2008年6月27日金曜日

Win-Winとは、相手ではなく共通の課題を打ち負かすこと

 以前お手伝いさせて頂いたベンチャー企業での話し。

 某大学の研究者が開発した技術を商品化することとなり、その立ち上げをお手伝いすることとなりました。その先生は、自身の適正を十分に理解されており、自らは事業の前面には立たず技術アドバイザーに徹し、CEOを外部から招聘してIPOを目指すこととなりました。

 その方は、大手製造業で技術畑を歩まれ、最後は購買部門のマネージャーを経験、50代半ばにして、この会社に来られました。

 購買部門の人脈を活かし、この新技術を商品化するパートナーを見つけ事業化にこぎ着けようとの目論見は功を奏し、ある企業との製品開発に向けたプロジェクトがスタートしました。

 順調にことが進み製品化の見通しも立ち、販売開始に向けた具体的なスケジュールに加え、コストやロイヤリティについて話しを進めることとなりました。そこでこの社長さんに火がつきました。かつての購買マネージャーとしての経験を活かし、徹底的にこのパートナー企業と駆け引きをはじめたのです。

 如何に自社に有利な条件にするか、この社長さんにしてみれば水を得た魚のごとくです。パートナー企業さんとしては、今更どうしてと多少面食らったところもあったようですが、ベンチャー企業でもあり、大企業の社会的責任と最初の立ち上げが肝心と、かなり譲歩していだき、なんとか合意にこぎ着けることができました。

 いよいよ具体的な作業を始めようという段階で、この社長さんは、こんなに譲歩してくれるならもっと譲歩を引き出せるのではないかと考えたのでしょう。新たなパートナー候補を見つけ、競わせることにしたのです。

 さすがのパートナー企業もあきれてしまいました。その企業から「なんとかしてくれませんか・・・」と相談を受け、私もこれはどうかと思い再三この社長さんには申し上げていたことでもあり、改めて、「このままではプロジェクトがつぶりますよと」社長さんには忠告したのですが、それは自分が判断することとして聞いてはくれません。

 なんとか双方の譲歩を引き出そうと立ち回ったのですが、結局はそのパートナー企業は、手を引いてしまいました。社長にしてみれば、もう一社あるからと高をくくっていたのでしょう。しかし、こんな状況を見せつけられたもう一社もまた自分のところに同じことをされては大変ということで、話しは頓挫してしまいました。

 このベンチャー企業は、結局のところ事業が立ちゆかなくなり業務を休止することとなってしまいました。

 ビジネスを進める上で、駆け引きはつきものです。如何に自社に有利にことを進めるかは、交渉の当事者としては当然の責務です。しかし、この社長には肝心な落としどころが見えていなかったようです。

 彼は、なぜこんな行動に出たのでしょうか。それは、ひとつに自分の経験や実力を世間に誇示したいためだったのかもしれません。おれはこんなにできる人間だという見栄です。そして、社員や出資者に対して自分の存在を認めさせ、尊敬を得たかったのかもしれません。あるいは、有利な条件を引き出すことが自分の使命と心得、行動したのかもしれません。

 しかし、彼は肝心なことを見落としていました。Win-Winの関係です。

 ベンチャー企業など、大きな会社から見れば取るに足らないモノであり、そこがうまく行くか行かないかは、マクロに見れば自社の事業に大きな影響を与えません。しかし、かれらがベンチャーと関わるのは、もちろん自社の事業拡大に役立つからと言うことですが、新しいモノを世の中に出す興奮、それを支援したいという気持ちも大きなモチベーションです。だからこそ、彼らは大きな譲歩をし、その会社に有利な条件をのんでくれたのです。

 先日「想像力」の話しを書きましたが、この社長には、このようなパートナー企業の立場や想い、小さな会社と大企業との力関係を想像できず、自分の実力であると思いこんで、尊大な態度で交渉に臨んでいたようです。彼はWin-Lose関係で望んだのです。

 ひとり勝ちは、相手を苦しめ、結果として同じ相手との次のビジネス・チャンスを失います。大企業の立場であれば、このような関係で臨んでも、受ける側の中小企業は、利幅はとれなくても大量、継続的な関係が保証されるわけですから、甘んじて飲み込んでしまいます。

 この社長の気持ちや行動は、大企業だったのですが、自分の立場がその逆であったことを想像できなかったようです。

 相手と競争し勝つことはビジネスというゲームにおいては当然のことです。しかし、同時に相手と自分との関係を想像し、Win-Winの関係を維持できる落としどころを探る。そして、それを見極めたなら、後は駆け引き相手ではなく同士として振る舞うことに切り替えなくてはなりません。

 この段階では、もはや「相手は打ち負かすための存在ではなく、共通の課題を打ち負かす同士」でなくてはなりません。このタイミングを逸すると大変なことになります。想像力なくして、この見極めは不可能です。

 Win-Winの関係は、相手は打ち負かすことを目的とするところからは生まれません。共通の課題を打ち負かすことに目を向けてこそ、実現できるモノです。

2008年6月26日木曜日

復調の兆し

 久しぶりに皇居3周を走りきった。膝の故障以来、既に1ヶ月を過ぎている。二週間の休養で復調と思っていたが、いつもの皇居練習でのペースが戻っていなかった。

 毎週水曜日に行われるclub MY☆STARの皇居練習会には、50人ほどのランナーが集まる。このクラブはウルトラマラソンのランニングチーム。ウルトラマラソンとは、フルマラソン(42.195km)以上の超長距離レースのこと。例えば、100Km、24時間走(陸上トラックなど周回コースを24時間走り続けるレース。世界チャンプは300Km)、スパルタスロン(ギリシャのアテネ-スパルタ間 243Km)などを走る競技だ。

