2009年8月28日金曜日

名古屋の皆さん 肝ですよ

 本日から名古屋で、「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」の講師です。

 昨日は、名古屋の友人と手羽先と味噌カツを肴にビール。やはり、名古屋は、これですよね。

 彼は、お医者様で、ランナー。ランナーといっても、100Kmレースや酷暑の中、山あり谷ありの過酷な256kmを走るスパルタスロンにも挑戦するウルトラ・マラソンのランナー。完走率3割のスパルタスロンでは、過去8回出場し、5勝3敗の勝ち越しという、成績の持ち主です。

 そんな話し聞きながら、いっぱいやりました。

 さすがお医者さんだなぁと感心したのは、自身の医学知識を総動員しながらレースを組み立てていること。状況や場所に応じて、身体がどう変化するのかを予測し、最適な補給方法や内容、休憩などを計画し、予め対策を行っているとのこと。

 まあ、当たり前といえば当たり前なのですが、スパルタスロンのような身体の限界を極めるレースで、36時間の制限時間内に完走するには、体力や気力だけではだめだということ。聞くところによると、レース後の血尿は当たり前で、血液中の成分をみると、生きているはずが無いというデータなのだそうです。

 そんなレースですから、身体能力を最大限に発揮するための医学知識は、当然必要ということになるのでしょう。

 私も彼には及びませんが、フルマラソンを走ります。そこで思うのですが、練習や気力は当然としても、いかに理性で自分のレースをコントロールするか、それが勝敗を決めるということは、納得できます。

 どんなに練習をつんで、万全と思っても、勢いあまってスタートで飛び出してしまったり、まだ大丈夫だからと勝手に思い込んで給水や食べ物の補給を怠ると、確実に後半に響いてきて、走れなくなってしまう。

 長距離になればなるほど、レースのプロセスを理解し、その各プロセスで起こる身体の変化にどう対処するか。それを予め予測し、事前にて対策を施せば、成果が期待できます。マラソンとは、そんなレースです。

 今日これから講師を務める「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」も、営業という仕事のプロセスを科学的に整理し、プロセスごとの対策を学んでいただこうというものです。

 がむしゃらに働くことも必要ですが、それがすなわち成果に結びつくかといったら、そんなことはありません。経験と根性だけではなく、理性を働かせ、営業活動のプロセスを管理する。それが、営業の効率と効果に不可欠な要素なのです。

 さぁ、名古屋のみなさん、その肝を理解してくださいね。


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9月8日(火) 開催 ・ 東京・九段下

[無料]クラウド時代に勝つ!グリーンITで勝負する・・・

2009年8月26日水曜日

クラウドから逃げる営業

 「クラウド・コンピューティングは、所詮バズワードに過ぎない」という人も少なくない。バズ・ワードとは、そもそも口コミでじわじわと広がった言葉という意味。しかし、言葉だけで、実体の無いものという、ネガティブな印象を与えることも多い。

 クラウド・コンピューティングが、バズワードか否かはともかくとしても、この言葉が、ITソリューション・ベンダーの行動やお客様の意思決定に影響を与えているという現実は、もはや否定できないだろう。

 見方を変えれば、今までの技術や取り組みをクラウド・コンピューティングという言葉に収斂させ、その実態が、改めて築かれつつあるというのが、今の姿ではないだろうか。

 前回のブログでも書いたが、クラウドは、突然に湧き起こったものではない。SOA、仮想化、グリッド、ユビキタス・・・すでに広く受け入れられてきたテクノロジーやコンセプトが、クラウドという言葉に包括され、それを起点に再び新しいコンセプトやテクノロジーが、広がり始めている。

 物理や数学の世界ではないので、絶対的な真理や定義というものをクラウド・コンピューティングに求めることできないが、お客様を相手にする営業、SE、コンサルであれば、たとえそれが途上であっても、自分なりに整理整頓し、お客様に説明できなくては、お客様の信用を得ることは難しい。

 先にも書いたが、お客様の意思決定に「クラウド・コンピューティング」という言葉は、少なからず影響を与えている。

 たとえば、今までのオンプレミス型(自社で設備を所有し運用するシステム利用形態)とどう違うのか。そのコスト・パフォーマンスや制約はどこにあるのか。ASPとは、どう違うのか。開発や運用の方法は、どうなっているのか・・・。お客様は、こんなことが気になっている。新たなシステムの購入や構築に際しては、必ずこの疑問への回答がもとめられるだろう。

 仮に、IT部門の現場が、現状のスタイルに固執しても、経営者から、「クラウドという話を聞くが、これを使えば、もっとコストを削減できるし、スピードアップもはかれるのではないか?」と問われれば、その違いを整理し、説明しなければならないだろう。

 あなたは、そんなお客様を助けることができるだろうか?

 あなたは答える・・・

 「クラウドなんて、世間が騒いでいるだけ、実態なんてこれからです。すぐに、世の中ががらりと変わるわけではありませんよ。気にする必要なんてないですよ。」とお客様に説明して、お客様は納得してくれるだろうか。

 もし、私がIT部門長であれば、こうするだろう・・・

 「たしかにそうだね。まあ、あわてることはないね。ハハハハ・・・」と彼には答え、もうすこし全うな話しをしてくれそうな別の営業に、「ところで、今クラウドが話題になっているが、うちはどう取り組めばいいのかなぁ?」と問いかけているだろう。

 仮に、結果は、従来型のシステムを選択することになったとしても、その比較も含めて、整理して説明してくれた相手の提案を受け入れることは、当然のことだ。

 クラウド・コンピューティングが、従来型のシステムをすぐに置き換えてしまうかというと、決してそんなことにはならないだろう。しかし、お客様と接する私たち営業やコンサルは、そうはゆかない。

 クラウドという視点を含めた、お客様への提案やアプローチからは、もはや逃げることはできない状況なのである。

 さて、あなたは、この現実から逃げてはいませんか?

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9月8日(火) 開催 ・ 東京・九段下

[無料]クラウド時代に勝つ!グリーンITで勝負する・・・


2009年8月23日日曜日

オフミのつもりで、いかがです?

 無料セミナー開催します。よろしければ、いかかですか?

