2011年9月17日土曜日

こんなマネージメントは、とっとと辞めてしまいなさい


「お客様に信頼される。そんな営業になりたいと思っています。」

先日の営業研修の折、「自分の描く理想の営業とは」という質問に、40代半ばの営業課長から、このような答えが返ってきました。

「ではどうすれば、信頼される営業になれるでしょうか?」とさらに質問すると・・・

「お客様のご要望にすぐに応えること。お客様の相談に親身になってお応えすること。そういう日々の誠実な態度が、お客様からの信頼につながるのだと思います。」。

この気持ち・・・とてもよくわかります。・・・感覚的には(笑)。私は、この方はとても誠実でいい人だと思いました。気負いもなく、とてもまじめな方だと思いました。でも・・・残念。いい人なんです。それだけなんです。

どうも、この方は人間としての信頼と営業としての信頼を同じものだと考えていらっしゃるようです。もちろん、人間として信頼できないような相手を営業として受け入れることはできません。だからといって、それが頼りになる営業かというと必ずしもそうではありません。

かつて景気のいい時代は、需要が供給を上回っていました。ですから、こちららの要望するものをすぐに手配してくれたり、問題かあれば誠実に対処してくれる営業は、頼りになりました。供給が足りない以上、お客様にとってこういう営業はありがたい存在です。当然、優れた営業成績を残すことができました。

しかし、もはや競合が常識の時代です。お客様の要望に応えられるだけの営業では、優秀になれない時代になったのです。供給は需要を上回り、課題解決の選択肢は、昔ほど単純なものではありません。同じような課題に対して様々な選択肢があり、しかもその組み合わせは複雑です。ですから、お客様も「要望」を明確に伝えることができません。何が最適解なのかをお客様も私達もわからないままに、お客様の課題解決に取り組まなくてはならないのです。しかも、「棲み分け」などていう天国は期待できない時代です。

優秀な営業の定義が変わったのです。「要望に応えられる営業」から「解決策をお客様と一緒に考えられる営業」へと、お客様の期待が変わったのです。

こんな見方もできます。

かつてITはイノベーションでした。ITがまだまだ企業に浸透していなかった時代、ITの活用は企業に目に見える形でのイノベーションをもたらしていたのです。しかし、いつしかITは企業のインフラとして当たり前になり、ITがないことが考えられない時代となりました。もはやITはコモディティとなってしまいました。

IT企業もその多くが、このコモディティ化したITの保守や運営を任され、それで稼ぐことが本業になってゆきました。それ自体は、何も悪いことではありませんが、それは労働力であり、イノベーションを生み出す存在ではなくなってしまいました。つまり、ITベンダーは、「イノベーションを生み出す会社」から「労働力を提供する会社」へと変わってしまったのです。

幸いにも、景気のいい時代は、保守や運用に関わる労働力としての需要が右肩上がりで伸び、それにつられて多くのIT企業が業績を伸ばしていったのです。しかし、そんな時代は終わりました。景気の減速と共に、ITが成長産業であった時代は終わり成熟産業へと軸足を移し始めたのです。また、クラウド、オフショア、スマートデバイス、SNS、Webアプリケーションなど、労働力だけではない様々な解決策の選択肢が存在する時代になりました。もはや「労働力X単金」の延長線上だけでは、最適解を示すことはできないのです。

こういう時代だからこそ、お客様は、今改めてITにイノベーションを求めるようになったのではないでしょうか。

では、今イノベーションを求められているITベンダーはどうなっているのでしょうか。かつての成功体験を抱えた人たちが営業管理者となっています。残念なことに、そんな彼らの中には、担当営業が業績を上げられないのは、お客様の要望をしっかりと聞き取る誠実さが足りないためてあり、その結果、個人的な信頼関係が築けないことに問題があると思い込んでいる人がいるようです。

こういう人には、コモディティへ対応する時代の成功体験と、イノベーションを求める時代の成功法則は違うものであるという自覚がありません。だから、未だ旧泰然としたやり方を押しつける。現場の営業はいい迷惑です。それがわかっていないというのは、本当に困ったものです。

「うちにできない話しを持ってきてどうするんだ。それよりもうちにできることやスキルのある仕事を取ってくるのが営業の仕事だろう。」と言ってはばからない人がいるとすれば、まさにそういう人なのだろうと思います。 

