2009年9月7日月曜日

常識が、非常識となるとき(3) SIerビジネスへの影響

クラウドの普及は、SIerやソリューション・ベンダーのビジネス規模を縮小させる可能性がある。

1.ハードウェア機器、パッケージ販売ビジネスの縮小
2.インフラ・プラットフォーム構築ビジネスの縮小
3.運用業務に関わる受託、派遣業務の縮小

1については、言うまでもないだろう。いままで、オンプレミス型が当たり前であったシステムの利用形態に、SaaSやPaaSといった選択肢が加わる。このようなクラウド型のシステムは、使用量や使用する機能に対応した従量課金制であり、モノを販売するビジネスにとっては、大きな脅威となる。

 特に、スキル・レベルの高い人材を確保することが難しいSMBや開発、テスト目的でのシステム導入。非基幹系で、あまりクリティカルではないアプリケーション(たとえば、オフィース系)などは、クラウドへのシフトが、先行するものと考えられる。

 2については、インフラ・プラットフォームを自社で持つ必要がなくなるわけで、この部分のビジネスは、減少するだろう。これは、クラウドだけの問題ではなく、仮想化やそれに付帯したシステムの統廃合も並行して進むだろうから、ますますビジネス規模は、縮小する。

 3については、サーバーや一部クライアント系のアプリケーションも、ネットの向こう側で運用されることになるので、ユーザー・サイトでの運用業務は、少なくなるだろう。

 このように、モノ売りやヒト売りを生業にしてきた企業にとっては、マーケット・サイズの縮小が懸念される。

 また、お客様の意思決定基準の変化もビジネスに大きな影響を与えることになるだろう。

1.IT部門のユーザー化による上流プロセスでの判断重視
2.ユーザー部門主導によるシステム選定の増加
3.購入単位の変化(数量から利用量へのシフト)

 1については、IT部門は、開発に際してOSやインフラを意識する必要は無くなり、サービスとして、アプリケーションやシステム・リソースを利用することになる。これは、IT部門のユーザー化である。いままでのようなテクニカルな提案やジャスティフィケーションは、重要視されなくなるだろう。上流での判断、すなわち、アプリケシーュンや業務プロセス、業務要件検討に関与することが、今まで以上にもとめられるだろう。

 2は、IT部門の対応にもよるが、IT部門がオンプレミスにこだわり続ければ、当然痺れを切らししてユーザーは、IT部門を跳び越してSaaSの導入を推進するかもしれない。事実、Salesfoce.comは、そんなかたちで入っているところも少なくないようだ。かつての部門コンピューター、部門オフコンと似たような展開が考えられる。

 3は、先にも触れたが、購入+リース+運用・保守 と 使用+使用料金 との対決である。システムのクリティカル度、要求される立ち上げスピードなどにも関係するが、意思決定がユーザー部門にシフトすれば、システム所有へのこだわりは、著しく減退するだろう。この結果、既存のモノ売り、ヒト売りビジネスが、食われる事は必至の情勢にある。

 ビジネス規模を縮小とお客様の意思決定基準の変化という、ふたつの大きな変化。SIerやソリューション・ベンダーは、これに対処しなければならない。

 では、どのように対処すればいいのだろうか。次回は、この点を解説する。

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