 このブログでも、いろいろと書いてきましたが、ちょっと整理して話しをまとめてみようかと思っています。

 テーマは、

  クラウド時代に勝つ!グリーンITで勝負する・・・

   9月8日(火) 開催 ・ 東京・九段下

 ちょっと、大上段に構えてみました(笑)

 「クラウド」という言葉、立場によって、思い入れが違うようです。

 ITソリューション・ベンダーにとっては、この不況を脱するための魔法の言葉だし、ユーザーに取ってみれば、乾いた雑巾を絞るための最新型脱水機としての期待があります。しかし、両者ともに、その実態やトレンド見切れずに、いまひとつ乗り切れないといったところではないでしょうか。

 私も「クラウド」が、今のIT業界を変革する万能の武器だなどとは思いません。そもそも、クラウドという言葉以前に、その実態は存在していたわけで、クラウドから何かが始まったわけではない。だから、今のクラウドだけをみるのではなく、これまでの流れから今を見れば、自ずとこれからのトレンドも見えるのではないかと思っています。

 クラウドをそんな目線で、一歩引いて見直してみるのも悪くないかと思っています。

 ただ、ひとつ確信を持っていることがあります。それは、お客様が、IT活用を考える上で、選択肢が増えたということ。つまり、今までのオンプレミスで、コスト・パフォーマンスが優先されるだけではないということです。

 グリーンIT、所有から使用へのシフト。これらが、新たな選択肢に加えられているということ。そうなると、営業は、コストパフォーマンスだけではなく、お客様の業務課題の解決にどれだけ具体的に迫れるかということが、ますます求められるようになります。

 つまり、業務の課題を解決するための手段は、いままで、お客様が、こんなアプリを開発したいと言い、営業は、それに応えればよかったわけですが、これからはそれだけでは済まされない。つまり、アプリは、もう自分達では持たないわけだから、アプリ以前の業務上の課題から要件を整理し、最適なアプリ・サービスの組み合わせを提供することが、営業には求められるのです。

 つまり、営業は、今まで以上に、意思決定の上流に食い込まなければ、ビジネス・チャンスを逸することになるのです。

 こんなことは、いまさらの話ではありますが、お客様の期待は、ますますその方向に向かってゆくことは、確かではないかと思います。

 「不況だから、ものが売れない。」、「不況だから、派遣が切られた。」、「不況だから、今は我慢するしかない。」・・・こんなことばをITソリューション・ベンダーの経営者や営業マネージャーから、よく聞くようになりました。

 そんな方に申し上げるのですが、「それなら、不況が過ぎれば、元に戻るのでしょうか?」。

 私は、その答えは、NOだと思っています。

 ITのパラダイムが、いま大きく変わろうとしている。これは、不況だからはじまったものではありません。それは、本来緩やかなものだったと思います。しかし、ITソリューション・ベンダーもユーザー企業も、この不況をきっかけに、何とかしなければと必死です。だから、今までの非常識もある程度は、受け入れ、何とかしようとしている。

 つまり、この不況は、このITビジネスのパラダイムの変革を加速するきっかけになっているのではないかと。

 このあたりを、冷静に見ておく必要がある。そして、そのための営業力を今のうちにしっかりと育てておくことが、必要ではないかと思うのです。

 不況で物が売れない、不況で派遣が切られていることは、紛れも無い事実です。しかし、その先は、今までと同じビジネス・パラダイムではないということを、心得ておく必要があるのではないかと思っています。

 このセミナーに出ていただいて、すべてがわかるなどと不遜なことを申し上げるつもりはなりません。ただ、こんなものの見方もあるのかと、ひとつでも気づいていただければ、ありがたいと願っています。

 オフミのつもりで、いかがです?
 
 定員があります。よろしければ、お早めにお申し込み頂ければ幸いです。

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  9月8日(火) 開催 ・ 東京・九段下

  クラウド時代に勝つ!グリーンITで勝負する・・・



2009年8月20日木曜日

ジェネラリストというスペシャリスト

 「お客様に信頼されたい」。その要件のひとつが「知識」です。

 営業に限らず、SE、コンサルタントも同様ですが、お客様に信頼され、相談されるためには、お客様の話を理解し、応えられる「知識」が必要なのです。

 ところで、お客様を相手にする私たちにとって必要な「知識」とは、Tの字でなくてはならないと言われています。

 ひとつは、横棒に相当する「深くはないが、広範な知識」です。社会情勢、ITの最新トレンド、法律や制度などについて、その要点を理解し、体系的に整理できている知識のインデックスです。

 もうひとつの縦棒は、「専門的で、深い知識」です。特定の技術や自社製品など、その思想、技術の詳細、優位性や課題などについての深い理解が求められる知識です。

 特に前者は、新規顧客や新規案件の発掘には、必須のものといえます。簡単に言ってしまえば、お客様が何を言っているのか、何を求めているのかを理解するための知識であるともいえます。

 また、お客様が求めているものを整理し、その本質、つまり、ニーズを見抜くための知識です。

 さらには、技術の動向、法律や制度、自社製品と他社製との比較などとともに、お客様に納得していただく「落としどころ」を見極めるための知識ともいえるでしょう。

 後者の縦棒も、詳細を詰め、完全な合意を得るためには、必要な知識ですが、それは、夫々の専門家に任せることができます。しかし、最初のきっかけを作る役割を持つ営業、SE、コンサルには、どうしても「深くは無いが、広範で整理された横棒の知識」が、必要です。

 たとえば、「クラウド・コンピューティング」。この言葉を知らない人はいないと思います。しかし、この言葉とSaaSとPaaSの関係となるとどうでしょう。また、クラウドの特徴を挙げろといわれ、「仮想化、マルチテナント、マルチデバイス」の3つを挙げて、その関係を説明できるでしょうか。また、クラウドのよい面だけではなく、課題はどこにあるのか、ビジネスとして仕掛けてゆくとすれば、どうすればいいのかを、皆さんは、自分なりに整理されているでしょうか。

 「仮想化」という言葉を聞いて、何をイメージされますか?「サーバーの仮想化」、「ストレージの仮想化」までなら、誰もが想像されるはずです。では、「ネットワークの仮想化」とは、なんでしょうか。「ディスクトップの仮想化」、「アプリケーションの仮想化」、「データセンターの仮想化」について、みなさんは区別して、説明できるでしょうか。

 「国際会計基準(IFRS)」が、話題になっています。しかし、なぜ、話題になっているのでしょうか。また、お客様の業務やITにどのような影響が出てくるのでしょうか?また、そこにどんなビジネス・チャンスがあるのでしょうか。あなたは、それを理解していますか?
 
 iPhoneが、世界最初のモバイル・クラウド端末である所以、Ajaxとリッチクライアントの関係、マイクロソフトとアマゾンとグーグルのクラウド戦略の違いを皆さんは、お客様に説明できますか。

 説明はできなくても、お客様との会話の中で、これらのことを頭に入れながら、お客様の話を聞き、「ならば、こういう話を切り出してみよう、提案してみよう」と考えることができますか?

