2009年10月30日金曜日

案件を発掘するということ

 先日の「産地偽装型クラウド」という記事を掲載したら、「ならば、産地偽装と本物とは、どこで線引きすればいいのか。」というご指摘をいただいた。

 なるほど、もっともである。ということで、「クラウド・コンピューティングの定義」という記事を別のブログ・サイトにアップしました。ぜひ、ご覧ください。

 さて、この定義ですが、アメリカの標準規格を司るお役所「米国商務省・国立標準技術局(NIST:National Institute of Standards and Technology)」が、公開しているものですが、なぜ、日本のお役所は、こんなことができないんでしょうかねぇ。

 まあ、IT先進国を自認する米国のプライドもあるのでしょう。しかし、まだまだ、あいまいなところもある「クラウド・コンピューティング」なるものを、いち早く定義し、世間の混乱を収拾しようという態度は、立派なものだと思います。

 内容的には、特に目新しいものではありませんが、世の中の大勢をうまく整理しているなぁと感じますね。

 基本的に彼等の態度は、「とりあえずこう決めます。合理的な理由があれば、柔軟に変えますよ。」といった姿勢。これに対し、わが国のお役所のスタンスは、上から目線とでも言いましょうか、「一度決めたらそう簡単に変えないので、しっかり熟成してから、定めます。」というもの。

 どちらが優れているという一般論は別にして、ITの世界については、やはり前者が、理にかなっているように思います。

 とにかく、変化が早い。クラウドという言葉も、グリッドやオンデマンド、ユーティリティとどう違うのか。はやり廃りがあるわけで、世の中の意見が定まらないうちに、新しい言葉がでてくる世界ですからね。

 お客様への提案についても同じです。

 とにかく、「こうでなくちゃいけない。」と言い切る。もちろん、あてずっぽうのいい加減じゃなくてですよ。

 お客様について、調べ考え、仮説を立てる。そして、ITの常識や最新トレンドについての知識もなくちゃいけない。

 そういうものを持って、このお客様が、成功するためには、こうしなくちゃいけないという、自分なりの見解を持つこと。それをお客様にぶつけてみるんですよ。

 もちろん、お客様からは、いろいろと反応もあるでしょう。「なるほど、確かにそうだよなぁ。」といってもらえれば、御の字ですが、「なに、生意気なことをいってるんだ。」といわれるかもしれない。

 しかし、どちらにしても、話しのきっかけが生まれるわけだし、こちらも真剣に考えているから、そう簡単には、引き下がらない。

 そんな態度で、じゃあどうすればいいのかと、一緒になって当初の仮説や定義に修正を加えてゆく。

 これが、案件を発掘するということですよ。

2009年10月26日月曜日

クラウドについての「5つの質問」

 前々回、クラウドについて、皆さんに質問をしておきながら、回答を出さずでは、信用問題です。ということで、今日は、その回答を・・・

[質問1]仮想化とクラウドの違いについて、説明してください。

 クラウド・コンピューティングを別の言葉で置き換えるなら、「無人コンピューティング」かも知れません。もちろん、クラウド・システムそのものを運用するには、人ではかかります。しかし、クラウドを利用するユーザーの視点に立てば、自分達で使うシステム・リソースは、実質無人で運用されているといえるでしょう。

 従来のように自社に運用要員を置く必要はなく、外注に依存するわけではありません。運用に関わる業務をシステムに任せることができます。例えば、必要に応じてリソースを割り当てる機能、バックアップやリカバリー、故障の修復や脅威への防御などは、クラウドの世界では、システム任せです。そうしなければ、膨大なユーザーの要求に対応することは、できません。

 リソースの割り当てが、ダイナミックにできるということは、仮想化が必須となります。しかし、それだけでは不十分で、運用の自動化が、併せて必要となります。

 つまり、クラウドとは、仮想化と運用の自動化の組み合わせが、必要なのです。仮想化だけでは、クラウド・システムは、構成されないと考えるべきでしょう。

 ちなみに、この運用の部分をいまだ人手に依存し、データセンターのシステム・リソースを仮想化して提供し、これをクラウド・サービスとしているところも少なくはありません。