  •  これまで売れたものが今でも売れるという勘違い。
  •  仕事がとれないのは単金が高いからと言う単純思考。
  •  ありものにしがみつく頑なさ。 

この言葉には、コモディティ時代の成功体験が今でも通用するという時代錯誤を感じてしまいます。確かに、日銭を稼ぐためには、既存のビジネス資産を活かさなければならないことはよくわかります。しかし、その先を示さないままに、今までのやり方を押し通そうとしてもいずれは尻すぼみになってしまいます。

お客様がITにコモディティを求めている時は需要は安定し、人は時間を掛けて丁寧に育てることができました。しかし、イノベーションは走りながら考え、走りながらスキルを身につけなれば、競合に蹴落とされ、お客様に見向きもされなくなってしまうのです。この違いを理解すべきです。

今、マネージメントに求められることは、解決策を示すことでありません。ビジョンを示し、現場の意欲を高め、それを管理することです。「このままではいけない」は、現場もよく理解しています。だからこそ、彼らに任せ、考えさせ、答えを見つけさせることです。

「何でできないんだ。とにかく俺が言うとおりやりなさい。」、「そのやり方じゃあだめだ、このやり方でやりなさい。」、「ええい、もういい、俺がやる。」・・・

自分の成功体験=過去の成功体験は通用しないという事実を受け入れるべきです。彼らと同じ目線で「今」を考えるべきです。彼らの考えを尊重すべきです。彼らを信頼し同時に責任を負わせる。そんな謙虚さと厳しさこそ、彼らの意欲を高めてくれます。そして、イノベーションにふさわしい行動を実行してくれるのではないでしょうか。



自社製品の性能や機能については話せとも、世の中の常識と自社製品の関係は話せません。

そんな営業をお客様は、信頼するでしょうか?

では、どうすればいいのでしょうか。よろしければ、こちらをご覧ください。

場所:東京・市ヶ谷
期間:10月5日から12月7日 
毎週水曜日 18:30~20:00
全10回
費用:9万4千5百円/一括

内容はこちらをご覧ください。


Facebookで、コミュニティ・ページを開設しています。よろしければ、ご参加ください。


2011年9月9日金曜日

あなたはお客様を愛していますか?

 「私達は、お客様にご満足いただける仕事をしっかりこなしています。だから、ビジネス領域の拡大だとか、案件拡大だとかは当面必要ありませんよ。」
 
 いくつかのSI事業者でアカウント・プラン作りのコーチングをしています。個別の打ち合わせでは、「このままじゃじり貧です。何とかしなければならないと思っています。」と大人の発言するチーム・リーダーも、本音のところでは冒頭のように考えている人もいるのではないでしょうか。
 
 相手があなたを必要としている時、その必要にしっかりと応えていれば、仕事の心配をする必要はないでしょう。しかし、相手がいつまでも、あなたを必要としているでしょうか。事実、このSI事業者で、こんなことがありました。
 
 「RFPが出たので、いつものように、いつもの単金で、お客様が信頼しているエンジニアをつけることで提案したのですが、失注してしまいました。」
 
 その原因を担当の営業さんに尋ねてみると、「どうもうちより相当安い単金を出した会社があったらしく、そちらがとっていったようです。」とのこと。この話を聞いて、なんとのんきな営業だろうかとあきれてしまいました。
 
 この営業さんは、RFPが出て初めて案件の存在を知ったのです。決して最近つきあい始めたばかりのお客様ではありません。担当者や責任者とは懇意だと自慢もしていました。しかし、あらたな仕事についての検討が行なわれていることすら気づいていなかったのです。
 
 RFPが出ると言うことは、もはや仕事の内容が決まっています。当然、お客様は競合を前提に、声を掛けてくるはずです。この会社を本当に必要としているのなら、RFPなんか作らずに、その営業さんにまずは相談したはずです。それがないと言うことは、この会社はお客様から見れば、単なるone of themだと言うことを自覚するべきです。
 
 one of themの会社となった以上、もはや競合が前提です。当然競合他社も必死のはず。そんな状況の中で、今までうまくいっていたから今度も同じようにゆくはずだと思っていたとしたら、それはもうなんと非常識な・・・と言わざるを得ません。
 
 相手があなたを必要としている時は、それにしっかりと応えてさえいれば、仕事は確実に回ってきます。しかし、変化が常の世の中です。お客様の事業環境が変わり、ビジネス戦略が変わるのは必然です。当然、お客様の発注や意思決定の基準も変わるはずです。それに気づかなかったとすれば、それは「お客様を愛していなかった」ことの証明だと自覚すべきです。
 