もし、そこに不安があるのなら、「ソリューション営業塾」に参加するというのは、ひとつの解決策かもしれません。

 深く専門的な研修は、どこにでもあります。しかし、広く、体系的に学ぶ機会は、意外と少ないものです。そんな、期待に応えようとはじめたのが、この営業塾です。

 5月からはじめた「第一期」は、試行錯誤を重ねながら、先月無事に終了しました。その反省を踏まえ、「第二期」を10月6日(火)夕方から、リニューアルして再スタートします。

「なんとなくわかっていたつもりになっていた。でも、思い込みも多く、間違えて理解していたことも少なくない。整理できるというのは、本当に助かる。」

「腹に落ちたという感じ。いままでは、お客様にわかったふりをしてごまかしていたが、自信を持って、お客様の話しを聞けるようになった意義は大きい。」

「パワーポイントのソフト・コピーをもらえのは、ほんとうに助かる。本業を持ちながら、ひとつのことをこれだけ整理し、まとめるのを自分だけでやるのは無理。」

 前回参加された皆さんからのこんなご意見を糧にして、さらにブラッシュアップしようと、意気込みも新たにしています。

 会場の都合で、定員30名限定となりますが、どうぞ、自分力を磨きたい方、早々のご応募をお待ちしています。

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ソリューション営業塾」第2期募集開始!
・10月6日(火) 開始 12月15日(火)終了
・毎週火曜日の18:30~19:30

詳しくは、こちらをご覧ください。

2009年8月17日月曜日

OJTと放置

 「営業のスキルは現場で育てます。研修などしなくても、OJTで十分ですよ。」

 ある中堅SIerの社長が、こんな話をされていました。彼に言わせれば、「優秀な営業の背中を見て技を盗め」ということですが、私も、この考えには異論はありません。

 しかし、ひとつ問題があります。それは、見習うべき優秀な営業が、いつもいない、数が少ないという問題。これをどう解決すればいいのでしょうか?

 中堅SIerの多くでは、優秀な営業は、社長であったり、限られた営業マネージャーに偏っている場合が多く、しかも、彼らは常に忙しくしています。ですから、技を盗む機会が無いのです。

 この会社でもそうですが、営業マネージャーは、いつ行ってもオフィースにいないのです。じゃあ、部下を同行させているかというと、必ずしもそうではない。自分がやったほうが早いからと、自分でどんどん案件をこなしてゆく。間違えなく、この会社にとって、彼は無くてはならない存在なのです。しかし、売り上げは、彼に依存し、それを超えることができない状況にあります。

 彼にしてみれば、「オレがやらなくて、誰がやるのか。」という責任感、そして、自信がある。そんな強い使命感を持っていることも事実です。

 しかし、それでも「社長は、OJTで十分」というわけですが、現実をわかってないか、考えていないかのどちらかです。

 彼にそんな話をすると、「自分は、ちゃんと部下を指導していますよ。」となるのですが、その話を聞くと、ノウハウを整理して、説明することができていない。つまり、背中を見ろ、根性を出せとはいうけれど、どこをどう見ればいいのか、そこから何を学ぶべきかを説明できていないのです。

 彼は、紛れも無く営業の成功体験者です。しかし、彼の部下への説明は、その成功体験からの根性論、精神論ばかり。確かに気持ちは鼓舞されますが、どうすればいいのかという具体論となると、「そんなものは、自分で考えるもんだ。それが、営業だ!」となる。部下は、彼の語る理想像と自分の現実とのギャップに悶々とする。結局、意欲を無くしてしまうのです。

 「優秀(?)」な営業マネージャーといわれる人のなかには、意外とこういうタイプもいるように思います。しかし、彼がいなくなってしまったら、この会社は、どうなるのでしょうか?

 事実、この会社の若手営業部員の退職率は高く、彼の後継者も育っていません。これでは、この会社の将来はありません。

 退職したある若手営業部員に、退職前に相談を受けたことがあります。

 「自分が何をしているのか、よくわからないんです。いつも仕事は手探りです。」そして、「私は、もっと自分を成長させたいんです。プロの営業になりたいんです。」といって、この会社を辞めてしまいました。

 なんとももったいない、そして、矛盾する話ではありませんか。

 このようなやり方をOJTとはいいません。単なる放置、放任でしかないのです。

 OJTとは、理論的な裏づけを現場で確認し、知識を定着させるプロセスです。「自分で勝手にやること。自己責任で成長すること。」を言い合わす言葉ではないのです。

 また、件のマネージャー氏は、かつての栄光が、すでにさび付き始めていることにも、まだ気づいてはいないようです。

 彼の成功は、高度経済成長時代の体験です。とにかく、足繁くお客様に通い、お酒を飲んで、良好な人間関係を築き、お客様の無理を聞いて恩を売る。仕事はいくらでもありますから、売り上げには困らず、利益もそれについてくる時代でした。

 しかし、今はどうでしょうか?低成長の時代、お客様の需要は絞られてきました。また、課題解決の選択肢は、多岐にわたり、選択眼もますます厳しくなっています。その限られたパイに、多くの企業が戦いを挑んできているのです。

 靴をすり減らしお客様に通うことや寝技を否定するつもりはありません。しかし、担当者を寝技で落としても、それだけで社内を通すことは、もはや限界なのです。社内を説得できる提案であり、キーパーソンを納得できるきめ細かなプロセス・マネージメントのスキルが必要なのです。

 今の時代にあった知恵とノウハウ。そして、プロセス。これらを整理し、部下に説明する。その上で、現場体験をさせ、気づかせ、知識を定着させること。それが、結局は、会社全体としての営業力を底上げする早道なのです。

 「わが社は、OJTでやっている」という話を聞くと、「わが社は、営業を育てる取り組みを放棄しています。自分でできる人間だけが残ってくれれば、それでいいんですよ。」

 そんな風に聞こえてしまうのは、私の耳が悪いせいでしょうか?