 日本代表はもちろん、48時間走(常識では考えられない!)の世界チャンプの女性もいる。なんと彼女は、48時間で383Kmも走って優勝している。

 そんなトップ・ランナー達が、我々素人達のランニングをアシストしてくれる。基本は、一週5Kmの皇居周回を3周する。それもビルドアップ練習と言って、例えば一週目30分でスタートすると、次の周回は29分、三周目はフリーで自分の限界に挑戦する。

 自分の能力に応じて5つぐらいのグループに分かれって練習するのだが、トップランナーがペースメイキングし、グループで走るので、自分ひとりでダラダラと走るよりは、気合いも入り、自分のポテンシャルを引き出してくれるのでありがたい。

 毎週この練習会には参加しているのだが、練習再開後、少し見栄を張って故障以前と同じぐらいのグループで走っていた。しかし、2周目で息が上がり、後が続かない。自分のふがいなさに情けなく、悔しい想いが続いていた。

 そこで、昨日は、いつもよりスタートのペースを2分落とすことにした。いつもなら、一周目24分でスタートするところを26分スタートに。ペーサーは、24時間走の国内最高距離を持つ、日本代表の境祐司さん。「割り箸祐司」と言われるほどにと足も身体も細い。いったいこの身体でどうやったら24時間も走ることができるのかと不思議に思う。

 少し早いかなと思いつつも、最初は25分28秒で一周目を回る。思いの外、身体が軽い。この日は気温も低く空気も乾いていたので、とても楽に走ることができた。
 二周目は、23分55秒。これは、明らかに速い。感性で走る野生児祐司にとっては、楽勝なのだろうが、これは明らかにオーバーペース。でも、さほど呼吸の乱れもなく走ることができた。まあよしとしよう。

 これならいけるかもしれないと、三周目は勝負に出た。

 半蔵門をスタート地点に、桜田門から大手門、竹橋を経て千鳥ヶ淵を回り、半蔵門に戻る周回コース。これがぴったり5Km。緑も多く、一切信号にかかることがない。ランナーにとっては、最高の練習コースだ。この日も大勢のランナーが走っていた。

 彼らをよけながら、まずは半蔵門から桜田門に向かうなだらかな下りを勢いよく走る。4分20秒。最初の1Kmは、まずまず。ここからが中だるみ。大手門を経て竹橋に向かう起伏のないコースが2Kmほど続くのだが、下りの勢いを維持するのがなかなかむつかしい。それでも中間地点のパレスホテルの正面を11分ほどで通過できた。なかなかいいペースだ。しかし、そろそろ息が上がり始めてきた。

 気象庁前が3Km地点。ここを13分を少し切るくらいで通過。なかなかいい感じ。しかし、さすがに苦しくなってきた。ここから竹橋の上り坂が待っている。最大の難所だ。距離にして1Kmもないのだが、ここまでで相当消耗しきっている。そんなタイミングで現れるこの上り坂は、実に厳しい。それでも何とかペースを落とさずに背筋を伸ばし、腕を利用して登り切る。しかし、ここまで。首都高速道路の代官山の入口の当たりが坂のピークとなるが、この当たりから足がでなくなる。息も上がり、ペースが維持できない。
 そこから千鳥ヶ淵の交差点に向かって僅かな下り。気を抜く暇もなく内堀通りを半蔵門に向けて500mほどのだらだらした上りが続く。

 残っているのは気力だけ。絞りきった雑巾をさらに絞って最後のスピードを維持する。

 22分21秒。ベストタイムには1分以上及ばないが、3周走って最後に追い込めたことは、本当に嬉しい。

 あとは、少しずつペースを上げてゆけばいい。一時はもう身体が元に戻らないのではと心配したが、まだそう考えるのはやいようだ。後は、秋のレースシーズンに向けて、少しずつペースを上げてゆけばいい。そんなきっかけを昨日は掴むことができた。

2008年6月25日水曜日

大いびきと恋愛とソリューション営業

 「ソリューション営業にとって最も必要とされる能力は何でしょうか?」と聞かれたら、私は即座に次のように答えています。「想像力です」と。

 午前6時14分発、中央線国立駅から快速東京行きに乗るのが、毎日の日課となっています。この時間帯は、比較的乗客も少なく、毎日決まった人が乗っています。声を掛け合うわけではないのですが、国立に引っ越してから2年、もう顔見知りで、ずっとおつきあいしています。

 さて、この列車のいつも乗る車両にちょっと困った人が乗っています。かなり恰幅の良い方で、窮屈な座席をさらに狭くしています。それはまあいいとして、何が困るかというと、彼の「大鼾(いびき)」です。彼が車両の端に座っていても、その反対の端からもしっかりと聞き取れるくらいの大音響。しかも、時々息が止まっり、しばらくして爆発するように大鼾。電車の走行音にかき消されることなく、車両に響いています。

 彼は、国立駅から荻窪駅までのおよそ25分間、ガォア~、ガォア~・・・ガガガガッ!を繰り返しています。

 もうひとつ、彼の困ったところは、下車駅の荻窪駅の手前で、これまた大音響の目覚まし音が鳴り響くこと。小さな音から徐々に大きな音になるように携帯電話にセットしています。小さな音で止めてくれればいいのものを、最後の大音響までとめてくれません。しかも直ぐには気付かない(?)ようで、しばらく鳴り響いています。

 鼾にしろ、目覚まし音にしろ、近くにいる人は、本当に迷惑な話です。

 彼は、たぶんそのことを知っているのだと思います。しかし、まわりがどう感じているかなど考えていないのでしょう。想像力の欠如、いやそんなことは自分には関係ないと確信犯で無視しているのかもしれません。品格などみじんも感じられません。このような方は、絶対にソリューション営業はできませんね。

 ここまで極端ではないにしても、私たちも教訓としなければなりません。会社の業績、抱えている課題、社内の軋轢や立場・・・お客様が今どのような状況にあり、どうしたいと思っているのか。あなたは、想像力を働かせているでしょうか?これは、お客様に対する最低限の礼儀だと思います。

