2009年7月28日火曜日

上から目線の提案

  • 「わが社は、このようなサービスを提供しています。ご導入をご検討いただけませんか?」
  • 「このたび、新製品が発表になりました。これを期に、より性能のいいこの製品に置き換えられてはいかがでしょうか。」
 さて、これは「提案」なのでしょうか。

 確かに国語辞典的には、「提案」といえるでしょう。しかし、営業活動における「提案」としては不十分です。

 営業活動における提案とは、お客様に買いたいという気持ちを起こさせることです。一方的に商品や技術について、紹介することではないのです。

 以前、ある大学の産学連携課の方に同行して、企業を訪問したことがあります。大学の研究成果を紹介し、企業にその技術を購入してもらおうという目論見です。彼らは、大学の研究事例や取得している特許のリストを示しながら、「いかがでしょう、この技術を使っていただけませんか。」という話を延々としました。

 企業側の担当者は、「すばらしい、技術ですね。検討させていただきます。また、改めて、こちらからご連絡させていただきます。」との回答。

 産学連携課の方は、企業側からの前向きな回答を得られたと思い、大喜びで「是非お願いします。」と頭を下げていました。

 みなさんならお分かりと思いますが、これは、「興味はありません。早々にお引き取りください。」という気持ちを、大人風に表現したに過ぎません。

 では、なぜそうなったのでしょうか。それは、大学側が、自分達のシーズ、つまり、売りたいものを伝えただけであり、「どうやって、その技術を使うかは、企業側で考えてください。」と一方的に宣言しているに過ぎなかったからです。言うなれば、自分達の大学の自慢話をしていたに過ぎないのです。

 お金を払う側のお客様に、「どう使うかは自分で考えてください」とは、なんと「上から目線」の話でしょうか。失礼にもほどがあります。

 そこで、私は、次のように話をしました。

 「今回は、大学がこんな分野で研究成果をあげているというご紹介をさせていただきました。是非次回は、これをご参考に、どんな研究テーマや課題をお持ちなのか、話を聞かせていただけませんか。たとえば、現状よりもさらに低温で機能する排気ガス触媒の開発でしたら、その分野の第一人者を同行させます。是非、事前にいくつかのテーマや課題をお知らせいただけませんか?準備してきますので。」

 企業側担当者の顔が、一瞬引き締まりました。

 「なるほど、そういうことならわかりました。社内で、話をしてみます。どうなるかわかりませんが、後日連絡いたします。」

 この「連絡します。」は、彼の本音だとわかりました。

 「低温で機能する排気ガス触媒」ついては、この会社が最近熱心に取り組んでいるテーマであるという情報を事前に入手していたので、あえてぶつけてみたわけです。思い通りに食いついてくれました。

 前者は、シーズ起点の提案。相手の意向は、お構いなしにこちらのネタ(=シーズ)を一方的に伝えるだけ。それに対して、後者は、ニーズ起点の提案。お客様のニーズ、つまり、お客様の抱える課題を解決しようという姿勢を示し、それを解決する筋道を示す提案です。

 お客様の課題は何か、それを事前に可能な限り調べ上げ、お客様がきっと知りたいであろうことを想像し、仮説として組み立てておく。そして、それをぶつけて、お客様のニーズに迫るのです。

 提案とは、決して自分の伝えたいことを伝えることではありません。お客様の気持ちを揺さぶり、お客様のニーズを見極め、それに応えること。それが、営業活動における提案なのです。

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