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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間
場所:東京・茅場町

2009年8月16日日曜日

二つの「治」、三つの「原則」

 「営業という仕事の価値は、どこにあるのか。何を信じ行動すればいいのだろうか・・・」

  前回のこの問いかけへの答えが、少々尻切れトンボになってしまったので、もう少し、深堀りしてみようと思う。

 私たちIT営業の仕事には、二つの側面がある。一方は、お客様を治めること。もう一方は、社内を治めることだ。

 お客様を治めるとは、お客様の意思を自分達に向けさせ、受注、契約という行動を起こさせることである。さらには、お客様の意欲を高め、それを維持し、人間関係を良好に保ちながら、デリバーリーの共同作業を確実に完遂することにある。

 これに対して、社内を治めるとは、プロジェクトを受注に導き、デリバリーを成功させるために、社内、社外のリソースを引き出し、適時、適材、適所にそれらを配置することである。

 この両者を管理、運営することが、IT営業の仕事ということになる。

 この両者に共通する三つの原則がある。それは、あるべき姿を明確にすること。これを共有すること。自発的な行動に導くことである。

 あるべき姿を明確にすることについては、今までにも幾度となく書いてきた。前回のブログにも記したが、「明なること」である。つまり、手段が何かではなく、その手段の先にある結果にどのような姿を描くかということで、むしろ手段は、あるべき姿を明らかにした後で、最適なものを考えればいい。

 ここは、往々にして間違えるところで、「新製品が出たから売らなければ・・・」ではなく、「このお客様は、きっとこうなることを望んでいる。ならば、どういう方法があるだろうか、この新製品は使えるだろうか?」という考え方であろう。

 次にこれをお客様とも、社内の関係者とも、あるいは、パートナーの方々とも共有することであ。

 プロジェクトというものは、たとえそのときに合意しても、その手段、状況認識において、完全はありえない。また、状況は、常に変化しており、完全にそれを固定することはできない。だから、仕様変更やスケジュール変更は日常茶飯事であり、それを完全に回避する手段は無い。

 しかし、どうありたいかという結果、つまりあるべき姿は、そんなに大きくぶれるものではない。というか、ぶれないあるべき姿をつかめるように、早い段階でしっかりと関係者と議論し、合意することが大切なのである。

 ここが、ぶれなければ、状況の変化に応じて、手段やスケジュールを変えざるを得なくても、そこに合理的な理由があれば、お互い納得できるだろう。「軸がぶれない」という言葉があるが、まさにこれである。

 「あるべき姿」が、明確であり、それを関係者が共有できていれば、お客様、そして社内外の関係者は、それを達成することに専念することができる。当然、到達点が明確であるから、意識を集中でき、意欲も高い。

 意欲の高い仕事は、自発的な行動となり、「あるべき姿」が明らかであるから、その完成度を高めんと、知恵を絞り、工夫をする。自ずと質は高まる。

当然、お客様の満足度も高まり、会社にも、パートナーにも利益をたらす。そして、何よりも、このプロジェクトで働く人は、幸せであろう。自分の役割を自覚し、力を発揮できるわけで、人生において、意義ある時間をすごせるのである。

 営業の仕事とは、この三つの原則を遂行することに他ならない。

 これは、とても価値のある仕事だと、私は思う。価値ある仕事をしているという自覚。その完成度を高めようという修練。厳しくもある。だから、楽しめるのです。

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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間

2009年8月14日金曜日

明なるに自りて誠なる也

 「どうして、こんなに忙しんでしょうね。毎日夜は9時、10時になるんですよ。参っちゃいますよ。」と文句を言う。しかし、その言葉に、悲壮感は無い。

 30才台前半の彼は、この会社の営業として、まじめに仕事をしている。私は、彼の話を聞いて、「こいつは、大丈夫だな。まだまだ、働き足りないなぁ」と苦笑いをした。

 私もこの年頃には、殺人的な生活をしていた。朝7時にオフィース、夜、終電に間に合うことは、まず無い。帰りはいつもタクシーで、「XXXのインターを出たら起こしてください。」と告げて、暴睡し睡眠時間のつじつまを合わせる。週に一日、二日は会社に泊まりこみ、近所にあるカプセル・ホテルでシャワーを浴びて仮眠を取る。土日も必ずどちらか一日は、会社に出ていた。

 こんなこともあった。ある大型の案件をなんとしてでも受注しようと、必死になっていた。昼間は、お客様の社内を回り、情報収集や交渉、そして夕方になるとオフィースに戻り、打ち合わせや翌日の資料作成。そんな毎日を繰り返していた。気がつくと、95日間一切休み無く働いていた。

 よく続いたものだと思うし、なんと要領の悪い仕事の仕方をしていたのかとも思う。

 改めて考えてみると、そんな自分に酔っていた面もある。確かに仕事は多かったが、もうすこし要領よくやれば、こんなことにはならなかっただろう。しかし、大変だ、忙しいということで、結局は、「自分はこんなに仕事をしているですよ。どうです、すごいでしょ」と周囲にアピールし、それを自慢していた。そして、何よりも、大きな仕事ができることに、やりがいも感じ、それを楽しんでいた。
 
 こんな経験をお持ちの方は、私だけではないと思う。

 労働時間の長さは、IT業界の構造的問題として、いつも何とかしなくてはという話になる。もちろん、この現実を否定するつもりはないし、真剣に何とかしなくてはならないと私も考えている。

 ただ、忙しいこと、労働時間が長いことが、すなわち、心の病や過労死につながるかというと、必ずしもイコールではないように思う。ご批判を覚悟で、あえてそう申し上げたい。

 私は、少々いい加減で、楽天的な性格であるから、こんな異常な生活の中でも、どこか手抜きをして、息抜きしていた。だから、こうやって生き延びてきたのだろう。

 また、忙しい、忙しいといいながらも、営業という仕事をおおいに楽しんでいた。

 営業であるから、予算(ノルマ)もある。しかし、予算というものは、簡単に達成できないようになっている。当然、これを達成するために知恵を使い、お客様を開拓し、タフな交渉もこなした。しかし、なんとしてでもやってやるという決意もしっかりと持っていた。

 厳しくて、大変だが、難攻不落を攻略することを楽しんでいた。自分の仕事に目的があり、価値があり、いつまでにどれだけという目標がある。それを理解し、信じていたからこそ、仕事を楽しめたのだと思うし、心を病むことも無かった(ただ、過労で身体は壊してしまったが・・・)。

