2008年6月21日土曜日

本物の「名ばかり管理職」

 営業マネージャーの悩みのひとつに、誰にどこを担当させるかということがあります。


 上の図を見てください。Aはお得意様。ロイヤル・カスタマーなどという洒落た言葉もあります。ベテラン営業が担当することが多いようです。担当期間も長く、個人的にもお客様との信頼関係がしっかりとできあがっていて、営業担当者を変えることで関係が疎遠になることが心配です。

 しかし、ほんとうにそれでいいのでしょうか?実は、本当に優秀な営業を必要としているところは、Bだということです。何をもって優秀というかにもよりますが、購入余力もあり、将来Aになって頂ける可能性の高いお客様を作ることができる営業は、優秀であることの証です。

 しかし、このようなBのお客様に経験の浅い新人君を担当させ、叱咤激励している会社も少なくありません。あるいは、B、C、Dを区別せずハードルの高い仕事をさせ、「最近の若い奴らはダメだなぁ」と彼らを下に見て「俺の若い頃はなぁ・・・」と自慢話に酔いしれる似非(えせ)ベテラン営業さんや営業マネージャーを時には見かけます。最近話題の「名ばかり管理職」とは、このような方のことではないかと思うのですが、深読みのしすぎでしょうか?

 特にC、Dグループのお客様に「提案営業」と称して、攻めの営業をするようにと鼓舞しても無駄な努力というモノです。万が一、うまくいくかもしれません。しかし、それは奇跡です。効率を無視した仕事への取り組みです。マネージャーたるもが、行うべきことではありません。

 営業活動を効率よく、効果的にこなしてゆくためには、まずは自分の担当するお客様を冷静に分析してみることです。
 どのお客様がAグループなのかは、比較的直ぐに見極めることができます。しかし、意外と難しいのが、B、C、Dの区別です。その方法については、研修でも紹介しているので、ここでは詳しい説明は避けますが、お客様の規模やシステムにかける予算、業績や競合との関係などが目安となります。

 このような見極めを立てた上で、ほんとうに優秀な営業をBに投入する。そして、Aは、ベテラン営業の指導の下、普段は経験の浅い営業をお客様に行かせながら、重要な局面ではしっかりとお客様をケアする。そんな仕事の進め方が効果的です。

 また、Dと見極めたお客様を未練がましく抱え、成果など上がらないのに「とにかく行ってこい!」と新人君をせき立て、「だめだなぁ」とあきらめ顔をするようなマネージャーにならないように心掛けたいものです。このようなお客様は、すっぱりと切り捨てて、AやBに力を注ぐ方がはるかに効果的です。

 Bについても、決して新人君を使うべきではないと言っているわけではありません。むしろ、新しいお客様を開拓する喜びを彼らにも経験させることは、必要なことです。ただ、なんの指導もせず、彼らの自助努力だけで仕事をさせるべきではありません。効率も上がらず、成果も上がりません。担当させられた彼らのモチベーションは、下がるだけです。

 Cについては、あまり時間をかけず、とにかくお客様との関係を絶やさないことです。定期的な訪問や電話連絡、定例ミーティングの開催やセミナーのお誘い、サプライなどの小さなご依頼への気持ちよい応対など、基本的な関係をしっかりと保っておくことが大切です。そうすれば、チャンスは巡ってきます。

 効率的な営業活動を進める上で、そんなお客様の見極めをされてはみては如何でしょうか。

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