 お客様の「困った」をなんとかしたい、お客様の「して欲しい」をかなえてあげたい。お客様の成功をなんとしてでも支えたい。そういうお客様への愛情があれば、お客様のことを徹底的に理解しようと思うのではないでしょうか。お客様のやっている仕事、お客様の競合の動き、お客様の置かれている経営環境、お客様の担当者や経営者の悩み、彼らの事業戦略・・・などを知りたいと思いませんか。
 
 大好きな彼女のことを何でも知っておきたい。そう思うのと一緒です。彼女が幸せになり、喜ぶところをみたいと思いませんが。そのためには、何でもしたいと思いますよね。少々押しつけがましくても、それが愛していると言うことなのでしょう。
 
 件の営業氏は、私に言わせれば、お客様を愛していたのではなく、案件を愛していたのでしょう。だから案件をなんとしてでも取ろうと必死になっていたのだと思います。それが間違えだと言うつもりはありません。しかし、お客様にはきっと、その「程度の愛情」が見えていたのかもしれません。
 
 お客様を愛していれば、お客様もその営業さんに早い段階から相談し、案件を作ることからお手伝いできていたかもしれません。RFPを作ることを任されたかもしれません。だからといって100%確実にとれるという保証はないにしても確度は確実に高まったでしょう。なによりも常に相談される相手になってさえいれば、仕事の領域は確実に拡大してゆくはずです。
 
 あなたは本当にお客様を愛していますか?それとも案件を愛していますか?
 
 もし、いつも案件が決定してから相談されるような状況であるとすれば、あなたの愛情は、きっと案件への愛情止まりです。お客様もその程度しか、あなたを必要としていないはずですよ。

■ ITソリューション塾[第8期] そろそろ・・・■

 すでに多くの皆様から参加のご意向を承っております。ありがとうございます。まだ、ご意向表明のない方は、是非ご一報だけでもいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

 詳しくは、こちらをご覧ください。
 
 なお、会場の都合で定員20名とさせていだきます。

場所:東京・市ヶ谷
期間:10月5日から12月7日 
   毎週水曜日 18:30~20:00
   全10回
費用:9万4千5百円/一括

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2011年9月3日土曜日

「世の中が変わったから」という言訳

 「ビジネスの環境が大きく変わってしまいました。どうもこれまでのようにはゆきません。」。

 「世の中が変わった」誰もが口にする言葉です。だからどうしたというのでしょうか。
 
 「最近の新入社員はこれまでとは違う」という話しもよく聞きます。じゃあ、昔はそうではなかったのでしょうか。
 
 これまでの歴史を振り返れば、変わらない時代などありません。変わるのが当たり前なのです。

 あたかも今が特別な時代かのように、「世の中が変わってしまった」からうまくいかない、理解できないと言うのは、なんともおかしな話しです。確かに、そう言訳をすれば、その場を取り繕うことはできます。また自分の精神の安定には役立つかもしれません。しかし、いったいそれが何の解決をもたらすというのでしょう。
 
 そんな言訳をする暇があれば、何が変わったかを冷静に理解することに時間を割くべきではないかと思います。いままでは当たり前と考えていたことが、もはや当たり前でないとすれば、何をどうすればいいかを考えるべきです。
 
 ITビジネスについてゆえば、明らかにこれまでのゼネコン型産業構造が変わろうとしています。日本国内の経済成長が開発や運用の需要を支えていた時代は終わりました。クラウド、オフショアなどのリソース調達の多様化は、大手システム・ベンダーの下請け仕事を支えていた企業にとっては、大きな試練になっています。

 また、これまでの「強み」が、必ずしも訴求力を発揮できなくなりました。例えば円高や新興国の台頭は、調達手段のグローバル化を促進し、グローバルな視点での「同一スキル=同一賃金」という基準をお客様に植え付けるようになるでしょう。また、クラウドに代表されるシステム・リソース調達手段のサービス化や仮想化、自動化などによるテクノロジーのコモディティ化は、「技術力」という武器の威力を弱めつつあります。
 