 ONとOFFのけじめというが、これは決して、「ONは、厳しくつらいもの、OFFは、楽しく、気楽なもの」という意味ではないようにおもう。「ONは、ONで楽しみ、OFFは、OFFで楽しむ」。そんな意味だろうと思う。

 私の今のOFFの目標は、フルマラソンを3時間15分で走ること。これは、容易なことではない。だから、つらい練習もする。しかし、それは自分の決めたことであり、それはそれで楽しんでいる。楽しむとは、そういうものではないかと思っている。

 では、どうすれば、営業という仕事を楽しめるのだろうか・・・

 ノー残業デイを作ったり、休暇を強要する。それに意味が無いとはいわないが、それだけでは、仕事を楽しむことの助けにはならない。自分のやっている仕事の意義や目的、その価値を理解し、信ずることができなければ、それを達成する喜びも生まれない。

 労働時間や労働環境の改善も大切な課題である。ただ、それだけでは、営業のモチベーションを高め、パフォーマンスを高めることにはならないだろう。

 では、営業という仕事の価値は、どこにあるのか。何を信じ行動すればいいのだろうか・・・

「明なるに自りて誠なる也」

 自分の行うべきことを明確に自覚し、目的地を知れば、自ずと努力して、それに至ろうという気持ちが沸き起こってくる。

 まったく、その通りだとおもう。
 
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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間
 

2009年8月13日木曜日

都心3周+森林浴

 今朝は、7時ごろにオフィースに到着。直ちに着替えて皇居へ直行しました。

 曇りがちながら、気温も低めで風も心地よく、なかなか爽快でした。

 我オフィースから半蔵門までは、徒歩5分もかかりません。毎朝というわけではありませんが、週に数回は、皇居で走っています。

 内堀通りに沿って皇居を一周すると、ぴったり5Km。誰がそうしたのか、あるいは、結果としてそうなったのかは、わかりませんが、信号も一切無く、ペース管理には最適なランニング・コースです。

 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、皇居周回は、市民ランナーのメッカ。大手町、丸の内界隈が、ノー残業デーになる水曜日の夜などは、このコースを千人の人たちが、同時に走っています。つまり、50センチに一人の割合・・・という混雑ぶり。そんなこともあるので、最近は、もっぱら、ランナーの少ない朝練習にしています。

 さすがに、今日は、お盆ということもあり、早朝ランナーも、いつもの半分くらいしか走っていません。しかも、皇居沿いの道路に車は少なく、ならば、車道を走ってしまおうか・・・なんて、考えてしまうほどです。

 いつもなら、一人で走るところですが、今日は連れとおしゃべりしながらのランニング。一人の時には、つい追い込んでしまうのですが、今日はのんびりと談RUNを楽しみました。

 2周目の途中、ちょっと寄り道をしようということで、北の丸公園へ。都心にありながら、鬱蒼とした森。ここに遊歩道が整備されています。周りの喧騒に代わり、蝉のジィジィという鳴き声に会話も消されるほどです。

 森の中は、とても清涼。夏の暑さをしのぐことかできます。また、お堀の土手沿いに登ってゆくと、木の根も露な、山道のような遊歩道。そこでは、暫しのトレイル・ランニングを楽しむことができます。

 15分ほどの散策を終えて、再び皇居へ。涼しさと、ゆっくりペースのおかげで、消耗感はまったくなし。「もう一周どうです?」との言葉に、「いいですねぇ。」とつい答えてしまいました。

 結局、皇居3周15Km+北の丸公園15分(2Km?)ほどを走ることになりました。

 高速道路の大渋滞、新幹線の大混雑のおかげで、都心はのんびりしたものです。おかけで、朝から気持ち良い汗をかくことができました。

2009年8月12日水曜日

プロセスを定義する:2つの目的

 自分で、自分の居場所を知ること。その手段が、営業活動プロセスであるという話を、前回のブログで書いた。自分が何をやっているのか、どこに課題があるのか、次に何をすべきなのかを理解するうえで、手がかりを得るための手段である。

 では、どのように、この営業活動プロセスを定義するかということだが、私の場合は、自分自身の営業経験と今までの営業コンサルでお付き合いさせていただいた優秀な営業たちの成功パターンを素材にしている。

 IT営業の「ITILのようなもの」と申し上げれば、わかってくださる人もいらっしゃるかもしれないが、営業活動のベストプラクティスを集め、体系化したものとお考えいただきたい。

 私は、営業活動を「発見-定義-確定-デリバリー」の4つのフェーズに分けて、考えている。

 「発見」とは、新規案件を掘り起こし、ビジネスとしての可能性を探求すること。次の「定義」フェーズは、「発見」で絞り込まれた優良案件に積極的な提案活動を仕掛け、顧客の合意を取り付けるまでの作業。「確定」は、人脈を駆使、攻略し、稟議決済を獲得するまで。「デリバリー」は、確実に売り上げを計上するとともに、次の案件を発掘する活動。

 この各フェーズごとに、行うべき仕事の内容を具体的に定義し、その対応方法と進捗を評価する手段を提供する。

 営業活動を「見える化」し、各プロセスの処方箋を提供しようという内容だ。

 営業なら誰しも、自分なりの営業活動プロセスは、もっているはず。しかし、そのやり方で満足してもいいのだろうか。もっと、いい方法があるのではないだろうか。

 売るものも違えば、環境も違う。だから、一律に同じプロセスなど使えないと考えられるかもしれない。しかし、実際には、意外と共通部分が多い。これは、さまざまな企業からこの研修を受講された方からも伺っている。

 自分の仕事のやり方をベスト・プラクティスと照らし合わせて、比較検証してみることで、新たな気づきを得て、一層の成長のきっかけとしていただければと願っている。

 このように仕事を「見える化」することは、自分に気づきを与え、自発的な行動を促すことになるのだが、実は、もうひとつ大切な役割がある。

 それは、営業という仕事を「見られる化」することだ。

 「見られる化」については、酒井由夫さんのブログ「見える化、見せる化、そして、見られる化」にわかりやすく書かれているので、ご参考にされてはいかがだろうか。

 営業の仕事は、前回のブログでも書いたが、売り上げを上げるという目的は、明確ではあるが、どのようにして、その目的を達成するかといったプロセスはあいまいだ。そして、このプロセスを管理しているところは少ない。

 世の中の景気がいいときは、プロセスなど多少いい加減でも、人当たりがよければそれなりの売り上げを上げてくることはできる。ところが、不況やパラダイムの変化には、太刀打ちできない。また、大企業や大きな組織を相手にする場合も、この手は使えない。

