ある打ち合わせの席で、組織としての営業力は、どのように強化すればいいのかというご質問をいただきました。
営業力の強化とは、一般的には、研修やコーチングにより、個人のスキルや意欲を高めることと考えられています。その積み重ねの結果が、組織としての営業力の強化につながるという暗黙の了解が成り立っています。しかし、ことは、そう簡単なことではありません。
たとえば、皆さんの周りを見渡してください。優秀な営業さんが、いらっしゃるはずです。果たして彼は、なぜ優秀なのでしょうか。その理由や優秀な営業として振舞える方法を教えてくださいと彼に聞いたとして、彼はあなたにわかりやすく説明してくれるでしょうか。
意気込みや哲学、精神論の話はできるかもしれません。しかし、彼自身が、自分の仕事の手順を他人に説明できるようには、客観的に整理できていないことが普通です。ですから、自分では優秀な営業として振舞えても、他人にそれを説明することはできないのです。
このように、営業力は、個人の暗黙知として存在している場合が一般的です。組織が共有できる形での形式知としては、存在していないのです。組織としての営業力を強化するとは、個人に埋没している暗黙知たる営業の仕事のノウハウを、組織の誰でもが共有し、利用できる形式知に転換することが必要なのです。
具体的には、次の3つの手順を踏むことになります。
1.TO BEの明確化
2.プロセス分解
3.プロセス活用のマネージメント・スタイル確立
1.TO BE(あるべき姿)の明確化
自分たちは、何を売るのか。何をもってビジネスの成功とするのかを明確にすることです。売り上げや利益目標の達成もそのひとつではありますが、それは当然の帰結です。はっきりすべきは、どのような商売をして、売り上げや利益を達成するかということです。
サービス、機器、ファシリティ、それらの組み合わせ、どの分野、どのような顧客、シェア・・・など、自分の商売をしっかりと定義することです。何でもやりますも、ひとつの答えかもしれません。しかし、それでは、自社の強みをどう生かし、何を持って他社との差別化をするのか明確にはできません。ここをはっきりさせることがまず必要です。
2.プロセス分解
次に行うべきは、TO BE を達成するための営業の仕事の流れをプロセスに分解することです。万人にとって完全、共通なプロセスは、存在しません。しかし、理想的なプロセスは、描けるはずです。理想的な仕事の手順を書き出して、一覧表に纏め上げます。
それを標準的な仕事の手順として定義し、それをもって自分の仕事の現在位置を知り、次に何をしなければならないのか、何が抜けているのかを確認します。つまり、営業という仕事の流れを「見える化」をしようということです。
案件ごとにプロセスが見えれば、どこに課題があるのか、確認できます。確認できれば、どうすれば対処できるのか、どのような支援が必要なのか、具体的な対策を打つことができるはずです。
つまり、仕事の状況が個人から開放され、組織として共有できるのです。その結果、案件ごとに組織として対処する前提が出来上がることになります。
3.プロセス活用のマネージメント・スタイル確立
たとえ、プロセスが明確になり、進捗や課題が標準的な指標に基づいて共有できるようになっても、「あとは、よろしく!」と個人の自助努力に任せてしまうようでは、組織としての営業力にはなりません。
案件ごとの課題を解決しTO BEを達成できるように、組織として支援するというコミットメントを個人に与えること。そして、それを組織として役割分担し達成するという組織運営を行う必要があります。これをスポンサー型マネージメントといいます。
プロセスをどうこなすかは、担当営業に任せ、結果の達成を評価するチェック・アンド・レビュー型マネージメントとは、相対する考え方です。
スポンサー型マネージメントでは、確実にプロセスをこなせば、結果はついてくるという考え方が前提にあります。したがって、適切なプロセス分解ができるかどうかが鍵を握ります。
このように、組織としての営業力は、自分たちの会社における営業という仕事のあるべき姿、仕事のプロセス、役割分担した仕事を共有することなのです。
個人としての営業力を強化するだけではなく、組織としての取り組みもあわせて行わなければ、会社全体の営業力強化には、結びつかないのです。
