2009年9月3日木曜日

だれのためのソリューションですか?

  ソリューション提案という言葉があります。語義に従うなら、「何かを解決する手立てを提案する」ということになるのでしょう。

 では何を解決するのでしょうか?こんな話しを研修の席で皆さんに質問すると、決まって「お客様の課題」と返ってきます。そんな皆さんに、「本当にそう思っていますか?もしかしたら、自分の課題ではありませんか?」と問い返します。

 営業にしても、コンサルにしても、予算を抱えています。その予算を達成することが、彼らの仕事です。当然、数字をあげなければなりません。それには、いろいろな課題を克服しなければならない。その課題解決をソリューションとは、言っていませんか?こんな意地悪な質問をすると、何人かの方は、ほほを緩ませます。

 お客様の課題を解決するといいながら、その実、予算を達成するための自らの課題を解決しようと、ソリューションと称して、お客様に押し売りしている。それを自覚しているなら、確信犯です。しかし、その自覚が無い人も少なくないように思います。

 たとえば、お客様への売込みを行うとき、自分達の商品やできることを前提に考えている。何とか、それに押し込めようとしてみたり、その範囲を超えるものについては、自分達にはできないことと決めてかかり、まともに話を聞いたり、考えたりしない。こういう状態こそ、自分の課題を解決しようとしている姿です。

 自分達に何ができるかの前に、お客様の課題を理解することが、最初です。その上で、その解決策を提案するというのが、ソリューション提案の基本です。

 当然、自分達にできないことがあります。いや、自分達だけで、できないことが当たり前。むしろ、お客様の課題解決を自分達だけでできるなどと考えることのほうが、不遜といわざるを得ません。

 天下のIBMや富士通、NECだってそうでしょう。自分達で抱える商品だけで、商売をしているわけではなく、他者の協力を得なければ、何もできません。

 ソリューションを提案するということは、お客様の課題を解決する手立てを提案することだと申し上げました。そのためには、自社だけではなく他社も含めて、全体を取りまとめる必要があります。お客様から見たときにひとつの解決策として提供されなければなりません。

 つまり、お客様の課題を解決するためのいろいろな要素を取りまとめ、それをひとつのパッケージとしてまとめ上げたものが、ソリューションなのだと考えてはいかがでしょうか?

 こんな話しをすると、「それは、SIですよね?」と質問されることがあります。確かにその通りです。しかし、その組み合わせはまちまちで、ハードウェア機器と据付、調整、その後のサポートをお客様の課題に合わせて最適に組み合わせたものでもいいわけです。この程度のものは、一般に言われるSIとはいいませんが、広義に解釈するならSIといってもいいかもしれません。

 大切なことは、お客様の課題を解決することです。お客様の課題は、夫々に異なります。夫々に異なる個別の課題に対処したオーダーメイドの商品。それが、ソリューションです。たとえ自社ですべてに対応できなくても、その調整やコーディネーションをする。それ自体、立派な商品です。それこそ、お客様の一番求めているソリューションではないでしょうか。

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