2008年8月18日月曜日

ランニング・ハイかもしれません

 曇りのち雨、降水確率は午後30%。そんな天気予報を信じていつもの鎌北湖の駐車場へ。到着するとしっかり雨が降っている。まあ、走れば同じとためらうことなく走り出した。まずはいつも通り顔振峠を目指す。

 標高180mの鎌北湖から520mの顔振峠まで、アップダウンを繰り返しながら11kmの道のり。スタート時点の気温は21度、雨のおかげで身体もクールダウン。おかけで、前週を8分縮める1時間7分で到着した。 茶屋で一息ついて、再び走り出す。次の目標は、標高700mの高山不動だ。およそ5Kmの道のりを32分で走りきった。 雨は相変わらずしっかり降っている。やむ気配はないようだ。途中大きな水たまりを何カ所か飛び越し、苔で滑るところを避けながらの走行。これからますます雨が強くなることも考えられる。下りで疲れてくると、何でもない障害も危険になることが考えられる。ちょっと物足りないが、引き返すことにした。

 いつもよりも短いので消耗も少ない。気温も低いので身体も軽い。おかげで、登りもしっかり背筋を伸ばして走ることができたし、下りは重心を傾斜にあずけて全力疾走。気が付けば、高山不動-顔振峠 22分、顔振峠-鎌北湖 60分と自己ベストを更新していた。距離は短いが、スピード練習にはなったようだ。
 5週間続けての奥武蔵。ばかなことやってるなぁと思う。しかし、やめられない。決まりというか、習慣というか、そんなものになってしました。

 考えてみると、1年半前はまったく走ることができなかった。数百メートルで息が上がり、休み休み2Kmも走れば、しばらくは何もできないくらい疲れ切っていた。そんな身体が、12Kg減量、体脂肪も31%から16%へ激減。45Kmの練習を終えても特にダメージもない。まもなく50歳になろうというのに、僅か1年でこんな身体の変化とは、不思議だ。いままで何を怠けていたのだろうかと思う。

 何が楽しいのですかと聞かれることがある。メタボ対策ですかなどと時流の話題に振る人もいる。しかし、体重や体脂肪は、決して目指したものではない。気が付けば減っていた。じゃあ何が楽しいのか・・・よくわからない。ただ、走り終えた後の気持ち良さは、格別だ。一度このうまみを味わうことができたら、間違えなくはまってしまうだろう。しかも、その気持ちよさは間違えなく距離に比例する。だからついつい長距離を走ってしまうのだろう。

 しかし、そう思えるようになるまでにはどうしても越えなければならない壁がある。足の故障だ。足首や膝の痛み、座骨神経痛・・・私だけではないようだ。原因は、体重過多と筋力不足。

 筋力付けたいから走る->走ると体重が減る->足のトラブル->走れない->筋力が衰え体重が増える・・・

 この悪循環に陥らないためには、痛くても騙しだまし走るしかない。その間、3ヶ月から半年。ある時、嘘のように痛みが消えてしまった。今では、足の故障はほとんど気にならなくなった。

 次のレースのタイムはどうしよう。つぎはどれくらいの距離を走ろうか・・・だれと競うわけではなく、自分なりに目標を設定しチャレンジできるエンターテイメント。そんなところがやめられない本当の理由かもしれない。

良識なき人たちの悲しい姿

 先日の土曜日、千葉県御宿(おんじゅく)に海水浴に出かけた。御宿は、唱歌「月の砂漠」の舞台となったところ。

 天気予報は、曇りのち雨。何とかなることを期待して御宿に向かう。幸いにも現地は晴れ!それも快晴。天気予報は幸いにも外れてくれた。ただ、台風の影響で大きな波が打ち寄せている。注意の黄色い旗が経っていた。しかし、ボディボードで遊ぶには絶好の波。興奮気味にボードをもって海に飛び込んだ。ただ、あまりに波が高く沖にゆくことができない。
 仕方なく、浜辺近くで波乗りを楽しむことにした。・・・とは言っても、なかなか波に乗れない。相方は気持ちよく波に乗って、海岸までス~ッと進んでゆく。私は、一瞬波頭には押されるもののそのまま失速。その繰り返しにストレスが溜まる一方だ。
 とは、いうものの一年ぶりの海、大きな波に吹き寄せる潮風は、ひんやりしていて気持ちがいい。十分に海を満喫できた。