 当然、営業力への期待も変わりはじめています。
 
 かつては、お客様が欲しいというモノやヒトを確実、迅速、適正価格でお届けすることこそ、売上に貢献できる営業力でした。この時代は、お客様もお売る側も、何を調達すべきかをお互いに理解し合えていたのです。
 すこし古い話ですが、私の現役時代は、メインフレームだけが商品でした。ミドルウェアもデバイスもメインフレーム・メーカーが一括して提供していました。ですからお客様も売る側もその組み合わせで苦労することはなかったのです。インターネットもない時代です。ビジネスも今ほどグローバルではありません。ビジネス・プロセスも比較的単純であり、営業の売るものは、今に比べれはかなりシンプルだったのです。
 
 しかし、今はどうでしょうか。インターネットの普及は、情報流通の手段を多様化しています。ビジネスはグローバルに広がりビジネス・プロセスを複雑なものにしています。また、システム・リソース調達の手段は機器を購入することだけではありません。クラウドやアウトソーシングを利用すれば、グローバルにしかも安く調達が可能です。
 また、様々なメーカーがサーバーやデバイス、ミドルウェアを提供しています。確かにひとつひとつの完成度は高いかもしれませんが、それらの組み合わせを一貫して保証してくれる仕組みはありません。複雑に組み合わされる機器やソフトウェアの組み合わせに誰も責任を持てずにいます。
 
 ビジネス・プロセスの多様化は課題の定義を難しくしています。また、解決手段の多様化とその組み合わせの複雑化は、お客様もベンダーもこれしかないという最適解を作れなくなってしまいました。お客様は、この最適解を一緒に考え、その組み合わせを実現してくれるプロデュース力を営業に期待しているのです。
 
 「世の中の変わった」をこれだけで語り尽くすことなどできません。ただ、「何なが変わったのだろう」、「なぜ変わったのだろう」、「じゃあどうすればいいのだろう」という問題意識を持ち続けることで、私達は「変化」という歴史の常識にうまく適応できるようになります。
 
 変化のない時代は、これまでに一度もありませんでした。「世の中が変わった」といってため息をついたところで、この歴史の必然を変えることなどできません。ましてや、それを言訳に自分の責任を放棄するなど、何とも情けない話しです。それよりも、その変化に関心を持ち「ならばこうしよう」と考え続けること。そんな考え方を持つ方が、ずっと楽しいように思います。

■ ITソリューション塾[第8期]を開講します ■

 この塾を始めたきっかけは、営業活動に関わる皆さんに自信を持って欲しかったからです。

 お客様と話していてもその話が理解できない、整理できない、中には、話のネタがないので出かけてゆくのも気が重い・・・という人もいました。

 もちろんそんな人ばかりではありません。知識はあるがうまく整理して説明できない、提案に結びつけて考えることができないという声もありました。

 私達は、ITビジネスのプロフェッショナルです。お客様もそうあってほしいと期待しています。だから自分たちの商品のことだけではなく、世の中のことを整理し、その上で自分たちに最適な解決策を提示して欲しいと願っています。

 自社の製品は語れても、世の中を語れない・・・これでは、お客様から信頼していだくことなどできません。そんな課題を解決したいとこの塾を始めました。もう、3年続いています。200人もの人たちと過ごしてきました。

 詳しくは、こちらをご覧ください。
 
 なお、会場の都合で定員20名とさせていだきます。

場所:東京・市ヶ谷
期間:10月5日から12月7日 
   毎週水曜日 18:30~20:00
   全10回
費用:9万4千5百円/一括

内容はこちらをご覧ください。


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2011年8月26日金曜日

営業力の正体

 「営業力を強化したい。相談に乗ってもらえないでしょうか。」
 
 このようなご相談を頂く機会が最近増えてきたような気がします。しかし、そのご相談のほとんどが営業職の能力についてのご相談なのです。
  • 営業にもっと危機感を持たせたい
  • 新規顧客を獲得できる営業を育てたい
  • 戦略的な思考でお客様にもっと食い込める人材を育てたい
  • ・・・
 だから、是非そんな研修をお願いできないだろうかという相談がほとんどです。
 
 僭越ながら、営業プロセスやスキルについての研修については、それなりに準備はしています。仕事ですから喜んでお引き受けいたします・・・と申し上げたいところなのですが、「本当にそれでいいのでしょうか?」とついつい本音を申し上げてしまい、ご期待に反することもしばしばです(笑)
 
 研修にご参加頂ければ、なるほどこうすればいいんだと大いにモチベーションも上がります。そして、よーし明日からがんばって実践しようとなるのですが、上司や経営者が、同じ思いを共有できていないわけですから、思い通りに進みません。
 また何かを売ろうにも、あるいはサービスを提案するにも魅力的なものが提案できない、あるいはエンジニアが動いてくれないなど、こちらの思うようにならないこともあります。

