2008年9月4日木曜日

「それ以外」という仕事

 営業という仕事は、「それ以外」と言われて、なるほどと思われる方も多いのではないでしょうか。

 業務や経理、SEやプログラマー、それぞれに自分の職掌区分は、かなりはっきりしています。しかし、営業という仕事は、そこには収まりきらないそれ以外のすべてが自分の仕事です。自分が担当するお客様に関することなら、何でも自分の仕事です。SEさんの仕事ではないとすれば、CEさんの仕事ではないとすれば、あるいは、経理の方の仕事ではないとすれば、それらはすべて営業の仕事です。

 しかし、そんな自覚に乏しい営業諸氏もいるようです。「自分の仕事じゃないから」。まあ、いいですが、では誰の仕事なんですか?それをお客様や自分の周りスタッフに考えさせるようでは、営業失格ですね。

 「それ以外」という自覚は、営業にとって大切なことだと思います。だいたい、仕事なんて言うものは、シナリオ通りに進むものではありません。いつも何かが起こるもので、「これはあなたが対処すること」なんて、最初から名札がついているわけではありません。

 まずは営業が引き受ける。それが仕事であり、その自覚がなければ、お客様からも社内からも信頼されず、営業であることの存在価値を疑われるだけです。割り切って、いつもほほえみを絶やさず(?)、「私がお引き受けします」と言える営業。かっこいいですよね。

 だからといって、自分だけでこなせることには限界はあります。特に、ソリューション・ビジネスの世界では、ひとつの案件に対応すべきことは多種多様、関わる人や組織も多く、ひとりの営業がすべてを判断し、差配することは簡単なことではありません。チームの助けが必要です。それをプロデュースすることもまた、営業の大切な仕事です。

 ただ、お客様にとっても、プロジェクトに参加する社内のメンバーにとっても、窓口は、ひとつであって欲しい。彼に頼めば、ちゃんと段取りを整えてくれる。そんな信頼感を得ることこそ、営業の喜びです。

 「それ以外」の仕事は、営業にしかできないことです。言い換えれば、ビジネスをプロデュースする仕事です。これは、とてもスペシャリティの高いプロフェッショナルの仕事。そうは、思いませんか?

2008年9月3日水曜日

情報を隠す上司の愚

 人に仕事を任せることは、簡単なことではありません。

 先日こんなことがありました。あるITベンダーの営業部長が、2週間ほど前の営業会議で、自分の部下に「この案件については、君に任せる。頼むよ!」と権限委譲。彼も張り切って、「分かりました!頑張ります。」とニコニコしながら意欲をみなぎらせていました。

 そして、先日、再び営業会議に同席したところ、こんな会話のやり取りがありました。

営業部長:「注文手続き、まだ進んでいないようだけれどもどうなっているの?」
担当営業:「A部長に話をしたのですが、社内の手続きがまだなので、あと2、3日待ってくれないかとのことでした。」
営業部長:「この間、この件で設備工事を請け負っているM社の営業課長と別件で話をしたとき決裁がのびているので、まだ2~3週間かがかかるらしいと聞いたよ。(強い口調で、感情的に)なぜ、君は、そんな話も知らないんだね。君の話とは矛盾するじゃないか。」

 みなさん、どう思われますか?

 私は、即座にその部長に申し上げました。

 「部長、それはないでしょう。もし、そんな情報が入っていたなら、なぜ彼にすぐに知らせないのですか?彼に任せたのなら、彼に処理させるべきです。今になってそんなことを言うのはおかしいですよ。」

 営業部長は、ムッとしていましたが、これでは任された営業部員は意欲を失います。同時にこの営業部長は、この発言で自らの信頼も大きく損ねてしまったのです。

 営業部長にしてみれば、叱咤激励のつもりだったのかもしれません。しかし、少し意地悪に考えるならば、他の部下の手前、自分の方が営業として、その情報収集能力が優れていることを見せたかったのかもしれません。

 どちらにしても、この営業部長は、権限委譲のなんたるかを理解していなかったことは確かなようです。

 部下に仕事を任せるとは、自分がやるべき仕事を切り出し、部下に委ねることです。しかし、失敗は自分が引き受けることを自覚しなければなりません。

 部下は仕事を任されたことを誇りに思い、やり遂げようと努力します。任された仕事が、彼の能力や経験を越えているからこそ、やり遂げてみせるという意欲が生まれるのです。日常こなせる仕事を任されるのでは、仕事を押しつけられた、また仕事が増えたと感じるだけですから、彼にとっては、なんら成長の機会とはなりません。

