ケース・スタディ: 「何故、お客様は関心を示してくれないのでしょうか?」の回答でえす。
昨日のブログ「お客様の期待を裏切りましょう」をご覧いただいた方は、既に答えがお分かりになったのではないでしょうか?
営業A氏は、「お客様の要望は、細大漏らさず盛り込みました」と発言しています。それだけのことだった、というところに問題があったのです。
お客様のご要望に応えようとする態度は、けっして間違えではありません。しかし、それが、お客様にとって、最大の価値を手に入れられる手段だったのでしょうか。
お客様が、ご要望されるには、理由があります。そのご要望の背景にある目的や実現後にどうなっていたいのかという「あるべき姿」があるはすです。それを確認し、それを起点に考えてみると、必ずしもお客様の要望に応えることが、最善の手段とはならないかもしれません。
お客様が最も望んでいることは、あなたが、言われたとおりの要望を着実に実現してくれることではありません。最も価値のある「あるべき姿」を実現することです。
たとえ、要望どおりでなくても、また、予算がその範囲に収まらなくても、投資対効果が、もっと大きくなる手段があるのなら、そちらのほうがいいのです。
営業A氏は、競合他社が、まったく違う提案をしていることを訝(いぶか)しく感じていました。お客様の要望に応えるならば、同じ様な内容になるはずだと考えていたのです。
A氏の会社は、その競合他社よりも体力があり、規模の大きな会社なのかもしれません。それは、彼の発言の中にある「保守サポートについても、たぶん他社にはここまでできないはずです。」との発言からも伺えます。だから、自信もあったのでしょうし、それが、負けるはずがないというおごりにもつながっていたのかもしれません。
競合他社は、それを承知した上で、対抗してきたようです。お客様のあるべき姿を起点として、もっといい方法がありますよと、まったく違う内容で提案してきたのかもしれません。
体力では負けるかもしれません。そこで彼らは、お客様の購入基準を自分たちに有利なように変更してしまったのです。
お客様の立場に立って、お客様の期待を裏切る。それしか、競争に勝ち残るすべはなかったのかもしれませんが、結果として、お客様の琴線に触れたのです。
さて、皆さんの答えは、いかがでしたか。
営業は常に競争の現場に立たされています。その競争に勝つためには、常にお客様の「あるべき姿」、「実現後の姿」に立ち返り、そこを起点として、お客様の価値を最大するためにはどうすればいいのだろうかを考えることです。
お客様から、「予算は1000万円、このパッケージをつかいたい」という要望であっても、「ところで、なぜこのパッケージをお使いになりたいのですか?」と問いかけてみることです。その結果、もっとお客様にとってもっと有利な解決策があるのなら、たとえお客様のご要望どおりではなくても、勇気を出して、それを提案してみるべきです。なんら、ためらう必要はありません。
お客様の立場に立つとは、そんな態度のことを言うのではないでしょうか。
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