2010年9月18日土曜日

ふたつのクラウド:常識にあぐらをかいている時代ではなさそうだ

 「IBMが全正社員40万人のうちの3/4に当たる30万人を2017年までに解雇し、プロジェクトの必要に応じて契約社員として再雇用する。」
 
 IBMの人材管理の代表責任者が、こんな発言をしたという記事が報道されたのは、今年の4月である。あくまで検討されているだけであり決定されたことではないとの記述もある。また、あるIBMの現役の方から「IBMはこの記事を否定した」との情報も頂いた。

 この記事の真偽をうんぬんする立場にはないが、この記事に書かれている内容は、実に現実感がある。
 
 この記事には、さらにこんなことが書かれている。
 
 ・正社員を大幅に減らすことで、社屋のコスト、企業年金や保険の負担が大幅に削減される。
 ・大多数の大手サービス・プロバイダーは、既にこのような戦略を試み始めている。
 ・会社としての資金的蓄積を増すための現在とりうる唯一の方法は、正社員を削減することである。
 
 また、人材は、必要に応じて「crowdsourcing(一般大衆からの調達)」するとの記述もある。
 
 この記事を深読みすれば、こう解釈することができるだろう。
 
 「会社として、余人に代えがたい専門性の高い人材(professional)は、全社員の1/4。残りの3/4は、グローバルに目を向けると、いつでも調達可能な大衆(crowd)である。」
 
 つまり、「企業を先導するリーダーや専門家は、社員として長期継続的に抱え込む。しかし、それ以外は、プロジェクトごとの必要に応じて、最適な人材を、適正なコストで世界から調達できるので、あえて正社員として、雇っておく必要はない。」。経営合理的に考えれば、きわめてあたりまえな発想といえるだろう。
 
 このようなクラウド・ソーシング(crowd sourcing)の取り組みはすでに始まっている。例えば、P&Gは商品開発に、ボーイングは機体組み立てに、この手法を活用している。さらに、クラウド・コンピューティングは、このような経営の在り方を後押しする存在になりつつある。

 例えば、研究委託のサービスを提供する「InnoCentive」は、化学物質の研究開発課題の解決に、全世界数万人の研究者から公募し、共同研究を行う仕組みを提供している。また、「DELL Ideastorm」は、DELLの顧客を対象として、製品改善のための情報収集や提案を集めている。他にも、Webコンテンツの開発、市場予測、研究開発、システム開発など、クラウド・コンピューテング上にクラウド・ソーシングのための仕組みが、どんどんと出現している。
 
 この社会インフラは、国境という壁を越えて、世界をひとつの人材調達市場に変えようとしている。例えば、ホームページの制作であるが、日本では、1ページ=7千円前後が相場とも言われているが、日本語のわかる中国の会社/個人にインターネットを介して依頼すると、500円前後で引き受けてくれる。つまり、国境を越えた「同一スキル=同一賃金」が、人材調達の常識となるかもしれない世界が、もはや現実のものとなっている。
 
 クラウド・コンピューティングの普及は、クラウド・ソーシングが容易な社会インフラを築きつつある。この変化に私たちは、どのように対応すべきだろうか。
 
 クラウドというと、私のようなコンピューター業界の人間は、ついついクラウド・コンピューティングという技術やサービスを考えてしまう。しかし、もうひとつのクラウドは、人材の在り方、あるいは、マネージメントやキャリアといった仕事の在り方、自己実現や自分のプロフェッショナリティの追求といった生き方にも関わる問題である。
 
 このふたつのクラウド(cloud と crowd)は、これからの私たちの生活の変化に大きな影響を与えるキーワードとなりそうだ。

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2010年9月11日土曜日

「信頼」という言葉の重み

 「お客様と親しくなること。相談される、信頼される営業になりたいと考えています。」
 
 ある新入社員研修の冒頭、「どんな営業になりたいと思いますか?」という質問に、こんな答えが返ってきました。
 
 「そうだよね、そんな営業になりたいよね・・・」と言ってあげたい気持ちはありましたが、あえてこんな回答をしてみました。
 
 「確かに相談される、信頼される営業になることができれば、素晴らしいよね。じゃあ、どうすれば、そんな営業になれるのだろう?
 
