2009年11月30日月曜日

Windows Azureの本質 ITビジネスはどう変わるのか

 11月17日、マイクロソフトが、Windows Azure Platformを発表した。これは、システム・インテグレーターやITソリューション・ベンダーにとって、新しいビジネス・チャンスとなるかもしれない。

 詳しい解説は、ZDnet Japanに投稿したブログをご覧いただきたい。

 Windows Azure Platformの本質は、オンプレミスとクラウドをシームレスにつなぐ、新しいシステム・プラットフォームであるという点だ。

 以前説明したことでもあるが、クラウドの大きな課題は、可用性セキュリティであるといわれている。一方、オンプレミスは、トラフィックの増減に柔軟に対応できなことが上げられる。

 この両者の弱点をお互いに補完できる組みあわせが実現すれば、これほどいいことはない。Windows Azure Platformは、まさにこれを狙っている。

 今までのクラウド・サービスの多くは、オンプレミスとは、まったく別のシステムであり、両者の連携には、いろいろと工夫が必要だった。

 というよりも、そもそも、どの大手クラウドベンダー(Google,Amazon,Saleforceなど)も、自前のオンプレミスのプラットフォームを提供していない。そこに、自前のオンプレミス・プラットフォームを持つマイクロソフトが、両者の同一性を武器に参入してきたのである。

 Windows Azure Platformは、基本的には、Windows Serverのレプリカである。つまり、Visual Studio / .Net Framworkが、そのまま使えるシステム環境なのである。しかも、両者をうまく連携させる仕組みについても準備が進められている。このハードルは、大きく下がったといえるだろう。

  開発者にとって、このシステム環境は、大変分りやすく、使いやすい。また、オンプレミス型Windowsアプリケーションを大量に抱えているお客様やサービス・プロバイダーは、クラウドを含めて、最適配置しなおすといった検討も容易になる。

 これからのシステム・インテグレーションや運用のビジネスは、この両者をひとつのプラットフォームとして考えなくてはならないだろう。

 この組みあわせが、クラウドのすべての問題を解決するなどとは、もちろん思わない。しかし、ひとつの選択肢となりうることは、間違えない。たぶん、お客様からも、それを求められるだろう。

 クラウドにするか、オンプレミスにするか、という両者を区別した議論に加え、ひとつのプラットフォームとして連携させて利用するという考え方は、Windows Azure Platformに始まったアイデアではない。しかし、Windowsという、膨大なユーザーや開発者の資産を考えると、今回の発表は、この動きをますます加速することになるだろうことは、容易に想像できる。

 システム・インテグレーターとして、ソリューション・ベンダーとして、皆さんは、その答えを用意しているだろうか?サービスの本格リリースは、あとわずか一ヶ月後に控えている。

[緊急のお知らせ]-----------------------------------------------

クラウド・ビジネス戦略策定支援セッションを開催します!

日時: 12月16日(水)10:00-17:00

場所: 東京・九段下

 クラウドの一般論を理解することが目的ではありません。皆さんの会社の事業戦略スタッフの視点で、これからのビジネス戦略、製品戦略に必須の突っ込んだ情報やアイデアを提供します。 

 システム・インテグレータやソリューション・ベンダーの経営者、営業責任者、マーケティング担当者の皆様が対象ですが、情報システム部門の方にもお役に立つと思います。

こちらから、お申し込みいただけます。

開催趣旨 ----------------

 既に多くの企業が、クラウド時代に向けた取り組みを始めています。しかし、その一方で、その具体的な施策に頭を悩ましている方も少なくないようです。

 そんな皆さんを対象に、言葉の断片をつなぎ合わせるだけの解説ではなく、ユーザーが、そして、企業が、クラウドにどう取り組むべきか、そして、そのベンダーは、それにどのような対応をすべきかなど、少し突っ込んだ検討をしてみようと思っています。