 お客様は、あなたに貴重な時間を割き、話しを聞いてくれようとしています。このようなお客様に対して、誠意を持って応えることは当然です。そんなとき、想像力はあなたに力を与えてくれます。

 お客様から得られる情報は限られています。特に新しい訪問先についての情報は、僅かしかありません。しかし、インターネットでお客様の会社のホームページに目を通しておくなどは、最低限のこと。可能な限り、お客様の情報を手に入れることを心掛けておく必要があります。それでも十分ではありません。あとは、想像力を働かせ、お客様の必要とするモノを自分なりに決めてかかることです。

 仮説を立ててそれを検証する。これは、ソリューション営業の基本です。

 想像豊かにお客様の課題はこうに違いないと考え、それをお客様にぶつけてみる。一発必中などありません。当然お客様は、あなたの立てた仮説と現実の違いを指摘します。あなたは、謙虚な態度でその話を聞き、仮説を修正します。では、といいうことで、新たな仮説を示す。するとお客様は、「いやいやそうではありません。こうなんですよ・・・」。

 このようなお客様との相互関係を作ることこそが、ソリューション営業の仕事のスタイルです。この繰り返しの中にお客様の真の課題、ニーズが見えてきます。

 あなたが、どれだけ想像力を発揮し、お客様のニーズに肉薄できるか。それが勝負です。あの「大鼾野郎」のように想像力を働かせることを放棄し、自分の一方的な都合だけで行動してはいないでしょうか。「なにをとんちんかんなことをいっているんだ!」「こいつと話していても時間の無駄」。そうお客様に思われてしまっては、後が続きません。

 情報をアップデートし、それを材料にさらに想像力を働かせ、お客様の課題に迫る。その繰り返しです。その態度は、お客様のあなたへの信頼を確かなモノにします。

 それは、そうでしょう。お客様にしてみれば、必要なモノは何かと常に先回りして、如何でしょうと差し出してくれる。「そうではないですよ!こうなんです。」と一言語れば、さらにその先を考えて、また如何でしょうと差し出す。恋愛と一緒です。そんな人をなかなか無碍には追い返せないモノです。

2008年6月21日土曜日

本物の「名ばかり管理職」

 営業マネージャーの悩みのひとつに、誰にどこを担当させるかということがあります。


 上の図を見てください。Aはお得意様。ロイヤル・カスタマーなどという洒落た言葉もあります。ベテラン営業が担当することが多いようです。担当期間も長く、個人的にもお客様との信頼関係がしっかりとできあがっていて、営業担当者を変えることで関係が疎遠になることが心配です。

 しかし、ほんとうにそれでいいのでしょうか?実は、本当に優秀な営業を必要としているところは、Bだということです。何をもって優秀というかにもよりますが、購入余力もあり、将来Aになって頂ける可能性の高いお客様を作ることができる営業は、優秀であることの証です。

 しかし、このようなBのお客様に経験の浅い新人君を担当させ、叱咤激励している会社も少なくありません。あるいは、B、C、Dを区別せずハードルの高い仕事をさせ、「最近の若い奴らはダメだなぁ」と彼らを下に見て「俺の若い頃はなぁ・・・」と自慢話に酔いしれる似非(えせ)ベテラン営業さんや営業マネージャーを時には見かけます。最近話題の「名ばかり管理職」とは、このような方のことではないかと思うのですが、深読みのしすぎでしょうか?

 特にC、Dグループのお客様に「提案営業」と称して、攻めの営業をするようにと鼓舞しても無駄な努力というモノです。万が一、うまくいくかもしれません。しかし、それは奇跡です。効率を無視した仕事への取り組みです。マネージャーたるもが、行うべきことではありません。

 営業活動を効率よく、効果的にこなしてゆくためには、まずは自分の担当するお客様を冷静に分析してみることです。
 どのお客様がAグループなのかは、比較的直ぐに見極めることができます。しかし、意外と難しいのが、B、C、Dの区別です。その方法については、研修でも紹介しているので、ここでは詳しい説明は避けますが、お客様の規模やシステムにかける予算、業績や競合との関係などが目安となります。

 このような見極めを立てた上で、ほんとうに優秀な営業をBに投入する。そして、Aは、ベテラン営業の指導の下、普段は経験の浅い営業をお客様に行かせながら、重要な局面ではしっかりとお客様をケアする。そんな仕事の進め方が効果的です。

 また、Dと見極めたお客様を未練がましく抱え、成果など上がらないのに「とにかく行ってこい!」と新人君をせき立て、「だめだなぁ」とあきらめ顔をするようなマネージャーにならないように心掛けたいものです。このようなお客様は、すっぱりと切り捨てて、AやBに力を注ぐ方がはるかに効果的です。

 Bについても、決して新人君を使うべきではないと言っているわけではありません。むしろ、新しいお客様を開拓する喜びを彼らにも経験させることは、必要なことです。ただ、なんの指導もせず、彼らの自助努力だけで仕事をさせるべきではありません。効率も上がらず、成果も上がりません。担当させられた彼らのモチベーションは、下がるだけです。

 Cについては、あまり時間をかけず、とにかくお客様との関係を絶やさないことです。定期的な訪問や電話連絡、定例ミーティングの開催やセミナーのお誘い、サプライなどの小さなご依頼への気持ちよい応対など、基本的な関係をしっかりと保っておくことが大切です。そうすれば、チャンスは巡ってきます。

 効率的な営業活動を進める上で、そんなお客様の見極めをされてはみては如何でしょうか。

2008年6月19日木曜日

ソリューション営業の喜び

 私がお手伝いさせて頂いているベンチャー企業「セルクロス」から、いよいよ初めての製品が7月に発売されます。製品化に並々ならぬご協力頂き、販売を引き受けて頂いたのは、オフィース家具大手の「イトーキ」様です。また「帝人ファイバー」様の素材開発力の大きな支えがありました。リスクの高いベンチャーを見放すことなく、ここまでご支援頂きました。頭の下がる思いです。

