっても、同じものは二つとない。それぞれに固有の課題を抱えている。
 ソリューション営業の仕事は、このきっかけを利用して課題を掘り下げて、お客様の固有の課題や対策についてとことん話し合い、お客様に最適な解決手段について、双方の合意を引き出すことにある。

 ソリューション・ビジネスとは、「商品がない」からスタートする。お客様の個別の課題に対処するためのオーダーメイドの商品を作り、提供するビジネスである。商材は、その商品を構成する素材であって、すべてではない。お客様にとって最適な組み合わせを創造し、それを提供するビジネスである。

 ソリューション・ビジネスを行うということは、業種に特化し商材をそろえることで終わりではない。それをきっかけとして、お客様の課題をさらに深く掘り下げ、お客様に最適な商材やサービスなどの組み合わせを作り上げることである。それができなければ、ソリューション・ビジネスではない。

 景気が後退するなか、ますますお客様の選別眼は厳しくなっている。商材の品揃えの多少だけで、他社との競合を制することはできない。

 だからこそ、このような仕事ができる人材を育て、うまく活かしてゆくためのマネージメント・システムをつくること。それが、ソリューションビジネスを行うということではないだろうか。

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