「日本型クラウド」といいながら、「メインフレーム」の話をしたら、それはIBMだから外国製ではないか?なぜ、それで日本型なのかというご質問をいただいた。
ちょっと、言い訳をしておこう。
もう10年以上前の話である。半導体メーカーのお客様をIBMの半導体工場であるニューヨーク州イーストフィッシュキルへお連れしたときの話。
この工場は、最先端の8インチ・ウェハーを世界に先駆けて稼動させたところでもある。その後、このノウハウは、日本の野洲工場に移転され、日本でも8インチのラインが動き始めていた。
私たちが訪問すると日本からの出向社員が、工場を案内してくれた。当時、この工場には、彼を含め野洲工場から派遣された多くの日本人のエンジニアが働いていた。彼らの目的は、歩留まり率の向上だった。
いち早く8インチ・ラインを立ち上げたのは、米国であったが、歩留まりが上がらないことに手を焼いていた。そんな米国に続いて立ち上げた日本の野洲工場は、米国で開発された最新の半導体製造技術をベースにしつつも、日本独自の工程管理のノウハウを組み込んで、本家をしのぐ歩留まりや生産性を実現していたのである。
そこを見込まれて、本家の支援にやってきていたのだ。
また、こんなこともあった。
IBMを卒業の後、ある外資系の半導体製造装置メーカーのマーケティングと営業を手伝ったときのこと。このメーカーの製品は、欧米のエンジニアが設計し、中国と香港で製造していた。
中国・深センにある工場に行って驚いたのは、ずらりと並ぶ最新鋭の生産設備。アマダのマシニング・センター、イスラエル製のプラスチック成型機械・・・どれもコンピューター化され、工作精度はきわめて高い。
あるとき、この工場に部品を納めている日本企業のエンジニアに話を聞く機会があった。彼によると、この工場は、通常より一桁高い公差で部品を納めるように求めているらしい。そのため、コスト的に相当きついとのこと。
当然出来上がってくる製品の精度は高いものと期待されるが、意外にも普通なのである。仕様の上では、世界最高であっても、実用性能は、それほどでもなかった。
こんな装置を輸入して、日本のお客様にお納めするのだが、これを日本のエンジニアが、出荷前に徹底的に整備、調整すると、実におどろろくべき性能を発揮する。
欧米の優れた設計思想とユニークなアイデアの数々。部品や加工精度の高さ。実に素性がいい。これを正しくくみ上げ、調整すれば、そのポテンシャルを最高に引き出すことができるのは、当然といえるかもしれない。
「どうすれば、そんな性能が出るのか?」と開発や製造の人間が、聞きにくるほどであった。
ユニークなアイデア、それにチャレンジし、リスクを犯してでも試してみようという行動力は、欧米諸国の伝統といえるかもしれない。一方、いいと思ったなら一意専心に改良を重ね、完成度を高め、百花斉放のこどく、その本領を発揮させることに、日本人は長けているように思う。
さて、話を「メインフレーム」に戻すが、「メインフレーム」は、確かに欧米の優れた着想と思想に支えられた製品であり、外国で作られた製品である。しかし、その能力は、機械本来の性能だけではなく、高度な運用管理能力無くして、最高のパフォーマンスを引き出すことがてきないのは言うまでも無い。
あるコールセンターのコンサルタントから聞いた話だが、「日本の顧客ほど、応対の品質にうるさい客はいない」そうだ。当然、コールセンターもお客様の満足度を高めるために、徹底した工夫と教育を怠らない。そんな積み上げが、世界でも最高の応対品質を実現しているという。
このような顧客の高い要求に応えなければならないという、強迫観念にも似たプレッシャーは、チャレンジを避け、ユニークなことを排除するというネガティブな一面はある。しかし、その一方で、徹底して品質や完成度を高めなければならないという、モチベーションを生み出していることは確かだろう。
「メインフレーム」は、IBM、「NGN」も使われている機器の多くは、CISCOなどの外国製品も多いと聞く。その意味では、純粋な国産ととはいえない。しかし、そんなことはあまり意味が無い。
私が、日本型クラウドと申し上げているのは、単に機械のことではない。高い品質を求め、徹底して運用の品質や完成度を高めたサービスを提供することに、日本人は、執拗なまでにこだわるところがあるからだ。これは、家電製品同様、世界でも十分に受け入れられるのではないかと思っている。
ちょっと、言い訳をしておこう。