 笑顔で、親しく、誠実に・・・そんな、生易しいものじゃないと思うよ。
 
 お客様に信頼されるというのは、あなたが、お客様を愛し、お客様のために汗して働き、命を懸けてお客様を成功へと導くこと。信頼されるためにではなく、お客様の成功を願い、真剣に取りくむ。そして、気がつけば、信頼という二文字がそこにある。そんなものだと思うんです。営業とは、そんな仕事です。あなたには、それができますか。」
 
 彼女の目は、点になっていました。多分、自分は、模範的な回答ができたと、満足していたのかもしれません。
 
 彼女ばかりではなく、ちょっと大げさではないかと思われる方も、いらっしゃるでしょう。では、是非、このビデオをご覧ください。きっと、稚拙な私の言葉ではとても表現することのできない、信頼の意味に気付いていただけるのではないかと思います。


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 塾に参加される方の多くは、ベテランの皆さんが多いようです。何人かの方と話をしてみました。どなたも優秀な方ばかりです。そんな方が、なぜ塾へ参加しようと思われたのでしょうか・・・多分、賢明な読者は、お分かりだと思います。

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2010年9月4日土曜日

マネージャーの嘆き、部下の落胆

 「なんで、俺のいうことが、わからないんだ!」と部下の不出来を嘆くマネージャー。「なんで、俺のいうことをわかってくれないんだ!」と落胆する部下。
 
 この案件を何としてでも獲りたい、営業目標を達成したい、このお客様で提案のきっかけをつかみたい・・・思いは同じはずなのに、なぜか通じ合わない。そんな現場に出会うことがある。
 
 一体誰が悪いのか、どこに問題があるのかと考えてみるのだが、どちらにも言い分がある。これぞという正解を見出すことは、難しい。とはいうものの、嘆いているだけば、改善の糸口も見つからない。そこで、今回は、マネージャーの視点から、このような事態への対処の仕方を考えてみようと思う。
 
 マネージャーは、部下との関係において、次のような課題を抱えている。
 
1.部下の仕事の状況が、見えない
2.自分を基準に部下を評価し、指示を与えてしまう
3.自分ではわかっているつもりだが、それを部下にうまく伝えられない

1.部下の仕事の状況が、見えない
 同じ単語であっても、それが意味するところが、微妙にずれていることは、よくある。また、ボキャブラリーの貧弱、結論を先に言わず、くどくどと状況説明を始めてしまい、いったい何が言いたいのかとイライラしてしまうこともある。勢い、「・・・で、結論は、どうなんだ?」、「だから、どうしたいんだ!」と威圧的に詰問してしまう。すると、相手の頭は、真っ白になってしまい、何をどう話していいのか、いや、いままで何を話していたのかさえ、どこかへ飛んでしまう。

 こんなことを言われるくらいなら、説明などしたくない、めんどくさいとなり、十分に情報は伝わらない。こういうことには、なっていないだろうか?
 
 SFAを導入した。目的は、営業活動の状況や進捗を把握し、迅速な意思決定を下すためであるはずだった。しかし、結果は、部下にとっては、むしろお荷物であり、余計な仕事を増やされたという、被害者意識へつながってしまってはいないだろうか?
 
 当然である。部下からの一方通行。何のレスポンスもない。いったい何のためにインプットしているのだろう。たまにレスボスが返ってくることがある。しかし、「了解」、「頑張ってください」では、自分にとって何の役にも立たない。システムがあれば、情報は集まるというが、仏を作っても魂を入れなければ、日報清書システムであり、清書された日報も電子紙屑入れに放り込んでいるのと変わりがないではないか。これでは、何のためのSFAなのか、目的のない、ただ義務だけの仕事に仕事の意義を見いだせないのは、当然といえるだろう。

2.自分を基準に部下を評価し、指示を与えてしまう
 初めからマネージャーとして優秀なものなどいない。優秀なプレーヤーだったから、マネージャーになる場合が多い。しかし、フレーヤーとマネージャーとでは、役割が違う。そのひとつが、部下の育成である。
 
 プレーヤーであれば、自分の成長は、自分の責任の範疇に収まっている。しかし、マネージャーは、自分ではなく、他人の育成に責任を負わされる。自分のことなら見えるが、他人のことは見えない。だから、報告や説明を求めるのだが、稚拙な説明に「なんでもっとうまく説明できないんだ」といら立ちを感じる。
 
 自分ならもっとうまくできる。当然である。優秀だからマネージャーであり、未熟だから部下なのだ。しかし、優秀である自分の成功体験や手法を基準にし、部下を見てしまうと「なんで、できないんだ、なんでわからないんだ」となってしまい、自分のやり方を押し付けてはいないだろうか?
 