 しかし、一方では、不安もあります。「失敗したらどうしよう・・・」と。だからこそ、失敗の責任は自分にあることを任せた側は明確に伝え、一緒になって成功することを望まなければ、彼の成長のチャンスを奪うことになるのです。

 結果から言えば、この営業部長は、彼に情報を隠したのです。そして、自分の持っている情報を武器に優位に立とうとしたのです。そして、その目論見は見事に成功しました。その後、担当営業君曰く「だったら、俺になんか任せずに自分でやればいいんですよ。」とぼやいているのを聞きました。

 権限委譲をするときに決してやってはいけないことがあります。
 1.情報を隠すこと。
 2.ベテラン(できそうな人)にばかり任せること。
 3.任される人を募集すること。

 権限委譲とは、単なる負荷の分散ではありません。責任を負わせ、意欲を高め、成長の機会を与えることです。マネージメントの大切なミッションです。

 改めて、そのことを考えさせられました。

2008年8月29日金曜日

ケーススタディ(1) 回答

 ケース・スタディへのご回答、有り難うございました。また、回答が遅くなってすみません。

 さて、では回答といきましょうか・・・とかなんとか言っていますが、実は、ケース・スタディを書き上げた本人も、どう回答すればいいのやら、正直なところ本当に難しいと感じています。 このような状況は、身近にあります。そして、実に重たく切実な内容です。絶対の正解はありませんが、私なりの考えを回答として書かせて頂きます。

問題1:あなたならこの状況にどのように対応しますか?自分なりの対処方法を考えてみてください。

 このような状況になってしまった以上、30%削減の要望に抵抗しても、むしろお客様の心証を悪くするだけです。「承知しました!」とまずはお答えし、潔く「我が社としては、大変厳しいご要望ではありますが、ご依頼に応えられるよう30%削減した場合の仕事の進め方について、提案をさせて頂きます。」と、まずは応える方が賢明です。

 お客様もあなたの会社にどれだけ依存しているかを知らないわけではありませんし、コスト削減があなたの会社にインパクトがあることくらいは想像がつきます。そのような状況の中で、あなたが何の抵抗も示さず承諾することで、お客様には少なからず「申し訳ない」という気持ちを起こさせることができるでしょう。お客様をこのような心理状態に持ち込んでおくことは、今後の交渉を進める上では有利です。

 次に、費用を30%削減した際の工数や体制を厳密に見積もり、提示することです。現状でも、残業をしなければならないほどに仕事があるわけですから、たぶん現場は大変苦労することになります。その事実を現状の労働時間や作業時間のデータと共に客観的な事実として説明し、30%削減をそのまま受け入れると、業務に重大な支障を来すことになることを、感情を交えず、実証し説明することが必要です。
 また、合わせて、みなさんの会社がこの会社の業務に長年関わり、その経験で会得した現場でのノウハウや特殊事情について、容易に代替が利かないことをできるだけ客観的に説明すべきです。

 しかし、これだけならば、「30%削減したら仕事ができなくなりますよ!」という脅しに過ぎません。これでは、喧嘩になってしまいます。
 そこで、「従って、今のやり方のままでコスト削減に対応するだけでは、大変なことになります。いかがでしょうか、どうしたらもっと効率を上げることができるか、ご一緒に検討を始めませんか?」と提案してみてはどうでしょう。コスト削減プロジェクトをはじめるのです。

 そのような提案を行うことで、一律削減要求に一定の猶予期間を作ることができるかもしれません。お客様にしてみても、無理をお願いしているという引け目は多少なりともあるでしょうし、「効率を上げる」ための取り組みを自ら行ってこなかったことは、彼らの責任でもあります。その当たりのお客様の気持ちをうまくくみ取って、対応すべきです。

 一方で、あなたの会社も無傷ではいられません。それは覚悟すべきでしょう。どうすれば無駄をなくせるか、コストを削れるかを十分に検討し、この間に利益率を少しでも高められる方法を模索しなければなりません。そのような検討を踏まえて、現状を改善し、コストを削減できる新たな施策を提案すること。それをたたき台としてお客様との議論を深めてゆくべきです。結果として、削減幅を小さくできるかもしれませんし、効率化のための新たなシステム提案ができるかもしれません。転んでもただで起きてはダメです。

