- SI事業者はお客様の内製化を支援する
- 複合機メーカーはペーパーレス・ソリューションを提供する
- アプリケーション・パッケージ・ベンダーはサービスを売る
一見すると自分で自分の首を絞めるようなビジネスにこそ、商機があると私は考えています。
SI事業者は、これまで品質やコスト効率を高めるためにシステム開発や構築のノウハウを蓄積してきました。それこそが、競争力の源泉となってきたはずです。そして、ユーザー企業は、これら業務をSI事業者に依存してきました。しかし、この状況が今大きく変わり始めています。
経営スピードへの迅速な対応、内部にだぶつきはじめた情報システム要員の再活用、一層のコスト削減は、開発の内製化を促しています。しかし、彼等にはそのスキルも要員も不足しています。
この状況を冷静に考えれば、SI事業者のノウハウこそ、是非とも手に入れたいはずです。プロジェクト管理、業務分析、プログラミングとテストなど、内製化に必要なノウハウを提供するためのビジネスを立ち上げるというのはどうでしょう。
開発の標準化やフレームワークの整備、業務分析やコンサルティング、開発スキルの研修などが考えられます。それをお客様の中で、あるいは、お客様を出向させるという形で社内に受け入れて、徹底的に業務ノウハウを定着させる。そういうビジネスを立ち上げてはどうでしょう。
SIビジネスが、無くなることはないと思います。しかし、オフショアや開発生産性の向上、SaaSの利用などが進めば、今後の利益率の向上は期待できません。また、SI事業者の淘汰も進むでしょう。
そういう来たるべき未来を考えたとき、どうすればお客様とより親密な関係を築くことができるのか、どうすれば他社を排除して自分たちは生き残ることができるのかを考えなければなりません。
以前、このブログでも紹介しましたが、ITエンジニアの75%はSI事業者やITベンダー側にいます。例え内製化を支援してもお客様の需要を内製だけでまかなうことはできません。また、先週も書きましたが、ノンコアな領域については、これまで以上に徹底したアウトソーシング需要が高まると考えられます。その受け皿の提供と共に内製化を支援すれば、お客様の需要は取り込めるはずです。
これまで通りの受託・請負・派遣に頼るビジネスには、未来はありません。だからこそ、お客様が今必要としていることを冷静に受け止め、それに応えてゆくという、当たり前に立ち戻って考える。そんな時期が来ているように思います。
複合機メーカーによるペーパーレス・ソリューションもまた、常識的に考えれば、利益相反です。複合機メーカーの収益は、複合機の利用量に応じたトナーカートリッジの消費や保守に支えられています。ペーパーレスをすすめることは、この収益の柱を放棄することに他なりません。
しかし、現実を冷静に見つめれば、タブレットやスマートフォンの普及により、紙の需要は、これまでにも増して減ってゆくはずです。事実、打ち合わせ資料やカタログなどをタブレットに代替させることは難しくありません。そこに手書きで追記することも、その資料を共有することもできます。
また、経費精算などの伝票処理もタブレットやスマホで入力し領収書などの証憑はスマホのカメラで写真撮影して添付し、原本は経理部門に郵送すれば、事足りる時代になりました。
契約書を電子契約にすれば、印紙の貼付が不要になり、印紙税負担をなくすことができます。また、契約書類の膨大な紙の印刷や保管コストは不要となります。また、契約は電子的に管理されていますから検索も、監査も容易になります。
複合機メーカーはドキュメントの専門家です。だからこそ、ドキュメントのフローを理解し、それを処理するノウハウを蓄積しているはずです。その知識やノウハウを活かせば、どうすれば徹底したペーパーレスができるかを考えることができるはずです。
いつまでもオセロゲームのように、何年か毎にメーカー同士の競争が行われ、入れ替えたり、入れ替えられたりでいいのでしょうか。そのたびに、厳しい価格競争を強いられ、全体の需要も減少してゆくでしょう。体力勝負は、そう長続きするとは思えません。
ペーパーレス化を推し進めても完全に紙がなくなることはないでしょう。また、ペーパーレス化は、仕組みですから一回作ってしまえば、他社に入れ替えることは容易ではありません。結果として、お客様を囲い込み、長期安定的なストック・ビジネスを獲ることができるはずです。
パッケージ・ソフトウェアとは、お客様の業務プロセスで予想される課題を解決する手段をプログラムにしたものです。そこには、高い業務に対する見識や業務ノウハウが埋め込まれています。
しかし、そういうパッケージ・ソフトウェアを販売する営業は、お客様の課題をろくに聞くこともなく、いかに自社製品が機能豊富であり、実績があり、優れているかを説明してくれるに過ぎません。お客様の現状や業務課題を聞くことには消極的なようです。
お客様は製品が欲しいわけではありません。困っていることを解決したいのです。
製品を売るのではなく、業務改善やそのためのプロジェクト運営を支援するサービスを用意し、それを売るというのはどうでしょう。また、本番以降の業務改善や相談をサービスとしてメニュー化し、お客様の新しい業務を確実に定着させるお手伝いしてはどうでしょうか。このようなサービスが提供できれば、結果として、プロダクトは売れるはずです。
