2009年9月15日火曜日

信頼をかち得る条件

 組閣が進んでいるようだ。誰が、どこの大臣になるかは、われわれ庶民のはかり知ることではないが、政権交代に寄せる期待に、是非とも応えていただきたいと願うばかりである。

 山本七平氏の著「論語の読み方」に「『由(よ)らしむべし、知らしむべからず』の曲解を正す」という一節があった。

 「由らしむべし、知らしむべからず」とは、「民には、なにも知らせてはならない、信頼させて、だまってついてこさせるべきだ」と解釈され、戦時中の日本になぞらえ、批判されてきたと語っている。

 しかし、正しくは、「民衆からは、その政治に対する信頼をかち得ることはできるが、政治の内容を知らせることは難しい。」ということであるという。

 山本は、多くの人がこれを誤って解釈しているのではないかと指摘している。

 なるほど、そういわれると、自分もまた前者の通俗的解釈で理解していた。恥ずかしい限りである。

 この正しい解釈で、改めて考えてみると、まったくその通りだなぁと思うのは、私だけではないだろう。

 確かに、どのようなプロセスで政治が進められているのかを説明されても、その当事者でもなければ、専門家でもないわれわれにとっては、全体を正確に理解することは難しい。しかし、政治に信頼があれば、たとえその内容を十分には理解し得なくても、私たちは、それに従い、彼らを支えることができるだろう。

 こんなことを、今から2500年も前の人が言っていたわけである。孔子の偉大さもさることながら、人間とは、かくも変わらぬものかと苦笑いしてしまう。

 では、信頼はどのように「かち得る」かである。やはり、成果を確実に上げ、民意に応えることが第一である。全戦全勝は、無理でもプラス・マイナス・プラスにはしてほしい。

 次に大切なことは、「わかりやすい説明」であろう。詳細な内容やプロセスを事細かに説明すのではなく、「目的やあるべき姿」「得られる価値」「課題やリスク」を完結明瞭に、聞く側の言葉で伝えてもらいたい。

 当然、全員賛成にはならないだろうが、信頼の基盤となることは、間違えない。

 これは、政治だけのことではない。私たちが、お客様から、信頼を勝ちうるための条件ともいえる。

 ITが進化し、多くのお客様にとって、そのテクノロジーの詳細を理解することは、難しくなっている。特に、SMBのお客様にとっては、人材も限られており、なおさら容易なことではない。

 クラウドの時代となり、その技術的な基盤が、遠くネットの向こう側に置かれ、お客様は、利用するだけの立場となれば、ますますその内容を、詳細にご理解いただくことは難しくなる。

 どのような仕組みで実現しているかではなく、自分達にどのような価値をもたらし、どのようなリスクがあるのかを、お客様は知りたいと願っている。

 仕組みを理解していただくことが、ますます難しくなるこれからの時代、私たちは、お客様の信頼をかち得るためにはどうすればいいかを、今まで以上に真剣に考える必要があるだろう。
  • 成果を確実に上げること。
  • 「目的やあるべき姿」「得られる価値」「課題やリスク」を説明すること。
  • 完結明瞭に、お客様の言葉でわかり易く伝えること。 
 この3つを忘れないことを、改めて肝に銘じておきたいと思う。

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