2011年1月29日土曜日

「うちには、これといえる強みがありません」で、いいんですか?

 「うちには、これといえる強みがありません・・・」、「なかなか、大きな案件がとれないんです・・・」
 
 会食の席で、ある中堅SI事業者の経営者から、嘆息混じり、こんな話を聞ききました。このような嘆きは、この会社ばかりではなく、リーマン・ショツク以降、よく耳にするようになりました。しかし、いったいどこに問題があるのでしょうか。もちろん、会社によって事情は違いますが、共通する部分も少なくないような気がします。
 
 今日は、そんな企業の課題を解決する方策について、考えてみようと思います。

1.「お客さまから提供される仕事への関心」ではなく、「お客さまへの関心」へ
 お客さまからの要望に確実に応えてゆく。その誠実さと実力を兼ね備えている企業は、お客さまの期待に応え、その信頼も厚いようです。
 しかし、その信頼は、過去の実績の延長線上にある仕事に限られている場合が、少なくありません。つまり、お客さまの期待の範囲は、はじめから限られている。そして、提案する側も、それに併せた内容に絞り込んで内容を作っています。
 このような関係を続けていると、結果として、お客さまは、彼らの会社を全体として見ることがなくなります。つまり、今までの実績と担当者の提案の範囲で「彼らができること」を最初から割り切り、自分たちの需要を満たしてくれるかどうかだけを値踏みして、仕事を依頼するようになります。

 自分のお客さまとの関係で、以下に心当たりがあれば、まさに、そういう関係と言えるでしょう。
 - 担当者は知っているが、その上司や決定権限者とは面識がない。
 - 組織体制とその役割、組織内の人間関係を知らない。
 - お客さまの事業戦略を知らない。
 
 お客さまに潤沢な需要があれば、このような関係は、必ずしも大きな問題にはなりません。他社と棲み分けても、安定して仕事量を確保することができます。
 しかし、リーマン・ショックをきっかけとした需要の低迷は、今まで同様の棲み分けを許さなくなってしまいました。競合の常態化と厳しい価格競争に晒されています。さらに、オフショアの普及は、単金競争の相手を大手システム・ベンダーにまで拡大させ、ますます、その厳しさを増しています。

 このような変化に対応するためには、いままでの実績にとらわれることなく、新たな顧客や業務領域へチャンスを広げる以外に方法はありません。そのためには、お客さまから提供される仕事に期待し、それを待つのではなく、お客さまの仕事そのものを、お客さまと一緒になって創り出す取り組みを進めてゆくべきです。
 これまでのように、お客さまから自分たちに提供される仕事に関心を持つのではなく、お客さまの経営や施策、事業戦略と言った、システム需要を生み出す本来の要因に着目することが大切です。
 決った仕事をもらうために待っているのではなく、その仕事そのものを創り出すことに関与する。そうすれば、当然、ビジネスを優位なポジションで展開できるわけです。決った仕事を示され、いついつから、いくらでできますかと言われ、価格競争に晒されるのではなく、仕事そのものをお客さまと一緒に創り出し、ビジネスのイニシアティブをとることを目指すべきではないでしょうか。

 このような対応を行なうためには、今まで以上に、お客さまについての広範かつ徹底した理解が必要です。そして、より上位の意志決定者へと関係を広げてゆき、その変化を聞き取る力を持つ必要があるでしょう。

 従来のように、お客さまから提供される仕事に関心を持ち、それに応える提案だけではなく、お客さまの経営や業務など、お客さまの置かれている状況、意志決定者の課題やニーズに関心を持ち、それをどのようにシステムで解決するかを提案する。結果として、ビジネスの主導権を確保することができます。また、解決策を示されるわけですから、お客さまとの信頼を一層深めると共に、競合他社に対して、有利な立ち位置を確保できるようになるはずです。

2.「自分たちに何ができるか」ではなく、「お客さまは何がしてほしいか」へ
 予め自分たちにできることを限定してしまい、その範囲でお客さまの需要を探るだけでは、ビジネス・チャンスは限られてしまいます。お客さまは、決して、貴方の会社ができる範囲で仕事をして欲しいのではなく、自分の課題を解決したいのです。

 このようなお客さまの期待に応えるためには、自分たちができることをいったん棚上げし、お客さまの困っていること、してほしいことは何かを、まずは追求することです。上記でも述べた「お客さまへの関心」も、これを考える上で大切な基盤となります。
 その上で、お客さまがしてほしいことを、お客さまに成り代わって整理し、それを提示する。その次に、そこで自分たちができること、できないことを仕分けし、そのコントロールも含めて提示してはどうでしょう。
 「自分にできること」に範囲を絞って、お客さまが提供してくれる案件の獲得に全力を尽くす。これでは、自ら競合の渦中に飛び込むようなものです。