 定員が限られています。ご関心ある方は、どうぞ、お早目のエントリーを

内 容 ------------------

1.クラウドを体系的に理解する

 クラウドとその周辺にある言葉の断片を拾い集めても本質は見えてきません。そこで、これらを関連付け、体系的に整理します。また、クラウド・ビジネスを考える上で、関係の深い周辺技術の動向についても詳しく解説します。
・クラウド・コンピューティング体系: 定義と課題
・クラウド時代のリッチクライアント(クラウドとAjaxの不可分な関係)
・クラウドとSOAの組み合わせがSIの今後を変える
・クラウドのアキレス腱、セキュリティ問題とは

2.ビジネスに与える影響と事業戦略について考える

 クラウドの普及が、お客様の意思決定にどのような影響を与えるのか。これに対し、私たちは、どのような対策をとるべきかを検討します。また、クラウドプレーヤー各社の比較や各種統計についても検討します。
・クラウド・ビジネスの動向を整理する
・ITビジネスへの影響と課題
・想定しうるビジネス戦略

3.自社のビジネス戦略のアイデアを整理する

 1,2の知識を参考に、クラウドへの今後の取り組みや戦略について、各自、整理してみます。
・整理するためのフォームを提供
・個別のアドバイス

------- どうぞ、ご検討ください。

こちらから、お申し込みいただけます。

2009年11月27日金曜日

求む!ソリューション・ビジネス能力モデル 策定メンバー有志

 プロダクトからソリューションへ。ITビジネスへのニーズは、大きくそのウエイトを移しつつあります。

 ソリューション・ベンダー各社も、これに対応すべく取り組みを進めつつあります。しかし、ソリューションについての各社各様の解釈に加え、何を目標に、どのような人材を確保育成しなければならないのか、あるいは、社内体制のあるべき姿についても、手探り状態にあるというのが、現実ではないでしょうか。

 ソリューションのひとつの解釈として、「特定のプロダクトやサービスに依存するのではなく、お客様の個々のニーズに対応した個別の解決策」とするならば、その組み合わせは、実に多様です。加えて、クラウドの普及は、この組み合わせをますます複雑にするでしょう。

 現在、ITプロジェクトの70%が、失敗に帰しているという統計があります。クラウドの時代になれば、ますます深刻の度を深めることになるでしょう。

 このような事態を受け、プロジェクト管理の質を高めるべくPMBOK/PMPを採用する企業が、増えています。しかし、このガイドラインも、プロジェクト実施以前の超上流、すなわち、課題の発掘やプロジェクトの必要性の認識、ステーク・ホルダーの利害の調整、プロジェクト実施の意思決定プロセスへの対応といった、本来ソリューション・ベンダーの営業やコンサルタントの関わる領域までは、カバーしていません。

 この領域の一部をカバーする目的で、「ビジネス分析の知識体系(BABOK)」が、提唱されています。その有効性を否定するものではありませんが、その専門性の高さは、高度な訓練と経験をつんだコンサルタントの対応領域であり、お客様接点の最前線で、日々忙しく働く営業が採用するには敷居の高いものとなっています。

 日本におけるこのようなビジネスの現状を踏まえつつも、ソリューションをビジネスとするための人材や組織のあるべき姿や基準を明らかにすることは、大変意義のあることだとおもっいます。

 そこで、「ソリューション・ビジネス能力モデル」策定プロジェクトなるものを立ち上げることにしました。対象は、「ITビジネスにおける営業という仕事」です。

 ここで言う「営業」とは、「営業職」と同一ではありません。「営業という仕事」であり、企業における「営業活動」となります。企業によって、営業という仕事は、様々な人が、責任をおっています。営業職の方はもとより、コンサルタント、PM、SEもそうですし、社長も「営業」という仕事をしています。

 「ITビジネスにおける営業という仕事」という、少し広い解釈をしてゆこうと思っています。

 私たちソリューション・ベンダーやシステム・インテグレーターは、お客さまの価値を最大化するために、どのような能力を身につけ、組織としてどう振舞うのか。その目標となる基準を明らかにできればと考えています。

 また、実践のためのノウハウやツールなど、営業の現場で、そして、企業の大小に関わらず、夫々の立場に応じて取捨選択して、本当に使えるものを整備してゆきたいと考えています。

 ご関心のある方は、参加されませんか?

