「“提案営業”と“ソリューション営業”は、どう違うのでしょうか?」
先日、こんな質問を頂きました。これは、意外と奥が深い。普段このふたつの言葉は、どちらも同じように使われてます。しかし、この違いにこそソリューション営業の本質が隠れているのです。
「提案営業」。その反対の言葉としてよく使われるのが「ご用聞き営業」です。「ご用聞き営業」のようにお客様からご用命を待つのではなく、営業自らが積極的な提案を仕掛け、案件を獲得しようというのが「提案営業」のスタイルです。
多くの経営者が「提案営業」を旗印に営業を駆り立て、待ちから攻めの営業に転換するように鼓舞しています。そしてどれだけお客様を訪問し、どれだけ提案したかを数え、営業活動の状況を評価していることもあるようです。
ただ「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」では、効率も上がりません。それよりも何よりも、興味のない話しを聞かされるお客様にとっては、いい迷惑です。
しかも、提案とは名ばかりで、製品やサービスのカタログを示しその説明をし、今ならいくらでできますよ、今回は期間限定で、安くご提供できます・・・では、単なる商品やキャンペーンの説明であり、それを提案というのは、どうかと思います。
本当に製品について知りたいのなら、営業に来てもらわなくても、インターネットで調べることができる時代です。お客様は、そんなことに何の価値も見いだしません。
ならばと言うことで、お客様の課題やニーズを聞き出し、それをもとにその解決策をまとめ上げ提案書にする。これならば、お客様に聞く耳をもって頂けるはずです。一歩前進です。お客様に説明の時間を頂き、なるほどと納得頂き、お客様の反応を待つことにしました。
しかし、なかなか連絡がありません。心配になって問い合わせてみると、「今検討しているところです。改めて御連絡します。」と言う返事。そのまま、時間が過ぎてゆきます。
こんな経験をされた方も多いではないでしょうか。確かに「提案活動」は行っています。製品説明や技術説明ではなく、お客様の課題を起点に解決策を提案としてまとめました。お客様も納得してくれたと思います。いい感触でした。確信があります。だから上司にも「いけそうです」と報告しています。
「提案営業」というと、提案そのものに注目します。しかし、提案は所詮こちらからの問いかけにすぎません。この問いかけで、お客様は関心を持ったかもしれません。しかし、それはきっかけを作ったに過ぎません。あるいは、あなたが提案することで、お客様は新たな課題に気付いたかもしれませんし、先にしなければならないことを思い出したかもしれません。
「今回提案させて頂いたシステムを導入すれば、販売情報をその日の内に集計し、即座に物流や生産計画に反映できます。その結果、在庫量を減らし資材の調達も今までに比べて大幅に削減できると考えています。
いかがでしょうか?このような仕組みは、御社の必要とされていることでしょうか?また、導入するに当たって、どのような課題があるでしょうか?」
後半の太字にした部分をみなさんは問いかけているでしょうか。この問いかけがあるかないかが、提案営業とソリューション営業の分岐点です。
このような問いかけで、新たな課題やその背景が浮かび上がってきます。そして、さらに相談を重ね、「これで行きましょう」という合意取り付ける。そこまでできて、あなたの「提案」は、お客様にとって本物の「解決策=ソリューション」となります。
「ソリューション営業」とは、双方向の営業活動であり、お客様との合意を重視する営業スタイルです。「提案営業」は、そんな「ソリューション営業」をスタート・ポイントに導くための最初のプロセスです。
「提案」がなければ、お客様の目を自分たちに向けていだくことはできません。しかし、それだけでは不十分です。提案の一歩先にある「合意」を作るための活動があって、始めてお客様のもとめる「ソリューション」が明らかとなります。
「ソリューション」のきっかけ作りを重視する「提案営業」、さらにその先の「合意」まで含めて営業活動を捉える「ソリューション営業」。このふたつの営業スタイルは、そんな関係にあります。
2 件のコメント:
はじめまして。
具体的な問いかけが歩かないかのノウハウ、読んで勉強になります。
自分は、判っているようで実行できていなかったりもします。
シミュレーション練習も必要ですね。
これからも、覗かせていただきます。
HappyWindさん
コメント有り難うございます。私も、HappyWindさんと同様、ランニングと仕事を楽しんでいます。
またどうぞお立ち寄り頂き、忌憚のないご意見など聞かせて頂ければ幸いです。
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