 しかし、厳然と数字という「予算」は、のしかかってくる。だから、ついよからぬ事を考えて、「飛ばし」「押し込み」などという、不正な売上計上をしてしまうものもいる。

 また、それができないようにチェック・システムでがんじがらめにしている企業では、営業が、いろいろなことを自分で抱え込み、心を病んでいる場合も珍しくはない。

 このような問題を起こさせず、組織として営業活動を支えるためにも、営業プロセスを共有することの意義は大きい。この場合は、「見える化」ではなく、営業として、今どんな仕事をしているかを、他人に「見られる化」することが目的となる。

 自分の仕事が「見られる化」されることは、個人的には面倒な気持ちもある。しかし、これからのITビジネスは、個人の寝技だけで勝負できるものは少ない。だからこそ、組織と役割や責任を共有し、組織としてお客様にアプローチすることが求められる。

 営業活動の「見える化」と「見られる化」は、個人としての営業力を伸ばすきっかけであるとともに、組織としての営業力を強化し、リスクをヘッジすることにもつながる。

 営業活動プロセスを定義することは、「見える化」と「見られる化」の基本なのである。この研修でも、そのあたりを詳しくお伝えしている。

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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間

2009年8月11日火曜日

「いまひとつ」の危険

「あいつは、なかなか優秀だが、いまひとつなんだよなぁ」
「だいぶ仕事の勘はつかめてきたが、どうもいまひとつがうまく行かないなぁ」
「おい、いいとこまで言ってるよ。いまひとつがんばりなさい。」

 しかし、なぜ「いまひとつ」なのかがわからない。そもそも、なにが、「いまひとつ」なのかがわからない。このような「わからないままの状態」のままでは、どうやったらこの「いまひとつ」を解消できるのだろうか、あるいは、どうすれば、この解消方法を指導できるのだろうか。そこが、わからない。

 「わからないままの状態」を放置しておくと、いずれ人は、こんなことを考えてしまう。

「自分には、センスがないから」
「会社のやり方が悪いから」
「経済情勢が悪いから」
「市場が無いから」
「世間や会社に自分を見る目が無いから」

 これら言葉に論理的な裏づけがあるのだろうか。けっしてそんなことは無い。考えることをあきらめ、自分以外に原因を求めることで、自分の心の整理をつけているに過ぎない。

 この「わからないままの状態」が放置されているのが、営業の現場だ。営業は、技術の世界と違い、成果や能力、進捗などの評価基準が実にあいまいである。そもそも、営業は何を学び、いかなるスキルを身につけるべきかの定義さえない

 プレゼンテーション能力、ドキュメンテーション能力、コミュニケーション能力など、一応は示されている。しかし、営業の本分は数字をあげること。しかし、これら能力が、どのように数字で結びつくのかあいまいなままであり、だれもそれを獲得できたからといって、営業としての能力が向上したとは認めない。

 つまり、営業のあるべき姿と能力の定義が一致していないところに、「わからないままの状態」を放置せざるを得ない原因があるように思う。

 営業に限った話ではないが、自分が今何をしているのか、次に何をしなければいけないのかを、客観視できなければ、具体的な対策を打つことはできない。

 営業という仕事で見れば、お客様の課題を見極め、案件を発掘し、提案活動を行い、受注、導入する。この一連の仕事のプロセスをだれもが、同じ基準で言葉にできる環境を用意することが、「わからないままの状態」を解消する唯一の方策といえるだろう。

 プレゼンテーション能力などのスキルは、このプロセスに定義された作業を行うための手段に過ぎない。

 「このプロセスをこなすためには、このスキルがないと、うまくできない。」という気持ち、つまり、プロセスを明らかにできれば、おのずといかなるスキルが必要かに気づき、自発的なスキル獲得の行動に結びつけることができるはずである。

 部下を指導するにしても、営業活動のプロセスを把握できていれば、彼は今どこにとどまり、どこでつまずいているのか。次に進捗を進めるためには、何をすればいいのかが、客観的に見えてくる。そのとき、リーダーやマネジャーは、自らの経験をこのプロセスに照らし合わせ、部下に語り、指導することができるようになる。

 近思録に「上を責め下を責め、而して中自ら己を恕する・・・」という言葉がある。

 「景気が悪い、会社がちゃんと対策をしない。だから売れないんだ。部下もオレのいうことを聞かず、やるべきことをやらない。お客様もあんなことしてるからだめなんだ。」

 続けて、「・・・あに職分に任うべけんや。」

 「では、自分はどうなのか。このような考えでは、絶対に自分の職分を果たせるはずが無い」と説いている。

 「いまひとつがわからない」を放置すれば、このような逃げ口上を語りたくなるのは、人の常。そんな人物に従うことは無いだろうし、いずれはお辞めいただくしかないだろう。

 営業活動プロセスを理解するとは、営業という仕事をこなして行く上での基本中の基本。是非、この研修で、これを手に入れていただければと願っている。

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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間

2009年8月9日日曜日

ささいな出来事

近くのファミレスで食事をしたときの話。

 窓際の席に案内され、注文をした。しかし、陽光が眩しく、絶えられない。幸い、早朝でもあり、あまりお客様もいないので、席を移させてもらった。

 しばらくして、ウエイトレスが食事を運んできた。私は、彼女に「すいません。席を移させていただきました。」と一言。

 すると彼女は、何も言わず、むっとした顔で運んで来た食事を机に置いた。そして、ハンディーターミナルの入力を目の前で始めたのである。どうも、オーダーと座席の変更を入力しなおしているようだ。その表情は、明らかに「めんどくさい」と言っている。

 こちらも黙って席を移動したのは申し訳なかったが、こんな仕返しをすることは無いだろうと、なんとも不快な思いをさせられてしまった。

 つまらないことだが、一事が万事である。もう二度とあの店には行かないぞという気持ちになってしまった。

 この店が、他には無いメニューを出している。あるいは、近所に同様の店が無いとなれば、この程度のことも我慢しなくてはならないだろう。しかし、この店は、ごくありふれたファミレスである。私には、いくらでも選択肢がある。そんな中での出来事は、わずかなことの積み重ねが、大きな差となって現れる。

 ITビジネスも同様の状況に置かれているという話は、以前のブログで紹介したとおりだ。

 なぜこんなことがおきるのだろうか。それは、このファミレスがウエイトレスに手段を教えはするが、目的を教えていないからではないか。お客様が、何を期待し、この店に来るのか。ウエイトレスとしてのあるべき姿は、いかなるものかを理解させる努力を怠っていることの結果であろう。