 それが、まちがっいているとはいいませんが、GoogleやAmazonなどのサービスと比較すれば、コスト競争力、スピード、人的介在によるミスのリスクなどで、不利な状況です。そう考えると、完成度は低いといえるでしょう。

[質問2]SaaS、PaaS、IaaSの関係について、説明してください。

 下の図をご覧ください。


 SaaSとは、ユーザーから見れば、アプリケーションに見えます。PaaSは、ミドル・ウェア、IaaS/HaaSは、OSに見えます。ちなみに、IaaS/HaaSの代表であるAmazon EC2で利用できるOSは、Linux,Open Solaris, Windowです。

[質問3]クラウド、SOA、BPMの関係について説明してください。

 クラウドのあるべき姿は、特定のクラウド・サービスのみに依存するのではなく、夫々の機能や特長を活かして、サービスを組み合わせ、自社に最適なシステムを構築できることです。

 言うなれば、C to C(Cloud to Cloud)システムの構築を可能にすることです。そのためには、システム機能を部品化し、インターフェイスを相互に連携できるようにすることが必要です。これは、SOA(Service Oriented Architecture)の考え方です。

 また、システム機能を部品化するということは、その前提となるビジネスをプロセスに分解し、それを整理することが必要となります。つまり、分解されたプロセスが、システム部品に対応するわけです。これは、BPM(Business Process Management)の領域といえるでしょう。

[質問4]クラウドとオンプレミスを比較し、システム構築、アプリケーション開発、システム運用において、どのような違いがあるのでしょうか?

こちらについては、以下の図をご覧ください。たぶん言葉で説明するまでもないでしょう。





 インフラの構築やその運用に関わる業務。あるいは、アプリケーション開発を請け負う業務には、少なからざる影響が生じるはずです。

[質問5]マイクロソフトとグーグル両者のクラウド戦略の違いについて、説明してください。

 さて、これは、かなり奥が深いし、不謹慎を覚悟で申し上げれば、かなりおもしろい話です。こちらについては、改めて別の機会に話しをさせて頂きます。

 そうそう、明日のセミナーでも、その話はさせて頂きます。よろしければどうぞ・・・

2009年10月21日水曜日

「自分の知ってること」を「お客様の知りたいこと」に翻訳する

 クラウドの特徴を3つ挙げろといわれたなら、営業であるあなたなら、なんと答えますか。私なら、以下の3つをあげるでしょう。

1.OSはなくならないが、OSを意識しなくてもいい
2.使いたいときに、すぐに必要な構成を用意し、使用できる
3.ユーザー規模の増減、システム・キャパシティを意識しなくてもいい

 いまさら「仮想化」、「運用の自動化」、「マルチテナント」などといっても、お客様には、「ア~そうですか」といわれるのがオチ。お客様だって、この程度のことは、既にご存知のはず。ですから、ちょっと違う視点で、説明してみる。そうすれば、「えっ?それどういうことです??」となって、話がさらに深まるはずです。

 気の利いた営業なら、その程度の薀蓄は、働かせるべきでしょう。では、どのように「気を利かせる」のか・・・「自分の知ってること」を「お客様の知りたいこと」に翻訳することです。

 確かに、「仮想化」、「運用の自動化」、「マルチテナント」も間違えではありませんが、それは、「製品仕様」みたいなものです。しかし、お客様の立場から見れば、「だから、なんなのよ?自分達の使い方が、どう変わるの?」ということになります。

 「製品仕様」だけをお客様に説明し、それがどのような便益をお客様にもたらすのかについては、どうぞ、お客様自身でお考えくださいでは、営業としての仕事をしていない。私が、お客様の立場なら、早々にお引取り願うと思いますよ。

 自分の知ってる言葉を話すだけなら、なんの苦労もいりません。しかし、それは、必ずしも、お客様の知りたいこととは限りません。

 確かに、営業ですから、仕様や特徴について、メーカーの視点から理解すること、言葉を知ることは、必要です。しかし、それをそのままお客様に伝えているようでは、営業としての存在価値などありません。

