2011年5月14日土曜日

震災で試される営業の力量

 「震災特需なんてとんでもない。いいことなんか、何もありませんでした。」
 
 5月9に開催された「緊急営業会議:3.11以降のITビジネスと営業の役割」で、新潟を中心にビジネスを展開している丸新システムズの副社長・熊倉さんが、こんな発言されていました。熊倉さんは、2004年の中越地震、2007年中越沖地震を経験されています。
 
 「中越沖地震の時は、直下型の地震であり、家屋の倒壊被害が顕著でした。1年間はビジネスは全くないと考えていました。特に中小のお客さまが多く、資金繰りに苦しみ、倒産したお客さまも少なくありません。IT において震災特需は有り得ないと考えるべきです。特に製造業は案件の消失が多く、震災によってもたらされる良いことはひとつまありませんでした。BCP、DRの話もでましたが、実際にはビジネスへと具体化したことは少なく、お客さま自身も何をすれば良いかわからない状態だったんです。」
 
 熊倉さんは、このような状況の中で、お客さまにITの話しなど聞いている余裕はないこと、そんなお客さまの気持ちを逆なでするようなことをやるべきではないと言うことも、話されていました。真剣にお客さまの困ったことに向き合い、自分たちにできることはなにかを考えることが、営業の役割であると話されていました。
 
 この「緊急営業会議:3.11以降のITビジネスと営業の役割」には、会社の垣根を越えて、150人の営業関係者が集まりました。普段は、ライバル同士の営業ですが、「お客さまの“困った”を解決する」という役割においては、同士と言えるかもしれません。そういう皆さんが、今お客さまはどうなっているのか、自分たちに何ができるのだろうかを考えようと、この会議は開かれました。
 
 告知してひと月もありませんでしたが、これだけの多くの方が、お集まりいただいたことを、私は真摯に受け止めています。
 
 日本情報通信の三宅さんから、こんなご発言がありました。
 
 「ホスティング・サービスを提供しているデータセンターが、計画停電の対象地域でした。しかし、お客さまのシステムを止めるわけにはゆきません。そこで、自家発電のための重油は大丈夫か、その際の対応はどうなっているのかを委託している管理会社と確認し、対応のために走り回りました。私たちの仕事は、「お客様の困った」を解決することです。改めてITの範囲を超えたことにも、自分にできることはなにかを考えなければいけないと痛感しました。」
 
 私は、このお二人の話を伺い、改めて営業の果たすべき役割について、気付かされました。つまり、私たち営業は、「お客さまの困った」を解決するプロデューサーなのです。

 お客さまの困ったをITだけで解決することはできません。ITは、その手段の一部に過ぎないのです。お客さまは、IT製品やサービスを買いたいわけではありません。お客さまは、自分の困ったを解決し、こうしたいを実現したいのです。そして、それが満たされるのであれば、必要な対価を支払っていただけるのです。
 
 BCPやDRを売り込むことなど不謹慎だと言いたいわけではありません。まず、そのような商材以前にお客さまのこまったに真剣に向き合い、それを解決するためには、何をすべきかを真剣に考えることが、まずは、営業のとるべき態度なのだろうと思います。その上で、ITに何ができるかを考えるべきなのです。

 私たちは、ITの専門家なのですから、ITをうまく活用し、効果的にお客さまの困ったを解決するための方策をガイドすべきなのです。それがお客さまの期待であり、営業の役割なのだと思います。

 お客さまの話を伺い、それを整理し、最適な解決策を提案する。営業は、そのために、たくさんの引き出しを持っていなくてはなりません。その勉強を怠っては、ならないと思います。
 
 「ソリューション営業」という言葉があります。これを言い換えれば、「お客さまの困ったに真摯に向き合い、その解決に全力を尽くす営業」ということかもしれません。
 
 今、私たちは、その力量を試されています。この緊急営業会議での皆さんの意見を伺いながら、改めて、営業の役割について、考えることができました。
 

[会議の映像]この映像は、新日鉄ソリューションズ様のご協力により、同社クラウド・サービスである absonne より提供しております。また、映像は、V-CUBE様のWeb会議システムを使わせていただき、編集にもご協力いただきました。

[議事録]緊急営業会議の議事録(PDF)を公開いたしました。日本情報通信の千住さんにより、この議事をまとめていただきました。

[メディアでの紹介]


ささやかながら、下記の右下にもリンクを掲載いただきました。

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このように、多くの皆様のご協力により緊急営業会議は開催されました。改めて皆様に感謝申し上げま。この機会を多くの皆様と共有できればと切に願っております。よろしければ、このブログをご覧の皆様にもご協力いただき、この取り組みを、ご紹介いただければ幸いです。

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