 このように単に「言われた数字に反応する」のではなく、業務の本質を見るための行動をお客様と一緒に起こす。つまり、お客様にとって最も妥当な対応策を一緒に探り出すこと。それこそが、お客様がみなさんへの信頼を深めることになります。改めて、みなさんなしでは仕事ができないという信頼を勝ち取るチャンスでもあります。そうすれば、競合他社の入り込む余地はなくなります。

 また、現在行っている残業についても「無償サービス」ではなく、有償であることを改めて確認しておく必要があります。「効率化」という美名の実は、時にして残業へのしわ寄せとなります。それが請求できないとなるとコストはかさむばかりです。また、本当の意味での効率化、コスト削減にはつながりません。

 事実に基づき、業務の本質に迫り、一緒になって最善策を探る。このような態度を通じて、お客様の信頼関係をさらに深めると共に、売上の減少を最小限に抑え利益の確保を目指すべきではないかと思います。さらには、新たなビジネス・チャンスを掴むことができるかもしれません。

問題2:もし過去に戻ることができるとすれば、あなたはこのような事態になる前に、どのような対応をしておくべきだったと思いますか。

このような事態の変化は、突然起こるものではありません。お客様の業務やその周辺を取り巻く事業環境の変化は、かなり前からあったはずです。そのような変化の予兆を見いだしていなかったことは、営業として問題です。
 また、お客様との信頼関係にあぐらをかき、改善への努力を十分に行ってこなかったことも考えられます。

 システム運用業務は、一般的にユニークネスを出しにくく、人月単価で比較されやすいものです。文書化しにくい現場ノウハウは確かにあります。しかし、一定の重複期間があれば、移管は容易であり、絶対的な参入障壁にはなりません。しかし、往々にして、委託されているという既成事実があたかも永遠に続くかのような思いこみをして、その事実にあぐらをかいてしまうことがあります。厳に慎まなければなりません。

 みなさんのコメントにありましたが、不断の改善努力を怠らず、課題を見つけ、運用委託業務にとどまらず、いろいろな提案をして、お客様に対するイニシアティブをとり続けることが必要です。そのような状況になれば、本当の意味であなたの会社は、なくてはならない存在になるはずです。

 また、運用業務を通して、いろいろなお客様の内部の情報や課題は見えてくるはずです。これをきっかけとして、運用にとどまらず新たなプロジェクト提案を仕掛け、お客様におけるあなたの会社の役割や社内シェアを拡大することを心掛けるべきだったでしょう。そうすれば、ビジネス・リスクを分散できたはずです。

 先読み力のなさ。お客様を深掘りという態度。その欠如が、今回の事態を一層深刻なものにしているように見受けられます。

2008年8月25日月曜日

日曜日の出来事

 日曜日の朝、いつも通り5時に目覚める。歳(?)のせいか、朝早く目が覚める。今日も奥武蔵45Kmラン・・・なんて思っていましたが、外は大雨、しかもオリンピックのマラソン、さすがに出張の疲れもあり迷わず中止です。のんびりすることにしました。

 オリンピックのマラソン。「参考になるでしょ?」といわれることもあるが、私にとってはあまり参考にはなりませんね。あれは同じ「マラソン」という名前を使っているがまったくの別競技。素人ランナーとは、走り方もスピードも全然違う。

 優勝したケニアのワンジル選手。あの暑い中、2時間6分台とは・・・ゴールも余裕で疲れた顔をしていない。まだ走れそうでした。感動しました。よぉーし、自分も走らなくては・・・という気持ちにはさせてくれますね。

 マラソンが終わって、車検で車をディーラーにもって行かなければならないことを思い出しました。そうだ、ちょうどいいや・・・と名案を思いつきました。

 ディーラーは、以前住んでいた荻窪。今住んでいる国立からはおよそ20Km。車を持って行ったついでに走って帰ってこよう!雨は降っていましたが、平地で街の中です。ということで、ランニング・ウエアに着替えて出発。パッツンパッツンのタイツにTシャツ姿でデイーラーへ。ちょっと好機な視線を感じました。 営業の方が走行距離などチェック、「そんなに距離は出ていないですね」とのこと。考えてみると自分の足では毎月200~250Kmは走っているが、ここ最近、ガソリンも高く運転は控え気味。そのため100Km程度しか走っていない。自分の足より距離が出ていないことに気が付きました。