 製品の仕様や特徴だけなら、ホームページを見ればいいわけですから、わざわざ時間を割いてまで、営業さんの話しを聞く必要などありません。

 「お客様の立場に立つ」とは、知ってることを伝えることではなく、お客様の知りたいことを伝えることです。そこに時間を割き、考え、資料を作る。だから、営業が必要なんです。

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10月22日(木) または、10月27日(火) 15:00~17:00 東京・九段下 

  ITソリューション・ベンダーやSIerの人事・採用担当の皆様を対象としたセミナーです。これからの時代の流れの中で、2010年度採用予定の新入社員をどのように育てて、戦力としてゆくのか。

詳しくは、こちらをご覧ください。
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2009年10月12日月曜日

「産地偽装」型クラウド・コンピューティング

 ITベンダーは、いま一斉にクラウドの大合唱です。しかし、よくよく中身を覗いてみると、いままでのASPやデータセンターのサービスに形容詞として「クラウド」をつけているだけのもの。仮想化を「クラウド化」などと称し、中身は同じといった「産地偽装」まがいのものも少なくないようです。

 外国産を国産といっているみたいなもので、何も変わっていない。残念ながら、ITの世界にJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)は、ないので取り締まりもできません。こんなことをやっていると、いずれはお客様も疑心暗鬼になり、「クラウド」に見向きもされなくなるでしょう。

 「クラウド」という、買う側にとっても、売る側にとっても、大きな変革のチャンスを、みすみす逃してしまいかねません。

 ITベンダーは、もっと真摯になって、この「クラウド」を考えるべきです。そして、自らの責任を自覚すべきです。そして、その可能性と限界について、正直に伝えるべきです。

 しかし、ITペンダーの中には、「クラウド」を「新しい・・・」とか、「次世代の・・・」程度の形容詞としてしか使っていない。これでは、産地偽装といわれても仕方がない。お客様もその価値や魅力を感じないでしょう。

 先日、ある知り合いのITベンダーが、「自社のパッケージをクラウド型サービスで提供する」という記事が掲載されていました。

 当事者に「いままで提供していたASPサービスとどう変わるのですか?」と質問したら、「サーバーを仮想化したからクラウド」という答え。

 しかし、それによって、いったいサービスの中身がどう変わるのか。ユーザーは、どんな便益をこうむるのかと聞いてみると、どうもはっきりしない。結局は、自社サーバーの台数を減らし、運用コストを削減することが目的とのこと。使う側にしてみれば、何の変化もない。これを「クラウド」と称しているわけで、まさに「産地偽装」の詐欺行為みたいなものです。

 ここで質問です。

[質問1]仮想化とクラウドの違いについて、説明してください。
[質問2]SaaS、PaaS、IaaSの関係について、説明してください。
[質問3]クラウド、SOA、BPMの関係について説明してください。
[質問4]クラウドとオンプレミスを比較し、システム構築、アプリケーション開発、システム運用において、どのような違いがあるのでしょうか?
[質問5]マイクロソフトとグーグル両者のクラウド戦略の違いについて、説明してください。
 
 さて、いかがですか?あなたは答えられますか。

 この程度は、IT営業の常識です。もし、この答えが分らないのなら、「クラウド」を売るべきではありません。お客様は、「クラウド」の価値を享受できないでしょう。そして、お客様のIT戦略を誤らせてしまいます。

 回答は、次回・・・

 そうそう、我がITソリューション塾に参加されている皆さんなら、即答ですね(笑)!

2009年10月9日金曜日

「ビジネス開発力」と「システム開発力」

 SIerにとってシステム開発力は、商品そのもの。だから、エンジニアを対象とした研修制度を整えている企業も少なくない。研修制度とまではいかないが、外部の技術研修にコストをかけ、技術者の育成を図っているところも多い。

 しかし、いくら立派な商品がそろっていても、それを売るための能力育成となるとどれほどの手間とコストをかけているだろうか。

 以下の表をご覧いただきたい。この表は、ITベンダーが、お客様をどれだけ理解しているかを、ユーザー企業、ITベンダー企業の双方に尋ねた結果である(情報サービス産業白書2009を参考に作成)。