 競合を回避し、むしろ競合をコントロールする立場に立ち、ビジネスの主導権を握るために、「お客さまは何がしてほしいか」を追求し、その視点から提案を考えてゆくべきではないかと思います。

3.「一般論としての強み」ではなく、「自分たちならではの強み」へ
 「自分たちには、これといった強みがない」という言葉。確かに、IBMやHP、アクセンチュアやオラクルなどと技術力や商品力で比較すれば、多くの中小SI事業者やシステム・ベンダーは、彼らに太刀打ちできないように思えてしまいます。
 
 しかし、このような視点での競合優位を意識しては、はじめから、勝負をあきらめるようなもので、結局は価格で勝負するか、彼らの下請けとしての地位に甘んじるしかありません。ならば、彼らとは異なる視点で、自分たちにしかできない競合優位を考えてみてはいかがでしょうか。それは、お客さまのシステムや業務の現場を理解しているという強みです。

 受託開発に多くを依存するSI事業者は、お客さまの現場に入り、開発や保守に参画しています。そのため、現場の「困った」や「してほしいこと」は、自分のこととして、受け止めているはずです。これを整理し、体系化して、わかりやすく表現してみてはどうでしょうか。お客さまは、大いに助かるはずです。そして、それについての解決策を提示するのです。ただし、自分たちにできるかどうかは、別の話。まずは、あるべき姿を示すことです。そして、その内容をお客さまと合意し、次に、自分たちができることを示す、あるいは、できないことは、他社を紹介するという考えもあります。とにかく、大切なことは、お客さまの「困った」を解消することなのですから、これは間違えなく、お客さまも喜んで頂けるはずです。これ示せることもまた、ひとつの強みと考えてみてはいかがでしょうか。

 特定のサブ・システムとSI事業者の特定の担当者が、相互依存関係にあり、それぞれに切り離せない関係担っている現実。これは、一定期間の業務量は確保されるでしょう。しかし、システムの統廃合や刷新が、広がりを見せる昨今、そのサブ・システムが、不要になれば、業務がなくなるという脆弱さを併せ持っています。
 このサブ・システムと人との依存関係を断ち切り、その背景にあるスキルやノウハウをうまく標準化し、サービスや製品にすることができれば、これは大きな強みとなはずです。このような強みは、現場に深く関わっているからこその強みです。また、しっかりとした実績とスキルに裏打ちされたものです。大手企業には、容易にまねのできないものになるはずです。
 
 ある特定のお客さまについて、このような取り組みを進めてゆくと、多くの点で他のお客さまの「困った」や「してほしいこと」と共通していることに気付く場合があります。ならば、それを整理し、他の部門やお客さまに提案する材料としてみてはどうでしょうか。これは、紛れもない、「強み」になるはずです。これは、必ずしも新たな強みを一から創造することや育成することではありません。既存のスキルやノウハウを整理し直し、それを「見える化」する取り組みなのです。

 どんなすばらしい強みが潜在的にあっても、それを見えるものにしなければ、武器には使えません。だからこそ、このような取り組みを通じて、自らの競合優位を、言葉として、図表として、絵として、明らかにする必要があります。そして、見える化された自らの強みは、提案する人の自覚と自信をも引き出してくれるはずです。
 
 「うちには、これといえる強みがありません・・・」、「なかなか、大きな案件がとれないんです・・・」と嘆く前に、まずは、こんな取り組みをされてみては、いかがでしょう?
 
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2011年1月22日土曜日

無理をさせ、無理をするなと、無理を言う

 「おまえは、マネージャーなんだから」と組織の運営と部下の育成を上役から熱く期待されています。しかし、目の前にいる自分の部下を見れば、こちらの期待通りには動いてくれません。そんな彼らの不出来に嘆き、苛立ちは、つのるばかりです。その一方で、「おまえは、プレーヤーとして、お客さまのこともしっかりと頼むよ」と上司からプレッシャーをかけられています。

 プレーイング・マネージャーとは、そんな仕事かもしれません。

 「自分は、マネージャーなんだろうか、それとも、プレーヤーなんだろうか」と自問自答しても、「両方」という答えしか見いだせないのが現実です。

 1990年代後半、日本の企業の多くは、経営と現場の意思の疎通と意志決定の伝達を迅速に行なうために、組織の階層を減らすと共に、現場に権限を委譲するフラット化を推し進めました。しかし、その背景には、役職を減らすことで人件費を抑制したいという意識が、強く働いていたと指摘する声もあります。

 むしろ、その意識のほうが強く働き、本来会社として取り組むべき人材の育成や組織の活性化さえも、権限委譲という名の下に現場に押しつけられ、現場の負担を膨らませてしまったのではないでしょうか。

 結果として、プレーイング・マネージャーは、かつての専任マネージャーのような余裕はなくなり、ひとりの負担は、確実に重くなっているようです。しかし、そんな現実を嘆いてみても、もはや後戻りできるものでもありません。この現実に、適応してゆく術を身につけてゆくしかありません。