 真実の眼が開かれてしまった以上、今まで通りでは納得できません。満足できません。そうなると、「だからうちはだめなんだ」とストレスを募らせ、「仕方がない、郷に入れば郷に従へ」となって意気消沈。効果どころか逆効果になりかねません。
 
 営業力とは、決して営業職の能力ではありません。営業力とは、会社の能力であり組織の能力ではないでしょうか。営業という仕事は、営業職だけではなく、経営者もエンジニアも一緒になって行なうべき仕事です。当たり前のようですが、意外とこの当たり前に気づいていないひともいらっしゃいます。
 
 経営者や管理者にしてみれば、業績が上がらないことを営業の能力の問題にした方が、自分の気持ちも楽になるでしょう。責任も転嫁でき言訳もできるでしょう。しかし、それでは本当の営業力強化にはなりません。
 
 営業の仕事の目的は、「お客様の価値を高め、お客様の感謝を手に入れること」です。モノやサービスはその手段であり、突き詰めればお金を頂く手段と考えることもできます。これを実現するための経営者の役割とはなんでしょうか。管理者にもエンジニアにも、そして営業にも当然に役割があります。それを議論しないままに営業の役割だけが先行し、プレゼンテーションやコミュニケーション、交渉術などのうわべのスキルを身につけてもいったい何を売ればいいのでしょうか。
 
 ITが今よりもっとシンプルで、景気に支えられた需要が供給を大きく上回っていた時代であれば、お客様も営業も必要としているものがすぐにわかりました。あとは、それを確実にそして適正な金額で提供できればお客様も満足してくださいました。営業も自分のやることを理解していました。忙しくもありましたが、営業の個人力が業績に直結していた時代です。

 しかし、ITビジネスが複雑になり解決策の選択肢が多様化しています。また成長を支えるシステムから低コストで変更や変化に柔軟なシステムへとお客様の期待の重み付けが変わりつつある中、お客様も営業もこれだといえる正解を見いだせません。もはや営業職個人の能力に頼っていては、お客様に満足頂ける解決策を提供できないのです。
 
 会社としての営業力、組織としての営業力。真剣に考えて見るべきかもしれません。自分たちに何ができるか?という先入観を捨て、お客様は何を必要としているのか?そんな視点で議論してみてはいかがでしょうか。その上で、できることを考えてみる。それで足りないものがあれば、どうやってこれを埋めればいいのか。もはや、自分たちだけですべてをまかなうことなどできない時代です。そんな柔軟性もまた、答えを導く助けになるはずです。
 
■ ITソリューション塾[第8期]を開講します ■

 あなたは、次の質問に自信を持って答えることができますか?
  • クラウド・コンピューティングと仮想化は、どう違うんですか?
  • スマートホンとHTML5とWebアプリケーション。クラウドとの関係は?
  • サーバーの仮想化は知っています。では他の5つの仮想化とは何ですか?
 自社製品は知っているけど、世の中の常識は知りません。そんな営業をお客さまは、頼りにするでしょうか。

詳しくは、こちらをご覧ください。
 
なお、今回も会場の都合で定員20名とさせていだきます。もし、「参加したいがすぐには決められない」というかたがいらっしゃいましたら、まずはお知らせいだけないでしょうか。いつもすぐにいっぱいになってしまい、ご迷惑をおかけすることになってしまいます。なにとぞご協力頂ければと存じます。

場所:東京・市ヶ谷
期間:10月5日から12月7日 
   毎週水曜日 18:30~20:00
   全10回
費用:9万4千5百円/一括

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2011年8月20日土曜日

抵抗勢力との正しいつきあい方

 「おっしゃることはわかりますよ。でも、それはうちには無理ですね。」
 
 なにか新しいことを始めようとすると、こういうことを言う人が必ずでてきます。「抵抗勢力」と言われる人たちです。「いっていることばは理解できるが、自分は受け入れたくありません」と言うことなのでしょう。
 これまで自分なりのやり方で実績を積み重ね築いてきた自分の評価。正しいと信じ貫いてきた信念や価値観。言うなれば積み上げてきた過去の栄光という土台の上にある自分存在意義を失うかもしれないという恐怖。たぶんそんな思いが彼を抵抗勢力にするのでしょう。
 