 参加者に制約はありません。企業や組織、立場を超え、夫々の立場でご参加いただければと願っています。

 インターネット上にSNSも立ち上げる予定です。

 ご興味のある方は、メールにてご連絡ください

[緊急のお知らせ]-----------------------------------------------

クラウド・ビジネス戦略策定支援セッションを開催します!

日時: 12月16日(水)10:00-17:00

場所: 東京・九段下

 クラウドの一般論を理解することが目的ではありません。皆さんの会社の事業戦略スタッフの視点で、これからのビジネス戦略、製品戦略に必須の突っ込んだ情報やアイデアを提供します。 

 システム・インテグレータやソリューション・ベンダーの経営者、営業責任者、マーケティング担当者の皆様が対象ですが、情報システム部門の方にもお役に立つと思います。

こちらから、お申し込みいただけます。

開催趣旨 ----------------

 既に多くの企業が、クラウド時代に向けた取り組みを始めています。しかし、その一方で、その具体的な施策に頭を悩ましている方も少なくないようです。

 そんな皆さんを対象に、言葉の断片をつなぎ合わせるだけの解説ではなく、ユーザーが、そして、企業が、クラウドにどう取り組むべきか、そして、そのベンダーは、それにどのような対応をすべきかなど、少し突っ込んだ検討をしてみようと思っています。

 定員が限られています。ご関心ある方は、どうぞ、お早目のエントリーを

内 容 ------------------

1.クラウドを体系的に理解する

 クラウドとその周辺にある言葉の断片を拾い集めても本質は見えてきません。そこで、これらを関連付け、体系的に整理します。また、クラウド・ビジネスを考える上で、関係の深い周辺技術の動向についても詳しく解説します。
・クラウド・コンピューティング体系: 定義と課題
・クラウド時代のリッチクライアント(クラウドとAjaxの不可分な関係)
・クラウドとSOAの組み合わせがSIの今後を変える
・クラウドのアキレス腱、セキュリティ問題とは

2.ビジネスに与える影響と事業戦略について考える

 クラウドの普及が、お客様の意思決定にどのような影響を与えるのか。これに対し、私たちは、どのような対策をとるべきかを検討します。また、クラウドプレーヤー各社の比較や各種統計についても検討します。
・クラウド・ビジネスの動向を整理する
・ITビジネスへの影響と課題
・想定しうるビジネス戦略

3.自社のビジネス戦略のアイデアを整理する

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2009年11月23日月曜日

ビジネス・リーダーを超えて、ビジネス・クリエーターを目指す

 一通りのビジネスの基本動作を心得た中堅のソリューション営業は、次に何を目指すべきでしょうか。

 当然、営業組織やチームのリーダーとして、営業活動を引っ張ってゆく事を自他共に求められるようになります。また、そのような、活動を当して、若手の範となり、彼等の成長を助けてゆくことも期待されるでしょう。

 また、お客さまの課題を探り、ビジネスを掘り起こすことができなくてはなりません。

 自分の会社が、新しい商品やサービスを発表したときには、率先して、それらをお客様の課題に結び付けて、その解決策を提案し、ビジネスにする。そんな行動が、求められるのではないかと思います。

 誰もが、このようなあるべき姿を描き、自分をそこに向かわせようと努力しているのではないでしょうか。

 しかし、ことは、そう簡単なことではありません。誰も、このあるべき姿を思い描きながらも、様々な障害に突き当たり、思うようにそうなれない自分に、あせりや怒り、焦燥を感じている方も少なくないはずです。

 ソリューション営業研修を行うとき、冒頭で、この研修に期待することを伺うと、必ずこのような話が出てて来ます。私は、その志の高さと、自分を過信せず、「まだまだ」という気持ちを持ち続けている皆さんに、熱いものを感じます。