 この会社は、東京大学 大学院情報理工学系研究科の篠田裕之 准教授の研究成果が元になっています。篠田先生は、ロボットにも人間と同じような感覚を持たせたいと考え、ロボット用の人工皮膚の研究をされていました。もう6年ほど前になるでしょうか。当時、ソニーのロボット犬「アイボ」が話題になっていた時代です。「この技術で起業したい」との御相談でした。


 いろいろと話を伺っていると、どうもこの技術は、ロボットの人工皮膚という用途に限らず、「配線不要、伸び縮する配線基板」という、まったく新しいモノではないのかと言うことになりました。さらに議論を重ねてゆくと「光のスピードで動作する超高速コンピューターの基盤技術にもなりうるのではないか」という話しにまで広がりました。

 この技術は、「二次元通信技術(PDF:1.4MB)」と言われるモノで、特殊な構造をした薄い通信シート(厚さ1~2ミリ程度)の中に電波を封じ込める技術です。電波は、本来どこへ飛んでゆくか分かりません。セキュリティ上のリスクがあります。しかも電磁波の健康への影響も懸念されます。一方ケーブルでの信号のやりとりは、配線が煩雑で沢山の機器をつなぐと大変なことになります。


 この技術を使えば、大量の機器をシートに置くだけで、シートから僅かに染み出た微弱な電波を使い、通信ができます。
  この技術を使った最初の製品が、「LANシート」です。机に置いたり、机の天板に埋め込まれた通信シート。その上に無線LAN対応のパソコンを置くだけでLANにつながります。そして机から離すと通信ができなくなってしまいます。


 無線LANの利便性とケーブルLANのセキュリティを兼ね備えた、今までにない画期的な製品が、まさに世に出ようとしてます。


 篠田先生が最初にこの話をお持ちになったとき、それは「ロボットの人工皮膚」という応用の一手段でした。以前このブログでもご紹介した「To Do」です。しかし、この技術の本質は何かと議論し、出てきた「To Be」は、「配線不要、伸び縮する配線基板」であり、「光のスピードで動作する超高速コンピューターの基盤技術」だったわけです。

 もし、To Do =ロボットの人工皮膚にとどまっていたならば、たぶん今でも市場はなく、ビジネスにはならなかったと思います。
  残念ながらこの2つの「To Be」は、まだ世の中に出るレベルには至っていません。しかし、その方向に向かって研究は続けられています。しかし、「To Do」をきっかけに「To Be」を明らかにできたからこそ「LANシート」が生まれたと言っても過言ではないでしょう。

 高い次元に立つと、世の中を広く見渡すことができます。そして、可能性や選択肢が大きくなるのです。お客様が最初に期待していたことを越えることができるのです。

 このLANシートは、オフィース・ワークやセキュリティの常識を変えてゆくかもしれません。お客様はそれに驚き、感動し、期待されるでしょう。そんな仕事に関われたことを誇りに思いますし、喜びでもあります。ソリューション営業とは、まさにそんな仕事なのだろうと思います。

2008年6月17日火曜日

提案営業とソリューション営業は、どう違うのか?

 「“提案営業”と“ソリューション営業”は、どう違うのでしょうか?」

 先日、こんな質問を頂きました。これは、意外と奥が深い。普段このふたつの言葉は、どちらも同じように使われてます。しかし、この違いにこそソリューション営業の本質が隠れているのです。

 「提案営業」。その反対の言葉としてよく使われるのが「ご用聞き営業」です。「ご用聞き営業」のようにお客様からご用命を待つのではなく、営業自らが積極的な提案を仕掛け、案件を獲得しようというのが「提案営業」のスタイルです。

 多くの経営者が「提案営業」を旗印に営業を駆り立て、待ちから攻めの営業に転換するように鼓舞しています。そしてどれだけお客様を訪問し、どれだけ提案したかを数え、営業活動の状況を評価していることもあるようです。

 ただ「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」では、効率も上がりません。それよりも何よりも、興味のない話しを聞かされるお客様にとっては、いい迷惑です。

 しかも、提案とは名ばかりで、製品やサービスのカタログを示しその説明をし、今ならいくらでできますよ、今回は期間限定で、安くご提供できます・・・では、単なる商品やキャンペーンの説明であり、それを提案というのは、どうかと思います。
 本当に製品について知りたいのなら、営業に来てもらわなくても、インターネットで調べることができる時代です。お客様は、そんなことに何の価値も見いだしません。

 ならばと言うことで、お客様の課題やニーズを聞き出し、それをもとにその解決策をまとめ上げ提案書にする。これならば、お客様に聞く耳をもって頂けるはずです。一歩前進です。お客様に説明の時間を頂き、なるほどと納得頂き、お客様の反応を待つことにしました。

 しかし、なかなか連絡がありません。心配になって問い合わせてみると、「今検討しているところです。改めて御連絡します。」と言う返事。そのまま、時間が過ぎてゆきます。

 こんな経験をされた方も多いではないでしょうか。確かに「提案活動」は行っています。製品説明や技術説明ではなく、お客様の課題を起点に解決策を提案としてまとめました。お客様も納得してくれたと思います。いい感触でした。確信があります。だから上司にも「いけそうです」と報告しています。

 「提案営業」というと、提案そのものに注目します。しかし、提案は所詮こちらからの問いかけにすぎません。この問いかけで、お客様は関心を持ったかもしれません。しかし、それはきっかけを作ったに過ぎません。あるいは、あなたが提案することで、お客様は新たな課題に気付いたかもしれませんし、先にしなければならないことを思い出したかもしれません。

 「今回提案させて頂いたシステムを導入すれば、販売情報をその日の内に集計し、即座に物流や生産計画に反映できます。その結果、在庫量を減らし資材の調達も今までに比べて大幅に削減できると考えています。
 いかがでしょうか?このような仕組みは、御社の必要とされていることでしょうか?また、導入するに当たって、どのような課題があるでしょうか?