 「そういわれても・・・」という部下の思い。言葉では分かっても、腑に落ちない。
 
 「だからだめなんだ!じゃあ、俺がやる!」となり、プレーイング・マネージャーと称して、自分の行動を正当化する。しかし、その本質は、マネージャーとしての責任放棄である。
 
3.自分ではわかっているつもりでも、それを部下にうまく伝えられない
 マネージャーの成功体験や武勇伝は、時に気持ちを鼓舞されるものだ。自分もああなりたい、そんな仕事をしてみたいと意欲を湧き立たせることもある。
 しかし、では、どうすれば、そんな成功ができるのか?その方法や手順を教えてほしいと願っても、「あきらめない気持ちが大切だ!」、「とにかく、お客様に食らいつけ!」、「毎日やるべきことをやればいいんだ。」という、精神論、根性論を語られるにすぎない。ありがたいお言葉だが、では、具体的にどうすればいいのかが、とんと見えてこない。
 
 「そんなもものは、盗むものだ!自分で経験して、見つけ出すものだ!」という言葉もわからないではない。しかし、これは、単に自助努力を求めているにすぎない。確かに、ほっておいてもその勘所を見出して、成長するものもいるだろうが、これは、博打である。組織全体としての計画的、効率的な底上げには、結びつくことはない。
 
 根性も大切であることはわかる。しかし、部下が求めているのは、具体的な手順であり、方法である。素晴らしい精神論もいいが、それは目標であって、過程ではない。知りたいのは、過程なのである。
 
 このような3つの課題を解決する手段は、あるのだろうか。そのいくつかを考えてみようと思う。
 
 まず、マネージャーは、自分なりの成功する営業活動を分析的に理解することだろう。つまり、感覚的にとらえている成功の体験をプロセスとして言葉に置き換えることである。自分がこなしてきた仕事の手順を整理してみることである。これが、営業活動プロセスである。
 
 営業活動プロセスは、お客さまの開拓や案件の発掘、そして、受注に至る一連の仕事を進めてゆくためには、何をしなければならないかを体系立てて整理したものである。
 
 これを組織で共有する。その基準をたよりとして、営業活動の状況や進捗を部下と共有することができる。いうなれば、状況を整理整頓するための枠組みである。漠として、状況をとらえるのではなく、進捗や活動状況に枠組みをかぶせ、ひとつひとつの区分毎に状況を確認し、課題や対策を議論する。これが、営業活動プロセスだ。
 
 次に必要とされるのは、「セーフティネット」である。人は、他人に、やらされることには、抵抗するものである。また、学ばさせようとすると学ばないのも人間の性である。だから、自発的に行動し、自発的に学ぼうという意欲を引出し、これを維持することである。
 
 マネージャーにとって、もっとも大切な仕事は、このような部下の意欲を高め、維持することである。そのためには、言われたからやるのではなく、とにかくやらせてみること。そして、失敗をさせることだろう。ただし、大きな失敗やつまづきの前に、それを見つけ、適切な方向に導く仕掛けも必要だ。これが、セーフティネットである。
 
 いつでも相談できる、話を聞いてもらえる。そんな安心感を与えることである。コーチングもまた、このような状況を作り出す有効な手段となる。
 
 コーチングとは、「答えは本人の中にある」ことを前提とし、それを引き出すためのテクニックである。自分の答えは、他人からの指示ではない。自分の意思に基づく行動は、意欲が高い。そんな自発的な行動とそれを支えるセーフティネットにより、人は自らの力で、成功のきっかけを手に入れることができる。
 
 もうひとつが、「スポンサーシップ」である。部下の自発的行動は、成功のきっかけである。しかし、結果までの道のりは遠い。だから、部下の成功のためにできることはなにかを真剣に考える必要がある。
 
 チェック・アンド・レビューではなく、レポート・アンド・サポートの精神で、部下の主体的行動を見守り、必要な支援を与えること、そして、組織のビジョンや方向をわかりやすく伝えることが、マネージャーの役割である。
 
 営業活動プロセス、セーフティネット、スポンサーシップは、先にあげたマネージャーの3つの課題を解決するための基盤を提供してくれるのではないかと思う。
 
 ところで、このような営業活動の基盤となるものを整理整頓し、誰もが、参考にできる、利用できるひな形となるモデルは、ないものかと思われる方も多いだろうと思う。
 
 こんな思いを共有する30数社のベテランの営業マン、マーケター、経営者などが集まり、「ソリューション営業モデル研究会」なるものを立ち上げた。ご興味があれば、お問い合わせを
 