 午後になって、ますます波が高くなってきた。高い波が海岸近くで砕け大きなしぶきが霧のように立ちこめる。ちょっとエキサイティングで面白いのだが、ついに遊泳禁止の放送。それでも海に入ろうとする人たちにレスキューが注意し、渋々引き上げてゆくのだが、また他の連中が海に入ろうする。そんないたちごっこの繰り返し。しかし、満ち潮と重なり波もますます大きくなり、ついには海に入ろうとする連中もいなくなっていった。

 さて、泳げないとなると引き上げる人。我々の後ろで盛り上がっていた5~6人の若者グループもいつの間にかいなくなった・・・が、振り返って驚いた。ビールやジュースの空き缶、発泡スチロールの食器類、お菓子の袋、使っていたブルーのビニール・シートがそのまま置き去りである。正直びっくりした。こんな連中がいるとは聞いていたが、見事に全てを置き去りにしていた。

 なぜ、こんなことができるのだろうかと思ってしまう。こんな状態を放置してそのまま立ち去れる精神。常識を越えている。子供の頃、ゴミはゴミ箱に捨てるものということを再三聞かされ、今でも当たり前のことと思っている。彼らは、そんな当たり前を学んでこなかったのだろうか。あるいは、もっと深刻な問題で、何かの精神的疾病があるのだろうか。あきらかに常識という思考回路が欠落している。

本来ならば、ルールではなくモラルの領域の話だろうが、ここまでくると、もう犯罪の領域。しっかりと法律で処罰すべきではないだろうか。ほんとうに悲しいことである。

こんな現実を目の当たりにして、せっかくの休日も少し色あせてしまった。

2008年8月11日月曜日

「権限委譲」の本当の意味

 「権限委譲」、「エンパワーメント(empowerment:必ずしも同じ意味ではないようです)」ということばをよく耳にします。

 仕事を任せ、責任感と自主性を育てる。その志はすばらしいのですが、なかなかうまくはゆかないものです。

 松下幸之助曰く、「権限委譲」とは「任して任さず」ということ。「好きでやりたいと思っている人に自分の仕事の一部お任せする。ただし、任せた以上はあまり口出しをしない。失敗しそうなときははっきり注意する。例え失敗しても、その責任は全て経営者自らが負う」というものだそうです。

 「君に任せたよ」と言っておきながら、失敗の責任を負わない。「せっかくあいつに任せたのに、期待を裏切られたよ」。そんなマネージメントによく出会います。そういう人に限って「私は部下を信頼して仕事を任すようにしているんですよ」という。これは、「権限委譲」ではなく「責任放棄」です。

 また、任せておきながら、細かいことにまでひとつひとつ指示をするのも、任された方としてはたまったものではありません。「まかせてくれたんじゃないんですか?だったらもっと自由にやらせてもらえませんか?」。指示命令に従って動くだけでは、責任感や自主性などは育ちません。

 このふたつを同時に行い、それを「権限委譲」といってはばからない営業マネージャーにお会いしたことがあります。さりげなく苦言を申し上げたところ、「彼らは、言ったことがチャンとできない。だから細かく指示しないと失敗する。私の言うとおりやっていれば、失敗はしない。」だから、失敗は彼らの責任(?)ということになるようです。なるほどこれも理屈ですが、どうも「権限委譲」とは、まったく別物のようです。

 もちろん任されたほうは、その結果に対してコミットしなければなりません。好きなようにやって、結果はどうでもいいという訳ではありません。自分がコミットメントができないのであれば、「権限委譲」を受け入れてはいけないのです。

 任す方も任される方も、それぞれに自分の責任を果たす。そんなお互いに対する約束と信頼があってこそ、「権限委譲」はうまくゆくように思います。

 「最近の若い者は、言ったとおりのことをなかなかできなくて困りますよ」、「せっかく任せたのにできないなんて、彼にはがっかりです」・・・そんな営業マネージメントの嘆きの叫びを聞きます。しかし、本心からそう思っているようでは、部下との信頼関係はお寒いものです。基本的な部下との関係ができていないことを自ら公言しているようなものです。

 「権限委譲」を仕事のパフォーマンス向上と部下の育成に役立てたいと思うのであれば、部下の見方、そして自分との関係をまずは見直すことからはじめなくては、うまくは行かないように思います。