 後半の太字にした部分をみなさんは問いかけているでしょうか。この問いかけがあるかないかが、提案営業とソリューション営業の分岐点です。

 このような問いかけで、新たな課題やその背景が浮かび上がってきます。そして、さらに相談を重ね、「これで行きましょう」という合意取り付ける。そこまでできて、あなたの「提案」は、お客様にとって本物の「解決策=ソリューション」となります。

 「ソリューション営業」とは、双方向の営業活動であり、お客様との合意を重視する営業スタイルです。「提案営業」は、そんな「ソリューション営業」をスタート・ポイントに導くための最初のプロセスです。
 「提案」がなければ、お客様の目を自分たちに向けていだくことはできません。しかし、それだけでは不十分です。提案の一歩先にある「合意」を作るための活動があって、始めてお客様のもとめる「ソリューション」が明らかとなります。

 「ソリューション」のきっかけ作りを重視する「提案営業」、さらにその先の「合意」まで含めて営業活動を捉える「ソリューション営業」。このふたつの営業スタイルは、そんな関係にあります。

2008年6月13日金曜日

 「話しが長い人」の3つの特徴

  「・・・で、要点は?」とお客様に聞かれたときは、「話しが長い」と感じさせてしまった証拠です。

 人は、どんなときに「話しが長い」と感じるのでしょうか?

「話しが長い」 3つのタイプ -----------

1.予定時間内に話しが終わらない
 予定の時間内にしゃべり終わらない人。例えば、
  • 持ち時間が10分なのに15分しゃべり続ける人
  • 自己紹介などで次の人が待っているのに延々としゃべっている人
  • 「時間が過ぎてしまいましたが、もうすこし話しをさせて頂きます」と言って話を続ける人

 プレゼンテーションや講演の時など、聴衆は時間を気にしていますから、時間通り終わらなければ話しが長いと感じてしまいます。

2.話しがつまらない
 話しがつまらない場合。つまらないとは、

  • 聞き手に興味がない
  • 話しがわかりにくい
  • 話しが難しい
 昨日のブログで紹介しました相手のことを考えずに「自分の伝えたいことを話す人」は、このタイプに当てはまります。

3.話がいつ終わるか見通しがたたない

いつ終わるのか、先行きが見通せない場合。例えば、

  • 行きつ戻りつ、いったいことの人は何について話しただろうか
  • 何が要点なのだろうか
  • いつ終わるのだろうか
というように、感じさせてしまう場合は、まさにこのタイプです。話しの結末が見えない場合やいったいどの当たりまで話が進んでいるのか分からない場合も長いと感じます。

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 「長い話し」は、どれかひとつに収まることはありません。いずれかの特徴を併せ持っているようです。

 長い、短いは、期待に対するギャップの大きさで決まります。初めから、「15分間お時間を頂きます」と言っておいた場合と「10分」と言っておいた場合では、同じ12分話しても聞く側の感じ方がまったく違うはずです。

 また、当を得た内容、つまり「お客様が聞きたいこと、知りたいこと」に適切に応えた内容であれば、時間などいといません。いくらでも聞いていたいと思うでしょう。

 さらに、プレゼンテーションでよく使うテクニックですが、
  • 「本日は、次の3点について話しをさせていだきます。」
  • 「本日御相談したいことは、XXXと○○○についてです。」
  • 「プロジェクトの進捗が遅れています。今日は、その原因と解決策について相談させてください。」
というように、話しの目次、フレームワークをあらかじめ示しておくとお客様は、長話とは感じません。
 というのも、話しの目的、つまりどのような結論を得たいかが判断できますし、それが達成されなければ話が終わらないことがあらかじめ分かっています。そのため、結末に見通しが立ちますし、今どれについて話しをしているのか、進捗を把握できます。だから安心して話を聞くことができるのです。

 さて、こんなことを書いてる自分はどうかというと・・・・
「それで、何言いたいのよ?!」としょっちゅう彼女につっこまれています。「言うは易し行なうは難し」ですね。

2008年6月11日水曜日

「お客様に伝えたいこと」を“伝えない”ようにしましょう!

 営業ですから自社の商品やサービスについて説明するのは当たり前のこと・・・? しかし、そんなことでは、「ソリューション」は売れません。

 「顧客満足度」の足を引っ張る大きな原因となっているのが、営業のコミュニケーション。大人の付き合いです。「お時間を頂けませんか?」と言われれば、お客様もなかなか断れません。しかし、お客様は、そこでいったいどのような価値を受け取ることができるのでしょうか?ただ、あなたの一方的な話を聞くだけで、お客様は何が得られるというのでしょうか?

 あなたは、あなたなりに「お客様のことを考えて」、新しい製品について説明をします。たまたまお客様のもとめているモノに合致すれば、それはお互いにとって、とっても幸せなことです。しかし、いつもそうなるとは限りません。確率が低いくじ引きは、いずれお客様から見向きもされなくなるでしょう。お客様は、あなたの来訪を疎ましく思うようになるでしょう。

 上司はあなたに「どんどん提案しなさい!」と言うでしょう。それが提案型営業(?)というものです。「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」じゃありませんが、とにかく資料をせっせと作り、お客様に説明に行く。提案営業としてはチャンと仕事をしています。“自分満足度”は大いに上がります。上司にしても「あいつは、よくお客様のところへ行っている。昼間、オフィースで顔を合わせることもない。たいしたものだ。」と“上司満足度”も申し分有りません。でも、聞きたくもない話を聞かされるお客様の“顧客満足度”は、低下すること請け合いです。

 インターネットの時代、製品やサービスについての通り一遍の情報は、お客様も十分に承知しています。むしろ、競合製品の情報も含め、あなた以上に詳しいかもしれません。そんなお客様に自社製品やサービスをいくら熱く語っても、お客様は冷静です。知ってることを話されたところで、いったいどれほどの満足が得られるでしょうか。