 ではどうすれば、良いのでしょうか。私は、長い目で見れば、「部下を育ててゆくこと」に意識と時間を重点的に配分すべきだと思います。

 部下を成長させることで、自分も成長できる。そんな意識が、自分の組織にあれば、部下の意欲も高まり、組織としてのパフォーマンスも向上するはずです。組織のパフォーマンスが高まれば、上役の評価も高まり、自身のプロモーションにも資するはずです。

 自分で走り回ることを極力控え、どうすれば、部下の成長のために、どのようにチャンスを与えられるかを考えることが、結果として、周りに良い影響を与え、良い結果をもたらすのではないかと思うのです。

 プレーイング・マネージャーの最大の不幸は、「部下を助け成果を上げさせるマネージャーとしての役割」と「部下と競争するプレーヤーとしての存在」が、同居していることにあります。このことを自覚することが大切です。もし、部下の成長や成功をこころから喜べないとすれば、競争者としての自分がそこに強く影響していると気付くべきでしょう。

 また、多くのプレーイング・マネージャーは、プレーヤーとして優秀だったから、その立場にあるわけです。しかし、マネージャーとして優秀であるかどうかは、まったくの未知数です。

 例えば、貴方は、自分の部下に、どうすればこの案件を獲得できるか、自分の成功体験に照らし合わせ、整理整頓して、わかりやすい表現で説明できるでしょうか。もし、「いくら言っても分からないんだから。もう、いいから、俺の言うとおりにやりなさい。」と吐き捨てるように、部下に言い聞かせてはいないでしょうか。

 人は、やれと言われるとやりたくないものです。理由と手順と見通しが、見えなければ、自発的な行動は生まれません。

 プレーヤーであれば、そんなことを他人に説明する必要などありませんでした。結果が出せればいいわけで、自分の経験知で十分だったわけです。しかし、マネージャーは、部下の成長にも責任を持つことになります。このギャップを埋めるためのスキルを新たに獲得する必要があります。この違いとマネージャーとしての未熟に、まず気付くことです。

 優秀であるひとほど、自分なりの成功法則をしっかりと意識しているものです。しかし、その物差しで部下を測り、部下の弱点や不出来を指摘しても、当の本人には、理解できない、納得できないのは当然のことでしょう。このような自分の物差しで部下を見てしまう減点型の評価は、お互いの心の壁を高くし、暗い雰囲気を作り出すことになります。

 自分は優秀だからマネージャーであり、部下は未熟だから部下である。まずは、その原点に立ち返ることです。そして、自分の能力ではなく、部下の実績や能力を基準に、かれが頑張っているのか、手を抜いているのかを見るべきです。そして、彼の基準で、しっかりとやっている、たいしたものだと思ったら、それを評価してあげることです。「よくやったじゃないか。」と。そして、「さらに、ここを改善すれば、もっとうまく行くはずだよ。」と貴方の基準から見たアドバイスを添えてみてはいかがでしょうか。本人の意欲も高まるはずです。

 「いままでできなかったことができるようになったなぁ」、「彼にはこんな才能があるのか」、「この仕事ならまかせられそうだ」というように、本人を基準にし、得点を積み上げてゆく加点型の評価の方が、きっと部下の意欲も引き出せるのではないでしょうか。

 部下の気持ちや能力を考えもせず、自分の基準で「できて当然」と無理をさせ、「自分は、気を遣っているんだよ」というころを見せておこうと見かけ倒しのパフォーマンスで、無理をするなと言う。こんな無理が通る道理はありません

 「部下を育てる」という大変な仕事が、これだけでうまく行くとは思いません。ただ、自分を見つめ直し、整理するきっかけとなればと願っています。

 昨日のNHKのニュースで「成功の秘訣は、難物に挑むことでした」という、町工場の社長のコメントが、印象に残りました。プレーイング・マネージャーも、ある意味、難物かもしれません。

 その社長は、こんなことも言っていました。「最初は、出荷した製品の3割が返品されてきたこともあります。しかし、あきらめませんでした。」。今では、返品はほとんど無いそうです。その秘訣は?という質問に、「徹底的に分析することで、なぜうまくできないか、その可能性を徹底的に洗い出し、ひとつひとつ対処してきました。」。

 どのような仕事にも同じような場面はあるように思います。

 そろそろ組織変更や昇進の季節です。環境が変わると言うことは、ひとつのきっかけになるかもしれません。改めて、自分の仕事を整理し、分析し、冷静に見つめ直してみる良い時期かもしれません。全てが、一瞬に解決されることはないでしょうが、現状が分かり、何をすべきかが見え、見通しが立てられるだけでも、意欲は、高まるはずです。