 しかし、私は、あえてこの志を否定したいと思うのです。

 確かに、中堅以上のソリューション営業として、自らビジネスを牽引し、会社に貢献すること。また、部下のよき模範となって、彼らを一人前に育てようとすることが、間違っているというつもりはないのですが、それを自らのあるべき姿と考えることに、疑問を感じるのです。

 このような行為は、しょせん手段に過ぎないのだということ。その手段の先にある、本当の目的。そこに真のあるべき姿があることに気がつかなくてはなりません。

 それは、「世のため人のため」を実現しようとすること。つまり、「いかにすれば、お客様を成功させられるか」を目指すことではないかと思うのです。

 なんだか、聖人君主のようなことを言うようですが、多くの優れた営業は、この意識をしっかりと持っています。

 以前、あるビッグプロジェクト提案しているベテラン営業と話しをしたときのことです。

 彼は、お客様だけではなく、そのお客様が属する業界、ひいては、日本や世界が、どうあるべきかを熱く語ってくれました。

 「このままでは、ダメと思うんですよ。リーマンショック以来、お客様も業界も、価値基準が大きく変わりました。それは、あまりにもヒステリックで、現実を無視しすぎています。だからこそ、このプロジェクトをお客様に提案し、受け入れてもらおうと思っています。そうしなければ、これからのお客さまの未来も、日本の再生もありえないと思っています。」

 彼の勝手の思い込みかもしれません。独りよがりという人もいるかもしれないでしょう。しかし、彼の声は、お客さまの気持ちを動かし始めているのです。

 彼は、その手段にこだわっていません。もちろん、営業ですから、システムに関わる提案がそこに含まれていることは、言うまでもあれリません。しかし、お客様の成功について、お客様もそれを理解し、受け入れてしまえば、手段は、ついてきます。たとえ、その手段が、他のものに変わったとしても、「お客さまの成功」という、あるべき姿が、ぶれなければ、それはたいした問題ではないのです。

 私は、ここに「ビジネス・リーダー」と「ビジネス・クリエーター」の違いを感じるのです。

 「ビジネス・リーダー」とは、お客さまの課題を解決するためのプロジェクトを成功させる指揮官であり、プロデューサーです。もちろん、この役割を否定するつもりなどありません。

 しかし、それは、お客さまの成功という、より高い次元の「あるべき姿」を実現してこそ、意味があるのです。

 お客さまの成功、さらには、その成功を超えるイノベーションを作り出すためには、お客様や社会をもっと良くしたいという、熱い思いと、調べ、考え、自分の意見を持つことが必要です。

 それは、お客や自分の周りに、新しい可能性を気づかせ、結果として、新しいビジネスを引き寄せる力にもなるのです。

 私は、このような人たちのことを、「ビジネス・クリエーター」ということにしています。

 よきリーダーであることは、よきクリエーターのひとつの要素に過ぎません。その先が、あることを理解し、これを実現することにまい進する。

 それこそが、ソリューション営業の目指すべき「あるべき姿」ではないでしょうか。

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クラウド・ビジネス戦略策定支援セッションを開催します!

日時: 12月16日(水)10:00-17:00

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 既に多くの企業が、クラウド時代に向けた取り組みを始めています。しかし、その一方で、その具体的な施策に頭を悩ましている方も少なくないようです。

 そんな皆さんを対象に、言葉の断片をつなぎ合わせるだけの解説ではなく、ユーザーが、そして、企業が、クラウドにどう取り組むべきか、そして、そのベンダーは、それにどのような対応をすべきかなど、少し突っ込んだ検討をしてみようと思っています。

 定員が限られています。ご関心ある方は、どうぞ、お早目のエントリーを

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1.クラウドを体系的に理解する

 クラウドとその周辺にある言葉の断片を拾い集めても本質は見えてきません。そこで、これらを関連付け、体系的に整理します。また、クラウド・ビジネスを考える上で、関係の深い周辺技術の動向についても詳しく解説します。
・クラウド・コンピューティング体系: 定義と課題
・クラウド時代のリッチクライアント(クラウドとAjaxの不可分な関係)
・クラウドとSOAの組み合わせがSIの今後を変える
・クラウドのアキレス腱、セキュリティ問題とは