 「あなたが伝えたいこと」と「お客様が知りたいこと」にギャップはないのでしょうか?お客様は、何を知りたいのでしょうか?それを真剣に考えないで、とにかく提案営業しなければと、あなたの伝えたいことを伝える。それでは、ソリューションを売れません。

 「本日、□□□と○○○についてご説明させて頂きたく・・・」は、「あなたが伝えたいこと」営業の典型的切り出し方です。「□□□という画期的なサービスをご提供させて頂くこととなりました。このサービスは・・・」。最悪です。

 「今、△△△が大きな課題となっているようですが、御社ではどのような取り組みをされているのでしょうか?」が、「お客様が知りたいこと」営業のアプローチ方法です。
 「弊社では、●●●を解決しようと、□□□というサービスを始めましたが、御社ではこのようなサービスにご興味はお持ちでしょうか?」もありです。

 お客様の知りたいことを先ず確認する。お客様が知りたいことは、こういうことではないかと仮説を立てて、それを検証する。ソリューション営業のコミュニケーションは、まずはここからスタートしなくてはなりません。

 決して新製品やサービスの説明をしてはいけないと言っているわけではありません。ただ、それはお客様が知りたいことを確認するためのきっかけであると心得ておくべきです。結果として、お客様が知りたいことが別のところにあっても、お客様の課題を解決するといったソリューション営業の本来の目的は、達成することができます。

 お客様も自分の仕事の課題を解決してくれるなら、何に困っているのかを伝えることに抵抗はありません。ただ、それを聞きたい、教えてほしいというあなたの意志をしっかりと伝えなければ、そのきっかけは生まれません。

 「お客様に伝えたいこと」は、「お客様の知りたいこと」でなければなりません。それが一致すれば、営業であるあなたとのコミュニケーションをお客様は期待されるはずです。そして、顧客満足度を上げることはまちがえありません。

2008年6月10日火曜日

人間関係が良くても、モノは売れません。

 こんなことを書くと、「営業は人間関係を築くとが仕事の8割と研修では言っているのに、矛盾しませんか?」と突っ込みを頂きそうですが、まったく矛盾はありません。

 考えてみてください。「8割」は「10割」ではなく、仕事の完了ではありません。大切な残り2割をこなさなければ、案件をクローズすることはできないということです。

 営業活動にとって、お客様と良い人間関係を築くことは、ぜひとも必要なことです。それができなければ、ビジネスのスタート・ポイントに立つことさえできません。しかし、それはあくまでステージへ上がることであり、お客様を魅了する演技ができなければ、お客様には席を立たれてしまいます。

 例えお客様のキーパーソンと親しくなっても、それはきっかけに過ぎません。そこからお客様にご納得頂ける提案ができなければ、「良い関係」以上には発展しません。つまりは、営業として仕事をしていることにはならないのです。

 「昼間から、会社にいて何してるんだ!そんな暇があったら、お客様のところに行ってこい。」などと言う営業マネージャーは、少なくありません。でも行って何をすればいいのでしょうか?一緒にお茶でも飲んで、話しをすればいいのでしょうか?顔を覚えて頂ければ、それでいいのでしょうか?

 確かにお客様と「良い関係」を築くためだけならば、これもひとつの手段かと思います。しかし、それだけのことです。それだけでは「モノを売る」ことはできないのです。さらに残りの2割をこなさなければ、モノは決して売れないのです。
 次の2割をどうするか、そこまで含めて、シナリオを示し、だから「お客様に行ってこい」と言っているのなら、そのマネージメントは、たいしたものだと思います。しかし、「行けば何とかなる」としか考えていないのであれば、それはソリューション営業のマネージメントとしては失格です。

 お客様との「良い関係」は、お客様の立場やその利害関係によっても変わってきます。経営者と担当者では、自ずともとめる価値が違うからです。例え売るモノが同じでも、経営者は、結果として経営指標の改善や社会的評価が高まることをもとめます。一方、担当者は、今の仕事がどのように変わるのか、どれだけ楽になるのかを知りたいと思うでしょう。

 それぞれに異なる価値を理解し、それを共有できなければ「良い関係」を維持することはできません。

 お客様の視点に立つことはソリューション営業活動のスタート・ポイントです。「良い関係」は、そのために必要なことです。ただ、「良い関係」だからということにあぐらをかいて、ただお願いを繰り返すだけでは、ソリューシンは売れないのです

 今どのような課題を抱えているのか、何を問題と考えているのか、それを知るためには、お客様との「良い関係」は、大いに助けになるでしょう。そして、その解決策を提案することができて、ソリューション営業活動の舞台はやっと幕を開けることができるのです。

2008年6月9日月曜日

贅沢な休日

 6月からランニングを再会しています。5月18日に行われた八ヶ岳を走るレースで痛めた左膝をいたわってのお休みです。しかし、食事とお酒のお休みはなく、2週間で1.5Kgの成長を遂げました。

 先週の足柄峠26km(6月2日のブログ)に続き、昨日は奥武蔵の山中を走ってきました。仲間に入れて頂いているclub MY★SATRの練習会への参加です。

 埼玉県の鎌北湖の駐車場から、顔振峠-高山不動-刈場坂峠-丸山駐車場の往復55Kmのコース。私は、高山不動で折り返す32Kmのコースを走りました。ロングストロークなアップダウンを繰り返すコース。平らなところはほとんどありません。なかなか厳しいコースでしたが、膝の痛みもなく、復活の手応えを感じました。

 曇り空のスタートに雨も心配したのですが、途中から木漏れ日も差し始め、木々を抜けるさわやかな風と森の清涼な匂いを楽しみながらのランニング。喧噪な都会の中を走るのとはちがい、その静けさと生気に満ちた空気の中を駆け抜ける幸せ。贅沢な休日でした。

 出発地点に戻ってきたのは、3時間20分後。平地での練習とは異なる消耗感。走った!という充実感と共にわき上がる高揚感。「ランニングハイ」もまた、ランニングの楽しみのひとつです。

 近くの温泉で、疲れを癒やしました。まったり、とろーっとした泉質に疲れが染み出てゆくような感覚。温泉上がりの冷たい水が、なんと美味しかったこと!

