2009年8月16日日曜日

二つの「治」、三つの「原則」

 「営業という仕事の価値は、どこにあるのか。何を信じ行動すればいいのだろうか・・・」

  前回のこの問いかけへの答えが、少々尻切れトンボになってしまったので、もう少し、深堀りしてみようと思う。

 私たちIT営業の仕事には、二つの側面がある。一方は、お客様を治めること。もう一方は、社内を治めることだ。

 お客様を治めるとは、お客様の意思を自分達に向けさせ、受注、契約という行動を起こさせることである。さらには、お客様の意欲を高め、それを維持し、人間関係を良好に保ちながら、デリバーリーの共同作業を確実に完遂することにある。

 これに対して、社内を治めるとは、プロジェクトを受注に導き、デリバリーを成功させるために、社内、社外のリソースを引き出し、適時、適材、適所にそれらを配置することである。

 この両者を管理、運営することが、IT営業の仕事ということになる。

 この両者に共通する三つの原則がある。それは、あるべき姿を明確にすること。これを共有すること。自発的な行動に導くことである。

 あるべき姿を明確にすることについては、今までにも幾度となく書いてきた。前回のブログにも記したが、「明なること」である。つまり、手段が何かではなく、その手段の先にある結果にどのような姿を描くかということで、むしろ手段は、あるべき姿を明らかにした後で、最適なものを考えればいい。

 ここは、往々にして間違えるところで、「新製品が出たから売らなければ・・・」ではなく、「このお客様は、きっとこうなることを望んでいる。ならば、どういう方法があるだろうか、この新製品は使えるだろうか?」という考え方であろう。

 次にこれをお客様とも、社内の関係者とも、あるいは、パートナーの方々とも共有することであ。

 プロジェクトというものは、たとえそのときに合意しても、その手段、状況認識において、完全はありえない。また、状況は、常に変化しており、完全にそれを固定することはできない。だから、仕様変更やスケジュール変更は日常茶飯事であり、それを完全に回避する手段は無い。

 しかし、どうありたいかという結果、つまりあるべき姿は、そんなに大きくぶれるものではない。というか、ぶれないあるべき姿をつかめるように、早い段階でしっかりと関係者と議論し、合意することが大切なのである。

 ここが、ぶれなければ、状況の変化に応じて、手段やスケジュールを変えざるを得なくても、そこに合理的な理由があれば、お互い納得できるだろう。「軸がぶれない」という言葉があるが、まさにこれである。

 「あるべき姿」が、明確であり、それを関係者が共有できていれば、お客様、そして社内外の関係者は、それを達成することに専念することができる。当然、到達点が明確であるから、意識を集中でき、意欲も高い。

 意欲の高い仕事は、自発的な行動となり、「あるべき姿」が明らかであるから、その完成度を高めんと、知恵を絞り、工夫をする。自ずと質は高まる。

当然、お客様の満足度も高まり、会社にも、パートナーにも利益をたらす。そして、何よりも、このプロジェクトで働く人は、幸せであろう。自分の役割を自覚し、力を発揮できるわけで、人生において、意義ある時間をすごせるのである。

 営業の仕事とは、この三つの原則を遂行することに他ならない。

 これは、とても価値のある仕事だと、私は思う。価値ある仕事をしているという自覚。その完成度を高めようという修練。厳しくもある。だから、楽しめるのです。

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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間

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