 「忙しい、忙しい・・・」と自分に言い聞かせ、現実から目を背けることも、気持ちを楽にするには効果的です。しかし、そんな自分に思い切って目を向けてみる。そんな時間を作る努力も必要かもしれませんね。どうせ忙しいんですから、そのことでさらに忙しくなっても、あまり変わらないような気もします。

追伸: Twitterに「無理をさせ、無理をするなと、無理を言う 」という言葉が流れてきました。なるほど!といたく感激・・・ということで、このタイトルとさせていただきました。

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2011年1月15日土曜日

営業力を「売る力」と考えることの大間違い

 「営業力とは“売る力”である」。そう考えるのが一般的だろう。だから、営業力の育成は、商品やサービスの良さを訴求し、抵抗するお客さまを説得するための会話力やドキュメンテーション力、商品や技術についての知識を身につけさせることだと考えている人も少なからずいるようだ。しかし、本当に、そのような取り組みが、「営業力=売る力」の強化につながるのだろうか。
 
 例えば、展示会のことを考えてみてほしい。すてきな女性が、プロジェクターに映し出されたきれいなチャートを前に、通る声で、整然と説明している。見事なプレゼンテーション力である。では、彼女が、その商品を売ることができるだろうか。
 IT知識に長けたエンジニアがいる。かれは、お客さまの質問に、何でも、即座に、理路整然と応えることができる。では、彼が、案件を獲得できるだろうか。
 
 このようなスキルや知識が、営業力のひとつの要素であることに異論はないが、どうも本質ではないような気がする。
 
 「営業力とは“売る力”である」と考えると、どうしてもこちらから、伝える、理解させる、説得するという、プッシュする力と考えてしまう。しかし、こちらが、どんなにすばらしいプレゼンテーションで製品の魅力をプッシュしても、買う側にその気がなければ、「ありがとうございました。良いお話を聞かせていただきました。関係者と相談の上、後日、連絡を差し上げます。」と感謝の言葉を最後に、貴方に連絡が来ることはないだろう。プッシュの力だけでは、不十分であることが分かる。
 
 そこで、こう考えてみてはどうだろう。「営業力とは、お客さまのほしいを引き出す力」であると。
 
 お客さまが、自分の「ほしい」に気付いていないことは、よくある話。そこで、貴方がお客さまになり代わり、お客さまの業務やシステムの現状や課題について、一覧表にまとめてあげてはどうだろう。「今担当させていだいているシステムについて、現状を整理してみたんですが、どうでしょうか。」と。きっとお客さまは、大いに助かるだろうし、いろいろな気付きや課題を引き出せるだろう。
 お客さまといえども、自分たちのシステムの現状について、必ずしも網羅的に整理整頓できているとは限らない。日々の業務に追われ、そのようなことに手が回らない場合も多い。ならば、そんなお客さまに成り代わって、資料をまとめてあげるだけで、お客さまは、大いに感謝し、自分たちの課題にも気付くのではないだろうか。結果として、お客さまのしてほしいことが理解できる。
 
 法律や制度の改正は、頻繁に起きる話である。それを「こう変わります」と紹介するのではなく、「御社の仕事やシステムにこのような変更が必要になります」とお伝えしてはどうだろう。「そうか!」ということになるだろう。
 
 「我が社の商品は、こんな機能や性能があります。他社に比べて、こんなに優れています。」というのではなく、「こんなことでお困りではありませんか?ならば、こうされたらどうでしょう?」とお客さまの「困っているだろうなぁ」と「こういう風に解決できますよ」を一覧表にして、紹介してはどうだろうか。きっと、身を乗り出して聞いてくれるだろう。
 
 お客さまが、「そうなんですよ。これをやりたいんですよ」に気付いてくれる。そうすれば、お客さまは、「是非、御願いします。」となる。
 
 「営業力とは、お客さまに売ってくださいと言わせる力」。そんなプルの力を育てることが、営業力育成の本質であろうと思う。
 
 このようなプルの力は、何よりも、お客さまを深く理解することが基本である。このお客さまの事業内容や業績、業界における位置づけや強みと弱み、組織と役割、ビジョンと戦略・・・きりがない。しかし、だからこそ、興味がつきないとも言える。知ろうとすればするほど、お客さまに入り込んで、質問し、話を聞かなければならないし、業界や競合についてのこと、製品やサービス、お客さまを取り巻く環境についても勉強しなければならない。そんな、相手への尽きぬ好奇心が、プルの力の源泉であろう。
 