 「お客様が気持ちよく食事ができること」。そんな場を提供することが、彼女たちのあるべき姿だと理解していれば、彼女は、こんな態度をとることは無かったに違いない。

 「たかがファミレスのことである。その程度の教育レベルなのだから、それを期待しても無理でしょう」。そのとおりかもしれない。しかし、このチェーン店全体で見れば、こんな些細なことの積み重ねが、いずれ大きな差となって、全体の業績にも影響を与えることになるのではないか。

 わが身を振り返ってみて、私たちは、お客様にこんな態度をとってはいないだろうか。

「また面倒なことをやらせて、まいっちゃうよなぁ」
「いい加減にしてほしいよ。また、そんな資料出さなきゃいけないの」
「なにもわかっちゃいない。だからあそこはダメなんだよ」

 心は、態度になり、言葉になる。お客様は、意外と些細なことに敏感なのである。

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2009年8月6日木曜日

仕事のスタイルも健康診断すべきです

 「営業を武器に競合優位を築く」。このブログでも度々そんなテーマでいろいろなことを書いてきた。それをきちんと整理してみようではないかということで、講座を開いている。

日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間

 この1年間で18回開催し、84社247名のご参加をいただいている。

 今回は、クラウド・コンピューティングの動きなどの解説も交えながら、ITソリューション営業は、これからのビジネス環境にどう向き合うべきか、そんなことについても話をしてみようと思っている。

 何度も申し上げていることではあるが、営業は、知識やスキルだけでは、売り上げ目標を達成することはできない。この両者をうまく使いこなしてゆくための営業活動プロセスもまた、重要な要素となっている。

 しかし、この営業活動プロセスは、一般にはとても俗人的なもので、個人のノウハウとして、なかなか他人に伝授できるものではない。

 たとえば、近くに成績優秀な営業がいたとしよう。彼が要領よく、効果的に案件を獲得する様を傍から見ていても、なぜそんなことができるのか、なかなか理解できないし、それをまねるとなると、ますます容易なことではない。

 この研修は、そんな優秀な営業たちが、どうやって仕事をこなしているのかを分解、整理し、営業活動プロセスとして、「見える化」しようというものだ。
  • 自分はいままで、精一杯営業としてがんばってきたが、それは我流。本当にこのやり方で間違っていないのだろうか。これからもこのやり方でいいのだろうか。
  • ソリューション営業とは、お客様の課題が起点だとはわかっている。でも、どうすれば、効率よくお客様の課題を見つけることができるのだろうか。
  • わが社は、まだまだプロダクト・ビジネス中心。ソリューションには手をつけていない。しかし、このままでいいはずは無い。しかし、何から、はじめればいいのだろう。
  • 新規顧客開拓の大切さはわかっている。しかし、どうすればそれができるのだろう。また、たとえ新規のお客様訪問にこぎつけても2回目のアポイントメントに結びつかない。
  • ソリューション・ビジネスとプロダクト・ビジネス。何がどのように違うのか。この違いは、仕事の違いとなるのだろうか。結局は、同じようなものではないのか。

 もし、こんな疑問をお持ちであるのならば、この講座を受講されてはいかがだろうか。

 「自分の営業スタイルを変えましょう」という話ではない。これは、簡単なことではない。むしろ、自分にあっているから、そういうスタイルになったのであって、変える必要など無いだろう。

 しかし、どんな仕事でもそうだが、自分が正しいと信じて行っている仕事でも、これを客観的に整理し、ベスト・プラクティスと比較しながら見直してみることは、大切なことだと思う。そこから新たな気づきが生まれ、いっそうの成長のきっかけとなる

 言葉を変えれば、「自分の営業スタイルの健康診断」だ。

 「ソリューション営業プロフェッショナル養成講座」は、IT営業だけではなく、コンサルタント、SEといった、お客様応対に責任を持ち、ビジネス開拓に関わる皆さんにもぜひ参加してもらいたい。

 以前参加されたかたから「目からうろこ」というコメントをいただいた。そんな気づきこそが、ソリューション・ビジネスのプロフェッショナルを目指す皆さんのモチベーションになると信じている。

よろしければ、▼こちら▼をクリックしてみてください。

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2009年8月4日火曜日

ITソリューション営業のソリューション

  「競合他社と同じものを売っている」。IT営業は、この現実と向き合っている。

 言うまでも無いが、たとえブランドは違っても、PCサーバーといえば、CPUは、インテル、OSは、LinuxかWindows、データベースは、SQL ServerかORACLEである。

 また、ネットワーク機器といえば、CISCOというように、どこのITベンダーも結局はお客様に同じものを売っている。  また、客様の要求条件やその時のテクノロジーの進展状況を考えれば、たとえ商品は異なっていても、結局は似たようなものを提案することになる。

 クラウドの時代になって、モノはますます売れなくなるだろう。また、SaaSの普及は、ヒトを売る商売を今まで以上に難しくする。そうなると、同じものを売ることさえ、難しくなってしまう。

 IT営業は、このような状況で競争しなければならない。  ここでひとつ疑問が生じるのだが、同じものを同じように説明し、提案すれば、差がつかないはずではないのか。しかし、結果は、必ず差がつき、どこかに決まる。それは、なぜなのか。  それは、「わずかな差の積み重ね」の結果だ。

 商品の知識、訪問頻度、真摯な態度、お客様への気遣い、お客様についての理解、調整能力、特化した技術やノウハウ、組み合わせの巧みさ、選択肢の多さ、説明の精緻さ、説明のうまさ、提案書の美しさ・・・あげれば切が無い。

 どれかひとつを取り上げて、決定的な差をつけることは、たぶん相当に難しい。結局は、ここにあげたようなことひとつひとつに関心を持ち、自らを磨き上げ、全体として大きな差を作る以外に方法は、無いように思う。

 このような「わずかな差の積み重ね」が、お客様の中の「存在感を高めてゆく」ことになる。その存在感の大きさこそ、お客様の意思決定に決定的な影響力を与えることになる

 実は、ここに大きな発想の転換がある。このような差は、商品力や技術力だけでは決まらない。視点を変えれば、営業力が、存在感を高めてゆく上で、今まで以上に大きな役割を果たしてゆくことになる。  ここで言う営業力について、私は、次のように考えている。