もう10年以上前の話である。半導体メーカーのお客様をIBMの半導体工場であるニューヨーク州イーストフィッシュキルへお連れしたときの話。
この工場は、最先端の8インチ・ウェハーを世界に先駆けて稼動させたところでもある。その後、このノウハウは、日本の野洲工場に移転され、日本でも8インチのラインが動き始めていた。
私たちが訪問すると日本からの出向社員が、工場を案内してくれた。当時、この工場には、彼を含め野洲工場から派遣された多くの日本人のエンジニアが働いていた。彼らの目的は、歩留まり率の向上だった。
いち早く8インチ・ラインを立ち上げたのは、米国であったが、歩留まりが上がらないことに手を焼いていた。そんな米国に続いて立ち上げた日本の野洲工場は、米国で開発された最新の半導体製造技術をベースにしつつも、日本独自の工程管理のノウハウを組み込んで、本家をしのぐ歩留まりや生産性を実現していたのである。
そこを見込まれて、本家の支援にやってきていたのだ。
また、こんなこともあった。
IBMを卒業の後、ある外資系の半導体製造装置メーカーのマーケティングと営業を手伝ったときのこと。このメーカーの製品は、欧米のエンジニアが設計し、中国と香港で製造していた。
中国・深センにある工場に行って驚いたのは、ずらりと並ぶ最新鋭の生産設備。アマダのマシニング・センター、イスラエル製のプラスチック成型機械・・・どれもコンピューター化され、工作精度はきわめて高い。
あるとき、この工場に部品を納めている日本企業のエンジニアに話を聞く機会があった。彼によると、この工場は、通常より一桁高い公差で部品を納めるように求めているらしい。そのため、コスト的に相当きついとのこと。
当然出来上がってくる製品の精度は高いものと期待されるが、意外にも普通なのである。仕様の上では、世界最高であっても、実用性能は、それほどでもなかった。
こんな装置を輸入して、日本のお客様にお納めするのだが、これを日本のエンジニアが、出荷前に徹底的に整備、調整すると、実におどろろくべき性能を発揮する。
欧米の優れた設計思想とユニークなアイデアの数々。部品や加工精度の高さ。実に素性がいい。これを正しくくみ上げ、調整すれば、そのポテンシャルを最高に引き出すことができるのは、当然といえるかもしれない。
「どうすれば、そんな性能が出るのか?」と開発や製造の人間が、聞きにくるほどであった。
ユニークなアイデア、それにチャレンジし、リスクを犯してでも試してみようという行動力は、欧米諸国の伝統といえるかもしれない。一方、いいと思ったなら一意専心に改良を重ね、完成度を高め、百花斉放のこどく、その本領を発揮させることに、日本人は長けているように思う。
さて、話を「メインフレーム」に戻すが、「メインフレーム」は、確かに欧米の優れた着想と思想に支えられた製品であり、外国で作られた製品である。しかし、その能力は、機械本来の性能だけではなく、高度な運用管理能力無くして、最高のパフォーマンスを引き出すことがてきないのは言うまでも無い。
あるコールセンターのコンサルタントから聞いた話だが、「日本の顧客ほど、応対の品質にうるさい客はいない」そうだ。当然、コールセンターもお客様の満足度を高めるために、徹底した工夫と教育を怠らない。そんな積み上げが、世界でも最高の応対品質を実現しているという。
このような顧客の高い要求に応えなければならないという、強迫観念にも似たプレッシャーは、チャレンジを避け、ユニークなことを排除するというネガティブな一面はある。しかし、その一方で、徹底して品質や完成度を高めなければならないという、モチベーションを生み出していることは確かだろう。
「メインフレーム」は、IBM、「NGN」も使われている機器の多くは、CISCOなどの外国製品も多いと聞く。その意味では、純粋な国産ととはいえない。しかし、そんなことはあまり意味が無い。
私が、日本型クラウドと申し上げているのは、単に機械のことではない。高い品質を求め、徹底して運用の品質や完成度を高めたサービスを提供することに、日本人は、執拗なまでにこだわるところがあるからだ。これは、家電製品同様、世界でも十分に受け入れられるのではないかと思っている。
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こんな仕事をしています。
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