 「お客さまをもっと知りたい」という好奇心は、お客さまへの愛情であると思う。お客さまになんとしてでも成功させたいという思いであろう。
 
 「余計なお世話」と言われるかもしれないが、愛情などというものは、「余計なお世話」や「お節介」から始まるの常ではないのか。相手が、こちを好きと思ってくれているかどうか、分からなくてやきもきしても始まらな。とにかく、彼女が喜んでくれそうなことを一生懸命考えて、プレゼントを用意して、何とか伝えようとする。受け入れてくれるかどうかは、やってみなければ分からない。しかし、好きなものは、好きである。まあ、引き時も大切であるが、とにかくやってみなければ、失敗も成功もないわけで、彼女について、一生懸命に考え、工夫して、役にたとう、気に入ってもらおうと最善をつくす。結果は、彼女次第ということではあるが、それは仕方がない。
 
 営業活動とは、そんな取り組みであると思っている。最善を尽くして、お客さまの役に立ち、気に入られようとすること。そして、このひとなら、パートナーとして、安心して付合えると納得していただくための取り組みでもある。
 
 こちらがしてほしいことを、してもらおうという取り組みではなく、相手がしてほしいことを考え、用意し、提供する。そのような、行動が、お客さまの「売ってください」を引き出すことになる。
 
 数字に追われる営業にとって、たやすいことではないだろう。しかし、この営業の原点こそ、お客さまにとっての営業のレゾンデートル(存在価値)であり、営業という仕事のやりがいであろう。

2011年1月8日土曜日

これ一枚で分かる、今年のITビジネス・キーワード

 まずは、こちらをご覧ください。ちまたにあふれるITビジネスのキーワードとその関連をお客さまのニーズを起点につなげてみました。このチャートのPDFはこちらからダウンロードできます。
 
 たぶん、ここに掲載させていただいた多くのキーワードは、だれもがご存じのものだと思います。それらが、どういう関係にあるのかを図示してみました。ひとつひとつの解説はいたしませんが、全体の構造やなじみのないキーワードについて、少しだけ補足させていただきます。
 
 まず、先週のブログ「今年は何を売るべきか」でも紹介いたしましたが、リーマンショックをきっかけとして、「コスト削減」という言葉しか聞こえなくなってしまいしました。しかし、昨今の景気指標の改善を受け、新たな事業施策を展開するに当たり「リスク回避」や「変更への柔軟性」というキーワードが、聞こえ始めています。このような経営サイドからの要請が、ITに何を求めるだろうかと考えたのが、上からの流れです。
 これに対し、個人ユーザーが火付け役となって昨年ひとつのブームとなったスマート・フォンやタブレットが、今年は企業システムにも拡大し始めるものと考えられます。ガートナーは、これをコンシュマライゼーションと呼んでいるようです。この動きは、クライアント環境のユーザビリティや可能性を革新する一方で、セキュリティへの懸念やモバイル・ネットワークの高速・広帯域化へのニーズを押し上げることになると思います。また、IFRSへの対応にも各社本腰を入れ始めるでしょう。もはや勉強の期間は終わりました。システムの構築も含めた作業フェーズへ移行すると考えられます。このような業務サイドからの要請を下からの流れとして、整理してみました。
 
 あまりなじみのないキーワードにつきまして、以下に解説させていただきます。
 
RBA:Run Book Automation
 システムやネットワークの運用フローやプロセスを定義し、ワークフローに基づき、その構築やオーケストレーション、管理やレポートなどを自動化する機能です。仮想化により、物理資源の圧縮はできても、物理資源と仮想資源の混在により、システムの運用管理は、ますます複雑なものとなります。これを自動化しない限り、変更の柔軟性やコスト削減は、図れません。このような要請に応えようとするものです。
 
BPMとMDM:Business Process ManagemetとMaster Data Management
 国際会計基準の適用は、単なる会計ルールの変更ではありません。企業のビジネス・プロセスに変革を求めます。また、過去の集計としての会計だけではなく、将来の戦略を示すための予測データの提示も求められるようになります。その基本となるのが、ビジネス・プロセスとマスターデータを、この変化に対応して整理し整頓しようという取り組みです。そもそも、ERPは、このような企業の管理会計や戦略企画の道具として用いられるものですが、未だ多くの企業は、財務会計のための道具として使っているに過ぎません。IFRSへの対応は、そんな意識への変化をももたらすのではないでしょうか。
 
Anti-theft
 PCやクライアント・デバイスの個体認証と盗難防止のための機能です。クライアント・デバイスの革新は、その利用範囲も広げることになります。その結果、盗難のリスクも高まります。統計によると情報漏洩の8割が、置き忘れや盗難だそうです。となると、盗難防止は、暗号化やデスクトップの仮想化などとともに、ニーズが高まるものと考えられます。
 
クラウド・セキュリティ
 セキュリティの概念を変えざるを得なくなります。今までは、社内と社外の境界にファイヤーウォールを置き、外部からの侵入を防ぐ「境界防衛モデル」が主流でした。しかし、クラウドの普及により、プライベートとパブリックを連携させてシステムを利用するハイブリッド・クラウドになると、もはやこの概念は使えません。つまり、社内と社外の境界というものがなくなってしまうのです。従って、信頼できるサービスのみをつなげ、セキュリティを担保する「信頼連鎖モデル」へと変わらざるを得なくなるでしょう。

