2009年8月12日水曜日

プロセスを定義する:2つの目的

 自分で、自分の居場所を知ること。その手段が、営業活動プロセスであるという話を、前回のブログで書いた。自分が何をやっているのか、どこに課題があるのか、次に何をすべきなのかを理解するうえで、手がかりを得るための手段である。

 では、どのように、この営業活動プロセスを定義するかということだが、私の場合は、自分自身の営業経験と今までの営業コンサルでお付き合いさせていただいた優秀な営業たちの成功パターンを素材にしている。

 IT営業の「ITILのようなもの」と申し上げれば、わかってくださる人もいらっしゃるかもしれないが、営業活動のベストプラクティスを集め、体系化したものとお考えいただきたい。

 私は、営業活動を「発見-定義-確定-デリバリー」の4つのフェーズに分けて、考えている。

 「発見」とは、新規案件を掘り起こし、ビジネスとしての可能性を探求すること。次の「定義」フェーズは、「発見」で絞り込まれた優良案件に積極的な提案活動を仕掛け、顧客の合意を取り付けるまでの作業。「確定」は、人脈を駆使、攻略し、稟議決済を獲得するまで。「デリバリー」は、確実に売り上げを計上するとともに、次の案件を発掘する活動。

 この各フェーズごとに、行うべき仕事の内容を具体的に定義し、その対応方法と進捗を評価する手段を提供する。

 営業活動を「見える化」し、各プロセスの処方箋を提供しようという内容だ。

 営業なら誰しも、自分なりの営業活動プロセスは、もっているはず。しかし、そのやり方で満足してもいいのだろうか。もっと、いい方法があるのではないだろうか。

 売るものも違えば、環境も違う。だから、一律に同じプロセスなど使えないと考えられるかもしれない。しかし、実際には、意外と共通部分が多い。これは、さまざまな企業からこの研修を受講された方からも伺っている。

 自分の仕事のやり方をベスト・プラクティスと照らし合わせて、比較検証してみることで、新たな気づきを得て、一層の成長のきっかけとしていただければと願っている。

 このように仕事を「見える化」することは、自分に気づきを与え、自発的な行動を促すことになるのだが、実は、もうひとつ大切な役割がある。

 それは、営業という仕事を「見られる化」することだ。

 「見られる化」については、酒井由夫さんのブログ「見える化、見せる化、そして、見られる化」にわかりやすく書かれているので、ご参考にされてはいかがだろうか。

 営業の仕事は、前回のブログでも書いたが、売り上げを上げるという目的は、明確ではあるが、どのようにして、その目的を達成するかといったプロセスはあいまいだ。そして、このプロセスを管理しているところは少ない。

 世の中の景気がいいときは、プロセスなど多少いい加減でも、人当たりがよければそれなりの売り上げを上げてくることはできる。ところが、不況やパラダイムの変化には、太刀打ちできない。また、大企業や大きな組織を相手にする場合も、この手は使えない。

 しかし、厳然と数字という「予算」は、のしかかってくる。だから、ついよからぬ事を考えて、「飛ばし」「押し込み」などという、不正な売上計上をしてしまうものもいる。

 また、それができないようにチェック・システムでがんじがらめにしている企業では、営業が、いろいろなことを自分で抱え込み、心を病んでいる場合も珍しくはない。

 このような問題を起こさせず、組織として営業活動を支えるためにも、営業プロセスを共有することの意義は大きい。この場合は、「見える化」ではなく、営業として、今どんな仕事をしているかを、他人に「見られる化」することが目的となる。

 自分の仕事が「見られる化」されることは、個人的には面倒な気持ちもある。しかし、これからのITビジネスは、個人の寝技だけで勝負できるものは少ない。だからこそ、組織と役割や責任を共有し、組織としてお客様にアプローチすることが求められる。

 営業活動の「見える化」と「見られる化」は、個人としての営業力を伸ばすきっかけであるとともに、組織としての営業力を強化し、リスクをヘッジすることにもつながる。

 営業活動プロセスを定義することは、「見える化」と「見られる化」の基本なのである。この研修でも、そのあたりを詳しくお伝えしている。

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日程:9月10日(木)-11日(金) 2日間

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