2010年3月27日土曜日

これ一枚で分るマーケティングとセールスの違い

 「こ れ一枚で分る」シリーズの第二弾。マーケティングとセールスの役割分担について、考えてみました。

 ITビジネスに携わる営業に とって、「マーケティング」と「セールス(営業)」というふたつの言葉は、はっきりと切り分けられることなく曖昧に使われていることも多いのではないで しょうか。

 だから良い悪いのはなしではありませんが、夫々の違いや機能を定義しておけば、自分の役割をはっきりと認識できます。そうす れば、何を目標とすべきかも明らかになります。ということで、「この一枚」にまとめてみました。

 
  さて、今回は、いかがでしょうか?

 この資料は、前回も紹介させていただいた「ソリューション営業モデル研究会」のメンバーであるキヤノ ンITソリューションズ・事業企画本部の永田さんが、まとめてくれた資料を基に、一枚のチャートに整理したものです。

 永田さんは、長年 ITソリューション・ビジネスの第一線で、マーケターとして活躍されてきたエキスパートです。マーケターの視点から、ソリューション営業のあるべき姿を考 えようということで、この研究会にて、ご見識を賜っております。

 さて、このチャート眺め、改めて「マーケティング」と「セールス」の違 いをひと言で語るとすれば、次のようになるでしょう。

 まず、目的については、

 ● マーケティン グ:お客様に買いたいという気持ちを起こさせること。
 ● セールス:お客様に買う決心をさせること。


 となるでしょう か。

 マーケティングは、お客様に商品や課題の存在を知らせ、自分に必要なことである事を気付かせ、それを手に入れたい、課題を解決した いという気持ちを起こさせることです。

 セールスは、そんなお客様の気持ちを引き継ぎ、この商品を買う、この課題を解決するという決心を 与えることです。

 次に、達成目標については、

 ● マーケティング:個人を特定し、その個人情報 を獲得すること。
 ● セールス:獲得した個人情報を使って、その個人から成約、受注すること。


 となります。ただし、 セールスに代金回収までの責任を負わせる会社もあのます。

 また、「法人ビジネスでは、個人ではなく、会社だろう」というご意見もあるか もしれませんが、これは、私の個人的な意見ですが、法人ビジネスであっても、決心をさせる相手は、個人であると考えています。

 ただし、 法人の場合は、その個人は一人ではありません。夫々に役割や決裁範囲の異なるステークホルダー(意思決定に関与する人)に、夫々の立場で満足と信頼を与え る必要があります。

 手続きとして、稟議という会社の決定は引き出すことになりますが、結局は、その手続きを起案し、承認・捺印をしてく れるのは、個人です。その個人が動いてくれなければ、成約に至らないのです。

 さて、話を元に戻しますが、マーケティングは、お客様を 「買っていいかも」という気持ちにさせ、その気持ちを持っているお客様の名前や連絡先を特定することまでが、仕事となります。

 しかし、 「買っていいかも」という気持ちは、必ずしも確固たる決心ではありません。「よし買うぞ」という決心に変える必要があります。また、「よし買うぞ」という 決心をしても、あなたから、あるいはあなたの会社の商品を買ってくれる保証はどこにもありません。

 そこで、セールスは、マーケティング から渡された個人情報を使って、お客様と個別に連絡を取り、面会の約束を取り付けます。
 そして、お客様が、買いたいと思っている商品、あるい は、解決したいと思っている課題について、お客様と話しをします。それを手に入れたとき、あるいは、解決したとき、どのような満足があるのかを具体的なイ メージとして思い描かせるのです。
 そして、提供しようとしている商品や解決策が、間違えなく、その通りの結果をもたらしてくれるという、確信、 信頼感、安心感を、お客様に抱かせる活動を行います。これが、「提案」でする。その結果として、商品の購入や成約に結びつけるのです。

  このチャートでもお分かりのように、左から右へ、つまりより成約へ向かうほど、対象となるお客様の数は、絞り込まれ、少なくなります。この左から右への一 連の顧客絞込みの過程を、段階を区切り、夫々の成果を管理しなくてはなりません。これを「パイプライン・マネージメント」といいます。

  さて、最後に、マーケティングとセールスの違いを理解するうえで、参考になるP.F.ドラッカーの有名な言葉をご紹介しましょう。

  「マーケティングの究極の目的は、セリングを不要にすることである」

 マーケティングを突き詰めてゆけば、お客様は、ほしくてほしくてた まらなくなる。個別にお客様を訪問し、こちら売り込まなくても、お客様から売ってくださいと来るようになります。つまり、それがマーケティングの目指す究 極の目的であると、彼は言っています。

 ただ、ITソリューション・ビジネスの現場では、必ずしもこの理想は、成立しません。なぜなら ば、お客様が解決したい課題は、ひとつひとつ違うものです。また、課題そのものが、単純なものではなく、お客様も気付いていない、整理できていない場合も 少なくないからです。

 従って、このチャートにもあるように、「課題を解決したいという意欲」を起こさせるところで、セールスは、マーケ ティングと協力することが必要です。これが、「課題の発掘」という仕事になります。

 いかがでしょうか、「マーケティングとセールスの役 割分担」については、整理していただけましたか。

 しかし、きっとこんなフラストレーションを感じられるかもしれませんね。

  「でも、どうやって実行するの・・・?」。

 これを体系的に整理し、実践マニュアルを作ろうという取り組みが、「ソリューション営業モデ ル研究会」です。よろしければ、どうぞ、メールにてお問い合わせください。
 

■ 「ドラッガー」を「ドラッカー」に訂正いたしました。

ブログをご覧いただいた方から、以下のご指摘を頂きました。
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「ドラッガー」というのでは、アマゾンなどで本を探す方が困ってしまうと思いますので、
やはり「ドラッカー」が良いかと僭越ながらお伝えしたく、メールを差し上げた次第です。
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ご指摘を感謝申し上げます。改めて確認いたしましたところ、ご指摘どおりです。本文の記述を訂正させていただきました。大変失礼致しました。

正しくは、「ピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)」です。
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  余談ですが、私の友人が、特許翻訳や海外出願の仕事をしています。彼女が言うには、

「こ れらは、法律文書です。「英語が分る」程度では、確実な権利の確保や将来の訴訟に対応することはできません。夫々の専門分野とともに特許の実務経験と専門 知識がなければ、安心できる翻訳は出来ないんです。」

とのこと。だから、徹底してその条件にかなう翻訳者を独自の基準で選抜して、仕事を 請けているのだそうです。

 「だから、ご依頼をいただいても、直ぐにお応えできない場合もあります。お客様に申し訳なく、ビジネス的にも 苦しいところなんです。」とのこと。

 前回、「顧客との同盟」という話しをしました。「お客様の目線」を持ち、お客様の必要とする最高の 結果をお届けする。この「当たり前」は、どの業界にもいえることだと改めて感じました。

 この会社は、株式会社 ヴァンビー(VanBee)といいます。技術論文の翻訳など、専門性の高い翻訳を得意としています。彼女のブログもなかな「痛く」感動させてくれ ます。良かったら、併せてご覧ください。

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