「なぜ、できなかったのですか?」
「どこに問題があるのですか?」
「なぜ、やらないのですか?」
自分の感情の赴くままに、あるいは、自分の憂さ晴らしに、はたまた、自信の威厳を誇示するために、部下に対して、このような言葉を発してはいないでしょうか。
厳しい指導も時には必要です。しかし、それは本人が事態の存在や深刻さに気付いていないときに限るべきでしょう。
部下が、事態を理解し、何とかしなければと考えているのであれば、このような言葉は、本人の意欲をそぐことになり、むしろ事態の解決には逆効果です。
いつもこのような言葉ばかりでは、せっかくのやる気もうせてしまいます。また、報告しなくてはならないことがあっても、厳しく言われると思えば、報告を躊躇することやいいことしかか言わないようになり、情報が正しく伝わりません。これでは、マネージメントとして、適切な指導や判断ができなくなります。
では、どうすればいいのでしょうか。例えば、前述の言葉を次のように言い換えてみてはいかがでしょう。
「なぜ、できなかったのですか?」
- どうすれば解決できるのですか?
- あなたなら何ができると思いますか?
- この状況をどう解決したらいいと思いますか?
- すでに何か対策を講じましたか?
「どこに問題があるのですか?」
- 何か助けられることはありますか?
- どのようなサポートが必要ですか?
- リソースに問題はありませんか?
- お客様トップへの説明は必要ですか?
「なぜ、やらないのですか?」
- どうすればできますか?
- 誰に相談すればいいでしょうか?
- 何が障害となっているのでしょうか?
- 実行するために私にできることがありますか?
部下を厳しく責めるばかりが手段ではありません。本人の意欲を高め、自発的な行動を促すことも必要です。そのためには、何をしなければならないか、本人に気付かせることが一番です。その上で、目標を定めアクション・プランを自ら提示させてみてはいかがでしょう。自分で考え、決めたことを行うほうが、他人に命令されるよりは、はるかに意欲も高まるはずです。
そして、部下の立てたプラン実行の支援を約束してみてはいかがでしょう。
- 本人の気付き
- 自発的な行動
- 行動を支援する態度
これが、コーチングの基本です。
最近、研修後のアンケートで、今後どのような研修を受けたいかを聞くと「コーチング」という答える方が増えているようです。その背景には、先輩後輩の関係が失われつつあるあることとも無関係ではないように思っています。そのことに多くの人が気づき、解決策を求めているのかもしれません。
コーチング・スキルだけですべてが解決するとも思えませんが、よき先輩後輩の師弟関係を復活させるきっかけにはなるかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