 先週のブログ「今年は何を売るべきか」も併せてご覧頂くと、もうすこし全体が見えてくるかもしれません。

 私は、主宰するITソリューション塾で、つぎのようなことをたびたび申し上げています。

 「キーワードを暗記する必要はありません。ディスプレーに映し出された単語を脳みそにコピペしたことで、知ったつもりになっている。そこに、いったい何の意味があるのでしょうか

 大切なことは、これらの言葉の背景にあるお客さまのニーズや仮題、その背景や歴史、言葉と言葉の関係を体系的に、構造的に理解することです。そうすれば、言葉は自然と記憶にとどまるものです。
 
 このような常識こそ、お客さまとの会話を支えるものす。また、提案や事業戦略を考える上での基盤となります。ぜひそんな視点で、このチャートをご覧ください。

■■■ ITソリューション塾[第6期] のご案内 ■■■

 ここで紹介させていただいたようなキーワードの背景にある構造や歴史を体系的に整理する。そんな目的で、「ITソリューション塾」を、以下の通り実施させていただきます。
会場の都合もあり、定員は20名とさせていただきます。既にお申し込みも頂いており、席に限りもありますので、ご意向の表明だけでも早々に頂戴できれば、確保させていただきます。どうぞご検討ください。

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-----■■■  ITソリューション塾[第6期]  ■■■-----
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 毎週水曜日、午後6時半から2時間、3ヶ月間みっちりとITの最新状況を勉強する。

これまでに無かったタイプの勉強会。これはまさに「塾」です!!

 期間:2011年2月1日(火)より4月20日(水)全10回
   原則毎週水曜日の18:30-20:30
   ただし、2月1日(火)は、会場の都合で曜日変更
   3月の月末2週につきましては、年度末のため休講
   
 費用:9万円(個人でご参加の場合は、消費税を免除させていただきます。)
*** 講義にて使用の「最新ITトレンド」のパワーポイントは、
*** ソフトコピーにて差し上げます。
*** スキルについては、PDFにて差し上げます。
 会場:東京・市ヶ谷 (アシスト社本社セミナールーム)

内容:以下を予定しておりますが、変更がありますことを予めご了承ください。

講師は、斎藤とアプライドマーケティングの大越さんと一緒に進めさせていただきます。

■■-詳細は、こちらから

最新のITトレンドを体系的に整理します。
・クラウド・コンピューティング 【概説】
・クラウド・コンピューティング 【各社の戦略】
・クラウド・コンピューティング 【ビジネス戦略】
・クラウド・クライアント
・オープン・システムとメインフレーム
・仮想化
・オープン・ソース・ソフトウェアとソフトウェア・ビジネス
・エンタープライズ・システム・アーキテクチャー【ビジネス・ロジック編】
・エンタープライズ・システム・アーキテクチャー【インフラ編】
・国際会計基準(IFRS)

営業やSE、コンサルに必須の営業スキルを学びます。
・顧客”満足”の科学
・説得の科学
・課題を探る会話術
・お客さまの情報とは
・心を動かすプレゼンテーションの勘所
・SMARTな計画を策定する方法
・セールス・コーチング
・行動スタイル分析
・他

■■-詳細は、こちらから

お問い合わせは、下記斎藤までお願いいたします。
saito@netcommerce.co.jp

ご連絡をいただきました皆様には、詳細なご案内を送らせていただきます。
早々のご意向表明をお願いできれば幸いです。

2011年1月1日土曜日

今年は何を売るべきか

 2011年、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、新たな年を迎え、営業として、まず思うことは、「今年は何で商売をしようか?」ということであろう。景気が回復基調にあるとはいえ、未だ不透明感の高い我国の経済。IT投資にも今ひとつ弾みがつかない。このような状況にあっても、仕事をとってこなければならないのが営業である。

 そんな営業の方へ、あるいは、経営者のみなさんに、今年の営業戦略を考える参考としていただければと、5つの切り口を考えてみた。私なりの思い入れもあり、偏りもある。そのことをご承知の上で、ご覧頂きたい。そして、ご批判を頂戴できればと願っている。

 なお、具体的な「売り物」については、各社各様の商品やサービスがあり、明示的に示すことは避けた。下記の切り口を参考に、自分達の商品やサービスに当てはめて、考えていただきたい。

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1.「コスト削減」一辺倒から「リスクの回避」と「変化への柔軟性」へと要件が拡大する

 リーマン・ショック以降、多くの企業は、コスト削減を至上命題として、全てに優先して取り組んできた。IT予算もこの影響を受け、新規開発の凍結、運用や保守に関わる人件費の削減が積極的に進められた。また、この間、大手企業では、M&Aや事業の統廃合が進められ、経営の効率化を加速した。