2008年8月10日日曜日

再び奥武蔵へ

 今週もまた奥武蔵を走ってきました。

 45Kmは、3週連続。22Kmも含めれば、4週連続の奥武蔵です。なぜそんなことやっているのとよく聞かれますが、まずは炎天下の街中を走りたくないということ。木々に覆われた山の中は、街中とはまったく違います。朝靄の中、森や土の匂い、尾根道の裾を駆け上がる涼風・・・別世界です。

 では、なぜ45Kmも走るのですかと言うことですが・・・これは、謎です。貧乏根性なのでしょうか、ここまで来たからには、短い距離で帰るのはもったいないとも思います。夏ですから、秋のレースに備えて身体を絞っておきたいという気持ちもあります。事実、この3週間で3Kg落ちました。しかし、そんなことよりも何よりも、森の力だと思います。スタート地点へ向かう車中では、今日は調子を見ながら場合によっては途中で引き返してこようなどと考えているのですが、気が付けば結局は走ってしまうのです。

 今回は、ランニング仲間3人と走りました。サブ3(フルマラソンを3時間未満で走る人)の落合さん、スポーツ大好きレディのすずきさん、身体を絞りたいがきっかけで走り始めた新前主婦のよこやまさんです。みんなお馬鹿な連中です。

 ひとりで走るのも楽しいですが、こうやってみんなで走るのもまた楽しいものです。こんなことを楽しめる特殊人種の集まりです。休憩場所での会話もついつい弾みます。

 さすがに、3週目ともなると走り方のコツもつかめてきました。最初に比べれば楽に走れるようになりました。タイムも確実に短くなっています。ただ、最後の顔振峠から鎌北湖までの11Kmでガス欠になりました。顔振峠でコーラをのみ、カロリー補給OKと思ったのですが、途中の登りでへばってしまいました。いつもなら、顔振峠でカロリー補給のためのジェルを飲むのですが、今日はそれをしなかったのが敗因です。それでも、下りの足は、できてきたようです。最後の下りもスピードを出すことができました。
 下り足の筋肉は、腿の前の筋肉です。着地筋とも言われ、フルマラソンなどの長距離ではここのダメージが最後の粘りを奪います。そこができてきたということ。いい傾向です。

 涼しいとはいえ、夏です。水は沢山飲みました。背中に積んだタンクに2リットル、途中売店で2.5リットル。休憩も含めたおよそ5時間で4.5リットルを飲みました。

 走り終わって、近くの温泉施設「おごせ ゆーぱーく」で汗を流しました。温泉にゆっくりつかって、リラックス、強力ジャグジーで足の裏をマッサージ、ほんとうに気持ちが良かった!

 さて、来週はどうしましょうか・・・

2008年8月8日金曜日

増えている 営業の心の病

 仕事柄、ITベンダーやSIerの営業マネージメントと話す機会が多のですが、そんな折りによく耳にするのが心の病で会社を休んでいる営業のことです。

 担当営業に限らず、営業課長クラスにもそのような心の病に苦しんでいる人が少なくないようです。満員電車が怖くて電車に乗れず、自腹でタクシー通勤をしているという人。電話がかかってくると固まってしまい動けなくなる人、会議に出ると緊張して大汗をかき何も発言できなくなるという人など、その症状も様々なようです。そして、そのうち会社を休みがちになり、いずれやめてしまう人もいます。

 営業が100人ほどのある中堅ITベンダーの方に伺ったところ、今2人が休んでいるとのことでした。

 もう10年以上前になりますが、私の現役時代にも同じように心の病で苦しんでいる人はいました。しかし、その数は決して多くはなかったように思います。

 私は、このような心の病の原因を個人の適性の問題や努力不足として、短絡的に片付けるべきではないと思っています。私は、経営者や営業マネージメントのありかたも重要な原因のひとつではないかと考えています。

 以前にもブログで紹介させて頂きましたが、昨今のIT業界は、プロダクトで勝負することは困難です。加えて、インターネットのおかげで、「商品の情報を持っている営業と情報を持たないお客様」という構図は崩れ、お客様の選択の目は厳しいものになっています。そのような状況の中で、営業は競合他社に打ち勝ち、お客様にご購入頂かなければなりません。差別化が必要です。しかし、どこでも同じ商材をを扱っているわけですから、価格での差別化も難しく、安易な値引きは利益を圧迫してうまみがありません。信頼関係を基盤とした「お願い営業」にも限界があります。

