2009年2月2日月曜日

プロダクト営業は、思想を売る伝道師

 「お客様の課題を探り、お客様個別の解決策を提案するのが、ソリューション営業であるということは理解できます。しかし、プロダクト販売に責任を持つ営業は、そのとおりにはできません。どうすればいいのでしょうか?」

 こんな質問をいただいたことがあります。この点について今日は考えてみようと思います。

 確かに、プロダクトを販売するのだから、どうしてもその製品の性能や機能の優位性をお客様に伝えなくては商売にならないと考えがちです。しかし、お客様にしてみれば、たとえその商品のコストパフォーマンスが、他社の同等製品を凌駕するものであっても、自分に必要がなければ買いたいとは思いません。ここまで、極端ではなくても、その製品が自分たちの業務に最適であり、期待通りの効果を挙げてくれるという確信が得られれなければ、購入には至らないでしょう。

 結局のところ、お客様の業務の状況や課題について、十分に話を聞き、お客様の業務課題を、どれほど効果的に解決してくれるかを説明する必要があるのです。この点については、お客様に責任を持つ「アカウント営業」と変わるところはありません。

 また、お客様の課題をひとつのプロダクトですべて対応できるという保証はありません。となると、カスタマイズや他のプロダクトとの組み合わせを提案する必要があります。

 これでは、両者の違いは曖昧なままです。では、最大の違いは何かといえば、プロダクトの性能や機能だけではなく、本当の意味でのプロダクトのスペシャリストとして、そのプロダクトが実現しようとしているあるべき姿や目的、製品が作り出された背景や思想について、お客様に的確に伝えられるとともに、お客様の業務への適合性、課題解決の筋道や効果が合理的に説明できることにあるのではないかと思います。

 同じジャンルのプロダクトを表にして、機能のあるなし、優劣を比較したところで、どれも一長一短があり、価格に見合ったそれなりの比較しかできません。結局は、お客様と営業との親密さや会社のつきあいの深さなど、政治的なバイアスが介在し、落ち着くところへ落ち着くと言ったところだろうと思われます。しかし、このような方法では、真のプロダクトの価値は伝わりません。お客様にとっても最前の策を選択したことにはならないのです。

 プロダクトには、それが作られた背景や意図があります。あるいは、前提となるビジネス・モデルがあります。それが、基礎となり、業務現場のニーズをくみ上げながら、機能や性能が作り込まれてきたわけです。機能のあるなし、性能の優劣は、お客様の必要に対する結果であって、それ自身がプロダクトの価値を決定するモノではありません。業務目的や思想が異なれば、お客様の必要は変わってくるのです。

 つまり、プロダクトの目的や思想をお客様に正しく理解していだき、自分たちの業務にうまく適合出来るかどうかを考えていただく。できないとすればどのような対策、つまり、他のプロダクトとの組合せやカスタマイズなどをすれば、いいのか。その点をお客様と議論し、合意を得られるように対策を提案、説得することが、「プロダクト営業」の仕事です。

 プロダクトの目的や思想が、お客様のそれらと異なると、例えカスタマイズで表面的な機能は似せることはできても、使い勝手が悪いといったことやバージョンアップするとまた大きなカスタマイズが発生するなどの事態を招きかねません。それでもどうしてもプロダクトを使いたいのならば、お客様の業務そのものを変更して頂いたほうが、効果が期待できます。

 このように、お客様の業務にまで踏み込んで、プロダクトの適用を提案することが、「プロダクト営業」には、求められているのです。

 どちらの営業スタイルもお客様の課題を解決することに変わりはありません。ポイントは、手段の違いです。アカウント営業は、商品がないからスタートし、お客様にとって最適な組み合わせを模索し、作り上げてゆくメイキング営業です。一方、プロダクト営業は、プロダクトの目的や思想が、お客様の業務の特性や課題に適合しているかどうか、もし違いがあるとすれば、どのようにギャップを埋めればいいのかを提案するマッチング営業といえるでしょう。

 どちらにしても、お客様の課題を解決するという点に置いては、ソリューション営業であることに違いはないのです。

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