 「お客様のあるべき姿を実現するために、必要なプロセスを確実にこなしてゆくプロデュース能力」である。

 お客様の期待は、モノやヒトなどの手段の提供ではない。結果としてこうなっていたいという「あるべき姿の実現」だ。この「あるべき姿」を実現するために、最適な手段を考え、その実現に必要なリソースを集め、タイムリーに提供し、進捗を管理する。お客様は、この一連のプロセスをこなすプロデューサーとしての役割をIT営業に期待している。

   だからこそ、IT営業は、お客様に関心を払い、その実現のために精一杯努力する。つまり、なんとしてでもお客様にあるべき姿を実現してほしいという思い入れである。言い換えれば、お客様への「愛情」なのだと思う。  好きだ、好きだと口だけで言うのではなく、お客様の成功を願い、その実現に向けて、最善を尽くす。これは、何かひとつがうまくやればいいというものではない。ささいな事の積み重ねなのである。

 この積み重ねにより、お客様は、あなたを「役に立つ」存在として、認めてくれるようになるだろう。

 お客様の成功を願う「愛情」に裏打ちされた「役に立つ」存在となること。それが、お客様の中で、営業としての存在感を高めることになる。

   このような話をするとITソリューション・ベンダーの経営者やマネージメントの多くは、「そんなことはわかっている」と答えられるであろう。しかし、現実には、「精神」は理解できていても、そのこれを実現するための具体的な取り組みをしているところは極めて少ない。

 あるべき論を語りはするが、後は自助努力に任せる。それができないのは、営業のセンスや意欲の問題であり、組織や会社の問題ではないという。

 これでは、営業は育たない、営業力は決して向上しない。

 商品の発掘や技術力の向上に、時間とコストを割いても、営業を育て、営業力を強化することに力を注がなければ、いずれは、時代の流れの中で淘汰されてしまう。

 「営業」という存在をいかに差別化の武器として強化するか。そんな戦略的な発想が、これからのITソリューション・ベンダーには、求められているのではないだろうか。

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2009年8月3日月曜日

「ITソリューション営業塾」完結

 三ヶ月、12回を重ねたITソリューション営業塾が、先週終了した。

 この営業塾は、毎週火曜日の夜、18時30分から20時30分までの2時間、「お客様の話がわかる、お客様にわかりやすく説明できる」をテーマに、営業として理解しておくべき最新のITトレンドやそれにまつわる社会の動きについて解説した。

 「広く、浅く、たくさんの」知識は、お客様との会話や提案活動を行う上で、無くてはならないもの。

 世の中に、ひとつのテーマを取り上げて、深く徹底的に行う研修はあるが、たぶん、「広く、浅く、たくさんの」という講義は、めったに無いだろう。また、技術の解説だけではなく、ビジネスとしてどう取り組めばいいのかという、営業の視点からの解説となると、まず世の中に無いだろうとも自負している。

 ご参考までに、この12回で行った。テーマをご紹介しよう。

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■ 提案に欠かせないキーワード:IT営業の常識(60分)
  • クラウド・コンピューティング
  • 仮想化
  • オープン・ソース
  • ネットワーク・セキュリティ
  • メインフレーム
  • 暗号化
  • 仮想ストレージ
  • セキュリティ・スタンダード
  • SOA
  • ITIL
  • 国際会計基準
  • グリーンIT
■ 最新のITトレンド(30分)
  • Ajax と最新 Web ブラウザー
  • Rich Internet Application と Rich Client
  • Web ブラウザーの仕組み
  • Windows7
  • iPhoneと日本の携帯電話(1)
  • iPhoneと日本の携帯電話(2)
  • One Laptop Per Child
  • Google ChromeOS
  • Windows Azure
  • HTML5
■ ITソリューション営業スキル(30分)
  • 交渉を有利に導くMETS理論
  • 顧客満足の科学
  • 説得の科学
  • セールスコーチング
  • セールス・プレゼンテーション
  • 今年は何を売ればいいのか?
  • 売上を伸ばす技術(1):勝率を高める
  • 売上を伸ばす技術(2):期間を短くする
  • 売上を伸ばす技術(3):単価を上げる
  • 権限委譲で部下を育てる
  • ソリューション営業のこれから
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 説明に使ったプレゼンテーションは、パワーポイントのソフト・コピーで参加者に差し上げた。どこかで、この資料が使われているのを見てみたいものだ。

 この研修について、あるソリューション・ベンダーの社長にご案内したところ、「とてもいい取り組みだと思いますよ。ただ、うちには、それぞれに専門家がいるので、やらせますから、必要ありません。」というご返事をいただいた。

 しかし、ひとつのテーマを1時間に要点を抑えてまとめ、しかもわかりやすいグラフィカルな説明資料まで作るとなると、これは相当に手間のかかる仕事だ。これを他の仕事を持つ社員に、片手間で任せられるだろうか。この会社で、同様の研修を始めたという話は未だ聞こえてこない。

 専門家じゃないからかもしれないが、私の場合は、営業塾の開講期間中は、平日の夜、土日をほとんどつぶしての準備となってしまった。改めて、「広く、浅く」かつ、要点を抑えた資料を作ることの難しさを痛感した。

 しかし、そのおかげで、参加者以上に私のほうが、勉強させていただいた。心から、大変感謝している。

 参加者から、こんなご感想を頂戴した。

 「いままで、言葉が上滑りしていて、腹に落ちていなかった。自信を持って説明できるまでには、まだまだだが、お客様の話を聞くことに不安が無くなった。」

 ありがとうございます。そういっていただけることが、何より幸せです。

 クラウドの時代、ますますモノ、ヒトが売れなくなる。また、コンピューターの仕様も性能の似たもの同士で競い合うだけのビジネスは、結局は価格競争になってしまう。

 そんな中で何に付加価値をつければいいのだろうか。結局は、営業力、あるいは、営業の個人力が、差別化のポイントととして大きなウエートを占めることは間違えないだろう。

 毎週、宇都宮から通ってきていただいた方、自腹で参加された方。そんなみなさんの熱い思いに支えられて、何とか完結した営業塾。

 参加された皆さんにどれだけお返しできただろうか。ただ、前向きな人たちと過ごすことで、私自身も、お互いも、大いに啓発されたことだけは、間違えないだろう。

 この研修は、9月から再びスタートしようと考えている。また、2日間に短縮して、企業向けの個別研修も用意した。よろしければ、ご検討ください。

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