 その成果については、このブログでもいずれ紹介してゆこうと思う。また、今年の10月20日に新潟で開催される「iSUC新潟大会(毎年数千人が集まるIBMユーザー企業の研究会)」にて発表させていただくこととなった。よろしければ、ご参加いだだきたい。

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 すでに多くの方にお申し込みをいただき、感謝しています。個人で参加したいという方も多く、その志の高さに敬服いたします。そんな皆さんと語り合えることが、今から楽しみです。

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2010年8月28日土曜日

一匹オオカミや職人営業に未来はありません

「優秀といわれる営業は、どうも一匹オオカミで動き回る人間が多い。ほんとうにこれでいいのでしょうか?」
 ある大手SIerの人材育成担当者から、こんな話をうがいました。「優秀といわれる営業」・・・本当に、こういう営業を優秀といっていいのでしょうか?私には、合点がゆきません。

 「一匹オオカミ」とは、人の助けを借りず、自発的に行動を起こします。ベテランであり、お客様との信頼関係もしっかりとできていて、手堅く仕事を取ってきます。その一方で、部下や後輩の面倒は、あまり見ない・・・というか、未熟な連中に任せていたら効率が悪い、面倒だから自分でやってしまったほうが早い。そう考え、一人で行動する場合が多い。こんな人物像が、イメージされます。

 しかし、見方を変えれば、現実逃避の結果として、孤立している人物とも見ることができます。

 自分のこれまでの経験や人間関係に自信があり、その実績と信頼関係に頼って仕事をしている。新しい技術や社会のトレンドには関心が薄く、お客様の経営や事業戦略へのかかわりにも消極的。ただただ職人的な人間関係の寝技に頼っている。これは、自分にしかできないことと信じて疑わず、お前たちにはどうせわからないことだからと一緒に仕事をすることには消極的で、まわりからも近寄りがたい。そんな孤立した存在が、「一匹オオカミ」なのかもしれません。

 お客様との人間関係は、確かに頼りになります。いざというときにお願いすれば、「おまえが、そこまで言うならしょうがないなぁ」と仕事をくれることもあります。しかし、それは景気がいい時の話。リーマンショック以来、仕事量そのものが減少し、出せる仕事もありません。また、経営者は、少しでもコストを抑えるために、必ず複数企業との比較検討を求めるようになりました。今までの実績や信頼関係という武器が、もはや使えない時代なのです。

 オフショアやクラウドは、お客様の選択肢を多様化させ、意思決定をますます複雑なものにするでしょう。お客様自身も、提案する側も何が最適解かを見出すことが難しい時代となります。

 システムのインフラは、コモディティ化し、開発や運用には、クラウドやオフショアに置き換えるという選択肢が加わります。

 このような時代の変化の中で、お客様の意思決定の基準やそのプロセスも変わり始めています。これまでは、システム部門にゆだねていた意思決定が、業務に責任をもつ部門の影響をこれまで以上に受けるようになります。

 クラウドやオフショアの普及は、お客様の期待をシステム技術から業務への対応力へシフトさせるでしょう。

 業務分析力、業務プロセスの抽象化や企画設計の力、各種サービスの多様な選択肢の中から最適なものを選別できる目利き力、国をまたがるプロジェクトを管理できる力などが、要求されるようになるでしょう。

 このような変化に対応するためには、お客様の業務や経営、そして、最新の技術や社会のトレンド、そしてその要点を体系的にとらえ、提案に活かせる能力が、求められます。

 当然、このような提案やプロジェクトの運営は、もはや職人技を自認するベテランの営業職だけでは手に負えるものではありません。トレンドを読み、お客様を知り、プロジェクト全体を見渡し、自社や他社を問わない最適なサービスや製品、そして、人材の組み合わせを作り上げる力が必要です。つまり、一個人の知識や能力では、もはやどうしようもないのです。

 お客様個別の課題を解決する最適な組み合わせを作り上げるプロデューサーとしての能力が、求められているのです。

 営業活動とは、商品やサービスを販売し、お金を頂くことではありません。お客様の価値を高め、その価値の一部を対価として頂くことです。商品やサービスは、お金を受け取る手段にすぎないのです。

 かつては、お客様の要求に応えられる力が、重宝がられました。それがお客様の価値を高める手段でもありました。しかし、お客様自身が、解決策を模索している時代にあっては、その解決策を提案し、その解決に必要な一切をプロデュースすることが求められているのです。

 一匹オオカミや職人営業に、もはや未来はありません。過去の栄光は、勲章にすぎません。新しい時代にふさわしい「優秀な営業」とは、過去の基準での優秀ではないのです。

 また、営業力を営業職の能力ととらえるべきではないことにも気づくべきです。エンジニアも含め、会社として、組織としての営業力の在り方を模索すべきでしょう。時代は、今、そんな変化を求めているのです。

 ITソリューション塾 [第5期]を開講します!

