2007年11月23日金曜日

コミッションは諸刃の刃

  IBM卒業生が、多くの企業で営業トップや社長になっている。同じIBM卒業生(私の場合は、中退組かもしれませんが・・・)として、嬉しいことだ。また、仕事の上でも大変助けになっている。幸いなことに、直接面識はなくても、誰か一人か二人を介せば、行き着くことができる。しかも、国籍が同じだという意識も強く、初対面でも話しやすいし、お互いの理解も早い。IBMという文化の中で育ったことで、思考のプロセスが共有出来ているのだろう。

 ところで、そういう卒業生だれもがうまくいっているかというと、必ずしもそういうわけではない。請われて行ったのはいいが、現場との折り合いがうまく行かなかったり、成果を上げられず苦労している人も少なくない。

 IBM営業出身者のよくやることのひとつに、「コミッション制度の導入」がある。IBM営業出身者にしてみれば、これは当たり前の話しであり、コミッションのない営業などやっていられない。そんな常識がある。しかし、日本の多く企業では、そもそもそんな文化がない。しかも、IBM営業出身者をまねく企業は、業績的が伸び悩び、営業力をもっと強化したい場合も多い。そんなときに、当たり前のようにコミッション制度を導入し、営業のモチベーション・アップを図ろうとする。しかし、業績が横ばいや右肩下がりの場合は、コミッション制度を採用することによって営業の収入が減る場合が多い。モチベーション・アップどころか、ますますモチベーションが下がり、業績の低迷に拍車をかけるケースもあるようだ。

 業績が思わしくない原因は、経営戦略、事業戦略、あるいは、商品やサービスの品揃えにそもそも問題がある場合が多い。それは、経営者や上位マネージメントの責任だ。それを営業に責任を転嫁するのは、いかがなものかと思う。

 営業の現場は、自分の業績をよく知っている。会社への忠誠、仕事へのプライド。営業はそれを数字で証明しなければならない。どこに責任があろうとも、言い訳無用である。それが、営業というものだろう。そこにコミッションという追い打ちをかけられ、へこんでいる上から、またハンマーで叩かれるようでは、やってはいられない。

 私は何もコミッションを否定するつもりはない。要はタイミングの問題。経営が納得できる施策をとり、さあやるぞと意気込みを示し、流れを作ることが先決だと思っている。先の見通しがあり、可能性があるならば、あとは本人の努力である。それが見えるならば、コミッションは、大いに力を発揮する。

 先が見通せると言うこと。「営業活動プロセス」も大いに貢献する。次にどのような手を打つべきか、何を判断の基準として営業活動の進捗や課題を評価すればいいのか。その指標やガイドがあれば、仕事の進め方を見通せる。自分の今の立ち位置もわかる。

 コミッション制度を導入する前にやらなくてはならないことは、 いろいろある。IBMは、それが当たり前のようにできていた。どこでも使えるものではない。コミッションは、諸刃の刃と心得ておくべきだろう。
 

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