 「ああ・・・なるほど、それとてもよくわかります。私もね・・・」とこちらの話題を横取りし、自分の成功体験の自慢話を始める人もいます。
 
 「あなたの言うことはわかってますよ。余計なこと言わなくても、こちらでできますから・・・」と言うことなのでしょうか。こんな抵抗勢力にお会いすることもあります。
 

 「確かに取り組まなければならないことですね。でも、現状をなんとかすることを優先しなければなりません。新しいことを始める余裕はないんです。」という方もいます。
 
 現状が何ともならないので、新しいことでチャンスを作ろうと申し上げているのに・・・という思いがこみ上げてきます。今までのやり方の延長線上ではもはやどうしようもないことは本人も気づいているのです。しかし、それ以外の方法となると経験もなければ勘も働かない。つまり、自分の出番がなくなってしまう。そんな寂しさと不安から、こんな発言をされているのかもしれません。
 
 そんな抵抗勢力に「あのひとのやりかたはもう古いんですよ。もはや通用しませんよ。」と愚痴をこぼす若手。これもまた、いかがなものかと思います。抵抗勢力とは、過去の成功者であり功労者も少なくありません。彼が今この地位にあるのは、その功績があったればこそであり、それをも無視するなど失礼な話です。ましてや人格にまで踏み込んで批判するというのは、どうも大人げないように思います。
 
 すばらし過去の栄光に心からの敬意を表すべきは、人の道理ではないかと私は思っています。しかし、どんなにすばらしく輝いていた巨大な恒星も、時間という流れの中で遠い彼方での輝きになれば、その恒星自体が何も変わらなくても、夜空の小さな一点になってしまう。これもまた事実です。
 
 「どうやるかではなく、どうあるべきか」
 
 そんなときは、こんな議論を徹底的に行なうしかないかもしれません。「あるべき姿」について合意すること。つまり最終的にどうなっていたいかを具体的なイメージで共有する、つまりまずゴールを決めるということです。その上で、このゴールに行き着くための方法を合理的に考えることを促してみてはいかがでしょう。
 
 注意すべきは、自分たちにできることを前提にしないことです。できるできないにかかわらず理想的な方法論を議論することから始めるべきです。「できること」という思考の枠を外してみる。そうやって、自分という枠組みにこだわらない発想の場を作ってみてはいかがでしよう。その次に、ならば自分たちはどうすればいいかを議論するという順番です。
 
 俺の気持、あいつの面子などの情が出てくることにも注意が必要です。そんなときは、「あるべき姿」を再び確認します。「あるべき姿」に立ち帰り、これを実現する上でもっとも合理的な選択肢を考える。そんな冷静な議論の積み重ねが大切かもしれません。
 
 「言っても無駄」と思われがちな対抗勢力も、本心は何とかしなければと思っているものです。そんな人と議論するためには、「どうやるか」という方法論ではなく、「あるべき姿」の確認と共有を起点に議論をは初めてはいかがでしょう。
 
 この合意がないままに「方法論」に終始して、結局は「あいつは何もわかっていない」、「考えが古い」といらいらしてみても、血圧が上がるだけで、業績は上がりません。
 
 残念ながら、こういう議論さえも拒絶する抵抗勢力は存在します。そういうときは、仕方がありません。自分が同じ立場に立ったら絶対にこんなことはしないと決心し、その思いを神棚に上げて毎日拝み、忘れないようにすることです。そんなことに腐ってみても、不健康になるだけですから。そういう割り切りもまた抵抗勢力との健全なつきあい方かもしれません。


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2011年8月13日土曜日

クラウドの本質:無人コンピューティングのもたらすもの

 クラウドの市場動向については様々な統計が発表されていますが、どの調査結果を見ても対前年比何十パーセントの増加であり、数年後には何倍という威勢のいいものばかりです。
 
 それでは、クラウド・ビジネスに積極的に参入することで、事業の拡大のチャンスが手に入ると考えていいのでしょうか。ことは、それほど単純なものではないように思います。
 
 情報サービス産業協会(JISA)の統計をみると、我が国の情報サービス産業の売上高合計は、2009年度には21兆5千億円となっています。これに対してクラウドの市場規模は、調査会社によりその定義の範囲が異なるので厳密な比較はできませんが、2012年度には1千億円から2千億円と推計しています。
 両者の統計の根拠が異なるためこれを同列に比較することは難しいにしても、それでも「クラウド」といわれる市場が、情報サービス産業全体から見て、決して大きなものでないことは想像できます。
 