 さて、車を預けて出発です。雨も小降りになり気温も20度程度。ランニングには悪くありません。しかし、途中からだんだん雨脚が強くなり、ついには土砂降り状態。バケツとまではいきませんが、洗面器をひっくり返したぐらいには大雨でした。でも、おかげでからだが冷やされ、息も上がらず気持ちよく走ることができました。

 途中、正面からご年配の女性が傘をさし、レジ袋を下げて歩いてきました。少し先から目があったのですが、彼女は真剣な顔で「傘をお貸ししましょうか?」と声をかけてくれました。恐縮するやら驚くやら・・・「有り難うございます。大丈夫です!」と頭を下げて通り過ぎました。しかし、よく考えてみると、彼女には私のことがランナーには見えなかったのでしょう。「突然の大雨に傘も持たず、家路を急ぐ哀れな男性」に見えたのでしょうか(笑)。まだまだランナーとしての修行が足りないようです。帰宅して、我がパートナー女史にその話をすると、「そんな体型じゃあしょうがないわね」と冷たい一言。そうかもしれませんね。

出張の帰り途

 金曜日の夜、出張先の福山では大雨が降ったようだ。私は爆睡!まったく記憶がありませんでした(笑)。土曜日にお客様のところへ向かうタクシーの運転手が、「朝起きたら庭の桶が一杯になっとりましたわ!」と嬉しそうに話してくれた。「今年は例年の1/3の雨量じゃけん、こまっとったんですよ。」とのこと。「福山はバラの街なんですがね、市役所の庭のバラなんぞ、みんなドライフラワーになっとりますわ!ハハハハ・・・(方言はいい加減です)」。実に元気のいいおじいちゃんドライバーだった。

 運転手さんに元気をもらい、気持ちを切り替えての研修講師。土曜日にもかかわらず、本当にお疲れ様でした。ぜひ仕事の現場で役立ててくださいね。

 さて、研修も終わり帰宅の途についた。福山駅前から高速バスで1時間ちょっと。広島空港へ到着する。少し時間があったので、やはりお好み焼きでしょ・・・ということで、ジョッキを片手に頂きました。カロリー・オーバー?を気にしつつ、「美味しかった!」

 夏休みで故郷から帰る家族連れでしょうか、広島空港の3階にある「お好み広場」は、けっこう賑わっていた。

 定刻を少し遅れて離陸、15分遅れで羽田に到着。幸い自宅に近い国分寺行きのリムジンバスにぎりぎり間に合った。1時間20分ほどで到着。重い荷物もあり、雨も降り始めていたので、タクシーで自宅まで帰ることに。すると、後ろからどうぞと傘を差しだしてくれる女性。自分も濡れるではないですか。「ありがとう。だいじようぶですよ。」と申し上げたのですが、にこにこしながら、どうぞと傘を差しだしたまま。とってもありがたかった。「あなたも人に親切にしてあげなさいというお告げ」とは我がパートナーの言。ほんとにそうですね。

 福山を出発して、約5時間。無事自宅へ到着。遠かった!木曜日に福山へ出かけた時は、大雨の影響もあったが都心から福山まで6時間以上かかっている。新幹線「のぞみ」なら福山-東京が4時間だ。東京から自宅まで約1時間と考えると、新幹線の方が楽だったかもしれません。

2008年8月22日金曜日

悪運を使い切りました

 前回のケース・スタディについて、「重たいですね・・・」というコメントを頂きました。でも身近にありそうなケースだと思います。今のところ「しずくさん」からのご回答のみです。ぜひ考えてみてください。皆様のお答えをお待ちしています。

 さて、只今出張で広島県の福山におります。昨夜、東京から到着しました。これが大変な旅でした。

 昨夜、羽田発のJAL便に乗るために麹町から有楽町へ。順調なのはここまでです。有楽町から浜松町への山手線外回りは、信号交渉で不通。並行して走る京浜東北線は、めちゃ混みでした。浜松町からは、モノレールです。これもまた、車両故障で運行が遅れ、こちらもまた大混雑でした。