あなたは、次の質問に答えられますか?

・クラウドとAjaxの関係を簡潔に説明できますか?
・クラウドと仮想化との違いを説明できますか?
・あなたのお客様に国際会計基準はどのような影響を与えますか?
・ERPとBI、SOAとESB、BPMの関係を理解していますか?
・クラウドの時代、セキュリティはどのように変わるのでしょうか?

お客様の話が理解できる、整理できる、質問できる。

お客様の課題を探り、提案につなげたい。もし、そうお考えになるのなら、この程度の常識力は不可欠です。

特定のベンダーの解釈や商品説明ではなく、客観的な視点から、常識を整理すること。これが、この塾の目的です。パワーポイントで作った資料は、全てソフトコピーで差し上げます。
 
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2010年8月22日日曜日

「なんでそんなこともわからないんだ!」の非常識に気付かないあなたのために

 「なぜ、もっと早く報告しないんだ。早くわかってたら、やりようがあったんだよ。だから、こんなことになるんだ。」
 
 ベテランの営業課長が、若い営業マンを前にして、言葉を噛み殺しながらも、怒りをぶつけている。
 
 その営業課長に話を聞くと、「彼は、確かに一生懸命です。でも、ちゃんと報告しないし、相談もしない。自分で何とかしようという気持ちは、立派だけど、これじゃあとれるものも取れませんよ。」
 
 つづけて、こんな話もしてくれた。
 
 「どうも、最近の若い者は、覇気がなくていけない。確かに、忙しく仕事はしていますよ。遅くまで仕事をすることもいとわないし、よく頑張ってると思う。でも、チャレンジしないというか、自分から進んで新しいことをしない。私の若いころはねぇ・・・」。
 
 こういうマネージャーが、部下の成長を阻み、組織の活力を殺いでいるんだなぁと思わずにはいられない。
 
 彼には、次の3つの点で自覚が足りない。
 
 1.報告しないのは、部下の問題と考えていること。
 2.チャレンジしないのは、世代の問題で、自分の問題ではないと考えていること。
 3.「頑張っている」、「忙しい」は、仕事が多いからで、別の意味があるとは考えていないこと。

 
 この思い込みが、問題なのだが、それに気づいていない。部下は、次のように言うだろう。
 
 「報告しない」のは、報告をしたくないから。
 
 ・報告をしても、結局は、自分のやり方を押し付けられる。
 ・こちらの話は、途中までしか聞かず、こうやればいいと指示される。
 ・日報やレポートを提出しても、まともなコメントなど返ってきたためしがない。
 
 チャレンジしないのではく、チャレンジしても無駄だと考えている。
 
 ・いつでも相談できる、助けてくれるという安心感がない。
 ・頑張れ、自発的にやれとは言うが、失敗は、許されない雰囲気がある。
 ・結局は、自分のやり方の枠に当てはめようとする。それ以外のことは、そんなことは言ってないぞと、はしごを外される。
 
 忙しいから「頑張っている」わけではない。忙しいふりをしているだけ。
 
 ・ちゃんと仕事をしています。余計な仕事をふらないでくださいね・・というメッセージ
 ・忙しくすることで、仕事をしている気持になりたい。自分を正当化したい。
 ・自分のことに没頭していたい。余計な干渉は受けたくない。
 
 マネージャーには過去の成功体験がある。自分はそれでうまくやってきた。誰に教えられたわけではない。自分で苦労して見出してきた。なぜそれができないんだという気持ちであろう。そんな思い込みが、部下の意欲をそいでいるという事実に気が付いていないようだ。
 
 プレーヤーとして優秀だから、マネージャーとなった。まだ未熟だから部下である。その視点が欠けているようだ。
  
 部下を自分の基準で評価し、できていないことを指摘し、「だからだめなんだ」と考える。減点型のマネージメントスタイルである。
 
 また、時代も違うことにも気付いていない。景気が良い時代は、お客様に足繁く通い、顔を覚えてもらい、要求には応え、トラブルにも直ちに対応する。そうすれば、仕事がもらえる時代だった。それができることが優秀であった。これもまた、間違えなくその時代の成功体験である。
 