 また、クラウドの定義についても、厳密な学術的定義があるわけではありません。先日、調査や出版に関わる人から聞いた話では、基本的には企業の自己申告が根拠になっているとのことでした。もちろん、調査する方も裏付けをとって最終的には判断されている訳ですが、膨大な調査対象を精査することは容易なことではありません。
 
 事実、私も多くの「クラウド」をビジネスにされている方々と接する機会も多いのですが、クラウドについての解釈が実に様々あることに驚かされます。
 
 例えば、単なるデータセンターでのホスティングやコロケーションを「クラウド」と呼んでいるところもあれば、自社のデータセンターにお客様個別に専用システムを立ち上げて、それをネットワーク越しに提供しているだけのものもありました。中には、仮想化とクラウドを区別せず話をされている方も少なくありません。
 
 以上のようなサービスをクラウドと言ってはいけない決まりはありません。しかし、このような曖昧な理解がまだまだ多い中、クラウドという市場を見かけの数字だけで理解しようとすることに疑問を持たざるを得ません。
 
 クラウドについては、米国のNISTの定義があります。これは、大変よく考えられており、クラウドの本質を理解する手がかりを与えてくれます。この定義につての解説は多くの方が語られていますので、ここでは申し上げませんが、私なりの理解を少しだけお話ししたいと思います。
 
 以前にもこのブログで紹介したことではありますが、クラウドとは、「無人コンピューティング環境の実現です。これにより徹底して人件費を削減し、システム資源の調達と運用コストを極限まで低減することを目的としている」ということです。
 
 この意味を理解するためには、人件費について日米の理解の違いについて知っておく必要があります。つまり、日本において人件費は固定費です。しかし、米国では変動費であると言うことです。
 
 ITのテクノロジーは日々進歩を続けています。そのためコストパフォーマンスもどんどんと改善され、ついこの前までは数台のサーバーを必要とした処理も、今では一台でも余裕でこなせるなど、当たり前のこととなっています。しかし、人件費はどうでしょうか。過去数年、あるいは十数年上がることはあっても下がることはありません。つまり、人件費を何とかしない限り、システムを所有し利用するコスト=TCOを下げることはできないのです。
 
 クラウドは、仮想化+運用の自動化+サービス化の技術や仕組みを駆使し、この人件費をなくしてしまおうという取り組みなのです。先ほども申し上げましたように、米国の人件費は変動費ですから、人を削減してこれを利用料金に反映させることで低価格のサービスを提供しようとしているのです。日本では、人件費は固定費です。ですから、技術的に追従できても利用料金に反映することは容易ではありません。
 
 クラウドの特徴を「所有から使用へ」と言われることも多いのですが、確かに結果としてそうなるのですが、これは決してクラウドの本質を説明しているものではないように思います。
 
 つまり、これは明らかに開発、保守、運用にたずさわる情報システム部門やSI事業者、あるいはサーバーを販売するベンダーの仕事を置き換えるものなのです。
 
 ユーザー企業の経営者の視点から見れば、これは大変魅力的なものに見えるでしょう。その一方で、情報システム部門の人たちからみれば、仕事を奪う対象と見えるかもしれません。SI事業者にすれば、もはや存亡の危機となりかねません。
 
 先ほどの統計の話に戻りますが、情報サービス産業全体の市場はそれほど大きく拡大するとは思えません。その一方で、クラウドの市場は急激に伸びています。しかも現状ではクラウドの理解が必ずしも厳密ではありません。いうなれば、今までの仕事をクラウドという言葉に置き換えて、数字を書き換えただけなのかもしれないということです。
 
 クラウドの本質、つまり、「無人コンピーティング環境の実現によるシステム資源の調達と運用のコストを極限にまで削減する」という取り組みは、経営上のニーズと一致しますから、間違えなく今後ともますます進んでゆくと思います。その一方で、情報システムの戦略的な活用や、ITを使った業務プロセスや環境のイノベーションへのニーズもなくなることはないでしょう。見方を変えれば、クラウドはこのような取り組みを行ないやすい条件を整えてくれることになるはずです。
 