 2010年後半より、国際的な景気指標の改善とともに、事業戦略の見直しが進み、これに伴うIT予算の再配分が進められようとしている。その結果、これまでの「コスト削減」一辺倒の考えを改め、景気の変動や国際的なビジネスの拡大に伴う「リスクの回避」と「変化への柔軟性」へと要件を拡大しようとしている。このような変化に対応し、ITへの期待も従来とはことなるものとなりつつある。

 例えば、金融各社では、M&Aや事業の統廃合に伴うシステムの統廃合と刷新が進められている。これは、単なる事業構造の変化への対応という側面だけではない。低コストでのシステム開発や運用ができることに加え、変化・変更への柔軟性を兼ね備えたシステムを作り上げようという動きである。この取り組みにより、短期的にはIT人材の需要拡大が期待される。

 しかし、この需要拡大は、単純に人件費単価を押し上げる要因にはならない。人材需要の二極化である。一方の極は、業務やシステム・アーキテクチャーに精通したコンサルタントやPMなどの上流に対応できるエンジニアである。もう一方は、単純な開発、保守リソースであり、オフショアもその選択肢となる。これにより、上流に対応できるエンジニアは、その数も少なく高額でも必要とされるが、、単純な開発、保守リソースとしての人件費単価は、オフショアとの競合が前提であり、頭が押さえられているだけでなく、より一層の引き下げ圧力が高まり、「需要が増えても儲からない」構造ができあがっている。

 また、需要拡大そのものも一時的なもので、中長期的に見れば、人材、機材共に需要低減の圧力が高まるものと考えられる。例えば、仮想化やプライベート・クラウドの利用に伴うITシステムの利用効率向上は、IT機器の購入やライセンス契約を抑制する。運用の自動化やパブリック・クラウドの利用は、運用に関わる人材の需要低減をもたらす。

 また、アプリケーション開発においても、既存システム資産を容易に捨てることはできないため、これを活かしつつ新しいシステムとの連携を図ることやパブリック・クラウドとオンプレミスを連携させるために、SOA/ESBに対応した開発が求められるようになるだろう。

 これらは共に、コスト削減だけではなく、事業環境の変化・変更への柔軟性確保、そして、事業リスク回避の要件を含んだ取り組みと言える。

2.企業システムにおけるモバイル・デバイス利用が拡大、そのプラットフォームとしてHTML5のデファクト化がすすむ

 パーソナル・デバイスとして、スマートフォンやタブレットへの関心が高まった2010年。2011年は、その本格的な需要拡大と企業での利用に注目が集まるだろう。

 この変化を象徴する動きのひとつが、SAPによるサイベースの買収である。サイベースというとデータベース製品を提供する企業というイメージが強いが、実は、モバイル・デバイスに関連した製品やサービスに強みを持っている。つまり、企業の基幹業務システムとして、その地位を築いてきたSAPのERPシステムとサイベースのモバイル・サービスや製品を結びつけた需要拡大に対応することを狙っている。

 また、HTML5/Ajaxの動きもこれを加速することになるだろう。昨年の10月に行なわれたPDC10で、マイクロソフトは、Silverlightへの比重を下げ、HTML5への対応を積極的に行なうことを表明している。また、Flashを擁するアドビもまた、同じ頃に行なわれた自社のイベントであるMAX2010で、HTML5への積極的な対応を表明している。

 「スマートフォンやタブレットなどの能力や機能には制約が多く、単純にPCに置換えることはできない。」という意見もある。確かにその通りだ。しかし、情報システムを「作成」と「利用」という機能に分けて考えると、閲覧や応答などの「利用」だけであれば、スマートフォンやタブレットは、既に十分な能力を備えている。また、AndroidやiOSに見られるHTML5への積極的な対応、3Gやこれに続くLTEなどの高速モバイル・ネットワークは、ユーザビリティをますます向上させることになるだろう。

 実際の企業システムの活用シーンを考えると、閲覧や応答と言った「利用」が圧倒的に多い。この現実を考えると、企業システムのクライアントとしてもスマートフォンやタブレットなどのモバイル・デバイスが、一層普及するであろうと予想される。

3.フレームワークと仮想化の進展により、企業システムとしてのクラウド利用が加速する

 システム開発の生産性を向上させる手段として、フレームワークの利用は、ひとつの有効な手段である。しかし、コード数の肥大化やパフォーマンス・チューニングの問題もあり、その利用には、制約が課せられていた。しかし、開発・実行環境としてのクラウド・サービスであるPaaSの普及や機器の性能向上が、このような制約を解消してくれる可能性がある。

 まず、PaaSであるが、システム資源の調達は、オンデマンド+セルフ・サービスで数分・数十分というきわめて短期間で可能であり、また、ダイナミックな資源調達を可能とするプロビジョニングにも対応している。言い換えれば、「キャパシティ・プランを必要としないシステム調達」を可能にした。