 結局は、「ソリューション」という「お客様のニーズにあった最適な組み合わせやそれに伴う仕事の改革」を提案する営業がもとめられるようになりました。

 しかし、「ソリューション」という商品は、既に「あるもの」を売るのではなく、まだ「ないもの」をお客様のニーズに合わせてお客様個別の商品を創り出してゆくもものです。

 当然時間もかかれば、組み合わせる商材も多様化し、関わる人や組織、会社も増えます。ひとつのものを売るときとは比べものにならないほど複雑になるのです。当然、営業ひとりが抱えるには限界があります。単品を売ることとは、まったく異なる能力や仕事のしかたがもとめられるのです。

 「ソリューション」を売るという仕事は、ひとつの商品を売ることとこんなにも違うのに、そのマネージメント・スタイルが同じでいいはずがありません。それにもかかわらず、「これからはソリューションを売る」と経営者や営業幹部が旗をふるものの、営業管理の手法や評価報酬制度が従来のやり方と何も変わりがなければ、営業の仕事がうまく行くはずがありません。

 ひとが心を病むもっとも大きな原因は、不満ではなく不安です。不満は、反発や意欲の低下にはなっても、心の病の原因にはなりにくいものです。

 私は、営業の心の病の原因を次のように考えています。

 “ソリューション営業がもとめられ、ひとりの営業の業務に関わる負担が著しく増大しています。つまり、自分でコントロールできる範囲を超えてしまっているのです。つまり、情報が多すぎて自分だけで整理できず、判断や見通しが立たない状態か放置されている。そのために不安が募り、心の病につながっている。”

 これは、単にマネージャーの自助努力だけで解決できる問題ではないように思います。ソリューション・ビジネスを展開すると言うことは、どのような商材を集めればいいかということではありません。ソリューションというお客様個別の商品を創り出す営業スキルの育成とそれを支えるマネージメント・システムを造ることだと考えています

 私は、このマネージメント・スタイルを「スポンサー型マネージメント」と呼んでいます。「ソリューション」営業を行うにあたり、ひとりの営業が全てを任されるには限界があります。そこで、営業チームとしてビジネスを支え、一連の業務プロセスで、責任を分担し、負担を分散していくことが必要です。そのためのマネージメントの仕組みや手法が「スポンサー型マネージメント」です。

 「スポンサー型マネージメント」の詳細は、研修でも紹介しています。結果を評価し、成果をもとめ、仕事のやり方は自分で判断しなさいと言う「チェック&レビュー型マネージメント」とは対をなす方法です。

 従来のプロダクト・ビジネスでは、これも有効なスタイルでした。しかし、営業に「ソリューション・ビジスネス」を求めながら、「チェック&レビュー型マネージメント」のままでは、営業はどのように仕事を進めればいいのか不安が募るばかりです。そのような、アンバランスが、営業の心の病の大きな原因となっているように思えてしかたがありません

2008年8月5日火曜日

走り始めたきっかけ

 この3週間、毎週休日に埼玉県・奥武蔵の林道を走っています。うち2回は、アップダウンを繰り返す45Kmを5時間くらいかけて走りました。暑い市街地を走るのがいやだということ、なんとか夏の間に体重を絞り、スタミナをつけて秋のレース・シーズンに備えたいというのが理由です。考えてみれば、こんなにもよく走れるようになったものだと自分でも驚いています。

 走り始めたきっかけは、極めて不健全なものです。我がパートナーが、「デブは嫌い」と言ったのがきっかけ。当時、身長168cmの私は、体重:77Kg、体脂肪率:31%もありました。自他共に認めるデブでした。

 最初は嫌々です。とにかく、彼女の手前、着替えて走り出しますが、数百メートル走っては休み、またちょっと走っては休みの繰り返し。あとは、走った振りをするためにダラダラと当たりで時間つぶして、家へ帰るというランニングです。とにかく、走ることがいやでいやでしかたがありませんでした。