 ITサービス産業に関わる私達は、ここにもっと関心を持つべきであり、そのための取り組みを進めてゆくべきだと思います。もはやシステム基盤はクラウドに置き換わり、コモディティ化した技術を基盤とした開発や保守は、オフショアに席を譲ることになるでしょう。そうなると、お客様の経営や業務ニーズに直接関わる業務の課題を解決することに答えを用意することしか生き残るすべはないと考えるべきです。
 
 私はNISTの定義にある厳密な意味での「クラウド」の普及を否定するものではありません。むしろ、ますます加速してゆくと思います。その一方で、市場全体が伸びていない以上、置き換えられる業務がかなりの規模で出てくることも避けられないと考えています。その事実に率直に目を向けることが大切だと思います。
 
 クラウドの本質である「無人コンピューティング環境の実現」が意味するところ、そして、それが今の自分たちのビジネスにどのように置き換えてゆくのかという現実を考えなくてはいけないときが、きているのではないでしょうか。


これ一枚でわかる これまでの強み、これからの強み
これ一枚でわかる 今、注目されるITトレンドのキーワード
これ一枚でわかる 国際会計基準(IFRS)導入の選択肢
これ一枚でわかる Lotus Notesの歴史 

・・・気がつけば32枚になりました。

このブログへご意見も、是非書き込んでください。

よろしければ、こちらからご覧ください。

2011年8月6日土曜日

「腐れ縁」という強み

 「うちの強みって、なんでしょうかねぇ・・・」

 ある中堅SI事業者の営業課長の口から、こんな言葉が出てきた。
 
 私は、強みのない会社などないと思っている。当然のことだろう、何も強みを持たないところにお客様は仕事など頼むだろうか。
 
 私は、この営業課長に、「しかし、もう20年近くA社(お客様)で仕事をされてきてるじゃないですか。」と切り返すと・・・「腐れ縁ですから(笑)」という言葉が返ってきた。
 
 「そこが強みじゃないですか!」と申し上げると、彼はきょとんとした顔をしていた。
 
 私達は、自分たちにできる技術や取り扱っている商品を引き合いに出し、それを他社と比べることで自分たちの強みを考える。しかし、このような見方をすれば、中堅・中小のSI事業者は大手SI事業者やソリューション・ベンダーに太刀打ちできるはずがない。その意味で強みがないといえば、全くその通りだろう。
 
 しかし、20年にわたるお客様との信頼関係は、どうやって築かれたのだろうか。誠実な仕事ぶり、無理を聞き、お客様のかゆいところに手が届く仕事をしてきたこと。何よりも、お客様の担当者以上に特定の業務やシステムに精通していることが、強みではないのだろうか。たとえ大手企業であろうとも、この「強み」をそう簡単に手に入れることはできないはずだ。
 
 以前、このブログで「お客様の困ったをメニュー化する」という話を書いたことがある。そこでも申し上げたが、自分のできることを資産と考えるのではなく、お客様自身を資産と考えるなら、自分たちの「強み」を違う目線でとらえることができるのではないかと思う。
 
 だからといって、現状にあぐらをかいていていいはずはない。お客様の現場を知っているが故に見えてくる「お客様の困った」や、お客様の気づいていない様々な課題をお伝えすること。そして、その解決策を提案すること。
 
 「これができるのはあなたの会社だけですよ。ほかの会社には、そう簡単にまねのできないことですよ。それが、あなたの会社の強みではないでしょうか。」
 
 もちろん、時代の潮流を読み、新しいことに果敢にチャレンジして競合優位を築く取り組みを、怠るべきではない。ただ、これを「強み」に育てることは、そう簡単なことではないことも事実である。特に体力のある大手とガチンコで勝負するとなると、これはなかなか大変なことだ。
 
 お客様の現場にいるからこそ見えるものがある。それを整理してみてはどうだろう。また、それを他のお客様を担当するチームと共有してみて欲しい。「なんだ、一緒じゃないか」ということになる。
 
 そして、これに対応すべく、それぞれのチームがお客様個別に同じようなやり方で対応していることに気づくだろう。ならば、それを会社全体で、組織的に対応できる仕組みを作ったらどうだろう。それは他の会社にも使っていただける可能性は高い。このような取り組みが、お客様の立場に立った魅力的な製品やサービスを生み出すのではないだろうか。
 
 「強み」を世の中の常識的視点(?)だけでみるのはやめにしてはどうだろう。自分たちにしかできない「強み」は間違えなくある。青い鳥の話ではないが、それはきっと自分たちの身近なところにあるのではないだろうか。


これ一枚でわかる これまでの強み、これからの強み
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