2.ビジネスに与える影響と事業戦略について考える

 クラウドの普及が、お客様の意思決定にどのような影響を与えるのか。これに対し、私たちは、どのような対策をとるべきかを検討します。また、クラウドプレーヤー各社の比較や各種統計についても検討します。
・クラウド・ビジネスの動向を整理する
・ITビジネスへの影響と課題
・想定しうるビジネス戦略

3.自社のビジネス戦略のアイデアを整理する

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2009年11月11日水曜日

クラウドでどんなビジネスが考えられるか

クラウドの普及が、システム・インテグレーターのビジネスをどのように変えてゆくのだろうか。今日はその点について、整理してみようと思う。

 クラウドの普及は、モノの販売や開発請負や運用受託などのヒトの提供に関わるビジネスを縮小するであろう事は、以前説明したとおりである。

 しかし、直ちにこのような事態になるかというと、そんなことはないだろう。その背景には、クラウドが本質的に抱えるリスクや課題の存在がある。この点については、別のブログで詳しく解説したので、そちらをご覧いただきたい

 このようなリスクや課題は、ある程度時間とともに解消されるであろうから、クラウドそのものが、普及しないという結論は、早計であろう。

 むしろ、クラウドが、本来持っている魅力、つまり、システム資源についての低コスト、迅速、ダイナミックな調達やアプリケーションの容易な利用などといっとた魅力が勝っており、リスクや課題を解消しようという力学が、強く働くであろう事は、間違えない。

 まさに、この点にこそ、ビジネスの可能性が、存在している。具体的には、

1.クラウド・システムのリスクや課題を補完するサービス
2.クラウド・サービスのインテグレーション
3.SOA化支援サービス

などである。

1.クラウド・システムのリスクや課題を補完するサービス
 運用管理の手間やコストを考えると、電子メールをSaaSに移行したいという企業も多いはずだ。しかし、クラウドのリスクにセキュリティやコンプライアンスが上げられる。このようなリスクを抱えながら、個人情報や企業機密をやり取りする電子メール・システムをSaaSに預けることに抵抗もあるだろう。
 
 そこで、この課題を解消するひつとの手段として、個人認証は、人事システムと連動した自前のシステムで行い、認証を受けたIDのみをSaaS型電子メール・システムのAPIを介して、電子メールのログインを行えばいい。また、添付ファイルは、暗号化され、自社サーバーに保管。そのリンク情報のみを電子メールで送り、別途管理されている復号化のためのキーを使って手に入れる(Gmailを利用しているユニチャームのケース)。

 このような対策により、クラウドのもつ課題を補完することができれば、それは、ひとつのビジネス・チャンスになりうるだろう。

2.クラウド・サービスのインテグレーション
 クラウドの普及は、サービスの多様化を加速することになる。つまり、どのようなサービスを組み合わせれば、業務課題の解決に最適かとなると、これは大変複雑なものになることを意味する。そこには、クラウド上のサービスだけではなく、オンプレミス型のサービスやシステムをも含む、大きな組み合わせも考えなくてはならない。

 その最適な組み合わせを考え、提案でき、構築できる高度なサービス・インテグレーターとしての役割は、必要となるだろう。
 
 また、既存のクラウド・サービスを組み合わせ、お客様専用のサービス、あるいは、顧客視点で使い勝手を向上させるためのインタフェース型SaaSを立ちあけるという可能性もある。

 他にも特定の専門領域に特化したクラウド・サービスを自ら運営し、それを売りにして、お客様の必要とするアプリケーション全体をインテグレーションするというビジネスも存在するだろう。