 やっと羽田に着きました。時間的余裕もあるし、一安心とラウンジでビールを一杯。明日の資料を見直しながらくつろいでいると外は突然の大雨です。雷がひかり、強風と共にたたきつける大雨。すごいなぁと窓越しに眺めながら、他人事のように眺めていました。

 19:30 JALの広島行き。そろそろゲートに行かなければとラウウンジに向かいました。しかし、どうも様子がおかしい。職員があわただしく走り回り、何人もの人に応対している。もしやと思い、私も聞いたところ、大雨のため機材が到着しないので遅れるとの話です。またですか・・・

 まあ、天気のことです。しかたがありません。いい機会ですから、読みかけの本を読んでしまおうと読書を開始。しかし、ますます雨脚が強くなります。結局、1時間遅れで飛行機に乗ることができました。ところがです。この天気のためにどの便も出発を見合わせていたため、約20機の離陸待ち。結局1時間以上機内で離陸待ちとなりました。結局、22時半に広島空港に着陸しました。

 さて次に心配なのは、広島空港から福山に向かうバスです。最終は終わっています。しかし、飛行機が遅れたんだから臨時便が出るだろうと考えていたのですが、甘かった。バスはないとのこと、タクシーも聞いてみたら2万円ぐらい・・・おいおい!!!

 結局、タクシーで近くの山陽本線・本郷駅へ。なんとか最終電車で福山に到着したのは、もう23:47分。ほんとうに長旅でした。

 こんなこともあるんですね(笑)。重なるときには重なるものです。まあ、悪運は使い果たしたと言うことで、心機一転。これから仕事に行ってきます!

2008年8月18日月曜日

ケーススタディ(1)お客様のコスト削減要求に応える

 今までの「間違え探し」とは、趣を変えてみました。まずは、以下のケースを読んでください。

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 南北ケミカル工業が、ここに事業所を立ち上げたのは今から5年前。そのとき、あなたの会社は、ネットワークやサーバー、OA機器の据え付けや設定を請け負うことになったのがきっかけとなり、今ではシステム運用やイントラネット、ウエブサーバー、メールサーバーなどのインフラ回りを全面的に任されるようになりました。

 昨今の原材料費高騰は、南北ケミカル工業も直撃しています。幸い付加価値の高いユニークな製品が多いことから、価格競争で利益を削る事態は避けてはきたのですが、機能や品質を落としてでも安いものを購入したいという顧客の意向も無視できない状況となってきました。このような事態を受けて、全社30%のコスト削減の経営方針が決定されました。当然IT部門もこの方針に従わなくてはなりません。

 あなたの会社は、南北ケミカル工業に運用ならびにインフラ回りのシステム支援に8人の要員を派遣しています。当然この要員もコスト削減の対象になります。単純に計算すれば月額1000万円近い安定収入は、700万円以下に下げられることになります。あなたの会社にとっては、大きなインパクトです。

 情報システム本部の責任者である山下本部長にも相談したのですが、トップの強い意志でもあり、形ばかりの対応は許されない状況にあることが告げられました。しかし、その一方で、要員の削減も容易ではありません。今でも平均して毎月数十時間の残業を強いられ、それでもなかなか仕事をこなしきれない状況にあります。

 山下本部長の部下である伊藤システム運用課長からは、「本部長よりもう少しコストの安い会社に任せてはどうかと打診を受けている」とのこと。 仕事も減らされ、競合他社の参入も許すことになりかねない事態です。

 あなたの会社は、現場を任されていますのであうんの呼吸とでも言える現場のノウハウを持っています。当然お客様の現場担当者責任者にしてみれば、頼りになります。しかも長年現場に出入りし個人的な信頼関係も育ち、お客様の担当者からは、なくてはならない存在となっています。あなたはそれにあぐらをかいていたところもありました。しかし、ことはお客様の経営に関わる事態です。そんな信頼関係に頼る「お願い営業」だけでは通用しない状況となっています。

 お客様のマネージメントの立場から合理的に見れば、運用や現場支援に特殊な技術は不要ではないのか。運用会社を変えても影響はさほど大きくないだろうとの判断もあるようです。

 あなたは、この状況を担当営業として何とかしなければなりません。
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問題1:あなたならこの状況にどのように対応しますか?自分なりの対処方法を考えてみてください。

問題2:もし過去に戻ることができるとすれば、あなたはこのような事態になる前に、どのような対応をしておくべきだったと思いますか。


お答えは、コメントでお知らせください!