もちろんこれは手離れの悪いビジネスです。ならば、こういう業務にノウハウのあるSI事業者と組むのも一案です。ただし、彼等に営業チャネルを求めるのではなく、あくまで課題解決、業務改善サービスの実行部隊として、彼等をサービス商品の機能の一部に組み込むのです。
また、自らもこのようなサービスができる人材を育成し、利益を上げることができる事業として、体系化し、マニュアル化し、外部にもスキルトランスファーできる「サービス・プロダクト」を作り上げることが大切です。
将来を考えれば、パッケージ・ソフトウェアはSaaSに置き換えてゆくべきでしょう。そうなれば、一時的収益は望めません。しかし、サービスとしてお客様に受け入れられれば、長期安定的なストック・ビジネスとなるはずです。
以上いずれの場合も、既に抱えている事業資産を否定することでもあり、抵抗感をもたれるはずです。しかし、冷静にお客様のニーズを見据えれば、自ずと導かれる結論のようにも見えます。
チェコの経済学者、シュンペーターは、近代イノベーション観を確立した人物と言われています。彼は1912年の論文「経済発展の理論」で、イノベーションが経済を成長させる原動力であると説き、これを5つの類型に分けて整理しています。
また、彼は「イノベーションは創造的破壊をもたらす」とも述べています。つまり、イノベーションは、これまでの常識や既得権益を破壊し、経済の新陳代謝を促すと述べています。
産業革命は、生産手段のイノベーションです。職人の手作業から機械による生産に置き換わりました。また、輸送手段のイノベーションでもあり、馬車から鉄道に置き換わりました。つまり、機械生産や鉄道というイノベーションが、これまでの既得権益やビジネスの常識が大きく変えてしまったのです。その結果、既得権益を持った人たちが、機械や鉄道を焼き討ちした、という事件も起きています。
しかし、歴史は、イノベーションが勝利したことを物語っています。
ここに掲げた例は、そんな創造的破壊の一例に過ぎません。改めて冷静に足下を見据えれば、このようなイノベーションの可能性は、いくらでもあるように思います。
- お客様の真のニーズはどこにあるのか
- そのニーズに応えるために何をすべきか
- それを行うために自分たちが提供できる価値は何か
イノベーションとは、決して新しい技術を創造することではありません。これまでに無かった課題解決の方法を見つけ出すことです。シュンペーターはこれを「新結合」と呼んでいます。つまり、これまでの常識とはことなる課題解決のための新しい手段の組み合わせを見出すことだと説いています。
これまでの常識に疑問を持ち、どうすれば、これまでの仕事を創造的に破壊できるのかを考える。こういう考えの向こうに、これからのビジネスの可能性が見えてくるのではないでしょうか。
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■ ユーザー企業側の方はこちらからお申し込みください。
その成果を受けて、翌日のこの1月22日にその変革の意識にITを提供する側として、どのような姿勢で向き合っていくかを議論します。
■参加者募集■ 2013年1月22日(火) 企業の変革をITで実現する大会議 ■
ユーザー企業の変革の流れを感じてどう動くか?
そんなことを本気で考えたい。そんな皆さんのための大会議です。
2012年7月5日。ユーザー企業、IT企業のビジネスパーソン 100名が集まって両者の接点である『IT』の活用を進めていくために、それぞれの立場でどのようにあるべきかを3時間議論し続けました。そして、参加者の課題が明確になりました。
そして、2013年1月21日。ユーザー企業のCIO、情報システム部門の方々が集まって、「ユーザー」としてどのように取り組んでいくかを議論します。
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IT企業の皆さん、是非ご参加ください m(_ _)m
詳しくは、こちらをご覧ください。
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「自社製品の知識はありますが、世の中の常識となると、うまく説明できません。」
このようなことで、お客様の信頼を手にすることはできません。
- クラウドと仮想化の違いが説明できません
- ERPは知ってるけれど、BPR,BPR,SOAとの関係は説明できません
- HTML5とスマホやクラウドの関係は説明できません
世の中の常識に自社の製品はどう位置付けられるのでしょうか、あなたの提案は、世の中の常識からから見て妥当なのでしょうか・・・
2013年2月6日から4月17日までの全10回、毎週水曜日の夜に開催します。
詳しくは、こちらをご覧ください。
なお、残席が少なくなってきました、もし未決定でもご意向がある方は、至急お知らせください。
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