3.SOA化支援サービス
 クラウドとSOAの関係については、いずれ詳しく述べようと思うが、とりあえず、クラウドの普及は、SOAの普及と不可分な関係にある。

 従って、既存の社内のサービスをクラウドと連携させるためには、既存システムのSOA化というニーズが存在する。

 長年使われ、各社各様に最適化された業務システム。これをクラウドがいかに便利であるからとって、一から作り変えたり、置き換えることは容易なことではない。しかし、クラウドのいいところは、うまく組み合わせて使いたい。

 このような、ニーズに対応する手段が、SOAということてにる。ここにも、かなりのビジネス・チャンスが存在するのではないかと考えている。

 この3つに共通することは、自らが必ずしも、クラウド・サービスのメジャープレイヤーを目指すのではないということだ。

 メジャープレーヤーは、GoogleやAmazonなどにお任せしておき、それを利用しつつ、クラウドのビジネスを考えられないかという視点。

 ご参考まで。

2009年11月3日火曜日

私事で恐縮です・・・


 本日15時58分、初孫が生まれました。体重3225g、身長48.5cmの女の子。母子共に健康です。安心しました。

 いつ生まれるかと、やきもきしていたのですが、満月の今日、無事出産です。助産婦さんに伺うと、「満月と台風の日には、よく生まれるんですよ」とのこと。なるほど、人間もまた自然の一部なんですね。

 末の娘は、21歳。旦那は、22歳の若夫婦。喜びと生活の現実。これから大いに苦労し、悩むこともあるでしょう。しかし、あなたたちの子供は、それ以上に大きな喜びや感動を与えてくれますよ。

 名前は、栞菜(かんな)だそうです。10月の神無月に生まれる予定で、この名前を考えたそうです。残念ながら、少しずれ込んでしまいましたが、本人たちは、大いに気に入っているようで、そのままこの名前にするそうです。

 出産の連絡を受けて、直ぐに病院に駆けつけました。初対面の彼女は、娘の傍らで、真っ赤な顔をして、泣いたり休んだりの繰り返し。赤ん坊とはよく言ったものです。

 新しい世界へ出てきた不安なのでしょうか、それとも、大仕事を終えて空腹なのでしょうか。しかし、よくもこんな小さな身体で、あんなにも大きな声が出せるものです。

 初めてのオッパイ。看護婦さんに介添えを受けながら、娘の乳房に吸い付こうとしています。しかし、どうもうまくゆかない。そんなことを何度か繰り返すうちに、要領をつかんだようです。自分の手で乳房を押さえながら、オッパイに吸い付いて、ぐいぐいと飲んでいます。すごいですよね。よほどお腹がすいていたのでしょうか。なかなか離そうとはしません。これには、感動しました。

 暫くして、お腹がいっぱいになったのでしょう。さっきまで、あんなに泣いていたのに、まったく泣き声も出さず、すやすやと寝てしまいました。現金なものです。

 ひとを泣き声で意のままにこき使い、それでいて、「よかった、よかった」と喜ばせるすべを彼女は、生まれながらに心得ている。たいしたものです。

 初孫を見て、感動するかなぁと期待していました。しかし、それほどでもなかったというのが、正直な気持ちです。ただ、じんわりと、よかった、よかった、という気持ち。そして、壊れてしまいそうな、この小さな身体で大丈夫なのだろうかという不安。なんとも、複雑な思いでした。

 実は、長女26歳も来年の3月に出産の予定です。こちらも女の子だそうです。我が家は、三姉妹ですから、オンナ続きです。だからなんだというつもりはありませんが、なんだか、申し訳ないような気持ちになります。

 まあ、みんな健康であれば、それでいい。そして、彼女たちが、幸せな人生を送れる世の中にするためには、まだまだ、やることはありそうです。がんばらねば・・・

2009年11月2日月曜日

営業の3つのタイプ

 営業には、3つのタイプがある。ひとつは、商品販売型。ふたつ目は、事務処理型。最後は、プロデューサー型である。
 どれが優れ、劣っているかという話しではない。

 商品販売型とは、まず「商品ありき」から、スタートする。団子屋さん、パン屋さんなどは、その典型である。お客様は、味の良し悪しやバリエーションなど、商品そのものが持つ価値や魅力で選択する。営業は、その商品が、他の店と何が違うのか、どれほどおいしいのかなどの魅力を、お客様に伝えることに腐心する。パッケージ・ソフトやハードウェア機器などの販売を手がける企業もこのタイプだ。