 加えて、企業システムと互換性を高めたPaaSの出現である。例えば、.Netフレームワークに対応したWindows Azure Platforme、JavaのSpring Frameworkに対応したvmforceやGoogle App Engine for Businessなどは、企業システムで普及しているフレームワークへの対応を進め、企業システムの取り込みを図ろうとしている。また、Webアプリケーションのフレームワークとして評価の高いRuby on RailsもPaaSやIaaSとの組み合わせにおいて、今後普及することが予想される。

 また、機器の性能向上については、プロセッサー性能の向上に加え、DRAM-SSD-磁気ストレージといったストレージの階層化が普及し、プログラム実行環境の高速化が進められている。

 このようなフレームワーク利用環境の改善とPaaSの進化は、OSを意識した開発を不要とする。OSの隠蔽化である。加えて、システム資源の仮想化は、物理システムをも隠蔽する。つまり、OSや物理システムを意識しないシステム開発・実行の環境が整うことになる。また、RAD(Rapid Application Development)製品の性能向上も注目に値する。RADは、OSや物理システムだけではなく、言語、ミドルウェアも隠蔽し、業務手順を記述すれば、クロスプラットフォームに対応したシステム開発が行える。こうなると、システム技術的スキルのニーズ低下や保守の内製化も容易になるだろう。

 このような変化は、オンプレミスとパブリック・クラウド(PaaSやIaaS)の境目を無くした単一プラットフォームとしての企業システム環境=ハイブリッド・クラウドが実現する。

 この変化に対応して、プライベート、パブリック共に、クラウドの需要は、拡大するだろう。 

4.運用の自動化への関心が高まり、ITILの適用とRBAの利用が拡大する

 サーバー仮想化の課題のひとつに「仮想マシンのスプロール(sprawl)現象」がある。スプロールとは、"無秩序な拡大"を意味する言葉である。

 仮想化を利用したシステムの集約は、物理システム資産を削減し、コスト削減に貢献することが期待される。しかし、その一方で、仮想化は、サーバーの調達を簡単なものにし、無用な仮想マシンをスプロールしてしまい、結果として、運用負担の増加となる可能性がある。従って、運用の標準化と仮想マシンの調達についてのワークフローの整備は、不可欠なものとなるだろう。

 また、仮想マシンの拡大は、物理マシンとの混在とあいまって複雑化し、運用管理負担の増大をもたらすことになる。こうなると、もはや人手による運用管理は、かなりの困難を極めることになるだろう。運用管理ツールの統合、運用ワークフローや運用プロセスの監視・管理などのオーケストレーション機能の導入が、不可欠なものになるだろう。「仮想化はしたが、運用管理コストが下がらない」。この事態を回避するためには、運用管理の標準化と自動化を進める以外に方法はない。そう考えると、ITIL(運用管理の標準化)やRBA(Run Book Automation=運用管理プロセスの自動化)への需要が高まるだろう。

5.グローバル調達を前提としたプロジェクト管理やアプリケーション・ノウハウの必要性が高まる

 大手ソリューション・ベンダーは、オフショア開発の失敗を乗り越え、うまく使うノウハウを確実に蓄積してきている。その結果、開発や保守に伴う人件費の基準は、これが前提となっており、かつてのように、中堅・中小のソリューション・ベンダーは、人件費の安さを武器にすることができなくなってきている。

 加えて、リーマンショック以降の大手による中堅中小開発会社の買収により、グループ内製を優先する動きが拡大している。また、クラウドによるリソースの調達は、人件費や案件単価の頭を押さえつけている。こうなると、開発や保守のための人材提供やシステム基盤の構築などのインフラ需要は、ビジネスとしてのうまみを失いつつある。

 オフショア開発の拡大やクラウドへのシステム資源の移行は、もはや避けて通れないとすれば、この新しいビジネス環境の変革に対応するしかない。そのためには、グローバル調達を前提としたプロジェクト管理のためのスキルや、インフラだけではなく、より上位のアプリケーション・ノウハウ、また、SOA/ESBやEAIなどのシステム間連携に関わるスキルが、今まで以上に求められるようになるだろう。

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 以上の5つに加え、ソーシャル・ネットワークやERP/BIについても、注目している。

 ソーシャル・ネットワークについては、マーケティングやプロモーションといった側面ばかりでなく、企業内の情報利用やビジネス・コミュニケーションのあり方に大きな影響を与えることになるだろう。また、IFRSの強制適用が間近に迫る中、ERP/BIへの企業の関心は、否が応でも対応が求められることになる。この2点については、また改めて書き起こしてみようと思う。

 さて、このような変化に、どう対応してゆくかである。引き続き、私なりの考えを、このブログで紹介してゆこうと思う。どうぞ、今年もよろしくお願いいたします。


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