 そんなある日のことです。「足柄峠の練習会、申し込んでおいたわよ!」・・・なんですかそれ?実は、彼女は、マラソン・コーチの岩本さんにランニングのプライベート・レッスンを受けていたのですが、彼が主宰するMY☆STARというランニングチームの練習会に参加しようというもの。聞くと、神奈川県の山北から足柄峠までの登り片道13Kmを駆け上り、同じ道をおりて来るという地獄の特訓です。当然ながら拒否。足が痛い、ちょっと風邪気味、ここのところ仕事が忙しく寝不足気味・・・しかし、「そ~、行かないのね(毅然)!」と言われると、軟弱にも「まあ、いいけど」。

 ついにその日が来ました。忘れもしません、2007年2月26日。新宿に集まったおよそ50人がバスに乗って目的地へ。それは、もう地獄でした。それまでの私の最長不倒ランニング距離は、だらだら走りでせいぜい3Kmです。それが一気に26Km、しかも最大斜度15%の坂道を登って下るという練習です。

 本当につらかった!このまま走りと切れるだろうかという不安と経験したことのない消耗感。当然ダントツの最終ランナーです。およそ4時間。よく耐え抜いたと思います。

 しかし、それがまさにきっかけでした。初心者の女性達にも追いつかず最終ランナーという屈辱。一方でおそいながらも26Km走った(否、歩いた)という事実は、ちょっと自信になりました。ただ、その日からしばらくは、かつて経験のない激しい筋肉痛に苦しんだことも忘れられない出来事です。

 「なんとか、走れるようになりたい。」気持ちに火がつきました。自分の意志で走り始めたのはそれがきっかけでした。まじめに走り始めると、いろいろなところに不具合が出るものです。膝やくるぶしの痛み、筋肉痛の連続です。しばらくは足を引きずる毎日が続きました。スポーツ鍼灸師のアドバイスで、筋肉を付けることだと教えられ我慢の日々です。また、岩本コーチの正しい走り方のアドバイスのおかげで、そんな状態にもかかわらず無理せず走り続けることができました。

 走りはじめて1年。体重は激減し77Kgが65Kg、体脂肪は、31%が16%まで落ちました。あの4時間かかった足柄峠も2時間15分以内で走れるようになりました。今ではそれだけ走っても筋肉痛はほとんどありません。フルマラソンにもチャレンジしました。そして、ちょうど1年後のレースで3時間24分3秒。現段階での自己ベストです。

 だんだん走れるようになるとついつい欲が出てしまいます。もうこの年ですから高望みはしませんが、少しずつでも自己ベストを更新したいという気持ちは、練習をする上で大きな励みになっています。

 しばらくは、フルマラソンのタイム更新が目標です。さて、どこまで追い込めるか・・・自分に課した目標をクリアする。楽しい趣味の世界を手に入れたものだと思っています。

2008年8月1日金曜日

間違え探し(その4) 回答: お客様の立場についての想像力、配慮の欠如

 四ッ谷界隈でも蝉の鳴き声が騒がしくなりました。先日の大阪ほどではありませんが、四ッ谷の土手沿いに連なる桜並木からステレオ・サラウンドで響く鳴き声は、短い一生の証を主張するかのように必至で声を上げています。

 さて、今回の「間違え探し」に多くの方からご回答を頂き有り難うございました。それぞれに的を射たご回答です。それでは、私なりの「間違え」を整理してご紹介したいと思います。

 ポイントは、お客様の立場についての想像力、配慮の欠如です。


■ 間違え1:個人的立場と社会的立場の違いについて、想像力、配慮が欠如

 山田執行役員と吉田部長の個人的人脈を利用して、狙い定めたキーパーソンにアクセスすることは、慎重を要することではありますが、効果的なアプローチであったと言えます。研修でもご紹介したことですが、このような個人的な人脈を探ることも営業活動の一環として重要です。しかし、それは、あくまできっかけを手に入れたに過ぎません。そのことが、すなわちビジネスとしての成功をもたらすという保証は何もありません。

 山田執行役員にしてみれば、友人の紹介である以上、断りにくい訳ですし、友人として吉田部長の顔を立ててやろうという気遣いもあったでしょう。しかし、そのこととビジネスとの関係は、別の話です。