 事務処理型とは、お客様に必然的な需要が存在し、滞りなく、お客様からの注文を処理し、コストや納期を守ることが求められる。例えば、大手企業のシステム子会社などが、親会社の仕事をするような場合で、特に売り込みは必要ないが、確実に事務処理や仕様の確定などをこなすことが求められる。

 プロデューサー型は、商品販売型とは対照的に、「商品がない」からスタートする。お客様の要望に応え、最適な商品やサービスを組み合わせ、お客様個別の商品を作る。広告代理店の営業などは、この典型。これといった、特定の商品がない。お客様のニーズを捉え、広告宣伝の効果を具体化。そして、最適な広告宣伝手段を組み合わせ実行する。SIも、このタイプの仕事といえるだろう。

 ところで、IT業界では、商品販売型と事務処理型の営業が、ますます難しくなっている。

 まず、商品販売型。たとえば、サーバーは、ブランドや筐体が違っても、どれも中身は、インテルであり、OSは、Window、データベースは、オラクルかDB2・・・というように区別がない。ネットワーク機器にいたっては、どこもシスコ製品を扱い、たとえメーカーが違っても、できることに大差はない。 オープソフトもやっかいだ。無料なのだから、売上は、あがらない。クラウドになれば、パッケージやサーバーなどを自社で所有する必要がない。したがって、売上げ規模は、縮小する。

 事務処理型も、厳しい現実に直面している。不況の荒波に苦しんでいる親会社からの発注は減少している。それも、仕事量より金額が・・・である。 コスト削減は、親会社としても存続をかけた取り組みである。背に腹は代えられないから、よりコスト競争力のある国内企業に仕事が回る。また、開発や運用のオフショア化、クラウドの利用など、仕事量減少の危機が迫っている。

 親会社からは、「分社の原点に立ち返り・・・」グループ外からの受注比率拡大を、今まで以上に求められるようになる。
 独立系SIerも、多くは、商品販売型だ。ヒトという商品を売っているだけで、新たな付加価値の創造や提案はない。  あるいは、既存のお客様からの仕事に胡坐をかいて、新たな商品開発や顧客の開拓を怠ってきたところも少なくない。これは、事務処理型と大差はない。

 どちらにしても、差別化できる商品や新規案件を開拓できる営業力がなければ、親会社というよりどころもないわけで、ますます厳しい状況に追い込まれている。

 プロデューサー型が、今求められている。この厳しい局面に生き残るためには、特定の商品や特定の会社に頼っては、いられない。

 お客様の課題を起点に、お客様個別のオーダーメイドの組み合わせをつくり、それを売り込む営業力なくして、生き残ることはできないだろう。

 プロデューサー型の営業を育てることはたやすいことではない。また、商品販売型や事務処理型が主体となっていた営業組織の場合は、人材の育成だけではなく、組織運営のあり方も代えてゆかなければならないだろう。

 そのあたりについては、改めて紹介させていただこうと思う。

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受講者募集しています!!!
ソリューション・ビジネス・プロフェッショナル養成講座

11月19日(木)-20日(金)の2日間

プロデューサー型の営業にとってもっとも大切なことは、お客様の課題やニーズを的確につかむことです。
この研修では、このソリューション営業の基本ともいうべき、スキルを手に入れるとともに、確実に受注に結びつけるための手順(4つのフェーズと28のプロセス)を学びます。

戦略論、精神論ではありません。実践に裏打ちされた、直ちに使えるノウハウを、10種類のツールとともに提供させていただきます。

お申し込みはこちらから。