 しかし、今は、それでは仕事は手に入らない。お客さまは、「今までのお付き合い」だけでは、発注はしてくれない。なからず、複数社との比較検討を求められる。その相手は、国内とは限りない。オフショアも同じ土俵の上にいる。もはやかつての成功の方程式は、通用しなくなっている。
 
 こんな現実に目をつむり、自分の過去の成功体験をいまだに金科玉条のごとく掲げ、その成功体験を基準にしているようでは、新たな成功を見出すことはできないだろう。
 
 部下の能力や今までの実績。あるがままの本人を基準にし、「彼にしては、よくやっているなぁ」、「こんなことができるようになったんだ」、「こんなことが得意なんだ」という視点を持つ。良いところ、成果を評価する。これが、加点型のマネージメントスタイルである。
 
 減点型のマネージメントスタイルを改め、加点型のマネージメントスタイルに転換する。これが、部下を活性化させる起点となるだろう
 
 また、自分の成功体験は、自分の名誉であり、歴史であり、自信として、心に刻むことである。ただし、その方法論は、もはや通用しないということも自覚すべきである。だからこそ、部下と一緒になって、どうすれば新しい成功体験ができるかを真摯に考えてみてはどうだろう。それを分析し、整理し、自分の言葉に置き換えて語ってみる。
 
 一生懸命だが、整理できない。そこに混乱や不安がある。マネージャーは、そんな彼らの言葉を第三者として冷静に聞き、整理をする。それができれば、部下はきっとあなたの言葉に耳を傾けてくれるだろう。
 
 マネージメントとは、技術者がそうであるように、専門のスペシャリティが必要だ。過去の経験の延長線上で、できるものではない。自分がその分野では、まだまだ素人であるということ。新しい時代となり、成功の方程式が変わったということ。その前提に立って、謙虚に学ぶべきである。
 
 その教師は、書籍や研修ばかりではない。今あなたの目の前にいる部下もまた、今の時代の教師である。彼らの話に真摯に耳を傾け、謙虚に質問する。日報にも真剣に自分の考えや意見をぶつけてみる。そうすると、部下も報告や相談を進んでするようになるだろう。
 
 一生懸命話を聞いてくれる人が、そこにいる。相談に乗ってくれる人がいる。そんなセーフティネットが、部下にチャレンジの意欲を与え、潜在力を引き出し、活力ある組織を生み出してくれるはずである。

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あなたは、次の質問に応えられますか?

・クラウドとAjaxの関係を簡潔に説明できますか?
・クラウドと仮想化との違いを説明できますか?
・あなたのお客様に国際会計基準はどのような影響を与えますか?
・ERPとBI、SOAとESB、BPMの関係を理解していますか?
・クラウドの時代、セキュリティはどのように変わるのでしょうか?

 ITソリューション・ビジネスにかかわる人たちにとって、この程度のことは常識です。この常識を美しいビジュアルとわかりやすい資料で学んでゆきます。
 
 パワーポイントで作った資料は、全てソフトコピーで差し上げます。
 
 特定のベンダーの解釈や商品説明ではなく、客観的な視点から、現実を整理すること。これが、この塾の目的です。
 
 これまでも、SEやコンサル、営業、マーケティング、ベンチャー企業の社長などが、参加されました。

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2010年8月14日土曜日

必ず失敗する「動機付け」の方法

 「斎藤さん、営業のモチベーションを高めるためにコミッション制を導入しようと思うんだけど、どうだろうか?」

 あるSIerの社長から、こんな相談を持ちかけられた。私は、これに次のように答えた。
 
 「多分、効果はありません。本質は、そんなところにはないと思いますよ。」
 
 私は、IBM時代、コミッションこそ、営業のモチベーションを高め、維持する最良の手段だと信じてきた。事実、私もそれを励みに、必死で成果を上げることに情熱を傾けていた。しかし、このやり方は、日本の多くの企業には、なじんでいない。また、昨今のビジネス環境の変化も、このような手段では、人の意欲を高めることにはつながらないことを実感している。
 
 “ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」”という記事の紹介が、Twitterのタイムラインに流れてきた。これを見て、なるほどと合点がいった。彼が言うには、「何かを達成したら報酬を与えるという外的な動機づけが、意欲を高めるという事実はない。人は、自発、成長、目的という3つの内的動機づけによって、やる気を起こす。」と語っている。彼は、いくつかの心理学実験のデータと実際の事例を示しながら、その事実を説明している。
 