 あなたは、会話の中で、「吉田部長のアジア技研様でもお使い頂いており、大変ご評価頂いております。」と発言しています。アジア技研は、東洋テクノ工業の下請け企業に過ぎず、その規模もまったく異なります。例え友人の会社であっても、ビジネス的に見れば、ビジネス規模も小さい企業であるアジア技研で使われているシステムは、何のリファレンスにもなりません。それを引き合いに出して実績を主張しても、それは興味の対象外であり、場合によっては、「あなたは、なにか勘違いをされていませんか?」という気持ちになることが危惧されます。

 個人的立場はきっかけ作りには有効でも、ビジネスとしてその先に駒を進めるためには、ビジネスとしての冷静な状況判断が必要です。その点をが間違えのひとつです。

■ 間違え2:問題点の指摘が執拗

 あなたは、お客様について可能な範囲で徹底的に調べ、お客様が抱えているであろう問題をかなり明確にすることができました。しかし、それを執拗にお客様にぶつけることはいかがなモノでしょうか。

 あなたは、「いま御社では、XXXという問題を抱えていらっしゃるようです。このような問題は、御社の経営にとって、大変憂慮すべき問題ではないかと思います。」と話を切り出しています。しかし、山田執行役員は、経営に関わる立場にあり、あなたのにわか仕込みで仕入れた程度の問題点は、十分に承知されているはずと見るべきです。それにもかかわらず、問題点を執拗に説明するあなたに、自分の恥部をえぐられる不快感、あるいは、屈辱を与えた可能性があります。

 コメントにお寄せ頂いたご回答に「問題提示はこちらからするのではなく、先方に○○君ココが問題なのだよ!と言わせる質問をして、それに対する答えを資料として提示したほうがより効果的で信頼も得られます。」とありましたが、私もまさにそうだと思います。

 そもそも「問題」という言葉、大変ネガティブな印象を与えます。細かなことかもしれませんが、「お客様の問題」を「お客様の課題」と置き換えるだけで、解決しようとしているテーマという意味となり、前向きな印象を与えます。

 お客様の課題や状況を可能な限り事前に調べておくことは、ぜひとも必要なことです。しかし、それで全て分かったつもりになるのではなく、あくまで限られた情報の中で自分が想定した仮説に過ぎないことを謙虚にわきまえておくべきです。

 「外聞ではございますが、いま御社では、XXXという課題に取り組まれていると伺っております。やはり、いろいろとご苦労されているのでしょうか?」というような切り出しならば、山田執行役員もその事実や自分の意見をコメントしやすかったのではないでしょうか。
  「御社には問題があります」と大上段から切り込まれてしまえば、相手は何も言えなくなります。あなたもまた、自分の立てた仮説を検証する手だてを失います。

 「課題」とはお客様がどう認識されているかと言うことであって、あなたがそれを押し売りするべきものではありません。その当たりの謙虚さが欠如していたことがもうひとつの問題と言えるでしょう。

■ 間違え3:最初の訪問で自社製品を売り込んでいる

 ソリューションの起点は、お客様の課題を把握することにあります。このケースでは、お客様の課題は、「もう十分に分かっています。あなたの必要な解決策は、これです。」と言い切っているようなものです。

 「間違え2」でも指摘したとおり、お客様の課題を確認しようと言う謙虚な態度がありません。これでは、お客様の認識する真の課題を確認することができません。

 あなたが、仮説を提示しそれを検証しようとするアプローチは、お客様の真の課題に迫る有効な手段です。今回の訪問は、経営者でありシステムの責任者から、お客様の抱える課題を探り出し、そのことを十分に理解できたことに感謝を示すところで留めておくべきだったでしょう。

 山田執行役員にしてみれば、自社の課題解決のために真剣に話を聞き、理解を示してくれたことにいやな思いはないでしょうし、吉田部長からの依頼に十分に報いたという満足感も生まれるはずです。
 コメント頂いたご回答に、“「次回、こういったことを話す機会をいただきたい。もし可能ならぜひご担当の方も同席を・・・」といった切り口で、二回目に色々説明をすべきではなかったのでしょうか。”とありましたが、まさにそうすべきであったと思います。

 「本日お話を伺い、御社の課題を整理させていだくことができました。有り難うございました。御社の課題を解決できる方法がないか、よく検討させていだき、ぜひ後日改めてご説明の機会を頂戴できればと思います。そのときは、少しシステムよりの話も差し上げたく、ご担当の方にもご同席いだければ幸いです。」とでも言えば、完璧です。


 いかがでしたか。おわかりになりましたか。