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営業力の強化とは、一般的には、研修やコーチングにより、個人のスキルや意欲を高めることと考えられています。その積み重ねの結果が、組織としての営業力の強化につながるという暗黙の了解が成り立っています。しかし、ことは、そう簡単なことではありません。
たとえば、皆さんの周りを見渡してください。優秀な営業さんが、いらっしゃるはずです。果たして彼は、なぜ優秀なのでしょうか。その理由や優秀な営業として振舞える方法を教えてくださいと彼に聞いたとして、彼はあなたにわかりやすく説明してくれるでしょうか。
意気込みや哲学、精神論の話はできるかもしれません。しかし、彼自身が、自分の仕事の手順を他人に説明できるようには、客観的に整理できていないことが普通です。ですから、自分では優秀な営業として振舞えても、他人にそれを説明することはできないのです。
このように、営業力は、個人の暗黙知として存在している場合が一般的です。組織が共有できる形での形式知としては、存在していないのです。組織としての営業力を強化するとは、個人に埋没している暗黙知たる営業の仕事のノウハウを、組織の誰でもが共有し、利用できる形式知に転換することが必要なのです。
具体的には、次の3つの手順を踏むことになります。
1.TO BEの明確化
2.プロセス分解
3.プロセス活用のマネージメント・スタイル確立
1.TO BE(あるべき姿)の明確化
自分たちは、何を売るのか。何をもってビジネスの成功とするのかを明確にすることです。売り上げや利益目標の達成もそのひとつではありますが、それは当然の帰結です。はっきりすべきは、どのような商売をして、売り上げや利益を達成するかということです。
サービス、機器、ファシリティ、それらの組み合わせ、どの分野、どのような顧客、シェア・・・など、自分の商売をしっかりと定義することです。何でもやりますも、ひとつの答えかもしれません。しかし、それでは、自社の強みをどう生かし、何を持って他社との差別化をするのか明確にはできません。ここをはっきりさせることがまず必要です。
2.プロセス分解
次に行うべきは、TO BE を達成するための営業の仕事の流れをプロセスに分解することです。万人にとって完全、共通なプロセスは、存在しません。しかし、理想的なプロセスは、描けるはずです。理想的な仕事の手順を書き出して、一覧表に纏め上げます。
それを標準的な仕事の手順として定義し、それをもって自分の仕事の現在位置を知り、次に何をしなければならないのか、何が抜けているのかを確認します。つまり、営業という仕事の流れを「見える化」をしようということです。
案件ごとにプロセスが見えれば、どこに課題があるのか、確認できます。確認できれば、どうすれば対処できるのか、どのような支援が必要なのか、具体的な対策を打つことができるはずです。
つまり、仕事の状況が個人から開放され、組織として共有できるのです。その結果、案件ごとに組織として対処する前提が出来上がることになります。
3.プロセス活用のマネージメント・スタイル確立
たとえ、プロセスが明確になり、進捗や課題が標準的な指標に基づいて共有できるようになっても、「あとは、よろしく!」と個人の自助努力に任せてしまうようでは、組織としての営業力にはなりません。
案件ごとの課題を解決しTO BEを達成できるように、組織として支援するというコミットメントを個人に与えること。そして、それを組織として役割分担し達成するという組織運営を行う必要があります。これをスポンサー型マネージメントといいます。
プロセスをどうこなすかは、担当営業に任せ、結果の達成を評価するチェック・アンド・レビュー型マネージメントとは、相対する考え方です。
スポンサー型マネージメントでは、確実にプロセスをこなせば、結果はついてくるという考え方が前提にあります。したがって、適切なプロセス分解ができるかどうかが鍵を握ります。
このように、組織としての営業力は、自分たちの会社における営業という仕事のあるべき姿、仕事のプロセス、役割分担した仕事を共有することなのです。
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