 彼の見解は、私の実感とも一致する。私の研修でも、表現は違うが、まさに同様の話をしている。改めて、どうすれば営業の意欲を高められるのか、整理してみようと思う。
 
 彼も指摘していることだが、「何かを達成したら報酬を与えるという外的な動機づけが、意欲を高める」という事実は、ある条件下では成立する。例えば、業務の手順が比較的単純であるか、ルーチンワークで、生産性向上のためのスキル習得が、比較的容易な場合である。このようなケースでは、努力が成果に結びつきやすい。目的を達成するためにどうすればいいのかが明確であり、その目的を達成したときの報酬が約束されている場合は、この外的動機づけが、機能するようだ。
 
 しかし、ソリューション・ビジネスのような複雑な仕事では、そうはいかない。
 
 ソリューション・ビジネスとは、お客様ごとに異なる課題を解決するために、サービスやプロダクトの個別の組み合わせを提供するビジネスである。お客様の課題発掘から始まり、成約に至る道のりは、単純な道のりではない。お客様毎に異なる課題、かかわる組織や人の多さ、解決のための選択肢の多様さと組み合わせの複雑さ、計画通りに進むことなど決してないだろう。
 
 このような、仕事にかかわるものに「目標を達成したら報酬」という外的動機づけを与えても、「さて、どうしたものか。成果報酬はありがたいが、どうやって結果を出せばいいのか、その道筋か見えない。努力すれば何とかなるわけでもない。」となるだろう。これでは、成果報酬は、むしろ負担になる。つまり、成果を出さなければ、報酬がもらえないとなると、報酬の見通しが立たないことが、不安となり、むしろ心の足かせとなる。意欲を高めようと思ってしたことが、裏目に出てしまうことになる。
 
 では、どうすればいいのか。彼のいう、「自発、成長、目的」を導く手段を提供すればいいということになる。
 
 前回のブログでも申し上げたように、人は自分の行っている仕事の意味や目的を理解したいと思っている。それを見出した時に、ひとは自発的に行動を開始する。しかし、そこをなかなか見いだせずに、悩むことも多い。
 
 部下がこのような状況であるにもかかわらず、成功者たる優秀なマネジャーの中には、仕事の手順やその意味を伝えることをせず、「俺はなあ・・・」と自慢話を披露し、ただただ本人の自助努力を求める。
 つまり、自分の成功体験を分析的に、手順として、わかりやすく部下に伝える術を持たないのである。そのため、勢い、精神論や根性論で、部下を威圧し、本人の努力不足を指摘する。しかし、それは、自分の成功方法を分析し、わかりやすく伝えることを怠っているマネージャー自身の努力不足ではないか。
 
 成功の手順をプロセスとして整理し、それを具体的に示すことができれば、部下は、自分の行っている仕事のプロセスと比較し、何ができていて、何ができていないかに気付かされる。
 「できていないプロセス」の存在に気付けば、そのプロセスを実行しなければならないと思うだろう。まさに、自発的行動を促すことになる。
 
 「何でやらないんだ!」といわれても、何をやればいいのかわからない本人にとっては、マネージャーの言葉は、威圧であり、不安を高めるもの以外の何物でもない。むしろ、成功のプロセスを示し、「何ができていないと思う?」と聞いてみる。そこに気付けば、これを解決しなければと意欲を持つことになるだろう。
 
 自分のやるべきことを自覚し、「なんとなく」では、「なぜならば」を理解した上での行動は、本人の意欲を高めることになる。目的意識とは、こういうことを言うのだろう。
 
 プロセスを知識として理解した行動は、実践を通して、習慣となり意識せずとも行動できるようになる。改めて明示されたプロセスを振り返った時、かつて自分ができていなかったことが、自然とできるようになっている自分に気付くだろう。ここに成長の喜びがある。
 
 「自発、成長、目的」という内的動機づけは、仕事をプロセスとして分析的にとらえ、それを共有できることが、基本である。
 
 さて、もうひとつ欠かすことができないのは、このような行動を促す、組織としての仕組みであり、マネージメントのスタイルである。こちらについては、次回のブログで詳しく説明しよう。 

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 8月26日(木)の午後、人材育成のご担当者を対象にセミナーを開催いたします。営業活動プロセスとは何かについて解説します。また、クラウドの普及が、ソリューション・ベンダーにどのような影響を与え、変化をもたらすかについても解説させていただきます。