 この表を見ると、ユーザー企業、ITベンダー企業の双方とも、約6割が、お客様の課題を理解していない、解決策を提示できていないと認識している。

 言うまでもないが、お客様の課題を把握できずして、ビジネス・チャンスを手に入れることはできない。

 こういう話をSIerの経営者や営業幹部にすると、必ずといっていいほど、「そうなんですよ、営業をもっと強化しなければならないと考えているんです。」というコメントが返ってくる。ここ最近は、特にそんな声が増えてきたように思う。

 しかし、何か具体的な手を打っているかというと、何をどうすればいいのか分らないままに、結局は何もしていないという企業が大半だ。

 私は、最近「営業力」ということばを意識して使わないようにしている。というのは、「営業力」というと、「営業職の人の能力」と受け取られてしまう場合が多いからだ。

 営業力とは、「営業という仕事」の能力である。この「営業という仕事」は、なにも営業職ばかりがやるものではない。経営者、SE、コンサル、PMも「営業という仕事」をしている。

 だから、「営業力」ではなく「ビジネス開発力」と言い換えている。

 「ビジネス開発力」とは、「システム開発力」を売る仕事である。そのためには、3つの要素を満たす必要がある。

 ひとつは、「知識」。ITばかりではない。お客様の業務や業界、社会経済のこと、人脈や組織の力関係などへの理解である。

 ふたつ目は、「スキル」。プレゼンテーションやコミュニケーション、ドキュメンテーションやファシリテーションといった能力である。

 最後は、「プロセス」。仕事を進める手順である。お客様を開拓し、課題を明らかにし、提案して受注に至る一連の仕事の手順である。

 「知識」とは、何を売るかを考える元となる。つまり、戦略立案の基盤となるもの。それに対して、「スキル」は、お客様との合意形成や受注に至る一連の仕事の過程を効率よく、確実に進めるための手段である。つまり、「スキル」が高ければ、お客様への説明や交渉が、スムースに行え、仕事の時間短縮ができるからだ。

 いくら「知識」があっても、「スキル」がなければ、うまく相手に伝わらない。一方、「スキル」はあっても「知識」がなければ、お客様は、魅力を感じないだろうし、納得もしないだろう。

 この「知識」や「スキル」を効果的に使うためには、タイミングが重要。それを知るためには、「プロセス」を理解しておかなくてはならない。

 顧客開拓から、課題発掘、提案、決済、受注に至る仕事の手順には、定石がある。その定石を理解し、夫々のプロセスで何をすればいいかが分っていれば、仕事に無駄がなく、確実に進捗を進めることができる。

 システム開発には、エンジニアリングという考え方がある。作業の手順を予め明らかにし、チェックポイントを設けて、進捗や品質、コストを評価しながら、作業進めている。

 「ビジネス開発」にも同様にエンジニアリングという発想を取り入れることができる。

 「営業という仕事は、人を相手にする仕事だから、計画や管理、予測は難しい。生まれ持った個人の才能やセンス」とあきらめている人も多いが、決してそんなことはない。

 私は、この「プロセス」を4つのフェーズと28のプロセスに整理してみた。今まで、数百人の研修受講者に説明しているが、基本的なところでは、大きなずれはない。ただ、一部、官公庁やパトナー販売となると、ユーザーを相手にする場合とは違うプロセスが必要となるので、これは例外といえるだろう。

 このように、「ビジネス開発力」とは、「知識」と「スキル」と「プロセス」を使いこなす能力である。

 オフショアが普及し、クラウドが当たり前になりつつある時代。どんなにすばらしい「システム開発力」という商品を抱えていても、今までどおりのやり方で、ビジネスが向こうからやってくることはない。

 新しい時代の潮流に踏み込んで、自らビジネスを開発してゆかなければ、いずれ流れに飲み込まれてしまうだろう。

*** こんなブログをはじめました・・・

2009年10月5日月曜日

「コスト削減」の限界 次の一手は、とこにあるのか?

 四半期の締めが終わり、ため息交じりの声が聞こえてくる。

 ニュース記事を見れば、世の中の景気指標は、徐々にではあるが、好転の兆し。しかし、IT営業に話しを聞くと、どうも実感とはかけ離れている。

 確かに「案件」は、増えてきたという。しかし、数字がついてこない。では、なぜ「案件」が、増えたのか?