 気持ちよく走れたこと。上り坂で止まらなかったこと。回復の兆しを実感しています。ただ、いつもなら一気にスピードアップできそうな下り坂に、迫力がありません。まだまだのようです。

2008年6月7日土曜日

“ソリューション営業”とそれ以外の営業は、何がどうちがうのでしょうか?

資生堂 ノルマ撤廃
営業1000人、顧客満足度で評価

 こんな記事が、昨日の日経新聞に掲載されていました。記事によると化粧品の国内市場は低迷しており、成長を持続させるには拡販して新規顧客を獲得するよりも、ひとりのお客様に繰り返し使ってもらう必要があると判断。顧客満足度を高めることを営業の評価基準としようとするものだそうです。

 今更何を言っているのだろうかとも思うのは私だけでしょうか?また、こんなことが日経新聞に大きく取り上げられること自体、奇異にさえ感じられます。

 「顧客満足を一番に考えなければならない」、「お客様の視点に立って営業活動は行うべきだ」と経営者は声を大にして社員を鼓舞しています。しかし、営業成績の評価基準は、売上げ目標という数字を達成したかどうかだけという会社も少なくありません。誰が見ても明らかな矛盾が、やっと普通の姿に戻ろうとしているだけのようにも思えます。

 先日のブログ「勤勉は美徳、努力は報われる」でも紹介しましたが、高度経済成長時代は、作れば売れる時代でした。お客様も新しいもの、高機能なものをどんどん買うことで満足していたのかもしれません。営業の売上げ目標という数字とお客様の満足は、同じ方向を向いていたのかもしれません。

 しかし、今はもうそのような時代ではありません。お客様は、あふれる情報を手にして商品を比較検討し選択しています。また、商品を作る側も他社に負けじとばかりに商品開発を競っています。結局は、似たり寄ったりの商品がちまたにあふれています。

 IT業界は、さらにその先を行っているようです。どのサーバーもINTELのCPUを搭載し、OSは、WindowsかLINUX、ネットワークは、CISCOといったように、表向きの化粧は変えても、中身の競争は無駄とばかりに競争をやめてしまっています。

 そのような中でIT営業は、競合に立ち向かわなければなりません。同じものを売っているわけですから、価格競争では限界があります。そうなると製品ではなく、お客様の課題を起点としたソリューションで「お客様の満足度を上げること」以外に競争を勝ち抜くことはできません。

 「“ソリューション営業”とそれ以外の営業は、何がどうちがうのでしょうか?」と聞かれることがよくあります。中には、「言葉を言い換えただけで中身は一緒でしょ・・・」と最初から分かったつもりで聞いてくる人もいます。

 私は、そのような人に言うのですが、「売り込むものが違うんですよ。商品ではなく、あなた自身のお客様への愛情。お客様の課題を何とかしたいという気持ち。それを行動で示すこと。つまり、あなた自身を商品にすること。それがソリューション営業なんですよ。」と・・・

 営業は売上げ目標を達成することが仕事です。そのことは、十分に自覚しています。しかし、結果としての数字だけを評価基準として営業の成績を評価することは、そろそろおしまいにすべきでしょう。

 お客様の満足度を高めてゆくこと。お客様の満足度を常に高めていれば、例えその案件がうまくとれなくても、次のチャンスには、ゴールに近い位置から案件獲得競争をスタートできるはずです。

 数字だけではなく、お客様の満足度も成績評価の基準にしてゆこうという考え方。ソリューション営業の成績評価にもどんどん採用すべきだろうと思います。

2008年6月5日木曜日

誰のためのソリューションですか?

 「我が社のソリューションは・・・」と製品やサービスについてご説明を頂く。ところで、それは一体誰のためのソリューションですか?

 こちらがどんな課題を抱えているかも聞かないで「ソリューション=解決策」を紹介できるはずがありません。正直に「製品やサービス」の紹介であると言ってくれたほうが、かえって親切というものです。
 なんだか「ソリューション」と言った方が、時流にも合ってて、高級でレベルが高いとでも考えているのでしょうか?

 あるいは、とりあえず製品の説明をして「あなたの会社のソリューションとなるかどうか、あなたが考えて下さい。」とでも言いたいのでしょうか?なんとも不親切な営業だとは思いませんか。

 「我が社のソリューションは・・・」と言う営業さんの「ソリューション」とは、自分のノルマ(売上予算)を達成するためのソリューシュンです。つまり、お客様の課題を「解決」するためではなく、自分の営業成績を達成のための「ソリューション」ということなのでしょう。お客様の課題に対する解決策という、本来のソリューションとは、全く別物です。

 「お客様の視点に立って・・・」、「お客様本意の・・・」という言葉をよく耳にします。それこそが、ソリューションだと理屈では分かっています。でも、その言葉通り、お客様の課題をきちんと聞き出し、その課題に応える内容でなければ、それはソリューションではありません。

ソリューション営業である以上、「製品」と「ソリューション」を区別することは、最低限の常識と心得ておくべきでしょう。

2008年6月4日水曜日

「勤勉は悪、努力は報われない」ことはすばらしい!

