2011年9月3日土曜日

「世の中が変わったから」という言訳

 「ビジネスの環境が大きく変わってしまいました。どうもこれまでのようにはゆきません。」。

 「世の中が変わった」誰もが口にする言葉です。だからどうしたというのでしょうか。
 
 「最近の新入社員はこれまでとは違う」という話しもよく聞きます。じゃあ、昔はそうではなかったのでしょうか。
 
 これまでの歴史を振り返れば、変わらない時代などありません。変わるのが当たり前なのです。

 あたかも今が特別な時代かのように、「世の中が変わってしまった」からうまくいかない、理解できないと言うのは、なんともおかしな話しです。確かに、そう言訳をすれば、その場を取り繕うことはできます。また自分の精神の安定には役立つかもしれません。しかし、いったいそれが何の解決をもたらすというのでしょう。
 
 そんな言訳をする暇があれば、何が変わったかを冷静に理解することに時間を割くべきではないかと思います。いままでは当たり前と考えていたことが、もはや当たり前でないとすれば、何をどうすればいいかを考えるべきです。
 
 ITビジネスについてゆえば、明らかにこれまでのゼネコン型産業構造が変わろうとしています。日本国内の経済成長が開発や運用の需要を支えていた時代は終わりました。クラウド、オフショアなどのリソース調達の多様化は、大手システム・ベンダーの下請け仕事を支えていた企業にとっては、大きな試練になっています。

 また、これまでの「強み」が、必ずしも訴求力を発揮できなくなりました。例えば円高や新興国の台頭は、調達手段のグローバル化を促進し、グローバルな視点での「同一スキル=同一賃金」という基準をお客様に植え付けるようになるでしょう。また、クラウドに代表されるシステム・リソース調達手段のサービス化や仮想化、自動化などによるテクノロジーのコモディティ化は、「技術力」という武器の威力を弱めつつあります。
 
 当然、営業力への期待も変わりはじめています。
 
 かつては、お客様が欲しいというモノやヒトを確実、迅速、適正価格でお届けすることこそ、売上に貢献できる営業力でした。この時代は、お客様もお売る側も、何を調達すべきかをお互いに理解し合えていたのです。
 すこし古い話ですが、私の現役時代は、メインフレームだけが商品でした。ミドルウェアもデバイスもメインフレーム・メーカーが一括して提供していました。ですからお客様も売る側もその組み合わせで苦労することはなかったのです。インターネットもない時代です。ビジネスも今ほどグローバルではありません。ビジネス・プロセスも比較的単純であり、営業の売るものは、今に比べれはかなりシンプルだったのです。
 
 しかし、今はどうでしょうか。インターネットの普及は、情報流通の手段を多様化しています。ビジネスはグローバルに広がりビジネス・プロセスを複雑なものにしています。また、システム・リソース調達の手段は機器を購入することだけではありません。クラウドやアウトソーシングを利用すれば、グローバルにしかも安く調達が可能です。
 また、様々なメーカーがサーバーやデバイス、ミドルウェアを提供しています。確かにひとつひとつの完成度は高いかもしれませんが、それらの組み合わせを一貫して保証してくれる仕組みはありません。複雑に組み合わされる機器やソフトウェアの組み合わせに誰も責任を持てずにいます。
 
 ビジネス・プロセスの多様化は課題の定義を難しくしています。また、解決手段の多様化とその組み合わせの複雑化は、お客様もベンダーもこれしかないという最適解を作れなくなってしまいました。お客様は、この最適解を一緒に考え、その組み合わせを実現してくれるプロデュース力を営業に期待しているのです。
 
 「世の中の変わった」をこれだけで語り尽くすことなどできません。ただ、「何なが変わったのだろう」、「なぜ変わったのだろう」、「じゃあどうすればいいのだろう」という問題意識を持ち続けることで、私達は「変化」という歴史の常識にうまく適応できるようになります。
 
 変化のない時代は、これまでに一度もありませんでした。「世の中が変わった」といってため息をついたところで、この歴史の必然を変えることなどできません。ましてや、それを言訳に自分の責任を放棄するなど、何とも情けない話しです。それよりも、その変化に関心を持ち「ならばこうしよう」と考え続けること。そんな考え方を持つ方が、ずっと楽しいように思います。

■ ITソリューション塾[第8期]を開講します ■

 この塾を始めたきっかけは、営業活動に関わる皆さんに自信を持って欲しかったからです。

 お客様と話していてもその話が理解できない、整理できない、中には、話のネタがないので出かけてゆくのも気が重い・・・という人もいました。

 もちろんそんな人ばかりではありません。知識はあるがうまく整理して説明できない、提案に結びつけて考えることができないという声もありました。

 私達は、ITビジネスのプロフェッショナルです。お客様もそうあってほしいと期待しています。だから自分たちの商品のことだけではなく、世の中のことを整理し、その上で自分たちに最適な解決策を提示して欲しいと願っています。

 自社の製品は語れても、世の中を語れない・・・これでは、お客様から信頼していだくことなどできません。そんな課題を解決したいとこの塾を始めました。もう、3年続いています。200人もの人たちと過ごしてきました。

 詳しくは、こちらをご覧ください。
 
 なお、会場の都合で定員20名とさせていだきます。

場所:東京・市ヶ谷
期間:10月5日から12月7日 
   毎週水曜日 18:30~20:00
   全10回
費用:9万4千5百円/一括

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