 話しを聞いてみると、相談は持ちかけられるが、かならず競合他社との比較案件。今までなら、事情を良く知っている付き合いの長いところだけに声をかけていたお客様でも、最近は、必ず相見積りとなる。

 お客様も切羽詰っている。経営サイドからは、少しでもコストを下げるようにと求められる。それに対応できなければ、自分達の首も危ない。背に腹は、代えられない。結局、いろいろなITベンダーやSIerに声をかける。見かけ上の「案件」が増えることになる。しかし、数字は伴わない。

 ストック・ビジネスは、不況期に強いといわれている。しかし、そのストック・ビジネスさえも、マイナスに転じ始めている。
 リーマン・ショック直後は、新規開発をストップすることで、即効性のある支出削減策が実施された。その結果、委託業務は激減し、新規の請負が、ストップした。

 リースが満了してもリースを延長して機器を延命する企業も少なくない。当然、ハードウェアやパッケージ・ソフトの新規売上が減少する。

 しかし、この時点では、まだ保守やライセンスなどのストック・ビジネスは、すぐには数字に表れてこなかった。
 「新規」はカットした、今度は、「既存」である。無駄(?)なハードウエアを減らし、ライセンスや保守料金も削減する。設備を統合し、運用負担を減らす。見直してみると、意外と使われていないハードやライセンスは少なくない。仮想化など、難しいことを考えなくても、相当数のサーバーを減らすことができる。

 結果として、ストック・ビジネスも時間差で、マイナスに転じ始めたようだ。
 「コスト削減」。この強迫観念は、景気回復後もしばらくは、トラウマのごとく、お客様の意思決定を支配し続けることになるだろう。

 ならば、これを逆手にとって、ビジネス・チャンスを築くしかない。5%や10%などという、みみっちい話ではない。1/2、1/3といった、提案をできないものだろうか。

 ただ、既存のシステムを前提に考えれば、無理である。SaaSやPaaSも、選択肢に加え、お客様が、それは無理でしょう・・・と言わせるぐらいの、思い切った発想の転換を提案すること以外、生き残るすべはない。

 もうひとつ大切なことは、コスト・センターではなく、プロフィット・センターに果敢にアプローチすること。

 コスト・センターとは、一般的なIT部門や総務部門など、与えられた予算内でサービス・レベルの維持、向上を求められる組織。彼らが、この要請に応えるためには、「コスト削減」しか、選択肢はない。

 一方、プロフィット・センターは、「投資対効果」で、考える。事業部門であり、経営者である。今、新しいビジネスを切り開こうとするのなら、彼らに直接アプローチするしかないだろう。

 お客様の業務、そして、その業界についての理解、ITのトレンドやその戦略的活用。その考察なくして、まともな話などできるはずはない。  また、業務の課題を整理する力。それを、ITで解決するための企画構成力と提案力も必要になるだろう。
 どうすれば、「コスト削減」ができるかを考え、そのためのソリューションを用意すること。IT部門にアプローチするためには、必要な武器である。しかし、それだけでは、限界がある。

 また、ITのコスト削減だけで、事業部門や経営者に彼らに直接アプローチすることはできない。というのは、これは、彼らにとっては、自分の管轄外であり、検討の主導権を握る立場にはないからだ。

 改めて、自分たちの営業力を問い直してみてはどうだろう。本当に事業部門や経営トップに直接切り込める力が自分たちにはあるのだろうかと。それは、技術力でもなければ、コストの安さでもない。お客様の業務や経営について考え、課題を整理し、それを提案に結びつける力である。

 経済指標が、たとえ元に戻っても冷え込んだ心は、容易には変わらない。そんな彼らの心に、新しい取り組みへの火種を注ぐことができなければ、ビジネスは、生まれない。その相手は、IT部門ではない。

 景気がいいときは、IT部門で仕事ができた。しかし、これからしばらくは、そうはいかない。技術力、コストで勝負するだけではなく、業務革新を提案する力なくして、ビジネスを大きくすることはできない。

 その取り組みは、一朝一夕でできるものではない。
  
 
 
 
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