 ただがむしゃらにやっていても、成長はしないし、時間の無駄。効率が悪い。朝早くから夜遅くまで会社に残り仕事をしている。夜遅く送信する業務報告のメール。仕事をした気になりたいから。いや、仕事をしている姿を回りに見せたいからでしょうか。どちらにしても、時間の浪費であることにかわりはありません。

 「勤勉は美徳、努力は報われる」などという時代は終わりました。「勤勉は悪、努力は報われない」。それが今や常識です。

 かつて高度経済成長の時代は、「勤勉は美徳、努力は報われる」という言葉も真実であったかもしれません。市場は拡大し、作れば売れる、働けば働くほど売上も上がる時代でした。しかし、今はそんな時代ではありません。市場は大きくならず、ITはますます高性能、高効率の製品やサービスを世の中に送り出しています。ITの必要性を自ら狭めているかのようです。

 限られた需要の中で、多くのITベンダーがひしめき合い、どこの会社もINTELにWindowsやLINUXを売っている。どこに競合優位があるのでしょうか?そんな中で、ただ勤勉に努力しても勝てるわけがありません。成果など上がりません。

 要領よく仕事をする。量(仕事をしている時間や訪問回数)ではなく質で勝負する。そして、少しでも他社に優位な状況を作り、利幅を大きくする。ソリューション営業とは、まさにそんな仕事のことを言うのです。

 「とにかく客へ行って、仕事を拾ってこい・・・」。そんなことを言う営業マネージャーは失格ですね。何の戦略もなく、作戦もないままに行っても、当たる確立は極めて低い。気持ちは分からないわけではありませんが、要領の悪い仕事のやり方であることは確かです。

 では、どうやってお客様の課題を引きだすのか、どうすれば案件を発掘できるのか、どうすればお客様を説得することができるのか・・・営業はいつもそんな課題に立ち向かっています。

 この課題を要領よくこなすこと。そのための仕事の手順が「営業活動プロセス」というものです。

 要領よく仕事をこなせれば、時間の余裕も生まれ「やらされ感」もなくなります。仕事の見通しが立ち、確実に成果をものにできます。効率よく成果を上げられれば、経営者も大喜びでしょう。

 それよりも何よりも、お客様が大喜びです。要領の悪い営業とつきあう苦痛。ほんとうにつらいはずです。それに応えられずして、何が「お客様満足度向上」でしょうか?

 じゃあ、「営業活動プロセス」ってなぁに・・・と聞きたくなるでしょうが、それについては、次回ご紹介したいと思います。

2008年6月2日月曜日

収まりのいい 「3」

 3という数字にこだわっています。3箇条、3原則、3つの特徴など、3という数字は大変収まりがよく、頭へスッと入ってくるようです。

例えば・・・
例1:ある通信システム関連の製品
「セキュリティ」、「安定通信」、「簡単導入」を同時に実現!

例2:RFID関連製品の場合
[特徴1]ICタグをシートに置くだけで即座に読み取り
[特徴2]読み取り範囲をきめ細かく設定可能
[特徴3]金属の筐体や棚などに影響を受けず安定読み取り

例3:提案書をセクシーに魅せる3原則 
原則1 簡潔明瞭の原則 
原則2 統一ルールの原則 
原則3 対比表現の原則
などなど。

 2や4ではダメです。どうも収まりが悪い。5もありですが、やはり3のほうが落ち着く感じがします。それ以上多くなると印象が分散してしまうと言うか、記憶に残りにくい。

 私は資料を作るときや会話の時に、なんとか3つにまとめるようにしています。2つしかなければ、新たに追加するか、分割する。4以上の時は、何とか共通なところを見つけて3つにまとめる。そんなことに異常なほど神経を使っています。

 「そのご指摘には、3つの課題があるとおもいます。まず、第1は・・・」
 「この問題を解決するには、3つの手順を踏む必要があります。」
 「営業活動プロセスは、主要な3つのフェーズとデリバリーによって構成されています(4つと素直に言わないところがミソです!)」

 その理由を科学的に突き詰めたことはありません。ただ経験的に、どうも記憶のプロックは、3つの突起で組み合わさっているような気がしています。

 いかがでしょうか?そんなことを感じるのは私だけなのでしょうか?

ベンチマーク

 八ヶ岳を走るマラソン・レースで左膝を痛め、しばらく休養を決め込んでいたが、2週間ぶりに練習を再開した。

 6月1日(日)、快晴、最高気温は、23度とのこと。暑くなりそうだ。

 早朝、神奈川県の山北町へ。駅前の温泉施設「さくらの湯」に車を止めて、足柄峠を目指す。

 高低差600m、片道13Kmのコース。初めは緩やかな上りが続く。徐々に勾配がきつくなり、途中9Kmの地蔵堂にて一休み。ここから最大斜度15%の傾斜のある4Kmを駆け上がる。これは相当にきつい。 休養していた間に体重は1.5Kg増加。心肺や筋力の衰えも心配だった。息を切らせながらもなんとか25分程で足柄峠の万葉公園に到着。ベスト更新とはならなかったが、意外と衰えていないことに安心。

 ここは、富士山の絶景ポイントだが、あいにくモクモクとわき上がる積乱雲に富士山の雄志を拝むことはできなかった。残念!

 万葉公園で一呼吸入れ、今登ってきた急な坂道を一気に駆け下りる。きつい勾配だけに相当にスピードがでる。たぶん最高斜度のところでは、キロ3分台は出ているだろう。

 初めての時にはちょっと怖かったが、今は快感に変わった。実に気持ちがいい。給水ポイントまでのおよそ7kmを25分ほどで駆け下りた。山の風は心地よく、湿度も低く、木々の香りもさわやかだった。

 この給水ポイントは、この地区の公民館。水道の水ながら、実に冷たく塩素臭のない美味しい水。頭からもたっぷり水をかけ、ひとときの清涼感を楽しむ。

 ここからゴールまでは、6Km。緩やかな下りを無理をせずにひたすら走る。

 さくらの湯にゴール。往復26Km。いい汗をかいた。久しぶりのハードな練習に、さすがに足も疲れている。早速、温泉につかって疲れを癒やす。

 足柄峠の練習は、ひとつのベンチマーク。ここでの疲労や筋肉の痛みで自分の状態を知ることができる。今回は、休んでいたこともあり今ひとつ上りに乗りきれなかった。月も変わった。次のレースに向けて課題も明らかになった。少し走り込みを増やし、筋肉を鍛えなければならないようだ。