 会場の都合上、先着40名様に限らせていただきます。ご多忙とは存じますが、ぜひお越しください。
 
 詳細は、こちらをご覧ください。

2010年8月7日土曜日

共通の言語を持たないマネージャーと部下の不幸

 営業マネージャーと部下との関係で不幸なのは、仕事について語る共通の言語を持たないことである。 

 部下は、マネージャーに何とかわかってもらおうと、背景や経緯とともに、案件の進捗や課題を説明しようとする。それを聞いたマネージャーは、そのまどろっこしい説明に業を煮やし、「要はなんなんだ。もっとわかりやすく説明しろ!」と声を荒げる。

 その声に語る言葉を失った部下は、どうしたものかと途方に暮れつつも、表現を変え、視点を変えて、なんとか必死にわかってもらおうと努めるが、「だから何なんだ。つまりだな、こういうことなんだろ。」とマネージャーの一方的な要約と解説に、本心や事実に反していても、「そういうことです。」とそれ以上の言葉を失ってしまい、この説明に終止符を打つことで決着をつけてしまう。 

 マネージャーは、部下の無能力を嘆き、部下は、マネージャーのものわかりの悪さに落胆する。なぜこんなことになってしまうのだろうか。 

 営業マネージャーは、プレーヤーとして優秀だからマネージャーとなった。彼は、営業としての成功体験を持ち、どうすれば、売れるのか知っている。自分なりのあるべき姿を持っている。彼は、そのあるべき姿に照らし合わせて、部下の話を聞こうとするのだが、それは未熟であり、その要領の悪さが、納得いかない。

 また、彼は、自分の営業スタイルや手法を持っている。しかし、それを相手に伝える術を知らない。つまり、自分がなぜ成功したのかを分析し、それを相手にわかるように整理できていないのである。勢い、精神論や根性論となり、「なんでそんなこともわからないんだ!」といった説教になってしまう。 

 わからないから部下であり、分かっているからマネージャーとなっている。その当たり前の現実が、見えていないようだ。 

 彼らは、ともに表向きは、日本語を使ってはいるのだが、仕事のことになると、どうもお互いに異国の言葉で語り合っているかのようなものである。 

 仕事を組織として効率よくすすめ、部下を育てることは、マネージメントのミッションである。ならば、自分の成功体験を分析的にとらえ、どうすればわかりやすく相手に伝えられるかを考えておくことは、基本的な仕事であろう。

 部下の話を聞くときに、整理した仕事の手順を示しながら、今どこまでできているのか、次に何をするのかを、分析的に整理し、部下の発言を誘導する。部下も、会話にフレームワークが与えられれば、話もしやすく、要点も絞り込んで、発言できるだろう。

 しかし、その手間を惜しみ、「なんでわからないんだ」と自分の考えを一方的に押し付ける。そして、「しょうがない、俺が行く」と自らお客様の現場へ行くことを宣言する。それはそうだろう。そっちのほうが楽である。自分は優秀なプレーヤーであるから、慣れない仕事をするよりも、要領は心得ている。しかし、それでは部下も育たなければ、組織力も活かせない。 

 営業力の強化の必要に異を唱える人は少ないだろう。しかし、その対策として、マネージメントと部下の言葉の断絶解消に関心を持つ向きは少ないように感じている。そんな取り組みをないがしろに、プレゼンテーションやコミュニケーションのスキル、あるいは、製品や技術についての知識を増すための研修に時間を割いている。しかし、それだけでは、決して営業力の強化にならないことに気付いている人は少なくはないだろう。 

 私は、営業力強化の大切な要素として、営業という仕事を見える化することであると考えている。営業活動のあるべき姿を分析し、プロセスに分解する。そして、体系的に整理する。そうすれば、自分や部下の仕事を客観的にとらえることができるようになるはずだ。

 営業という仕事の手順が見える化されれば、今何をしているのか、どこでつまづいているのか、次に何をすればいいのかをマネージメントも部下も共通の基準で、会話することができる。また、部下も自分のしている仕事の意味を理解することができ、仕事への意欲を見出すことができるようになる。

 営業活動プロセスとは、マネージャーと部下が仕事について語り合う、共通の言語だ。これを持つことが、部下とのコミュニケーションの断絶を解消し、組織力としての営業力を高めてゆく基盤になるのではないだろうか。

 
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