「24時間走」という競技は、その名前の通り、ひとりのランナーが延々と24時間走り続ける競技です。神宮外苑の一周1.3Kmをぐるぐると走り続けます。そして時間内に走りきった距離で勝敗がきまります。今年の優勝者は、250Kmほど走ったようです(正式の大会記録がまだでていません)。東京から浜松までの距離に匹敵します。
まあ、非常識の極みとでも言える競技ですが、応援しているうちに走っている人たちの気迫に気圧され、気がつけば次の朝まで会場にとどまってしまいました。
走っている人は、男女合わせて50人ほど。周回コースで応援し、何度も同じ顔を見ていると、はじめて顔を合わせた人の名前も覚え、いつの間にか仲間意識が生まれ、昔からの知り合いのような気持ちになるのは不思議です。
彼ら彼女らのひたむきな姿、限界に挑む真摯な姿勢。普段見ることのない人間の極限に挑む姿に感動しないはずはありません。誰を勝たせたいとかを越えて、がんばれー!と声をかけていました。
だいたい、陸上生物のなかで休まず24時間も移動するモノがいるでしょうか。生物学的な欲求ではなく、純粋に限界を極めたいという、ただそれだけのために彼らは走っているのです。そんな姿に、気高さと気品を見たのは、私だけではないと思います。
マック鈴木さんは、およそ220Kmを走りきりました。総合4位です。結果については、彼なりの思いがあるようですが、すばらしい結果です。お疲れ様、そして、ほんとうにありがとう!
残念ながら、この真剣勝負は一切マスメディアに取り上げられることはありません。実は、日本は国際大会に出場しては、個人でも団体でも毎年優勝や入賞を果たしています。世界でもトップの実力を持っているのです。しかし、メディア的には儲からないのでしょうね。確かに、24時間テレビ放送し続けることはできませんし、派手なデッドヒートもありません。
民放の「24時間テレビ」で、タレントが24時間走にチャレンジしています。私は、挑戦する個人の真摯な取り組みには、心から敬意を表します。しかし、残念ながら素人のチャレンジです。オリンピックのマラソン競技と私のフルマラソンへの挑戦ぐらいにまったく違う世界がそこにはあります。
トッププランナーは、24時間、休憩することはありません。食事や給水も走りながらです。その迫力あるおもしろさは、テレビで取り上げてもきっと多くの人に感動を与えるはずです。ヨーロッパや台湾では国営放送の中継や新聞での結果発表は当たり前に行われており、一般の人たちの認知度も相当高いと聞いています。きっと私が感じたと同じように、一流選手のハイレベルな挑戦に本物の気迫と輝きを感じる、そんな精神の高さがあるのだと思います。
日本のマスコミももうすこし本物を紹介する力を持ってもらいたいものです。
このレースは、走っている選手だけではなくサポーターも真剣勝負です。周回毎に、水や食事、サプリメントなどを補給します。かれらが走りながらでも食べやすいように、そうめんを小さく切ったり、おかゆを作ったりと、真剣勝負です。また、消耗の具合を見ながら適宜補給するモノの内容を工夫してゆきます。選手とサポートの連携プレイがあってこその結果です。
本当にすばらしい体験でした。感動しました。みなさんに「ありがとう」と申し上げたい気持ちでいっぱいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